2023年07月07日

「大地の風」

 お袋が身罷って8年が過ぎた。
母の住んだ隠居はそのままである。
片付けたいと思うが、充分な時間がない。
それでも、半分位は整理ができた。
昨日、久しぶりに部屋に入った。
母は本が大好きであった。
本棚はそのままにしてある。
母は、時には面白い本はないかと来た。
根が真面目で馬鹿正直だから、為になる本を選んだ。
ふざけた本は相に合わなかった様だ。
母のサイドボードの上に一冊の本があった。
ズーと前からあったが素通りしていた。
どうせ小難しい本だろうと見過ごして来た。
読む本が無くなって来たところだった。
てな事で、読み始めてみた。
郡上市和良村の満州開拓団の話しだった。
著者・玉田澄子さんは昭和13年郡上郡和良村生まれ。
昭和19年、6歳で家族と共に開拓団として渡満。
終戦直前に旧ソ連軍が突然侵攻。
この日から想像を絶する母子4人の逃避行が始まる。
澄子の母は出産直後の赤子を抱えては無理と死を覚悟。
逃避行の大半は歩きで食料も乏しく、小屋に眠る。
極寒の地で麻袋に包まり、身を寄せて眠る。
乞食をして、粗末なもので命を繋ぐ。
現地で生まれた末妹は逃避行の途中で死亡。
現地人に体を売り、生き延びる者も。
現地の人に子供を預けたり、売る親も出てくる。
子供の先々を思い、殺す親も出てくる。
生きる事が極限状態になってくる。
このままでは残る母子3人も死が待つだけ。
母は自分を犠牲にして、子供を救う事を考えた。
母は現地の老人と結婚して、子供の安泰を計った。
夫を裏切らなければ子供が死んでしまうと苦渋の決断。
昭和21年秋、母子3人は引揚船に乗る事が出来た。
父もシベリア抑留で死亡した事が後日分った。
澄子さんの母は白鳥町牛道の出身である。
今年の2月澄子さんは牛道小学校で、これ語った。
戦争の恐怖と愚かさを・・・。
澄子さんは愚生より2歳年上である。
我が母も岐阜で空襲に遭い俺を連れて逃げ延びた。
母は、自分に重ね合わせて読んだであろう。
涙腺が緩み、一気に読んだ。
       この本、母からの贈り物だったか 寅次郎
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torajiro0421 at 17:00│ 読書