2004年07月12日

『長崎乱楽坂』 吉田修一 新潮社


長崎乱楽坂

6編の短編連作集。
夫をなくした千鶴が、子ども・駿と悠太を連れて地方の実家(三村家)に戻ってきた…。子ども達はその実家の「母屋」に集まる男達と「離れ」に入る母、地方での家系の繋がり、離れの謎、父の死についてや、母親の行動など、大人達の不思議な世界を、第三者的に見つめる。

1編ごとに時間が進み、駿は成長しながら、家族を静かに見つめる。
三村家には色んな人が出入りし、去っていくのに、いつも孤独に、その時その時感じ、編を追うごとにその気もちの変化・動きもリアルに書かれている。それは成長を喜ぶというより、切なさが募る方が多い。

最初は駿という少年の成長記だと思ったが、そうではなかったようだ。
「離れ」という場所の移り変わりを描いているような…。

最後はよく言えば余韻を残したような…悪く言えば中途半端なような…。

個人的にはその後を知りたい。幸せになっているのか、そうでないのか、駿の青春という時期を覗いていたのだ、だからその後も知りたい。

8点

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