「ホワイトアウト」

　“今期MAXの寒波が数日襲う”
気象庁の姐さんが“備えよ！”とうるさい。
こちとら56豪雪を乗り越えたんだ。
4、5日降ったぐれえどうってこたねぇやな。
普通通り、会社に向かった。
通勤路は、やまびこロードと言う山道。
除雪は早朝からきちんとやってある。
だがこの日は、まだ除雪の真っ最中。
雪が多くてはかどらず、所々はやばい。
加えて雪はしんしんと降っている。
時折、風が吹く！　これがやばい！
木から落ちる粉雪が舞う！
視界ゼロ！
止まるしかない。
粉吹雪が収まる迄、動けない。
対向車が来ないか？
ヘッドライト等は殆どや役に立たない。
暫く待つと、視界が開ける。
何んと自分の車は思いと違った所に居る。
自分ではすぐに停まったつもりだったが・・・。
急に止まれず、吹雪の中を、勘で少し動いたようだ。
こんな事が会社に着くまでに３，４回あった。
その日は、危険と言う事で夕方4時頃、帰る事にした。
帰りも、朝と同じような事だった。
ワイパーの効きが悪くなり、又しても視界不良。
ワイパーを直そうと左に寄り、止まろうとした。
車の床からゴトゴトゴトと異常音！
しまった！とブレーキを踏んだが遅かった。
左側の縁石に乗り上げ、車は亀の状態。
自力では何ともならず知人の吉崎君に電話。
彼の務める恩地モーターレスキュー隊が急行。
てきぱきとジャッキアップして後ろへ引き出した。
プロの手際よさに感服！有難うございました！
56を知っている等と雪を舐めていた。
　　　　　　　　　　　　　　　恥ずかしい　寅次郎









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