中国知的財産支援ブログ

中国でのビジネスを進める方に、知的財産の観点からとっておきの情報を提供します。

意匠特許

意匠(外観設計専利権)・その16・意匠の無効宣告

 中国の知的財産権(特許権など)について、日本や米国の法律などと比較しながら説明します。

 

 日本・意匠法48条(特許法123条)に相当する無効審判制度が中国・専利法第45条に規定されています。

 但し、その要件は、日本のモノと異なる点がいくつかあるので注意が必要です。

 詳しくは、2009812日のエントリーをご覧下さい。

 

 無効審判請求の主体は、何人でも良いとなっています(日本では、利害関係人に限られているとされています)。

 

 なお、米国では、無効審判のような制度として、当事者系の再審査(Inter partes reexamination, 35 U.S.C. 311)があります。

 

 中国専利法 第45条 国務院特許行政部門が特許権を付与することを公告した日から、いかなる機関又は組織又は個人もその特許権の付与が本法の規定に合致しないと認めたときは、特許復審委員会にその特許権の無効審判を請求することが出来る。


専利法45条

 

※ なお、中国特許法の日本語訳は、個人的な見解に基づくものであり、大凡の意味を理解するのに使ってください(厳密な解釈には十分注意してください)

意匠(外観設計専利権)・その15・意匠の図面と写真

 中国の知的財産権(特許権など)について、日本や米国の法律などと比較しながら説明します。

 

 意匠特許権の保護範囲は、図面または写真に示されたその意匠特許の製品を基準とすることが規定されており、意匠の図面または写真の内容は意匠の最終的な保護対象になります(専利法592項、200910月の改正前は562項)。

 日本でも同様で、意匠法6条に規定されています。

 米国でも同様で、規則37 CFR 1.152に規定されています。

 立体的な意匠であれば、6面図を用意できれば十分なのですが、意匠と特定する場合に立体図があった方が分かりやすいので、立体図も提出しておいた方が良いと思います。

 というのは、侵害訴訟などで、意匠の類否が判断されますが、立体図で、立体的なイメージが出来ているのと、出来ていないのとでは、判断が変わる可能性があるからです。

 この点で、実施物のイメージが沸きやすい写真の方が、図面よりも良いかもしれません(模倣された時に類否判断が比較的容易で、権利行使が認められやすくなるかも)。

 

200910改正後の中国専利法 第59条 発明又は実用新案の特許権の保護範囲は、その特許請求の範囲の内容を基準とし、明細書及び図面は特許請求の範囲の内容の解釈に用いることができる。

 意匠特許権の保護範囲は、図面又は写真に示された当該製品の意匠を基準とし、簡単な説明は図面又は写真に示された当該製品の意匠の解釈に用いることができる。

 

専利法59条
 



 
※ なお、中国特許法の日本語訳は、個人的な見解に基づくものであり、大凡の意味を理解するのに使ってください(厳密な解釈には十分注意してください)

意匠(外観設計専利権)・その14・類似意匠の併合出願制度

 中国の知的財産権(特許権など)について、日本や米国の法律などと比較しながら説明します。

 

 200910月の改正後は、類似意匠を1件の出願として提出出来る併合出願制度が設けられました(専利法312項)。

 日本の関連意匠制度(意匠法10条)と似たような制度だと思いますが、類似意匠の数が10を超えてはいけないなど、要件は同じではないので、審査指南(現時点で未決定)を考慮する必要があります。

 米国には、上述のような多意匠を1出願にまとめるような制度はありませんが、単一の創作概念の意匠を実施例として記載して複数意匠を一意匠とできるようです。

 

 下線部が、200910月の改正で追加された部分です。

 

200910改正後の中国専利法 第31条 一件の発明又は実用新案の特許出願は、一項の発明又は実用新案に限らなければならない。一つのまとまった発明構造に属する二以上の発明又は実用新案は、一件の出願として提出することができる。

 一件の意匠特許出願は、一項の意匠に限らなければならない。同一製品にかかる二以上の類似意匠、又は同一区分に属しかつセットで販売又は使用される製品に用いられる二以上の意匠は、一件の出願として提出することができる。

 
専利法31条

 








 ※ なお、中国特許法の日本語訳は、個人的な見解に基づくものであり、大凡の意味を理解するのに使ってください(厳密な解釈には十分注意してください)

意匠(外観設計専利権)・その13・部分意匠制度は無い

 中国の知的財産権(特許権など)について、日本や米国の法律などと比較しながら説明します。

 

 中国専利法では、日本の意匠法21項カッコ書で示されるような、部分意匠制度はありません。

 米国でも部分意匠制度が採用されていますが、根拠条文が不明です。

意匠(外観設計専利権)・その12・実施行為

 中国の知的財産権(特許権など)について、日本や米国の法律などと比較しながら説明します。

 

 専利法11条では、特許などの実施行為について定義されています。

 ここで、意匠特許の実施として、200910月の改正で、「販売の申し出」が追加されました。

 但し、日本の意匠法23項では、「意匠に係る物品を使用し」という文言がありますが、中国専利法では、「使用」に相当する文言はなく、実施行為にはあたらないとされています。

 

 米国では、製造(make) 使用(use) 販売の申し出(offer to sell) 販売(sell) 輸入(import)が、直接侵害の5つの態様として挙げられています(35 U.S.C. 271)。

 

 下線部が、200910月の改正で追加された部分です。

 

200910改正後の中国専利法 第11条 発明及び実用新案の特許権が付与された後は、本法に別段の定めがある場合を除き、いかなる単位又は個人も特許権者の許諾を得なければ、その特許を実施してはならず、即ち、生産経営を目的として、その特許製品を製造し、使用し、販売の申出をし、販売し、輸入し、又はその特許方法を使用し及び当該特許方法により直接得られた製品を使用し、販売の申出をし、販売してはならない。

 意匠特許権が付与された後は、いかなる単位又は個人も特許権者の許諾を得なければ、その特許を実施してはならず、即ち、生産経営を目的として、その意匠特許製品を製造し、販売の申出をし、販売し、輸入してはならない。

 

専利法11条

 




 
※ なお、中国特許法の日本語訳は、個人的な見解に基づくものであり、大凡の意味を理解するのに使ってください(厳密な解釈には十分注意してください)

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