2004年11月16日

『出口のない海』 横山秀夫 講談社


出口のない海

今回は戦争モノと、新たなジャンルに挑戦…ではなく、著者が1996年にノベルズとして出した旧著を全面改稿したもの。

終戦真近、万が一にも生き残る可能性もない人間魚雷<回天>、何の為に死ぬのか…理由付けをしたい。そしてまだ夢を追いかけたい。当時、つい一年前には野球をやっていたのだ…。戦艦さえ見たことがないのに戦争をしてきた気分になる、「これは己の心の中の戦争なんだ」戦争に青春時代を翻弄させられる。死のみしか進む道を選べない主人公の葛藤が描かれている。
  
この本を読んで思い出すのが、同時期に出された『僕たちの戦争』荻原浩。同じ回天を扱った、軍事教育がそれほどされてないウチに戦場へ赴く若者達。
「己の心の中の戦争」は両作品に共通する。
タイトル『出口のない海』の意味がとても切なく感じた。

8点


出口のない海―人間魚雷回天特攻作戦の悲劇(ノベルズ)

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甲子園の優勝投手である並木浩二は、大学に入ってからヒジの故障で苦しんでいた。あ...
出口のない海(横山秀夫)【のほ本♪】at 2004年11月30日 14:05
タイトル:出口のない海 著者  :横山秀夫 出版社 :講談社 読書期間:2004/11/29 - 2004/11/30 お勧め度:★★★★ [ Amazon | bk1 ]+++++ 甲子園の優勝投手、並木浩二は、大学入学後、腕の故障を克服すべく、\&quot;魔球\&quot;の完成にすべてをかけていた。
「出口のない海」横山秀夫【AOCHAN-Blog】at 2004年12月09日 13:33