言いたい放題ローゼンメイデン

ローゼンメイデンについて好き放題語ってます。

【再レビュー022】Rozen Maiden Phase21

蒼星石が叶えたかったのは、一葉の望み。

それは、自らの呪縛から逃れる事でした。二葉を失いたくないあまり自分の存在を殺しても、結局彼の中の一葉が自分を縛り付けていたのです。だったら、その"しがらみ"をぶち壊してしまうしかない。でも、しがらみは既に肥大化しており、チョキチョキ枝葉を整えるだけでは足りません。渾身の力を込めて一葉を縛っている一葉自身の心を攻撃するのですから、その心と繋がっている蒼星石も当然の様にダメージを負う事になりますね。

マスターの心を破壊することにより、蒼星石もまた破壊されるのです。

でも、蒼星石は一葉の心に残っている美しい樹だけは残していたんですよ。切り取る庭師としては、一世一代の大仕事だったことでしょう。

蒼星石の自己犠牲によって、一葉は救われました。限界を悟り、自らの魂を翠星石に託そうとする蒼星石。真紅は、泣き出した雛苺にアリスゲームの結末をしっかり見るよう告げています。感傷など入り込む余地のない、残酷な現実を。

しかしローゼンメイデン史上初となるローザミスティカの引継ぎは、水銀燈の横槍で強奪劇へと早変わり。

もし一葉の樹がとことん駄目になっていたとしたら、水銀燈はこんな作戦を立てなかったはずです。望みがあればこそ、蒼星石は自分を犠牲にしてでも彼を救うに違いない。翠星石はそんな妹を止められないし、片腕をもぎ取った真紅では止めようとしても力不足。今の雛苺は頭数に入れる必要もない。そう読んだから、わざわざ女性の樹を見つけて蒼星石をそそのかしたのでしょう。

何とも恐ろしい作戦じゃありませんか。

さて、Phase21のキーワードを上げるとすれば、それは「ばか」でしょうか。

水銀燈が蒼星石をとことん利用できたのは、蒼星石が「おばかさん」だと知っていたからですよね。普段は姉に気圧されぎみなのに、いざ思いつめると歯止めが効かない直情的な一面を見抜いていたのです。

次に、真紅に襲い掛かる時の「ばぁーかッ」です。あふれ出る勝利の陶酔が、彼女の論理的思考や語彙を飲み込んでしまったかのようです。そして、ジュンが「僕が相手になってやる…ッ」と言ってからの、憎しみと怒りを抑えきれない表情――せっかくの気分に水を差しやがって――これも何とも言えません。

この後で、水銀燈はもう1度「ばか」という言葉を使っていますね。今回は有り得ないという意味での「…こんな…バカな…」です。

真紅が「絆」と言ったせいか、水銀燈も絆の力だと考えてしまいましたよね。普通の人間がローゼンメイデンを直せたのは、互いに想い合う心が起こした奇跡なのだと。彼女が下らないと蔑み、同時に強く求めてやまないもののせいだと。

実は、水銀燈は一瞬だけ正解にたどり着いていたんですよ。

「神業級の職人(マエストロ)でないとできないはずよ……」

真紅の腕をつないだ時、ジュンの並々ならぬ覚悟が必要だったにせよ、バカな事も奇跡も起きていなかったのです。ジュンがただの人間だったら、絆の力だけでローゼンメイデンを直す事なんてできないのですから。蒼星石の鞄をそっと閉じるジュンには、真紅を直せた理由について考える余裕など無かったのですけれど。

【再レビュー021】Rozen Maiden Phase20

ジュン曰く、彼に対しての禁句は"ヒキコモリ"。

確かに苺大福を買いに行ってますし……他に出かけた事ってあったっけ……。ともかく、必要であれば外に出る事だってできるから。でもあれほど翠星石に食って掛かるのは、本人も結構気に病んでるという証拠ですよね。もしかしたら、僕はこのままヒキコモリになってしまうんじゃないだろうかと。

今回、家庭内ファンタジーなんて言われていたローゼンメイデンにしては珍しく、外出シーンが描かれています。翠星石はジュンが体力不足だといってますけど、結菱邸までの道は自転車で登れないほどの坂道。そこを両手にバスケットをぶら下げて歩くのですから、多少息が切れるのも当然でしょう。よくよく見れば、ラクロスで鍛え上げたのりですら、額に汗して歩いているのです。

結菱邸でセイロンティーをいただきつつ……実はこれも夢の中なのですけど……、ジュンは目の前に居る車いすの老人が記憶の中の男だと気付きます。実際はこの老人が見た景色ですから本人なはずありませんが、近しい人が見た記憶が紛れ込むのを体験してますから、勘違いしても仕方ないですね。更に言えば、そっくりな双子の話ですし。

ではどうしてこの老人――結菱一葉――は、「あの女」を殺したいほど憎んでいるのか。

死んだと思っていた女性が生きていると知った時、二葉を失った悲しみを再度味わってしまったんですね。一心同体、自分の半身とまで言っていた双子の弟。彼が自分を置いて出て行った時の悲しみと、二度と会えない場所に行ってしまったと知った時の悲しみを。そして、二葉を失いたくない一心で、自分を殺してしまった時の悲しみを。

物語はさらに深く彼の心へと切り込みます。

二葉は自分の半身で、自分は二葉の半身。それほどまでに一心同体だと言っていたにもかかわらず、一葉は二葉の恋人に横恋慕していたのです。自分じゃない二葉と、二葉じゃない自分が居る。そして出来る事ならば、自分の方を選んで欲しかった。二葉(の立場)になりたくて、同時に二葉とは違う自分を見て欲しかったのです。

でも、彼はそんな気持ちを伝えることが出来ませんでした。そっくり同じ顔を持つ半身が幸せならば良いだなんて、奇麗事で自分をごまかしたこともあったでしょう。自分になり切れない自分が情けなく、そんな情けない自分が憎たらしくてしょうがない。

結局、彼は自分への憎しみを女性に押し付けていただけ。

私は双子じゃないので分かりませんけれど、双子(またはそれ以上)の人ってこういったアイデンティティの悩みを抱えるものなのでしょうか。セットみたいに扱って同じ服を着せたり対になった名前を付けたりするのって、あまりよくない事なのかもしれませんね。本人たちが楽しんでいれば問題ありませんけれど、それは十分に物心がついてからの話になるでしょう。

ローゼンメイデンは、似たような性質の人間の元に届くことが多いみたいです。ヒキコモリにはヒキコモリの呪い人形が届いていますし。巴と雛苺だって、何かに押さえつけられて自分を出し切れない悩みを抱えていますし。

とすれば、自分を殺してしまうような人間の元に残ったドールが何をするのか……ここに気付いていたドールが1体。実は彼女自身も自分と似たような人間の所に居るのですけどね。

【再レビュー020】Rozen Maiden Phase19

桜田家の面々は、何とか日常――動く人形が3体もいる日常――を取り戻そうと頑張っています。と言っても、真紅に気を使わない訳にもいきません。特に翠星石は、入るべき腕の無い袖が気になって仕方がないのです。こんな時に通販だなんて、あのニンゲンはもうちょっとしっかり出来ないものなのか……。

翠星石はやきもきしながら二階に上がったはず。なんなら少しばかり気合を入れてやろうと思っていたのでしょうけど、ジュンはお茶なんて楽しむ気になれなかっただけなのです。

ドールの事情はまだ呑み込めていないけど、人間の方だったら何とかできそうです。ドールを復讐の道具に使おうとしているマスターを説得できれば、真紅の腕をカゴから出せるかも……それが出来なくとも、何かのとっかかりにはなるはずですから。

手掛かりになるのは船の名前と、悪いマスターの弟が駆け落ちしたらしいと言う事だけ。たまたま船に乗っていた日本人はただ1人だったので、弟の名前が結菱一葉である事を突き止めました。結菱家は歩いて行けるような距離にありますので、その気になれば乗り込むことだって可能です。

ジュンって結構察しが良いですから、この後の蒼星石との会話で、復讐の相手が駆け落ちした女性だと気付いていますよね。でももう少し察しが良かったらこの時点で、

「名前に"一"がつく"弟"? 妙だな……」

なんて思ったかもしれませんけれど。

注目すべきシーンは、やはり蒼星石の登場でしょう。目を閉じてうやうやしくお辞儀をしながら現れ、その目を開いて「…やあ ドールズ」ですよ。私は彼女を"宝塚の男役"と表したことがありますけれど、このシーンこそ男役っぽさの最たるものです。この後雛苺の手を取って「あ~いぃ~」なんて歌い出してもおかしくありません。

このシーンでもう1つ凄いのは、のりの内側から夢の扉を開けている事ですね。

実は、のりと蒼星石は全く面識がないのです。最初は自分と強いつながりのある翠星石を足掛かりにして、2人の人間を発見したに違いありません。自分のマスターとは距離が離れているので、扉を開くために強い力を使いたくなかっはず。眠らせやすいのはどっちかと言うと、4人の子供の世話で疲れているのりの方だと判断したのではないでしょうか。のりが自動車を運転したりしてなくて本当に良かったと思いますよ。

もう1つ注目すべきは、自分にに気を遣うジュンに対して真紅が「随分と立派な下僕になったわね」と言うシーンです。

真紅の表情を見ると、もうジュンを下僕扱いしていないのは明白です。こういった掛け合いは、パートナーとして認めていなければできませんから。

それでは、いざ薔薇屋敷へ!!

【再レビュー019】Rozen Maiden Phase18

腕を失った真紅をおいて、翠星石はたった1人でnのフィールドに向かおうとしています。蒼星石と何らかの交渉をしに行くつもりですが、そこにジュンが姿を現しました。

アリスゲームに人間を巻き込みたくないからか、翠星石は一旦断っていますよね。しかしジュンは、アリスゲームではなく真紅のために鏡の中へ飛び込むつもりなのです。「僕が真紅(あいつ)の腕を取り戻すんだ 必ず…!」と言いながら拳なんか握られたら、翠星石も承諾せざるを得ませんよ。それに、マスターが居なければ翠星石も活動できる時間が限られてしまいますからね。目的は違えど行く場所は同じですから、翠星石としても助かった事でしょう。

学ランと19世紀風のドレス。このちぐはぐなコンビがnのフィールドに飛び込むと、早速ウサギがお出迎え。丸いものがぽんぽん飛び出して、その後でボスキャラの登場。まるでダライアスじゃありませんか。因みに「くらげ」という表現は、ずっと後、そしてずっと昔のエピソードにちょっと繋がりますから、覚えておいて損はありません。

ここで気になるのは、ジュンの「うわッ 何だこいつ」ですね。

ジュンにとって思い出のシーンがあまりにも強烈だったせいで、ラプラスの魔について全く覚えていないんですよ。多少(?)の意地悪があったにせよ、ラプラスの魔のおかげで結構なピンチから救われているんですけどね。この後道案内がギリギリ追いつけるスピードだったのは、覚えてもらえなかった事に対するちょっとした抗議かもしれません。そう考えると、少しだけこのウサギが可愛らしく見えてきます。

そもそも今回だって、ジュンをいじめるために来たわけではありません。ラプラスの魔は、親切心の対価としてちょっとしたショーを見たがるという、度し難い悪癖があるだけなのです。本当は優しいんですよ、このウサギ。

ラプラスの魔を追っている最中、ジュンは一瞬誰かに呼ばれた様な気がしています。当然呼んだのは真紅ですね。

真紅が目覚めた――あの目を見るに、泣き疲れて眠ったのでしょう――時、鞄の周りには誰も居ませんよね。一旦ジュンを探してから(ここで一瞬だけ呼んだ)、彼が何処に行ったのかに気付いたのでしょう。13年かそこらしか生きていない人間が、自分のために危険を冒してくれている。とすれば、成功するかどうかにかかわらず、彼が帰って来た時にローゼンメイデン第5ドールがウジウジしていたら格好がつきません。のりにお茶を淹れさせて、雛苺にドレスを持ってこさせて……全く世話が焼ける下僕たちだこと。ゆっくり落ち込む暇もないのだわ……。

記憶の浅瀬には、多分直ぐに思い出せるような記憶ばかりあるはずです。ジュンにとって、これは嫌な事や傷ついた事ばかり。これ……何となく分かります。嫌な記憶を振り払ったり無視したりするのではなく、真っ向から向き合って進まなければならない時があることも。

さて、傷だらけになりながらも、ジュンは真紅の腕を取り戻しました。そして有名なあのシーンへ。

でも今回はその直後の2コマ、ジュンの表情に注目です。

真紅に認められるのは素直にうれしいんですよ。だから、先ずはにっこりと笑っています。しかし、その次のコマで表情が曇っていますよね。

今回成し遂げたのは、"真紅の腕を持ち帰る事"です。でもジュンにとっての"取り戻すんだ"は、そういう意味ではありません。本来の目的は、真紅の腕を元通りにすること。それによって、テレビを見たりせんべいを食べたり、お茶に文句をつけるいつもの真紅に戻って欲しかったのです。真紅を想う強い気持ちがあるからこそ、腕を持ってきただけでは不十分。未だに目的は達成されていないのです。

勿論強い想いとは色恋の話じゃありません。何故痛みに耐えて腕のところまで進んだのかと聞くことが出来れば、ジュンは「あいつが落ち込んでると調子狂うんだよな」とか言うでしょう。でも、そんな"当たり前の存在になる事"にこそ、私は強い絆を感じてしまうのです。

【再レビュー018】Rozen Maiden Phase17

真紅の腕を引きちぎってまで水銀燈が見たかったのは、不格好な真紅です。あまりのショックで何か言い返すことも出来ず、一番気に食わない"その眼"からは反抗する気力すら失われています。これぞ勝利であり、これに勝る喜びはありません。風を巻き起こし、他のドールをいっぺんに相手しつつ、水銀燈は勝利に酔いしれていた事でしょう。

だからこそ、彼女はオマケとつまらない媒介の動きに気付けなかったのです。契約の儀式は執り行われ、翠星石がその力を発揮します。

ここでの契約は、真紅と違って指輪を手渡ししていますね。翠星石はぜんまいを巻いた人間との契約を拒んだせいで、指輪が手元に残っていたのです。同じ理由で指輪を持っているドールがもう一体居ますけど、それはまだまだ先の話です。

それにしても、翠星石のパワーはすさまじい。なぜならば、彼女は真紅と違い、ジュンから吸い取った生命力を自分1人で使えるのです。ジュンはひどく疲れるかもしれませんけれど、ローゼンメイデンが糧とする生命力には気力も含まれていますからね。この状況を何とかしなければいけないというジュンの危機感が更なるパワーとなり、翠星石に流れ込んでいるに違いありません。

ここからバトルが本格化……かと思いきや、夢の世界が崩れ始めています。夢の中で闖入者たちが大騒ぎしてるんですから、目も覚めますよ。そもそも老人は眠りが浅くなるものですし。

夢から覚めるその一瞬、ジュンは夢見主の無意識に落ちています。真紅の腕をつかもうと意識の奥底に手を伸ばした時垣間見えるのは、悪いマスターの記憶。恋人と連れ立って彼の元を去る、弟の姿です。

もしもここで雛苺の助けが無かったら、ジュンは他人の無意識に閉じ込められてしまったのでしょうか。夢の扉が閉じても閉じ込められますし、夢見主が夢から覚めても閉じ込められるんですから、何とも危険な世界ですよね。

夢の世界(nのフィールドでも同じ)から戻っても、その世界で受けたダメージはしっかりと残っています。実際に夢の中に入った場合、"夢で良かった"とはならないのです。

腕を失っても強がってみせる真紅。しかし、横目で見る視線も、普段と違う沈黙も、「大丈夫?」という気づかいの言葉も、裁縫に集中している振りも、全て真紅をみじめな気分にしてしまいます。

完璧を誇った第5ドールが憐れみの眼で見られている……真紅からは、こんな風に見えていたのでしょう。

今の真紅にとって最もウザいのは優しさそのもの。暗い部屋に閉じこもり(暗いのは大の苦手なはずなのに)、ジュンが差し伸べた手を振り払ってしまいました。

ドールと人間の違いについて語るのは2度目ですけど、以前と違ってその言葉には棘が含まれてます。今回の意味は、"私は欠点があっても許される人間とは違う"ですから。

最初に「不格好」と書きましたけど、この時の真紅こそ、真紅にとって最も不格好な姿ですよね。こんな姿を見せられるのは、そしてこんな風に八つ当たりできる相手は、ジュンただ1人だけ。ジュンが近しい間柄だから、こんなことも出来るのでしょう。

真紅と出会う前のジュンだったら、こんな時にはキレて怒鳴っていたかもしれません。みんな(と言いつつ意味するのは"僕")がせっかく気を使ってるのに、お前の態度は何なんだと。でも今は、姉の気持ちを考えたりできるようになりました。だからこそ、鞄に背中を向けつつも、ずっとそばに座っていたのです。

ジュンは少しずつ成長しているのです。今自分が真紅のためにできる事は何なのかと考え、自ら新しい扉を開けるくらいに。
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ローゼンメイデンとヘヴィメタルを愛する男。 ヘヴィメタルは音楽界の賢者の石。全ての音楽にメタルの要素があり、メタルにはあらゆる音楽の要素が含まれる。 とにかく、アイドルを聞いてても民謡を聞いてても俺はメタル「キッズ」。メタルのおかげで永遠の若さまで手に入れたのだ。サンジェルマン伯爵も人形師ローゼンも驚くことだろう。
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