2017年03月21日

演じ継ぐということ〜演劇で継いでいく〜

 昨夏広島に行った。原爆記念資料館と全国高等学校演劇研究発表会(高校演劇の全国大会)の公演を観に行くためだ。資料館には、オバマが贈った折り鶴が展示されていた。
 一昨年夏鹿児島に行った。高校の国語の先生方が神奈川の実践者として、私を含めた二人を呼んで下さったのである。私は聞き書きについての発表をした。翌日、私は知覧へ行った。特攻隊が飛びたった基地があった地である。
 今年の神奈川県大会、マグカル・ハイスクール演劇フェスタ、南関東大会と、三回、県立大船高校の「戦記 空より高く」を観た。顧問で作・作曲の野間哲(さとる)先生は今年で定年なので、大船での最後の作品になった。
 「戦記」とあるように、主人公は特攻隊の三人の若者である。同じ特攻機に乗っていて、ある島に不時着したところから舞台は始まった。すると不思議な二人のおばあと少年が現れる。設定がまるで「星の王子さま」である。彼らの問いかけに、それぞれ思う女性がいるのに、若者たちは建前しか主張しない。そして、洞窟から出てきたハブが、過去の日本への旅に三人を連れていく。見た目を気にする〈平安の陰陽師〉、忘れたい〈江戸の呑み助〉、忙しい〈明治の金融家〉、かっこいいと思われたい〈戦前の銀座のバーテン〉、寄せ算のことばかり言う〈国民学校の算術教師〉の登場は、「星の王子さま」の色んな小さな星の住人を思わせる。さらに、一人の奥さんに似ている〈極道の妻〉やもう一人の許嫁に似ている〈狐の神様〉やもう一人が好きな、広島にいる少女に似ている〈原爆投下地点に咲く花〉が現れる。
 やがて、二人のおばあと少年は、宮澤賢治の「星めぐりの歌」を歌い、ハブに自らの足首を噛ませて、倒れる。ここまでは「星の王子さま」によるお話。
 このあと、飛行機を修理した三人の若者は飛び立つ。敵に突入するためではなく、飛びたった基地へ戻るために。そして、七〇年間生きようとする――
 残念ながら全国大会には進めなかったが、作者の思い以上に、若い高校生たちが熱く演じていたことに感銘を受けた。
 彼らは昨夏広島に行って、被爆者に話を聞いたのだという。また、戦争体験者に来校してもらって、体験を聞いたのだという。ちなみにその方は、劇団燐光群の名役者・猪熊恒和さんのお父さまだそうだ。
 高校生たちの迫真の演技の裏には、こうした、戦争体験者に直接話を聞くという体験があったのだろう。身に染みこませて舞台から観客に伝えなければならないものをリアルなイメージで送り届けてくれたと思う。

 近年、高校演劇の関東大会や全国大会を観る機会が増えた。いずれも旅の途中に立ち寄るので、すべての出場校を観ている訳ではない。しかし、一日数校だけでも、その舞台を観ると刺激を受けることが多い。
若い頃は状況によって産み出される現代演劇に比して、高校演劇を低く見ていた。しかし、この時代の中でがんばって舞台を集団創作している顧問や高校生たちが大勢いることがわかってきた。高校演劇はテーマも家族から平和まで多様である。もっと大勢の人に観てほしい。
(詩誌「第二次山脈」17号「山脈雑記」より)

この小文は、大船高校「空より高く」小田原公演のパンフに挟んで頂きました。大船高校の皆さん、ありがとうございます。

tomtom_poem at 00:38|PermalinkComments(0)TrackBack(0)mixiチェック 演劇 | 教育

2017年03月18日

映画「ブルーに生まれついて」〜チェット・ベーカー 痛いほどの音楽と、愛〜

2017.03.18(土)17:40〜19:17 アミューあつぎ映画.comシネマ
脚本・監督・製作:ロバート・バドロー 
出演:チェット・ベーカー/オーサン・ホーク ジェーン&エレイン/カルメン・イジョゴ ディック・ボック/カラム・キース・レニー
2015年 米加英合作 97分
 西海岸出身の白人トランペッター、チェット・ベーカー(1929−1988)は、1950年代ニューヨークで成功を収めたが麻薬に溺れ、刑務所に入っている。1966年の刑務所のシーンから映画は始まった――ジャズの映画で、終演時間が手頃なので観に行った私である。
 最後のタイトルバックの時に感じていたのは、痛いほど悲しい映画だということ。最後の彼の選択によって、チェットは恋人も、名声も、人生も失ってしまう。(この後、彼はヨーロッパに移り住み、アムステルダムのホテルで謎の転落死を遂げると、画面のテロップに出る。)それを恋人も見ているライブハウスでの歌で、「霧から抜け出せなかった」と歌う。なんと悲しい歌なのだろう。不条理な絶望の歌。しかし、チェットを演じるオーサン・ホークの甘い歌声は、観客の心にずしりと響いた。
 映画のHPには、この映画で演奏されたいくつかの曲が観られる。
  「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」
  「レッツ・ゲット・ロスト」
  「虹の彼方に」
  「ブルーに生まれついて(ボーン・トゥ・ビー・ブルー)」
うれしい。

tomtom_poem at 23:49|PermalinkComments(0)TrackBack(0)mixiチェック 映画・演劇 | 音楽

2017年03月11日

上溝南のケヤキ林〜yayoi・3月・・・林床にかすかな春の声が蠢いたろうか〜

2017.03.11(土)東日本震災から6年目の日。きのうは担任から震災に触れよとの指示。私は震災いじめに関連して、毎日新聞(デジタル)に掲載された内山節のインタビュー記事を紹介した。帰宅後、福島・双葉で被災した元教師・二階堂晃子の詩集『悲しみの向こうに―故郷・双葉町を奪われて』を読み直す。来週のHR通信に詩を載せて、話をしようかと思った。
 さて、本日は1日出勤。昼食後、ケヤキ林に変化はないか写真を撮った。
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2017年03月04日

第27回 2017 G展〜旧五領ヶ台高校の職員による美術展覧会〜

2017.02.04(土)平塚市中央公民館
 相模大野での出張が早く終わったので、G展に行こうと思った。以前私の所属していた職場の人たちの展覧会である。
  相模大野−本厚木−伊勢原
 伊勢原駅から久々に大田経由の平塚駅西口行きの神奈中バスに乗った。
 市街を抜ける坂を下って、小田厚(“なべあつ”ではない。小田原厚木道路である。)を渡ると、家族でかつて芝桜を観に来た小さな川があった。向上高校の脇を擦り抜け、左折し右折すると、今は土だけの田園地帯である。信号もない道をバスは疾走する。ずっと以前、スクラップ業者が設置した古本市によく来たものだ。やがて平塚の住宅地へ入っていく。狭い道を右折すると、私どもが暮らしていた中原の近くに出た。公民館も角の理髪店“ELF”も健在のようだった。美術館前で下車(430円)、中央公民館2階ギャラリーに行く。
 “G展”、“G”はかつて存在した五領ヶ台高校の頭文字のアルファベットだ。私が異動して20年、廃校になって何年になるだろう。しかし、当時の職員のアート力の威力はスサマジイ。お一人他界された方がいらっしゃるが、今年も14名の旧職員が参加されていた。
 “マンホール蓋研究家”という肩書きが定着した垣下嘉徳さんは、ハンガリー、スロバキア、チェコ、オーストリアに旅し、彼の地のマンホールを紹介している。四角いマンホールもあり、デザインも欧風だったり、抽象的だったりしていて、興味深かった。
 山口玲子さんはエチオピアの祭りを旅した写真を展示していて、これも興を引かれた。飯塚徹さんの書、小川かおりさんの絵画、福西康全さんのエッチングもよかった。8月に銀座の個展で拝見した沼田俊彦さんの松ぼっくり画も。毎回深遠な抽象画を展示している太田晴弘さんが体調不良で出品していなかったのは残念だった。飾り雛も毎年楽しませてくれる。
 展示を見終わった後、沼田さん・飯塚さんといろんなおはなしができた。これも今日の収穫なのだ。
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 会場を出た歩道に、レリーフ2点。
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 平塚郵便局前の交差点を渡ると、八幡山公園があった。子どもが小さい頃はよくこの公園に来て、シーソーやブランコでいっしょに遊んだものだ。
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 公園の奥に見慣れぬ洋館があった。案内板を見ると、旧横浜ゴムの洋館で、保存建造物に指定されていたのをここに移築したらしい。
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 隣は平塚八幡宮。歩道橋から見た八幡宮の池のきらめきが印象的だった。
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tomtom_poem at 22:45|PermalinkComments(0)TrackBack(0)mixiチェック アート | 旅・観光

2017年02月25日

イプセンを上演する会「管理人」

2017.02.25(土)14:00〜15:47、15:58〜16:43 中板橋新生館スタジオ
作:ハロルド・ピンター 訳:喜志 哲雄(新潮社版 ハロルド・ピンター全集気茲蝓
演出:花島 宣人  制作:西田 正、福岡克彦
【出演】
ミック(弟)/出和 正勝
アストン(兄)/寒川 瑞貴
デイヴィス(浮浪爺)/山 永之

 ハロルド・ピンターの芝居を観るのは初めて。名前はよく聞くが、戯曲も読んだことがなかった。「20世紀後半を代表する不条理演劇の大家」(ウィキペディア)という。
 調べてみると、ピンター(Harold Pinter, 1930- 2008)は不条理演劇の祖サミュエル・ベケット(Samuel Beckett, 1906 - 1989)より24歳年下だが、初めて評価された舞台『管理人』は1960年に上演され、それはベケットの不条理劇の古典『ゴドーを待ちながら』が発表された1952年のわずか8年後である。

 舞台は2時間30分と長かったが、その割には短かった。ひとつは集中できたのと、もう一つはその間、謎はほぐれてきたが、登場人物の置かれた状況が明らかになったぐらいで、話の進展がほとんどなかったと言っていいからだろう。まさに不条理な状況が観客に焙りだされてきた体(てい)だった。
 以下、断片的に認めた感想メモを記していく。
 
 かみあわない。自分の言いたいことを言いっぱなし。会話が成り立っていない。
 同じコトバを繰り返す。→コトバは発射されるだけで、それによって良い方向に向かって変わるということがない。現実の切実さが明らかにされるだけである。
 兄と弟と他者の関係。他者が振り回されている。 
 他者としての浮浪老人は、兄に連れてこられて翻弄される。
 兄の外見は、常にネクタイと背広で、中は青いセーター。硬直したロボットのような歩き方をしていて、部屋では会話中も常にプラグの修理をしている。部屋に住み、老人を連れてきて、暮らさせる。弟とコミュニケーションができない。性質は一見穏やか。
 弟は部屋の建物の所有者で、時々部屋にやってくる。革ジャンを着ていて、兄とコミュニケーションができない。怒りっぽい。
 このような説明ができると思われるが、真に彼らが置かれた状況は不明だ。
 浮浪老人の置かれた状況は明らかに貧しく厳しい。しかし、兄弟に比べると人間的には普通に思えた。外見は醜く、精神ももろい。
 3人の関係の構造、個々の状況の構造が焙りだされてきた2時間30分だった。

 まったくつまらなくなかった。いや、むしろ刺激的でおもしろかった。しかし、集中するのに忍耐が要った。前半最後の、兄が精神病院に入っていた(多分)ことを語るモノローグのシーンでは、集中と散漫との闘いが私の中であった。

 役者たちは、大量のセリフを緩急つけながら奮闘していた。特にデイヴィスの山永之は、感情も表情も肉体全体から迸らせた熱演だった。特徴的な歩き方やしゃべり方をしたアストンの寒川瑞貴も印象に残った。ミックの出和正勝はどうしたのだろう。噛むことも多かったし、滑舌が聞き取れないところが多かった。山も途中空咳が出ていた。寒川は安定していた。

 この劇団は、イプセンを専ら上演するという。イプセンの個人的体験は、中学校の春休みに「人形の家」を読んで感銘を受けたことがあり、学生のときは講談社の世界文学全集『イプセン/ストリンドペリ』を読んだくらいで、舞台は観たことがない。ぜひ観たいものだと思った。

 FBでふくおかかつひこさんがアップしていて、それを「興味あり」にしたからだろうか、福岡さんが招待してくださった。福岡さんはツイッターで“ふくぅ”と名乗っている。そういえば、どことなく“ふくろう”みたいだなぁと思ったりした。ふくぅさん、ありがとうございました。




 



tomtom_poem at 22:40|PermalinkComments(0)TrackBack(0)mixiチェック 演劇 

2017年02月20日

上溝南のケヤキ林〜如月・2月・・・刈られた林床にかすかな芽吹きが〜

2017.02.17(金)早朝7時20分頃。春一番が吹いて気温が上昇した冬の朝。
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 水仙の群れから林を臨む。
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2017年02月19日

「ポエトリー・スラム・ジャパン」全国大会2017

2017.02.19(日) 14:00開場14:40開演 18:20終演  場所:新宿 芸能花伝舎 料金:前売 2000円(No Drink)
MC:猫道(猫道一家)
01 代表村田活彦挨拶 とっても心に響くパフォーマンス挨拶でした。
02 試技 前年度優勝者大島健夫  陸のカニ缶倉庫で働かざるをえない蟹たちの悲惨な姿を描いた詩。いつもながら大島さんの、物語性と風刺性が見事に融合した詩のパフォーマンスでした。これが審査員の規準になりました。

1 準決勝〜ひとり2回のパフォーマンスを実施。A,Bそれぞれ得点の高い上位2名が勝ち抜け
〈Aグループ〉
もり(東京大会B2位)
中内こもる(名古屋大会1位)・・・2位通過
川島むー(大阪大会1位)
川原寝太郎(大阪大会2位)
馬野ミキ(東京大会B1位)・・・1位通過

―最初の二人を観て、審査員は嫌だ!と隣の妻と話しました。5人それぞれ、素晴らしい世界を持っており、甲乙なんて付けられないと思って、純粋の観客として楽しみました。中内さんの笑いを伴う作品、馬野さんの現代社会風刺する作品がやはり良かったと思います。川原さんのパフォーマンスも面白かったのですが、長編を2回に分けた作戦が響いたのかもしれませんね。 

〈Bグループ〉
ジョーダン・スミス (東京大会B会場賞)・・・2位通過
八和詩めぐむ(大阪大会会場賞)
三原千尋(名古屋大会会場賞)
石渡紀美(東京大会A1位)
岩村空太郎(名古屋大会2位)・・・1位通過

―ジョーダン・スミスさんの韻や同音異義の日本語を巧みに並べた技が凄かったです。先日第2言語の日本語で書いた詩集『わたしの日付変更線』で読売文学賞を受賞した、アメリカ人のジェフリー・アングルさんを思い浮かべました。これからはこういう言語文化の交流が発展するといいですね。八和詩さんが2番目に読んだ詩で、二つの影が重なって一つの濃い影が出来るというフレーズがありましたが、実際に、ステージの後ろのカーテンに彼女の影が二つ重なっていて、その重なりが詩のように濃くなっていました。ここまで計算に入れたパフォーマンスなら凄いなぁと思いながら見て聴いていました。石渡さんの詩は2編とも伝わってきましたが、惜しくも0.1ポイント差で、決勝で観られなかったのは残念でした。

2 決勝〜ひとり3回のパフォーマンスを実施。最も得点の高い優勝者1名がパリのW杯へ出場
岩村空太郎    74.6(3回の得点合計。以下同じ。)  
中内こもる     76.3 ・・・優勝!   
ジョーダン・スミス 76.2
馬野ミキ       75.4

―岩村さんは3編とも笑わせてくれました。とくに3編目は、詩人なら身に覚えがあるような、世間から冷たくあしらわれるような詩人の話で面白かったです。最後に「すいませんでした」と謝ってステージを去ったのは好感が持てました。最終の中内さんがパファーマンする前までは、スミスさんが他を引き離していました。しかし、野球と同様、ドラマは最終回にやってきました! 中内さんが27ポイント以上を取って、大逆転をして優勝を果たしたのでした。会場一同、彼への大拍手が沸きました。


 会場で、村田さんや大島さんに挨拶できなかったのは残念でした。お二人とも、熱くかけずりまわられていました。前木久里子さんと梓ゆいさんとお話しできたのはよかったです。来年はみんなで出たいねというお話もしました。妻も乗り気になったので、うちはふたりで出ようかな、なんちゃって。

tomtom_poem at 21:10|PermalinkComments(0)TrackBack(0)mixiチェック 詩歌 

2017年02月18日

映画「この世界の片隅に」

2017.2.17(金)映画.comシネマ アミューあつぎ 19:35〜21:47
原作/こうの史代 企画/丸山正雄 監督・脚本/片渕須直 音楽/コトリンゴ
声/のん、細谷佳正、稲葉菜月、尾身美詞、新谷真弓、澁谷天外

 クラウドファンディングで制作資金を集めたアニメ映画。

 こうの史代さんは、2007年7月に公開された映画『夕凪の街 桜の国』(田中麗奈主演)の原作を描いている。これは、広島で被爆した人の現在を描いたものであった。
 このアニメは、原爆を落とされた広島市の対岸にある軍港の町・呉での人々の日常が破壊されていく様が描かれている。慕ってくれた幼い姪っ子と右手を失うことになる主人公・すずの苦しみは、「火垂るの墓」の主人公の少年に匹敵すると思った。映画「火垂るの墓」は、二十数年前にK高の現代文の授業で見せた。そのとき、泣く女生徒がいた。この映画も、多分そういう生徒が出るのではないか。

 日常を精一杯生きている人たちが戦争によって悲しい目に遭う。重い傷は残るけれど、人は日常の喜怒哀楽を生きていく。

 不器用で少し抜けている主人公のすずに、のんさんの少し甘くて脱力したような声がとてもマッチしていた。熱演だ。

 悲しみの余韻がずっと残っている。

tomtom_poem at 01:27|PermalinkComments(0)TrackBack(0)mixiチェック 映画・演劇 

2017年02月12日

ドキュメンタリー映画「無音の叫び声」

2017.02.12(日)10:30〜12:40 関内・横浜シネマリン
監督・構成・編集:原村政樹
朗読:田中泯、木村迪夫、栗田政弘
語り:室井滋
2015年/日本/122分/カラー

 山形で農民をしながら地域の活動をしつつ反骨精神で詩を書いてきた木村迪夫(79)の人生を追ったドキュメンタリーです。山形・上山(かみのやま)牧野(まぎの)の自然と人々と農と、彼自身の戦後史であり、未来への思いがこもった映画でした。
 ここで紹介された、木村の詩も牧野の歴史も引き込まれるものであった。
 特に、叔父が戦病死したという南太平洋のウェーキ島(現在は米軍の基地の島)に遺骨収集作業に行き、拾った700体余の遺骨を燃やしたことから、戦場で餓死した人たちの「無音の叫び声」を聞いたというシーン。
 村にある久昌寺には、「ムカサリ絵馬」が多く納められ飾られていた。これは、若くして死んだ若者を供養するために、生前に出来なかった結婚式の様子を描いて納めるもの。それは民俗学的に山形県村山地域にしかないそうなのだが、その絵馬の多くは、太平洋戦争で戦死した人のものだというシーン。

 同時に、知らなかったいろんな繋がりが見えてきた点も、興味深かった。
 一つは、三里塚闘争を記録していた小川プロを村に呼び、その結果、牧野を舞台にした「ニッポン国古屋敷村」(82)が完成したことです。この映画は制作当時かなり話題になりました。「無音の叫び声」では、当時の映像も映しだされました。小川紳介監督の「三里塚では出来なかった、農民視線の映像を撮りたくて、山形に行った」と言うコメントが印象に残りました。
 一つは、その時つくられた「1000年刻みの日時計―牧野村物語」(86)が、舞踏家・土方巽の最後の出演映画だということ。その土方の弟子の一人が、今回朗読をした舞踏家・田中泯であり、田中がパンフレットのインタビューで、「少なくとも自分の身体は、自分の言葉を裏切らないような生き方をしていかなくちゃと思います。」と語っていること。
 木村が「藤三郎さんもそういっちょった」と言った言葉から、私は「もしかしたら『山びこ学校』の佐藤藤三郎かな」と思っていたら、この映画の制作委員会の副会長に同じ名前があった。さらに、パンフレットの「木村迪夫とその時代」を見ると、「1953年 校内(注:県立上山農業高等学校定時制)生活記録詩誌『雑木林』を級友の佐藤藤三郎、菅野健吉たちと創刊。」とあった。つまり、山元中学で無着成恭「山びこ学校」の優等生であった佐藤と木村は高校時代に同人誌を一緒にやっていたということだ。

 上山は生活綴り方を高校で実践された安孫子哲郎氏の地元でもあるし、齋藤茂吉記念館もあるし、一度上山を訪れてみたいと思った。

 上山ではないが、ジブリの「思い出ぽろぽろ」の舞台も山形の高畠であった。
 



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2017年02月05日

小池博史ブリッジプロジェクト『世界会議』

2017.02.05(日)13:30〜14:50 吉祥寺シアター 前売一般: 4,900円(徳久ウィリアム扱い)

「―さらばあの世か この世かあの世―小池博史ブリッジプロジェクトによる初の完全オリジナル作品であり、 世界シリーズ第1弾がついに始動。 多彩なアーティストが境界を越えて集い、 「平和とはなにか」を問います。」吉祥寺シアターの「世界会議」紹介コピーです。
主宰の小池博史はスペシャルコメントを「古の東西の偉人、奇人、狂人の亡霊たちが自然界の王「熊」に呼び出され、混沌とした現代をどうするか、と会議の場に着くところから始まる『世界会議』。最初から奇天烈ニヤニヤ。意味世界をぶっ飛ばし、『今』を探りだす世界シリーズの第一弾!音楽好きにも!」と寄せている。

[演出・脚本・振付・構成]小池博史
[出演・振付]毛沢東/清水寛二(能楽師・銕仙会)、マハトマ・ガンジー/松島 誠、マザー・テレサ/白井さち子、ジャンヌ・ダルク/ 荒木亜矢子、南方熊楠/谷口 界、空海/立本夏山、アドルフ・ヒトラー/吉澤慎吾
[演奏]下町兄弟(ジャンベ・パーカッション)、太田 豊(横笛・サックス)、 徳久ウィリアム(ボイス・口琴)
[舞台美術]栗林 隆 [作曲]太田 豊、下町兄弟、徳久ウィリアム [衣装]浜井弘治 [映像]飯名尚人 [照明]上川真由美

 黒尽くめの舞台には、枯れて頭を垂れた巨大なひまわりが4輪、ぶら下がっている。ときどき、誰かの喘ぐような声が聞こえる。客が入りきって、恐らく予定より5分遅い時間に、上手壁際の徳久ウイリアムの口琴で亡霊たちは「世界会議」のために呼び出されてくる――。 
 7人の演者が見せる肉体の競演ののち、舞台中央奥で陰をつくっていた球体(地球?)に映しだされる、飯名尚人の映像が圧巻で、ぐるぐると吸いつけられていった。と同時に、亡霊どもが姿を現し始める。
 7人の群舞は、エネルギッシュでスピード感やキレがあるのだが、顔を手で半分覆ったり、足の上げ下ろしがぎこちなかったり、何かに日常や自由を押さえつけられているような、奇妙だが観ていて飽きないものだった。物語の末尾で、彼らは同様の群舞を行う。そういう様式美もあった。
 巨大な熊=自然界の王が映像で登場し、清水と谷口が熊の巨大な頭(かしら)をかぶって、あの世にいた人びとに説明する。彼らは、彼らのアイデンティティーとも言えるセリフを断片的に吐いていく。
 場面は具体の対になる人物の対決を描く。まず、ヒットラーと毛沢東。ふたりの虐殺者の悪行が挙げられ、虐殺のダンスを総出でする。口琴とパーカスで激する徳久と下町以外の・・・つまり、雅楽の太田が一緒になって虐殺のダンスの振りをし始めたのに度肝を抜かれてしまった!
 場面毎に、7人の亡者は白いマスクをかぶった。それはいかにも気色が悪かった。しかし、プログラムを見ると、彼らは全員が市民の役でもあった。それならば、マスクをかぶって、招待を曖昧にされた7人は、市民だったのだろうか。それにしても、彼らは醜かった・・・市民・大衆は醜いものなのか!?
 次は、ジャンヌダルクとマザーテレサ。女の闘いである。これも激しかった。
 さて、残るは南方熊楠と空海とガンジー。空海とガンジーの民衆への平和的な浸透は、闘い続きで疲弊しきった現代未来への希望を産むかと思われたが、南方が性器がいちばん、男と女を強調したところで、終末の大団円に向かっていった。
 最後は7人があの世に帰っていった。最後の1人か、演出上1人にしたのかわからぬが、最後の1人(男)は暗い光のなかで唯一素っ裸になって退場した。

 小池が震災前まで主宰していた“パパ・タラフマラ”は、知っていたが観る機会がなかった。なぜ、この舞台を観る気になったのか。
 線を辿っていけば長い。数年前に参加するようになった水城ゆうのイベントで同席したことのある、徳久ウイリアムのメールマガジンで、このイベントを知った。それで調べてみると、かなり面白そうだった。まず、まだライブで観たことのない徳久のヴォイスを聴けるということ。流暢な口琴ばかりでなく、低音のヴォイス、高音のヴォイス、呟き、ラップ、どれをとっても引きつけられっぱなしであった。
 もうひとかた、清水寛二という能役者。この人の舞台は昨年9月に初めて観た。能舞台でではない。茅ヶ崎で開かれた、高橋アキのエリック・サティの音楽劇でである。西洋の異端的なサティの音楽に、清水の能の動きと発声が見事に馴染んでいた。今回も、わずかしかしない能の発声の場面が異様にどしんと輝いていた。60歳も半ばの清水が、若い人たちとまったく同じに動いて大丈夫なのかと思って観たりもしていたが、ときどき熊になったりして、お身体を少し休ませながら動かれていた。しかし、そのお歳でもかなり激しいパフォーマンスを魅せてくださった。
 
 客に女の子供が何人かいて、不思議に思っていた。終演後、後方から「先生云々」という声が聞こえた。出演者がダンスの教室を開いたりしているのかなと感じた。それ以外でも、若い客が多かった。
 


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2017年01月27日

ジェフリー・アングルス詩集『わたしの日付変更線』

2016.11.30思潮社発行 2017.1.23読了
 ジェフリー・アングルスさんは、新井高子さんが送ってくださる「ミて」で毎号その詩を読んで、親しみを持っていた。しかし、そこからの情報しか知らなかった。それが、先月、突然思潮社からこの詩集が送られて来た時はたいへん驚いた。その直後にツイッターでフォローされて重ねて飛び跳ねた。すかさず、ダイレクト・メッセージを送ってお礼を書くと、「樋口(良澄)さんと新井高子さんのお友達でしょ?彼らのお友達は私の友達でもあります。」という返事を頂いて、これまたとっても恐縮したのであった。新井高子さんとは、数年前に東京ポエケットで隣のブースに詩誌を出展していて少しお話をし、その後何度か新井さんのイベントに参加した時に挨拶を交わしている程度なのである。私が勝手に新井さんのファンになって、いわば追っかけみたいな風をしているのだ。
 さて、この詩集は、日本語が母語の人の詩を読んでいるみたいに、すっと体内に入ってきた。まったくアレルギーなんて起きなかった。いやむしろ親しみさえ持てた。何より書かれているテーマや構成がわかりやすかった。
 共鳴し感心する表現も多々あった。

西へ
 「無縁という場」という詩がある。これは中世のアジールである。私は学生時代に網野善彦の『無縁・公界・楽』を国文の檜谷昭彦先生の授業で紹介してもらって読んでから、私は網野史学のファンになった。それをテーマとした詩として興味を持った。

東へ
 「文法のいない朝」「字間の静寂」「センテンスの朝」―なんて素敵な言語間の往復なのだろう。この往復は言葉の幸福?!

過去へ
 「この国しか知らない祖母の話を/繰り返し ベランダで聞く/  一目、二目、針を引き/ 黒い紐を白い紐にかける/  一目、二目、針を引き/ 地平線を水平線にかける/  一目、二目、針を引き/ 赤い紐を青い紐にかける/  一目、二目、針を引き/ 血統(ちすじ)を血統(ちすじ)にかける/そして より合わせたら/演奏し終わった針を/話とともに止め/紐をしっかり/口で締める」(「わたしのアメリカ史」末尾)―言葉の進展ぶり、説経節を思わせる(もしかして伊藤比呂美の影響?!)リフレインがいい。

現在へ
 「もう遅すぎるか/歴史の潮が満ちてくると/強まる風に再び吹かれ/同じ失敗を繰り返すのか/空気が廻り始めれば/選ぶ瞬間は いま」(「風の解説」最終連)

未来へ
 「夜が近づいて/日が沈んだら/鳴き声は血まみれに/空を引き裂いた」「禁じられた方向に/置き去りにした巣で/交わした愛の/淡い記憶」(「北米の飛路(フライウェー)」)
 「睡眠が幕を上げる」「記憶の埃だらけの洞窟」「込みあった寝室」「影法師/になった死者」「うろ覚えの生者の/言葉で呟きあう」「夜の対岸で目が覚める」「木は黄色の絶頂に生えている」「気ままな思いを死語で/喋っている」(「夢魘」)―何という、言葉のロマンティックなドラマ化!!
 「家を囲む森が/その日から暗くなった」「熊と子供/どちらも侵入者」「自分を自分自身から/引き離すことを教えるため/熊は顕れたかもしれない」(「境界」)―アイヌや宮澤賢治の世界観を連想させた。

 ジェフリー・アングルスさん、そして新井高子さん、良い詩集をありがとうございます。





tomtom_poem at 00:33|PermalinkComments(0)TrackBack(0)mixiチェック 詩歌 

2017年01月22日

高橋美香著・写真『それでもパレスチナに木を植える』

2016.11.30初版第一刷 未來社発行。2016.12.24読了。2016.12.23出版記念イベント(M.A.P)参加。
以下、線を引いた所を記します。
―「占領に甘んじて生きながらえるより、抵抗の末の死を選ぶ」と語る息子と「どんなにみっともなくてもいいからい生き抜いてほしい」と語る母親。  「プロローグ」P8
―家が決めた結婚にママの意思はあまり問われなかった。よほどの理由がないかぎり、結婚の申し込みを断ることは「エイブ(恥)」だとされた。それが当時の結婚というものだった。「ハムディとアブーラハマ家」P16
―今回のハイサムのスイス行きに際して、ハウラも招待を受けたが断った。「世界を広く旅して、深く広くいろいろなことを知るのは男の世界、男の領域。私はここで静かに子どもたちと過ごせればそれで満足。広い世界を知りたいとも思わない。・・・」P34
―ハイサムが懐中電灯を片手に家まで送ってくれる。それまで何度も街灯なき夜道をこうやってふたりで歩いた。満天の星空が広がっていた。 「別れ」P72
―ユダヤ教の預言者アブラハムもイスラーム教の預言者イブラヒムも同一人物で、同じ場所を聖地としている。 「視察同行」P78
―彼の父親ムハンマド・バクリー(イスラエルのアラブ系俳優としてのパイオニア)が、二〇〇二年のジェニン難民キャンプの虐殺の直後にキャンプに入り、生き残った人びとから集めた証言を撮ったドキュメンタリー『Jenin Jenin』を発表したときと同様のバッシングが彼を襲った。 「それぞれの抵抗と闘い」P185
―耕す土地もなく、貧困がのしかかり、父親は「占領」によってあのような姿に変えられ、若くして亡くなり、兄弟のように育ってきた幼なじみはつぎつぎと殺されていく。抵抗することを選び、銃を手に取った者だけではない。運悪く「その場」に居合わせてしまっただけの、多くの罪もない者たちも容赦なく殺されていく。彼らは二〇年ほどの人生のなかでどれだけ多くの死と向き合わされてきたのだろう。どれだけ大切なひとを失ってきたのだろう。 「ハムザの死と深い絶望と」(「ジェニン それでも、木を植える」)P198
―銃声を聞きながらマハは「イスラエル軍は言うまでもなく、パレスチナの組織の多くが民衆のことなど考えず、みずからの組織の保身や金もうけのためだけに末端の若者たちの命を使い捨て『消費』し続けるクソだ」と非難する。それを聞いていたカマールは、「イスラエルの占領に本気で抵抗するハマースのような組織だけが希望。このままなんの意味もなく占領されて人生を終えていくより闘って終える人生を選びたい」と言う。 「同上」P200
―このパレスチナで生きるうえで、希望とはなにかということを考え続けた。厳しい現実のなかでもビリンの家族が希望を失わずにいられることと、ジェニンの家族が絶望とわずかな希望のあいだで揺れ動いていることのもっとも大きな違いは、その土地に根ざして生きていられるか否か、みずからの権利を実感として感じられるか否かということではないかと感じた。土地や木は、それらの象徴のように思えた。 「ハムザの死と深い絶望と」(「ジェニン それでも、木を植える」)P202
―この気の遣い合いこそがパレスチナだとしみじみと思う。何度こういう場面を目にしてきただろう。相手によっては建前にすぎないけれど、相手によっては本音で、無償の善意を与え合う。それがパレスチナの人びとに備わった気遣い。おじさんにお礼を言い、難民キャンプへと帰った。 「スウィーツ屋台のおじさん」(「同上」)P205
―先日、二〇一三年にアラブ版スター誕生番組『アラブアイドル』で優勝したガザ出身の歌手ムハンマド・アッサーフの半生を『パラダイス・ナウ』『オマールの壁』監督ハニー・アブーアサド映画化した『歌声にのった少年』の日本での公開が始まった。この映画は破壊されたガザでもロケがおこなわれ「何千人というひとがここで亡くなり死の匂いが立ち込める場所にカメラを担いで立っていることに罪悪感を感じた」「他人のとてもつらい物語を、自分のストーリーテリングに利用していることに伴う恥の感覚」と監督は語った(シネマトゥディ、九月二一日より)。 「エピローグ」P225・226
―「一匹狼」の事件も、度重なるガザ地区への空爆、軍事侵攻も、「パレスチナ人がナイフで襲ってきた」「パレスチナ武装組織がロケットを撃ってきた」というところから必ずニュースが始まる。それまでの日々にパレスチナの人びとが日常的に苦しめられている常態化した占領も封鎖も抑圧も人権侵害も語られず、まるで突然発生した事柄のように語られる。このことが、ことの本質を見えにくくさせている。だからこそ、私はパレスチナの日常を追うことにこだわり続ける。(中略)「和平」が実現することだけを信じて、自分が受け継いだバトンを次の世代に繋いでいきたい。 「同上」P227・228

 何より、パレスチナの普通のひととの交流や現実生活を追い続ける高橋さんに敬意の念を持っています。


tomtom_poem at 21:21|PermalinkComments(0)TrackBack(0)mixiチェック 文学・評論 

2017年01月09日

映画「シン・ゴジラ〜現実(ニッポン)対 虚構(ゴジラ)〜」

2017.01.08(日) 14:50〜16:55 アミューあつぎ映画.comシネマ
スタッフ
総監督・脚本:庵野秀明、 監督・特技監督:樋口真嗣、 准監督:尾上克郎

キャスト
矢口蘭堂(内閣官房副長官・政務担当)/長谷川博己
赤坂秀樹(内閣総理大臣補佐官・国家安全保障担当)/竹野内豊
カヨコ・アン・パタースン(米国大統領特使)/石原さとみ
志村祐介(内閣官房副長官秘書官[防衛省])/高良健吾
大河内清次(内閣総理大臣)/大杉漣
東竜太(内閣官房長官)/柄本明
花森麗子(防衛大臣)/余貴美子
尾頭ヒロミ(環境省自然環境局野生生物課長補佐)/市川実日子

作品データ
119分 製作年:2016年  配給会社:東宝
公式サイト http://shin-godzilla.jp

 感想をひとまとめで言うと、凄い映画だということ。

 総監督の庵野秀明は映画のHPで「ゴジラが存在する空想科学の世界は、夢や願望だけでなく現実のカリカチュア、風刺や鏡像でもあります。現在の日本でそれを描くという無謀な試みでもあります」とコメントを書いている。
 確かに現実のカリカチュアが随所にあった、というよりも、それが主要なテーマの一つだと思った。
 ゴジラそのものが、人類が廃棄した核物質(核のゴミ)を食べて進化・変容した巨大生物であるということそのものが、原爆や原発開発への批判である。その核の恐怖が、CG特撮によってぐいぐい迫ってきた。
 6年前の巨大津波や福島第一原発事故があったからこそ感じ取ることの出来る、災害シーンが現実感のある恐怖でもって再現されていた。
 巨大化されて現れたゴジラの上陸が鎌倉だったので、近くで見慣れた場所が破壊されていき、リアルにじんときた。
 ゴジラと壊される都市のCG効果が抜群だったのに対し、人間が演じるドラマは、進行がステロタイプで、頷けない所も多々あった。
 政府内の対策のあたふたさは、6年前のことを思い出させ、女性の防衛大臣は、現職の方を連想させたりした。それは、現代日本の政治に対する風刺とも取れるが、なにやら徹底しない不完全燃焼感があった。たとえば、大杉漣演じる総理大臣は、現職の方に比するとかなり頼りなく小心に描かれている。
 役者では、長谷川博己と石原さとみ、それに、急遽総理になった平泉成がよかった。
 先日観た「海賊と呼ばれた男」に出演していた役者がたくさん出ていた。
 




tomtom_poem at 19:04|PermalinkComments(0)TrackBack(0)mixiチェック 映画・演劇 

2017年01月07日

映画「海賊と呼ばれた男」

2016.01.04(水)イオンシネマ茅ヶ崎 13:50〜16:30
監督・脚本・VFX:山崎貴 原作:百田尚樹
CAST:岡田准一/国岡鐡造(出光佐三のモデル)、光石研/国岡万亀男(兄)、綾瀬はるか/ユキ(最初の妻)、 近藤正臣/木田章太郎(援助者)、 小林薫/甲賀治作(国岡商店重役)、吉岡秀隆/東雲忠司(社員)、染谷将太/長谷部喜雄(南方で死んだ社員)、鈴木亮平/武知甲太郎(GHQの通訳、のち社員)、野間口徹/柏井耕一(社員)、ピエール瀧/藤本壮平(社員)、堤真一/盛田辰郎(日彰丸の船長)、國村隼/鳥川卓巳(通商大臣)、 黒木華/小川初美(ユキの孫)
須田邦裕 、飯田基祐、小林隆、矢島健一、浅野和之
製作年:2016年、配給:東宝、上映時間:145分

 石油の民族資本・出光興産の創業者である出光佐三の人生のトピックをドラマ化した映画。
 出光美術館や題名のない音楽会の提供社である出光は、文化への貢献度が高い。そういう興味から、妻も私も映画館に足を運んだのである。
 映画は、石油販売の小さな会社を大きくしそれは、敗戦後の困難期にも活路を見いだして、やがて外国の資本を受け入れずに会社を大きくしたいくつかのトピックを、VFXの技術を駆使して、詳細に描いていく。 
 観客を飽きさせないエンターテインメント映画だった。
 ただ、妻などの家族を顧みずに会社のためにハードに働いていく(それは社員も同様)姿からは、温かい人間味は殆ど感じられない(社員に対する気遣いはあったが)。95歳で死ぬ間際になってやっと、訪ねてきた最初の妻の孫から、遺品のスクラップや写真を見せられて、涙ぐむ。その妻は綾瀬はるか、孫は黒木華が演じていて、女優としてのいい味を出していたが、この二人をもっと目立たせてほしかった。

 死ぬ直前のシーンで、医者と話した親族の男の役で、地区の審査員や講師としてお世話になった曳地伸之先生が出演されていた。


tomtom_poem at 02:04|PermalinkComments(0)TrackBack(0)mixiチェック 映画・演劇 

2017年01月02日

映画「菊次郎の夏」「蒲田行進曲」

  2016年末は北野武監督・主演の「菊次郎の夏」(1999年)を図書館のビデオで観た。
その前週辺りにNHKで放送した、北野武の両親のドキュメンタリーで、北野の父・菊次郎に興味を持って、妻が借りてきたものだ。音楽は久石譲。
  2017年始(元旦)はつかこうへい原作・深作欣二監督の「蒲田行進曲」(1982年)をTVKで観た。
公開当時、舞台を観ていた私は、小夏役はなぜ舞台と同じ、根岸季衣でないのかが不満だったが、きょうは松坂慶子が美しく見えた。中村雅俊の歌(桑田佳祐「恋人も濡れる街角」)も、つか事務所の役者たちも懐かしかった。

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2016年12月30日

第52回関東高等学校演劇研究大会《東京会場》

2016.12.30(木) 池袋・東京芸術劇場プレイハウス
2日目を観に行く。
1 静岡理工科大学星陵「あたらしい憲法のはなし」(柴幸男作)
 硬そうな憲法の話を、洪水で残った小さな無人島に集まった人たちで国をつくっていくという、冒険ファンタジーの要素も盛り込まれた舞台。テンポがよく、おもしろかった。ただ、最後の終わり方(こういうテーマではどうしても落としどころが問われるのだが)が少々物足りなかった。
 上位の大会に行くと、舞台のおもしろさだけでなく、照明や装置や音響などの工夫が各学校にあり、とても新鮮で勉強になることが多い。この舞台では、中央に置いた平台で小さな島を表していたり、周りにばらまかれているおはじきで海の水を表していたりした。

2 千葉県立松戸「見よ、飛行機の高く飛べるを」(永井愛作)
 女性の権利主張の第一人者で「青踏」を出す市川房枝の高校時代が題材の永井愛の作。1時間に短縮したというので無理があったのだろう。発声・滑舌とか装置とか、かなり鍛えられた舞台だったが、硬いテーマが硬く上演されたように思えた。
 この舞台では、舞台転換時に青い照明を使っていた。こういう暗転の示し方もあるんだと思った。

3 山梨県立上野原「575」(加藤さやか・はやおとうじ作)
 100年前に創設された上野原高校文芸部のOBたちが50年後の1966年の文芸部員たちへ課題を残し、さらに50年後の今年、3人しかいない部員たちが50年前の先輩たちの課題に答える。そうして、時代を超えて、青春を実感していく。ラストシーンではなぜか涙腺も刺激された舞台だった。
 ただ、50年前と現在が転換する度に普通の暗転が繰り返されるのはどうかとも思った。
 装置では、50年前と現在でベランダに出るシーンで、柵がバトンに吊り上げられていて、それが下りてくる演出に感心した。

4 静岡県立三島北「ラフ・ライフ」(新堀浩司作)
 5人の息がぴったりと生き生きとはまって、ぐいぐいと引きつけられた舞台だった。前半では、5人それぞれのキャラクターで笑わせ、後半では、主人公の女の子の家庭の問題(親の離婚――このテーマは、最近観た高校演劇で何回も繰り返されている)が前面に出てきて、ほろ苦く終わる。この舞台でもジーンと来た。

5 早稲田大学高等学院「死神」(演劇部作)
 高校受験で、私が最も入りたかったのに、唯一入れてくれなかった学校の舞台。いまでもやはり男子校のようだ。出演は男子5人。
 装置は抽象的な白い箱がいくつかのみ。登場人物も白い布を纏った3人の神と黒い、なぜか和服の死神が一兆人目に誕生した人間の男を使ってとほうもないことを企み実践する。或る意味、ホラーSF?! 人間とは何か、幸福とは何か、戦争とは何か等、現代的な問題を含みながら哲学的に展開する。しかし、ラストが、1の舞台と同様、落ちないものがあった。

6 神奈川県立大船「戦記 空より高く」(のまさとる作)
 神奈川の青少年センターより、ここの方が間口が狭いのだろうか。県大会やマグカルでは見られなかった、役者のかぶりがあった。
 同じ舞台も3回目となると、これまで腑に落ちなかったことが、そういうことだったのかと理解できるようになった箇所がいくつかある。観るたびに発見があるというのは、それだけ深みのある舞台だということなんだろうな。役者では、特攻兵役の3人がずいぶん成長したのではないかと思った。表情にも声にも感情表出が深まったと思う。
 劇団燐光群の猪熊恒和さんがロビーにいらした。一緒にいた同校サブ顧問で旧知のAさんの話だと、猪熊さんのお父さまが戦争の語り部をしていて、大船高校でも講演したのだという。その方に演劇部員も話を聞いて舞台に臨んだということなので、観に来られたのだという。
 
 東京大会2日間の結果は以下の通りだということです。
最優秀賞(全国推薦)
茨城県立日立第一高等学校
作:磯前千春『白紙提出』

優秀賞
身延
専修大学松戸
三島北
大船

創作脚本賞
磯前千春

南北共通全国推薦
八千代

春フェス推薦
新潟工業
専修大学松戸



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2016年12月28日

寒川神社表参道の森〜神奈川の美林50選の一

駅から図書館前を過ぎ、町庁舎前に、ケヤキの記念樹とモニュメントがあるのを知らなかった。
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田中写真館前から参道に入り、相模線踏切に向かった。
さまざまな木の姿があった。
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根の張りぐあい(いわば下半身)が美しい――
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強風で倒された木の切り株?
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ふと水道記念館に入る小さな通路があったので、入ってみた。
日本で初めての県営水道の水源が、この寒川だという。
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実際に使われていた給水ポンプと水道記念館。
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前庭に、水河童の像があり、水を噴いていた。
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参道に戻り、森を出た。
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寒川のマンホール蓋

2016.12.28(水)クリーニング屋と銀行に行ったついでに、駅から表参道を過ぎって2時間ばかり散歩してみた。垣下先生に導かれての、地元のマンホール蓋探索にもなった。
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2016年12月23日

高橋美香出版記念イベント“それでもパレスチナに木を植える”

日時:12月23日(祝)14:00 Start 会場:M.A.P.(小田急線喜多見駅下車徒歩6分)
機.▲薀峅山撻薀ぅ
●西田ひろみ(バイオリン) ⇒http://www.arab-music.com/hiromi.html
●和田 啓(打楽器[レク]) ⇒http://percussio8.wixsite.com/officetirta/biography
●松本泰子(ボーカル) ⇒http://percussio8.wixsite.com/officetirta/taiko
1 バイオリンとレクによる19世紀の音楽
2 エジプトの歌(大好きな男)
3 レバノンの歌(好きな男が行ってしまう)
4 死んだ男の残したものは[谷川俊太郎詞/武満徹曲]
5 HAPPY CHRISTMAS(War Is Over)[ジョン・レノン&オノ・ヨーコ作詞作曲]
*第1曲目、4分の1半音がある音階で、潤った砂漠のようなメロデイをバイオリンが奏で、4000年前からあるというアラビアン・タンバリンと欧州では呼ぶ打楽器が不規則で緩急ゆたかなリズムを刻む、心地よい音楽だった。演奏後の解説も親切であった。
 2曲目と3曲目はエジプトとレバノンの大歌手の歌で、アラブ中の人々に親しまれている曲だという。恋する気持ちと場面が彷彿とされる、松本さんの歌唱力に魅了された。
 4曲目と5曲目はそれぞれ1965年と1971年に発表された、ベトナム戦争に関連する、反戦の意志を示した歌。このあとの、高橋さんの話やパレスチナの難民キャンプの映画のことを考えると、いまでも歌い継がれるべき素晴らしい歌だと再認識させられた。

供.僖譽好船米門講座(高山正樹)
 とってもわかりやすい説明で、自分の中の知識もある程度整理できた。こんな授業をしてみたいとも思った。

掘々盒業香スライドトークショー
 ご著書『それでもパレスチナに木を植える』から、とくに難民キャンプのジェニンの家族との話が主であった。

検.疋ュメンタリー映画「ジェニン・ジェニン」
監督:ムハンマド・バクリー 2002年制作 54分
日本語弁士:高山正樹
 2002年、イスラエルは難民キャンプのジェニンを攻撃し、破壊した。その直後に入った俳優・監督のバクリーが、現地の破壊の様子を映し、生き残った男や女や子どもにインタビューしたドキュメンタリー。瓦礫の山に取り残された猫が印象的だった。


*このイベントの後、「国連安全保障理事会がイスラエルの入植活動の即時停止を求める決議を採択したことを受け、イスラエルのネタニヤフ首相は24日、国連機関への拠出金の停止などの対抗措置をとり、国連との関係の見直しを1カ月以内に検討するよう外務省に指示した。」「米の次期駐イスラエル大使、入植活動推進派を指名へ」などのニュースが飛びこんできた。パレスチナの人々にとってはますます困難な状況になっていく。高橋さんが“居候”をしたり、出会ったりした、この本に出て来るパレスチナの人たちの今後が心配になる。
 



 

tomtom_poem at 22:46|PermalinkComments(0)TrackBack(0)mixiチェック 文学・評論 

2016年12月19日

マグカル・ハイスクール・ドラマ・フェスタ〜桐蔭学園「カレハライダーズで待ってる」大船「戦記 空より高く」

2016.12.18(日)13:00〜16:30 桜木町・神奈川県立青少年センター・ホール
 9時から、生徒実行委員会の引率。とちゅう、顧問有志で午後のチラシ綴じ込み作業。
 昼は近くの喫茶“MY CAFE”で日替わりランチ。
 さて、13時から、関東大会に出場する2校の県民向け公演を鑑賞。イベントの副題は――高校演劇はここまでスゴイ――。黒岩県知事もご来場、最後に感想を述べていた。

機ゞ涌学園中等教育学校「カレハライダーズで待ってる」
作・演出/田中大河
CAST:長谷マサムネ、平間仁、杉本達磨(以上、院内学校の生徒)、清水伊織(転校生)、蓮(亡くなった生徒)、ヤベッチ(院内学校の教師)、ソウタ、ユウジ、カレン、リン(以上、10年後の院内学校の生徒)

供仝立大船高等学校「戦記 空より高く」テーマ曲:東北応援歌「空より高く」

作・音楽/のまさとる 原作/サン・テグジュペリ「星の王子さま」
CAST:青山翼、海野邦彦、川端良太(以上、不時着した特攻機の乗組員)、米山米子、花川花子(以上、不思議なおばあ)、星野桜次郎(不思議な少年)、ハブ(過去の旅への案内者)、〈平安の陰陽師たち〉、〈江戸の呑み助〉、〈明治の金融家〉、〈戦前の銀座のバーテン〉、〈国民学校の算術教師〉、〈極道の妻〉〈狐の神様〉〈広島原爆投下地点に咲く黄色い花〉(以上、特攻兵士3人それぞれの思い出の女性)

 いろいろ感じたこと、考えたことがあるが、それは又の機会に。

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