中国知的財産支援ブログ

中国でのビジネスを進める方に、知的財産の観点からとっておきの情報を提供します。

2009年11月

特許権(専利権)・その47・誤訳予防6

 中国の知的財産権(特許権など)について、日本や米国の法律などと比較しながら説明します。

 

 中国語への翻訳時の誤訳の問題についての続きです。

 

 誤訳を予防するには、誤訳が発生しにくい日本語明細書を作成することが重要です。

 日本語で特許明細書を作成する際に、英語や中国語に翻訳した時に、おかしな文章にならないように、「AはBである。」、「BはCである。」といったように、簡潔な文章づくりに心がければ、誤訳の元を絶つことになります。

 

 手前味噌になりますが、私は、日本語の特許明細書を作成する際に、少なくとも英語にするとこに困らないように、簡潔な文章づくりを心がけています。

 自分で英文明細書を作成するので、ややこしい表現をすると、後で英文を作成するとこに自分が苦しむことにもなりますので、自衛的な意味もあります。

 また、クライアントの多くは、中国に出願する際に、米国にも出願するため、中国の代理人に対しては、英文明細書と日本語明細書の両方を送り、原則英文明細書に基づいて中国語の特許明細書を作成するように指示しています。

 英語から中国語への翻訳の方が、日本語から中国語への翻訳よりも間違いが生じにくいのと、2つの言語(ここでは英語と日本語)の明細書を見れば、共通した意味が分かってくるので、内容を良く理解した上での翻訳が可能になると考えたからです。

 

 また、クライアントの了承も必要になりますが、日本語特許明細書の「発明の詳細な説明」や「図面」で、出来るだけ詳しく発明の内容を記載することに心がけています。

 当たり前の事なのですが、英語や中国語への翻訳を意識していないと、気が回らないことも多く、発明に関する重要な表現や、外国人が読んだ時に誤解を生じかねない表現については、少し回りくどいくらいに、丁寧に詳しく表現します。

 実質的に、同じ意味になるけれども、別の表現を書いておくなんてこともしています。

 日本語特許明細書を作成する時には、それでも気付かないことがあり、英文明細書を作成するときに、気付いて書き足したりすることもあります。

 この点で、英文明細書を自作するのは、誤訳防止の観点でかなり有効な手だと思います。

 

 弁理士が英文明細書を作成する場合、翻訳会社に翻訳してもらう場合に比べて割高になることが多いと思います。

 事実、私が手がける英文明細書の翻訳料は、翻訳会社にやってもらう場合に比べてかなり割高です。

 しかしながら、技術内容を理解して(日本語明細書を作っているので当然に理解している)、英文明細書を作成していますから、余程のことが無い限り誤訳は起きないと思います。

 私は、英語ネイティブではないので、言い回しなどは余り格好の良くない英語だとは思いますが、特許的には、発明の内容が明確であることが重要なので、その点では、何処の国の代理人が読んでも分かりやすい英文明細書を作っていると思います。

特許権(専利権)・その46・誤訳予防5

 中国の知的財産権(特許権など)について、日本や米国の法律などと比較しながら説明します。

 

 中国語への翻訳時の誤訳の問題についての続きです。

 

 ここまで、文法や単語の違いによる誤訳の発生原因について説明しました。

 

 しかしながら、誤訳の最大の原因は、日本語の特許明細書にある可能性が高いと私は考えています。

 このブログをご覧になっている方の殆どは、日本語が堪能な日本語ネイティブだと思います。

 日本語ネイティブの方は、言わなくても分かることを省略しがちになります。

 だから、僕のブログの文章を読んでも、省略した文面も推測しながら理解することが出来ます。

 日本の特許明細書を審査する審査官も大抵は日本語ネイティブなので、多少の語句を省略しても意味が通じますが、翻訳者は日本語ネイティブでないことが多く、省略したことに気付かない、若しくは省略したことに気付いたが何を省略したのかが分からないことが起こり得ます。

 

 例えば、主語をはっきりと言わないことが挙げられます。

 英語や中国語で、主語をはっきりと書かないと、何を言っているのか分かりにくい文章になります。

 英語だと、受身形で表現することにより、主語が無い状態を有る程度は曖昧に出来ます(あまりお奨めしませんけど)。

 しかしながら、中国語でこれをやってしまうと、訳の分からない文章が出来上がります。

 

 また、修飾語を沢山付加した長い文章も危険です。

 日本語ネイティブが読むと、なんとなく理解出来るのですが、実際には途中で主語が入れ替わっていたり、時制が合ってなかったりして、英語や中国語に翻訳する時に馬脚を現します。

 英語の場合には、関係代名詞を使いこなすことによって、沢山の修飾語が付いた文章を翻訳することも可能です(それでも、分かりにくいですけど)。

 中国語の場合には、訳が分からない文章が出来上がります。

 

 また、難しい特許用語を使うのも誤訳の元になる可能性が高いです。

 例えば、「回動」という言葉があります。

 辞書には載っていませんが、特許用語的には、正逆両方向に円運動することとされています。

 でも、そんなこと知らない場合には、翻訳のしようがありません。

 素直に、「両方向に回転する」などと書いておけば、誤訳の可能性が減りますが、「回動」の意味を翻訳者が勘違いした場合には、危険です。

 また、「回」も「動」も、対応する中国語がありますから、単純に「回動」と書いておけば、翻訳出来たかのように見えますが、実際には意味のない中国語を書いたことになります。

特許権(専利権)・その45・誤訳予防4

 中国の知的財産権(特許権など)について、日本や米国の法律などと比較しながら説明します。

 

 中国語への翻訳時の誤訳の問題についての続きです。

 

 誤訳の原因としては、さらに、同じ漢字なのに日本語と中国語で意味が異なる場合に、注意が必要です。

 例えば、「走る」という字は、中国語では「歩く」を意味します。

 特許明細書で使われる機会はあまりないと思いますが、「愛人」という字は、中国語では「配偶者」を意味します(日本語で言うところの「愛人」という意味はありません)。

 ちなみに、台湾では、「愛人」の意味になるそうです。

特許権(専利権)・その44・誤訳予防3

 中国の知的財産権(特許権など)について、日本や米国の法律などと比較しながら説明します。

 

 中国語への翻訳時の誤訳の問題についての続きです。

 

 誤訳の原因としては、日本語と中国語の単語が1対1で対応していないことが多いことが挙げられます。

 特許明細書で使う機会は無いかもしれませんが、例えば、「食べられない」という意味の中国語はいくつもあります。

 

食べられない

 




 また、「炒める」という意味の中国語もいくつもあります。

 

炒める

 



 「炒」という字なんぞは、同じ漢字なのに、意味の広さが違うから翻訳が難しくなります。

 

特許権(専利権)・その44・誤訳予防2

 中国の知的財産権(特許権など)について、日本や米国の法律などと比較しながら説明します。

 

 中国語への翻訳時の誤訳の問題についての続きです。

 誤訳が発生した場合に、短絡的に、中国語に翻訳する作業者(若しくは中国の代理人)の能力が低いと考えるのは正しくないと思います。

 

 私は、英語、中国語、韓国語を勉強したことがありますが、日本語から中国語への翻訳はとりわけ難しいなぁと感じました。

 

 まず、文法が、日本語の文法と異なります。

 中国語の文法は、英語に似ていると良く言われますが、似て非なるものです。

 

 翻訳とは関係ありませんが、中国語は、発音も難しいです。

プロフィール

Nonatake

タグクラウド
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ