2011年04月13日

 今年の夏は大変、暑くなりそうだ。このままだと25%の節電は困難を極
め、日本の経済活動、震災復興に大きな支障をきたしかねない。夏の午後の
ピーク時にピンチヒッターで電力を供給できて、しかも、夏までに配電開始
が可能な発電設備はないだろうか?

 太陽光発電なら、天気の良い日中に集中して発電できる。太陽光発電の従
来の問題点は1日のうちに発電できるのが日中だけだったこと。曇りが多く
安定供給できないことで、日本では太陽光による大規模発電所が建設されな
かった。

 今は違う。今の日本が必要としているのは、日中だけ電気が緊急で発電で
きる設備である。真夏の暑い日はクーラーなどの電力消費量が高い。その時
こそが、太陽光発電の発電量のピークでもある。ぴったりではないか。

 日本では、これまで太陽光発電は家庭用に設置されてきた。しかしソーラ
ーパネルは高価だし、屋根に設置するコスト自体が高い。一方、日本国内に
ソーラーパネルを設置できる工業用土地はあまりない。

 ところが、農村に行くとソーラーパネルを置ける耕作放棄農地や休耕田が
多くみられる。農村の高齢化で農業ができないくなった農家の広大な土地は
雑草が生い茂るだけで放置されている。

 耕作放棄地は農林水産省が判断した農地として利用不可の土地だけで1000
平方キロメートルもある。さらに、休耕中の畑が膨大にあり、その面積は、
毎年増えている状態だ。

 去年の9月、環境省はクリーンエネルギー政策を検討するために耕作放棄
地などでの太陽光発電の可能性を試算した。この結果が9月22日の日経で
報じられ、耕作放棄地、工業団地、河川、鉄道、海岸などにソーラーパネル
を設置すれば、総発電能力は9400万キロワットに達するとしている。

 これは日本の総発電量の半分に近い。その中で耕作放棄地すべてにパネル
を設置すると6700万キロワット発電できると計算した。原発一基100万キロ
ワット。つまり、原発67基分になる。

日本経済新聞10年9月22日「耕作放棄地などで発電:太陽光で2200万世
帯分可能」


 今回の東日本大地震で壊れてしまった福島第1原発は4基。500万キロワッ
トの出力が損なわれている。

 では、環境省の算出を逆算して福島第1原発を太陽光発電でリプレースす
るために必要な耕作放棄地の面積を算出してみよう。

 耕作放棄地1010平方キロメートル=6700万キロワット
 1万キロワット=0.15平方キロメートル
 500万キロワット=75平方キロメートル=7500ヘクタール
 福島県の耕作放棄地=22395ヘクタール

 つまり、福島県の耕作放棄地の3分の1にソーラーパネルを設置すれば
よい。とはいえ、福島県のみで7500ヘクタールを用意するのは大変だと思
う。東京近郊の県で耕作放棄地を用意できそうな複数県で実施するのが良
いのではないか。

 下記の農林業センサスの2010年の統計を見れば、十分な耕作放棄地はあ
る。

千葉県 17963ha
埼玉県 12395ha
茨城県 21210ha
群馬県 13901ha
福島県 22394ha
宮城県 9720ha
栃木県 8830ha
長野県 17146ha
山梨県 5785ha
農林水産省 2010年世界農林業センサス結果

 では、実際に農村でどうやって太陽光発電事業を進めていけばよいのか。
まさか、農家のおじいちゃん、おばあちゃんにいきなりソーラー発電をお
願いしても現実的ではない。

 上記の耕作放棄地の内、30%は販売農家の土地である。つまり、JA
(農協)の会員の土地なのだ。JAが呼びかければ上記9県で7500haは十
分集まる面積だ。

 問題点としては、農地法第4条では農地の工業目的の転用制限があり、簡
単に耕作放棄地に太陽光発電所を設置できない。そこで、国は農地法第4
条を規制緩和し、耕作放棄地等を活用した太陽光発電施設の設置について
は届出制に緩和すればよい。

 実は、第4条はあいまいで、やってはいけないとは書いていない。だから
農林水産省の省令としてできないことはないと思う。でも、この際、国の
エネルギー政策と農業政策の抜本的改革案として国会で農地法規制緩和の
法案を審議すべきだと思う。

 例えば、栃木県では「とちぎ中山間地域スマートビレッジ特区」として、
農地法を改正して耕作放棄地での太陽光発電を届け出制にするように国に
促している。

 一旦、国か農林水産省が規制緩和をしたら各地域のJAに太陽光発電事業
の推進を促せばよい。とはいえ、JA自体が発電事業を運営するのは無理だ
ろうから、民間企業に業務委託することが良いだろう。

 すでに95年の改正電気事業法で売電事業の新規参入が容易になっている。
既に売電事業を行っている企業、ソーラーパネルのメーカー、住宅用パネル
設置売電会社など既存の企業や新規ベンチャーなどがスムーズにJAに対し
て提案できるように経済産業省と農林水産省はガイドラインを作成して、
JAと売電会社の業務提携の促進に努める。

 JAと売電企業が提携したら、JAはまず、耕作放棄地にパネルの設置を
希望する農家を募る。募った面積をカバーするソーラーパネルは、売電会社
がメーカーから調達する。日本には20社近い太陽電池メーカーが存在する
ので、供給には問題ない。

 パネル調達の資金は、JAバンクや地元金融機関から調達し、その際に電
力大手と国が債務保証する。売電企業は、契約したJAの農家の土地にパネ
ルを設置し、その際に電力会社は送電線への接続に協力する。
 
 2009年11月より太陽光発電の売電に関する新たな買取制度がスタートして
いる。この制度で東京電力は40-42円/kWhで電気を買ってくれる。

 この制度を改正して、太陽光売電会社が工場や大規模ビル、鉄道など大手
電気消費者に直接、夏のピーク時に電気を高値で販売できるようにする。夏
のピーク時に節電が無理で絶対に電気の供給がストップできない企業は、少
々高い電気料金を払うことになるが、計画停電から免れるようになる。売電
会社には営業努力した分、利益があがるようになる。

 売電会社は売り上げの一部をレベニューシェアとしてJAにおさめ、JA
は各農家に売上を分配する。

 このスキームだと多くの人々や企業にメリットがある。

 まず、農家は耕作放棄地を新たな収入源にすることができる。
 JAは新しい電力ビジネスで儲けることができる。
 売電会社は新しい発電ビジネスを新しい市場で展開できる。
 パネス設置作業の為の雇用が生まれる。
 ソーラーパネルメーカーは新しい国内市場を開拓できる。
 大手電力会社は新しい発電所を建設せずに発電能力をアップできる。
 金融機関は安定した融資先ができる。
 国は、税金で巨額な設備投資をせずに電力問題を解決できる。
 日本の産業はピーク時の安定電力供給元を確保できる。
 
 この方法はすぐに実施できる。テクノロジーはそろっている。

 耕作放棄地での太陽光発電で今年の夏の電力問題を解決できるよう、国家
国民レベルで話し合いをし、進めていくことを希望します。

 とむさとう


Tomtomsatotechnology at 20:40│コメント(0)トラックバック(0)考え方 | 太陽光発電

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