2019年02月

2019年02月23日

田圃の風景[海老名市中野・・・門沢橋]〜Tomisanpo mini

2019.02.20(水)
 仕事の合間に郵便局に行く。田圃と産業道路を横切って片道徒歩20分。帰途、富士に対比される丹沢の峰にみとれる。富士の白い姿は残念ながら工場の建物によって見えなくなった。
2019.02.20(水)あ











2019.02.20(木)い











2019.02.22(金)
 定時退勤後、ちょっと水温んできたのでいつもより遠い駅に向かう。
 職場の前の田圃の畦に足を踏み入れる。靴が土にずぼっずぼっとめりこむ。新しく建った巨大配送場前の舗装道から振り返ってみる。
2019.02.22(木)1











2019.02.22(木)2











 また振り返り、図形的に美しいと感じた緑の土色。
2019.02.22(木)3











 巨大配送場から職場の建物を遠望する。
2019.02.22(木)4











 隣の駅に通じる道。5年前は、この道が職場まで続いており(この巨大建築物により分断された)、自転車で通っていたものだ!
2019.02.22(木)5











 田圃の手前に白い立て看板。ここもまた巨大な倉庫が建つらしい。
2019.02.22(木)6











2019.02.22(木)7











2019.02.22(木)8











 角を曲がる。前方に高速道路のジャンクションの円形建築物や赤い高架線塔が見える。
2019.02.22(木)9











 田圃の端にはスクラップ置き場。その向こうに線路がある。
2019.02.22(木)10











 蛙の大合唱があちこちから聞こえた田圃の景色がコンクリの建築物により分断されている。しかし、そこには、そこに住んでいる、または住んでいた人びとの事情がある。

 昨年、この風景に触発されて作った詩を載せておこう。


 対決  

ひかりはみどり
あかるくてらす
みどりはかぜに
きびしくたわみ
うねったいなほ
つちにかげつくる

いちめんたんぼ
とおくにもりが
たたずむまえに
まっすぐきりさく
とらっくくるま

いなほのみどり
ねもとはまっすぐ
けなげにふんばる
なでたくなるほど
いちめんみどり

たしかにいなか
たんぼひろがり
かえるもないて
あちらこちらに
どしんと鉄筋

いなほがかぜに
けなみのように
やわにかたむき
いっせいにななめ

かぜはふかれて
みどりをゆらし
かぜはぶつかる
たんぼのいなか

ぶつかり
われて
みどりのたんぼ
くだけてさけて

やがてはみどり
いちめんだけの
ひとりぼっちの
たんぼっきり


いなかの爆裂

(オオカミ33号に掲載)



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2019年02月17日

プレイラボ2019春夏秋冬プロジェクト「海辺で見た犬」

2019.02.16(日)本厚木・ぎゃらりー喫茶なよたけ
演出:深谷禰宜
音楽・ピアノ演奏:エムオカ
スコアブック:日々野克己+P.E.C.T.
出演:井上崇、小林ぴよ美、モハメディ亜沙南、青木みなみ、高橋拓馬

井上さんが高校生の時、顧問を連れて藤沢本町のカフェに観に行ったという芝居の台本を使った公演。
 どおりで、内陸の厚木なのに、稲村ヶ崎とか藤沢のサーファーとかが登場すると思った。(といっても、厚木でもサーファーがいますよね。現に、サーフィンのために厚木から茅ヶ崎に引っ越した若者を私は知っています!)
 夜間、ゆかりのある若者たちが忍び込む話は、場所が高校の演劇部室とサーファーたちが集まるカフェという違いはありますが、昨秋の地区大会で◎南が上演した本と似ていました。集まった四人の素性がバラバラな分、本公演の方が、さまざまな人間模様を垣間見られるという点で、深みがあっておもしろかったように思います。
 出演者も20代から40代まで幅広かったけれど、みなさん、年相応のエネルギーと熱さをばらまいていました。もっとも驚かされたのは、一生懸命に演技を爆発させていた、中国語だけの台詞の青木みなみ。エネルギッシュだけれど、真摯な思いはがんがんに伝わってきました。次に、写真好きのソープ嬢・モハメディ亜沙南(?)。
 ずっとピアノの前で雰囲気出してたエムオカの演奏と姿はかっこよかったな。

 終演後、カウンターでマスターの小高さんの陶芸やケーキの話などを聞く。銀座のケーキ店から特注した、最後のチーズケーキ(500円)と小高さんの作ったコーヒーカップでコーヒー(700円)をいただいて、ますます良い気分になって、ビルの階段を降りて街に出た。

2019.02.16(土)本厚木・なよたけ コーヒー(小高氏製作のカップ)











2019.02.16(土)本厚木・なよたけ チーズケーキ 

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2019年02月16日

ARICA「孤島」

2019.02.15(金)20:00〜21:00 関内・東邦ビル1FARICA特設会場
演出:藤田康城
テクスト:倉石信乃
出演:安藤朋子
音楽・演奏:福岡ユタカ
美術・演奏:西原尚

 安藤さんと山広太が競演した「Ne ANTA」を三軒茶屋のシアター・トラムで劇研メンバーと観たのが2015年だというから、それからもう4年も経っているんだね。
 今回の舞台は「孤島」。しかも動く「孤島」。老婆が一人徘徊するだけの「孤島」。溶暗の空間に小さな「孤島」が下手隅から舞台中央に移動してくる。その「孤島」の下を老婆が転がしてきたのだ。照明が明るくなると、老婆は這い上がってきて、「孤島」の上で日常的な動きをしながら、過・去からこれまでのことにあれこれ思いを巡らす。その間、福岡のコンピュータ音楽と西原の妙な楽器の演奏や、録音された老婆のことばの再生などで、海や風や記憶や状況などが観客に知らされる。
 老婆が一人で島に籠もっている――これは、風煉ダンス「まづろわぬ民」の、東北のある山のような屋敷に閉じこもった老婆(白崎映美)を連想する。しかし、こちらは、いまは滅びたが先住の民という根があり、埋もれてはいるが仲間がいる。そこには回復・復活というロマンが想像できる。
 しかし、「孤島」の老婆(安藤朋子)にはすでに根が失われている。慕っていた兄ちゃんも出て行って久しい。たった一人である。だれもいない。家族も漂流した人もみんな去ってしまっている。だから、ここには実存しかない。それも、裂かれた椅子や裂かれたボックスや壊れたラジオや500円の傘やブラシや歯ブラシや、半分めり込んだタイやくらいしかその小さな島にはない。防災無線で失踪した老婆を捜索する警察が放送するが、それも実は老婆の自作自演であった・・・・・・老婆が天井からぶら下がった綱を引っぱると、奥にあった巨大なラッパ型スピーカーが持ち上がり、巨大マイクとシンバルをもった、舞台下手奥で演奏していた西原が突然飛びだして来て、シンバルを床にたたきつけ、安藤が老婆(自分)捜索の台詞を言い放つ。
 ほんとうに一人ぼっちで救われないのだ。そして、静かに「孤島」の下にもぐり、音も光も消えていく・・・・・・これで予定されていた1時間が終わるのだが、この1時間はずっと繰り返されるのだと思わされる。つまり、一人っきりの老婆は永遠に「孤島」を移動しつづけなければならないのだろう、と。

 18時30分に関内に着いた私は、いつかの日曜日に来て、閉まっていた、バンクアートのブックカフェに入って、タイカレーセットを注文した。カレーは辛いがうまみのあるスープカレーであった。
2019.02.15(金)バンクアート タイカレーセット700円











2019.02.15(金)バンクアート タイカレーセット コーヒー











 カウンター端の小さなモニターに、昨春亡くなった首くくり栲象(たくぞう)の、宮本隆司の写真集を紹介するPVが映っていたので、しばし魅入っていた。安藤さんは2009年にARICAでこの特異なパフォーマーと競演している。その出版記念イベントのチラシが入っていた。
2019.02.15(金)バンクアート 首くくり栲象 写真集PV

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2019年02月03日

井上弘久独演『椿の海の記』番外編 朗読会&音楽会

2019.02.02(土)14:35〜 四谷三丁目総合芸術茶房 喫茶茶会記
第一部 朗読会
石牟礼道子/多田富雄 往復書簡『言魂(ことだま)』から
第一信「受苦について」多田富雄から石牟礼道子へ
第二信「なふ、われは生き人か、死に人か」石牟礼道子から多田富雄へ

第一信 多田/井上弘久
第二信 石牟礼/清水杏里 登場人物たち/井上弘久

第二部 音楽と語りで紡ぐ
独演『椿の海の記』から第一章〜第五章抜粋
第一章「岬」第二章「岩どんの提灯」
〜不知火海のテーマ
〜数え歌
〜夜の不知火海
〜「大寺(うでら)のおんじょが」

第三章「往還道」
〜「往還道」のテーマと変奏

第四章「十六女郎」
〜「十六女郎」のためのレクイエム

第五章「紐とき寒行」
〜遊女と狂女の道行き
〜子守唄

語り:井上弘久
作曲:金子忍、コントラバス演奏&歌:吉田水子(みなこ)

・第二部について
今までの五回分のエッセンスがきけて、得した気分になりました。
 不知火海のテーマは、昨年1月に井上さんが訪れた水俣の海の1分余の動画から金子さんが作曲したなんてエピソードがきけて、これも得した気分になりました。
 不知火海のテーマ、コントラバスの低音から高音をゆったりと交互する響きは、闇をかかえるおおらかな海のイメージを描写していました。以前、今まで注目してこなかったファゴットのすばらしさを感じたことがありましたが、今回はコントラバスの魅力をぞんぶんに味合わさせてもらいました。
 「往還道」のテーマでは、人びとの練り歩く活気が出ていました。そこに人びとのやさしい人間性もあるように思えました。
 少年に殺された、まだ少女だった女郎「ぽんた」を弔うレクイエムははじめ吉田さんによって歌われました。その澄明な高い声が心に響きました。井上さんの険しい語りとともに。

・第一部について
 井上さんは、本日の共演者・清水杏里さんについて、若い人の声で石牟礼さんの文を読んだらどうなるだろうというようなことをおっしゃっていましたが、清水さんの声は、80歳の石牟礼道子でもなく、4歳のみっちんでもなく、みっちんのおかあさんのはつのさんと同じくらいなのかなぁと思いつつ聞いていました。
 第二信では、石牟礼さんの地の文(清水さんの語り)に、話の中で出てくる亀治郎や狂女やを井上さんが迫真の演技で語っていました。

 吉田さんも清水さんも、もちろん井上さんも、地の声が美しい。温もりがあって膨らみがある。そして、語りの声と地の声の落差がものすごい。語りが憑依だとすれば、それから解放されて、ふつうに話をされる井上さんの声が、あたかもそのお人柄を表すかのように、なんと温もりに満ちていたことか!

 終演後は投げ銭をいつもだったら、おくさまがお受けになるのだが、この日は、100歳になられるおかあさまの介護でいらっしゃれないと言っていました。

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tomtom_poem at 22:31|PermalinkComments(2) mixiチェック 演劇 | 文学・評論

2019年02月02日

演劇企画ニガヨモギ 常田富士男 追悼公演 『カンガルー なぐさめられたいタマシイのために』

2019.02.01(金)18:30〜20:30 池袋・シアターKASSAI
作:別役実
演出:市村みさ希
出演:男/宮口嘉行、娼婦/市村みさ希、娼婦のヒモ/石橋知泰、老人/小磯一斉、帽子屋/よこのゆたか、帽子屋の妻/利根川真夏、黒帽子/黒沼伯、黒帽子の情婦/庄司まり、子分1/たかはしゲンキ、子分2/伊藤健太、覆面の歌手/中元寺隆夢

 ラストのシーンが美しかった。
 死ぬためのインドに行く船に乗れずに、目を閉じた男が横たわる棺桶に見立てられた舟の周りを全員で踊りながら周り、残された女とヒモが舟に寄り、無言ですすり泣くように静かに舞う。あたかもダンサーのように。言葉にならない言葉を聞いたような気がした。男の白い顔が天国の常田冨士男と重なって見えた。

 音楽はサーカスのジンタのような、どこか郷愁を思わせるような曲をイメージしていたが、ほぼそのような音楽だった。カンガルーの耳を付けた覆面の歌手がギター奏でながら歌う曲もよかったし、登場人物たちが歌う曲もよかったし、サックスとかアコーディオンとかで奏でられるBGMもよかった。

 登場人物に扮する11人の役者はとても個性的で、魅力的だった。が、プログラムの写真とあまりにもかけ離れていた(帽子屋さん以外)。


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