中国知的財産支援ブログ

中国でのビジネスを進める方に、知的財産の観点からとっておきの情報を提供します。

誤訳対策

特許権(専利権)・その53・誤訳訂正4

 中国の知的財産権(特許権など)について、日本や米国の法律などと比較しながら説明します。

 

 ここまで、誤訳を訂正する方法について説明してきました。

 拒絶理由通知に関連する部分であれば、拒絶理由の応答期間内で訂正が可能ですし、関連しない部分であっても、中国の代理人や審査官とのコミュニケーション次第で何とかなるようです。

 

 であれば、深刻な問題ではないのか?というとそうではありません。

 ここでいう誤訳は、発明のコンセプトが大きく異ならない範囲での訂正に限られると思われます(そういった明確な規定は見あたりませんが)。

 どんな誤訳でも後で修正可能だと思うと、危険です。

 誤訳を認めるか認めないかで争うのもあまり精神衛生上良くないですしね。

 

 従って、下記のことを気をつけておいた方がよさそうです。

(1)   日本語の特許明細書作成時点で誤訳が起きにくい文章を書き上げる

(2)   出来れば、英文の特許明細書も用意する。
日本語の特許明細書作成者が作るのがベストですね。

(3)   日本側に中国語が分かる担当者が居る。

(4)   中国の代理人(特許事務所)と絶妙な信頼関係を築き、誤訳が起きてもスムーズに対処出来るようにする。

特許権(専利権)・その52・誤訳訂正3

 中国の知的財産権(特許権など)について、日本や米国の法律などと比較しながら説明します。

 

 中国語の誤訳の訂正についての説明の続きです。

 

 PCT出願の場合は、実施細則113条(2010年改正前は110条)で、誤訳訂正が認められています。

 

 中国専利法実施細則 第113

 提出した明細書、請求の範囲、図面中の文字の中国語翻訳文に誤りが存在することを出願人が発見した場合、以下に規定する期間内に出願時の国際出願書類に基づいて訂正を提出することができる。

 (1) 国務院専利行政部門による発明特許出願の公布準備または実用新案特許の公告準備が完了する前;

 (2) 国務院専利行政部門が発行した発明特許出願が実体審査段階に入った旨の通知書を受領した日から起算して3ヶ月以内。

 出願人が翻訳文の誤りを訂正する場合、書面による請求を提出し、且つ規定の翻訳訂正費用を納付しなければならない(201010月改正で、「訳文の訂正頁を提出し」という文言が削除された)。

 出願人が国務院専利行政部門の通知書の要求に基づいて翻訳文を訂正する場合、指定期間内に本条第2項の手続を行わなければならない。指定期間を経過しても規定の手続を行わない場合は、当該請求は取り下げられたものとみなす。

 

専利法実施細則113条

 

     








なお、中国特許法の日本語訳は、個人的な見解に基づくものであり、大凡の意味を理解するのに使ってください(厳密な解釈には十分注意してください)

特許権(専利権)・その51・誤訳訂正2

 中国の知的財産権(特許権など)について、日本や米国の法律などと比較しながら説明します。

 

 中国語の誤訳の訂正についての説明の続きです。

 

 誤訳の補正が出来る期間は、特許出願の場合は、実体審査通知後3ヶ月以内と、拒絶理由通知(審査意見通知書)の応答期間になります。

 拒絶理由通知の応答期間に出来る補正は、通知書が言及した内容に対する者である必要があります。

 但し、実際には、通知書が言及していない部分であっても、中国の代理人や審査官とのコミュニケーションを図って、事情を説明することにより、補正出来ることの方が多いようです。

 

 誤訳を見つけるには、特許明細書の内容を中国語と日本語(または英語)で見比べて確認する必要があります。

 このため、実際には、拒絶理由通知を受けた時に、改めて特許明細書を読んで誤訳に気付くことが多いのではないかと思います。

 従って、拒絶理由の応答期間に誤訳を訂正する機会は結構あると思います。

 

 中国専利法実施細則 第51

 特許出願人は、実体審査の請求時及び国務院専利行政部門が発行する特許出願が実体審査段階に入る旨の通知書を受領した日から起算して3ヶ月以内に、特許出願に対して自発的に補正することができる。

 実用新案または意匠特許の出願人は出願日から起算して2ヶ月以内に、実用新案または意匠特許出願に対して自発的に補正することができる。

 国務院専利行政部門が発行する審査意見通知書を受け取った後に、出願人が特許出願に対して補正を行う場合は、通知書が指摘した不備に対して補正しなければならない。

 国務院専利業背部門は特許出願書類注の文字や符号の明らかな誤りを自ら補正することができる。国務院専利行政部門が自ら補正する場合は、出願人に通知しなければならない。

 

実施細則51条

 













※ なお、中国特許法の日本語訳は、個人的な見解に基づくものであり、大凡の意味を理解するのに使ってください(厳密な解釈には十分注意してください)

特許権(専利権)・その50・誤訳訂正1

 中国の知的財産権(特許権など)について、日本や米国の法律などと比較しながら説明します。

 

 中国語の誤訳の訂正について説明します。

 

 ここまで説明した内容で、誤訳が発生しないように最大限気を遣ってきたとしても、発生してしまうことがありますので、今日は、リカバリーの方法について説明したいと思います。

 

 パリ優先権主張を伴う中国出願の場合は、審査指南第2部第8章5.2.2.2(11)で、当該技術分野の技術者が識別出来る明らかな誤りの補正が認められるとあり、これを根拠に誤訳の訂正が可能になると思われます。

 

 中国専利審査指南第2部第8章 5.2.2.2

 認められる明細書と要約の補正は、次のような状況を含みます。

 (11) 当該技術分野の技術者が識別出来る明らかな誤り、すなわち、文法の誤り、文字の誤り、及び入力ミスの補正。これらの誤りについての補正は、当該技術分野の技術者が明細書の全体及び文脈から見いだせる唯一の正解でなければならない。

審査指南第2部分第8章5222(11)



※ なお、中国特許法の日本語訳は、個人的な見解に基づくものであり、大凡の意味を理解するのに使ってください(厳密な解釈には十分注意してください)

特許権(専利権)・その49・誤訳予防8

 中国の知的財産権(特許権など)について、日本や米国の法律などと比較しながら説明します。

 

 中国語への翻訳時の誤訳の問題についての続きです。

 

 誤訳を予防する方法の1つとして、誤訳が発生しにくい日本語明細書を作成することを説明しました。

 

 次に、中国の代理人に対するケアによる誤訳予防方法です。

 とても単純なことなんですが、翻訳に十分な時間を与えることと、中国の代理人の中でその案件の重要度を上げることの2つが挙げられます。

 

 中国では、優先期限までに中国語の特許明細書を提出する必要があり、台湾のように別途翻訳文提出期間が設けられている訳ではありません(日本のような外国語書面出願制度が無い)。

 

 このため、案件の依頼を受けた中国の代理人にとっては、どんな理由があっても優先期限までに中国語の特許明細書を作成する必要性に迫られることになります。

 翻訳期間が十分に与えられていれば、案件に対応した技術分野に強い翻訳者を手配することが可能ですし、分からなければ日本の代理人やクライアントとの間で質問のやりとりも出来ます。

 逆に、翻訳期間が短ければ、適当な翻訳者を手配出来ない(最悪の場合、技術分野の知識が無い翻訳者が無理矢理翻訳せざるを得ない状況が起こり得る)上、質問する時間もないので、分からないことがあっても、翻訳者が適当に解釈した中国語で出願せざるを得ません。

 誤訳があったことを後で責めることは出来るかもしれませんが、「時間が無かったから。。。」と言い訳されるかもしれませんし、言い訳はともかくとして、誤訳した状態をリカバリー出来なくて一番困るのは出願人です。

 

 また、中国の代理人の中でその案件(またはその案件のクライアント)の重要度が高ければ、優秀な担当者が担当してくれる可能性が高くなります(これはどんな仕事でも同じことですよね)。

 代理人にとって十分な出願件数を与える、代理人と交流を深めて良好な人間関係を築くなど、当たり前といえば当たり前のことをやるだけですけどね。

 

 あと、裏技として、時々、中国語でメールやFAXのやりとりをするのも有効です。

 日本に、中国語が分かる人間が居ると分かれば、いい加減な対応がすぐばれちゃいますからね。

 ただ、不信感を前面に出して、牽制球を投げると、相手は「試されている」と感じますから、逆効果になるかもしれません。

 あくまで、友好的な関係づくりを基本の中で、行うのが良いかと思います。

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