シマシマしっぽ

活字中毒な猫バカ。日々の読書の感想を残しています。最近は映画日記化ともなっていますが、楽しみがあるのはいいことです。今日一日、楽しいことを考えて,何とか日々を乗り越えたいです。This is my Lifelog.

国境4

「国境」絖隋々川博行 文春文庫

 「疫病神」コンビこと、建設コンサルタントの二宮と二蝶会幹部の桑原は北朝鮮に飛んだ。二宮は重機の輸出で、桑原は組の若頭がカジノ建設の投資話でそれぞれ詐欺に遭い、企んだ男を追ってのことだった。平壌に降り立ったふたりだが、そこには想像以上に厳しい現実と監視が待っていた。(「BOOK」データベースより)

 これで「疫病神」シリーズは全部読んだことになるはず。北朝鮮の実情の細かい描写がとてもリアルだ。下巻の最後には30冊以上の北朝鮮関連の参考文献が並んでいる。黒川さんの力の入れようがわかる。
 まるで読者が桑原と二宮と一緒に北朝鮮に行ってきたかのように感じる位だ。脱北すれば、残った家族全員殺される・・・いつまで恐怖政治は続くのだろう。今回はコミカルな部分は少なく、シリアスな内容。
 このシリーズ、桑原の視力の設定とか、舎弟の二宮に対する口のきき方とか、いくつか作品によってズレがあるのだけど、まぁ細かい事なのであまり気にしないでおこう。
 北朝鮮での厳しい監視の下の詐欺師探しは本当にリアルで興味深く、下巻の日本での他の組との詐欺師グループの追いかけっこも面白い!圧巻は桑原が日本刀を振り回して暴れるシーンだ。「キャー!桑原さん、カッコイイー!!」とドキドキしてしまった。この作品、見どころ満載で、ぜひ映画化して欲しい!
 




イノセント・デイズ2

「イノセント・デイズ」 早見和真 新潮社

 放火によって奪われたのは、元恋人の妻とまだ1歳の双子の命。確定死刑囚、田中幸乃の人生は、「不運」と「悪意」が支配していた。「暴力」と「裏切り」も加勢する。だから、なのか?ひとりの男だけが、味方であり続ける。なぜ彼は、彼女を最後まで信じようとしたのか?「整形シンデレラ」とよばれた鬼女。彼女が犯した「罪」、その死刑囚が犯した最大の罪とは?衝撃指数極大値。先入観を紛砕する圧倒的長編。 (「BOOK」データベースより)

 読みやすい文章だけど、読後感最悪。
 人物設定がブレていると思う。一貫性がない。死刑囚の田中幸乃、彼女の母親、中学時代の親友、他にも登場人物の性格が定まっていない。「この子がそんなことをする?」と思わせること多々。「整形シンデレラ」という煽り文句が面白そうで読み始めたけれど、その整形の描写もいまいちだし、必要ならばもっと早くしていただろうと思う。それに整形の効果はあまりないような印象。
 登場人物何人もにふりかかるイジメや暴力、DV、性的被害、これもまた不愉快でありがちな不幸を盛り込んだだけで、気分が悪くなる。そして最後は手のひらを返したように、意外な終末。読み終えた本を横に置いておくだけでも不愉快さを感じる。この作家の小説は二度と読まないと思う。
 


イノセント・デイズ
早見 和真
新潮社
2014-08-22

帰ってきたヒトラー3

「帰ってきたヒトラー」(原題:ER IST WIEDER DA/LOOK WHO'S BACK)2015独

 ヒトラーが現代によみがえり、モノマネ芸人として大スターになるというドイツのベストセラー小説を映画化。服装も顔もヒトラーにそっくりの男がリストラされたテレビマンによって見出され、テレビに出演させられるハメになった。男は戸惑いながらも、カメラの前で堂々と過激な演説を繰り出し、視聴者はその演説に度肝を抜かれる。かつてのヒトラーを模した完成度の高い芸として人々に認知された男は、モノマネ芸人として人気を博していくが、男の正体は1945年から21世紀にタイムスリップしたヒトラー本人だった。ヒトラー役を演じるのは、舞台俳優オリバー・マスッチ。(映画.comよりあらすじ)

 笑えない。原作がドイツでベストセラーとは、随分と寛容な。いきなりタイムスリップしてくる理由は?とか、ここで笑っていいのか?、とか真面目な私には戸惑うことばかり。ブラックな笑いが好きな私だけれど、この作品は複雑な気分だ。
 大真面目にやればやるほど観客は笑い、そして演説に魅了されてゆく。素直に現在の環境に馴染んでいるヒトラーを「案外いいヤツじゃん」とか思わせてしまうのが怖い。 
 大虐殺をした彼が犬一匹射っただけで、大衆の態度がコロッと変わるところだけは笑ったけど。そりゃ芸人だと思ってるんだから当然の反応なんだけど。こんな軽くていいのか。ヒトラーをいじった物を見慣れた人達は、この映画で笑えるのか。評判が良くてびっくりだわ。


帰ってきたヒトラー [DVD]
オリヴァー・マスッチ
ギャガ
2017-12-22

ボヘミアン・ラプソディ4

「ボヘミアン・ラプソディ」(原題:BOHEMIAN RHAPSODY)2018米

 世界的人気ロックバンド「クイーン」のボーカルで、1991年に45歳の若さでこの世を去ったフレディ・マーキュリーを描いた伝記ドラマ。クイーンの現メンバーであるブライアン・メイとロジャー・テイラーが音楽総指揮を手がけ、劇中の楽曲には主にフレディ自身の歌声を使用。「ボヘミアン・ラプソディ」「ウィ・ウィル・ロック・ユー」といった名曲誕生の瞬間や、20世紀最大のチャリティコンサート「ライブ・エイド」での圧巻のパフォーマンスといった音楽史に残る伝説の数々を再現するとともに、華やかな活躍の裏にあった知られざるストーリーを描き出していく。「ナイト ミュージアム」のラミ・マレックがフレディを熱演し、フレディの恋人メアリー・オースティンを「シング・ストリート 未来へのうた」のルーシー・ボーイントンが演じる。監督は「X-MEN」シリーズのブライアン・シンガー。(映画.comよりあらすじ)

 学生時代にクイーンのポスターを部屋に貼っていた私。メンバーで好きなのはベースのジョン・ベーコンと一番地味な存在だったけれど。フレディのルックスは好きじゃなかったけれど、あの歌唱力はすごかった。今回の映画化はとても楽しみにしていたので、映画館に行く数日前から毎晩ウォークマンでクイーンのベストアルバムを聞いて、準備万端!
 やはり観客席は同年代の方々が殆ど。前評判も良く、期待を裏切らない内容だった。メンバー4人も外見が良く似た俳優で、違和感はナシ。主演のラミ・マレックはフレディの動きを完璧に再現していたように思う。

 ロックバンドの映画にありがちなドラッグや淫らな描写も極力抑えており、ほっとした。特にフレディがバイセクシュアルであったことから、ゲイの絡みは見たくないと思っていたので、そこが一番安心。
 フレディがインド系の出身であったことも、かなりの猫好きだったこともこの映画で初めて知った。新鮮な驚き。残念だったのが、特に日本で圧倒的な人気のあったクイーンなのに、日本のコンサートシーンがなかったこと。それと、やっぱり存在感の薄い気の毒なジョン・ベーコン・・せっかく良く似た俳優を使ってもらってるのに・・・。
 ラスト20分のライブ・エイドのパフォーマンスは約束通り圧巻だった。涙がにじんだ。全篇有名な曲が流れ続け、曲作りから出来上がりに持って行くシーンもスムーズで、一緒に足でリズムをとってしまう。エンドロールには本物のクイーンの映像が流れ、最後まで席を立つ人は一人もなかった。



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沈黙-サイレンス-2

「沈黙-サイレンス- 」 (原題:SILENCE) 2016米

 遠藤周作の「沈黙」をマーティン・スコセッシ監督が映画化。幕府によるキリシタン弾圧下の日本。棄教したとされる宣教師・フェレイラを追い長崎に潜入した弟子のロドリゴとガルペは“隠れキリシタン”たちと出会う。(「キネマ旬報社」データベースより)

 出演: アンドリュー・ガーフィールド, アダム・ドライバー, 浅野忠信, 窪塚洋介, イッセー尾形,リーアム・ニーソン

 160分の大作。この映画を観るために、遠藤周作の原作を読んだのはいつだったか。隠れキリシタンものとしては、帚木蓬生の「守教」の方が緻密に描かれ印象に残っていて、この映画の内容では物足りなく思う。
 
 キチジロー(窪塚洋介)を通訳として日本に渡る若いパードレ二人だけれど、英語で字幕を入れるのが面倒くさかったのだろう、日常会話はキチジローを介さずとも貧しい隠れキリシタン達もサムライも英語でやり取りしている。難しい専門用語のようなところは通辞の浅野忠信。
 原作ではキチジローのズルくて卑しいところがもっと描かれいたと思うが、映画ではそこがゆるい。長時間の作品の割には、信仰心というものが殆どない私には心に響くものはナシ。
 

沈黙-サイレンス- [DVD]
アンドリュー・ガーフィールド
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
2017-08-02

切断4

「切断」 黒川博幸 新潮社

 死体のパーツが新たな犠牲者の体内に―酸鼻をきわめるリレー式連続殺人事件。午前4時の家々に病院に、殺人機械は音もなく侵入する。狂気の匂うナイフは、いかなる怨恨を切り取ってゆくのか…。一分の隙もなく構成された迫力満点のホラー・サスペンス。(「BOOK」データベースより)

 今回は疫病神シリーズとは関係なく、シリアスなサスペンスもの。アイデアは面白いのだけれど、時系列が紛らわしい。犯人の目処はすぐにつくのだけれど、「彼」の「切断」のカラクリがわからなかったので、気になって一気読み。
 これほど猟奇的な殺人を行うのは、壮絶な恨みを持つ人間。復讐の理由がもっと悲惨な事を想定していたので、彼と彼女の関係を思うと複雑な気分になる。

 30年ほど前の作品なのだけれど、52歳の男性のことを「初老」と書いているのにはびっくり。たまたまその人が老けて見えたのかも、と気を取り直しても、定年まであと5〜6年の刑事も自分のことを「初老」と言っている。54歳も初老!? 30年前は50過ぎたら年寄り扱いだったっけ?
 


暗礁3

「暗礁」 黒川博幸 幻冬舎

 「疫病神」シリーズ三作目。今回は、奈良県の大手運送会社と警察、ヤクザがらみの獲物に食らいつく桑原と二宮。二段になっているので読みにくかった。
 大阪、奈良、和歌山、兵庫、そして沖縄まで追いかけて、いつも通り桑原が刺されて二宮が殴られる。内藤先生に縫ってもらう。内藤先生、地味だけど毎回登場、結構好きかも。
 ハイブランドしか身につけない桑原に比べ、いつもポロシャツとチノパンの二宮。安物でもいいけど、臭くなるまで着るなー!、と服の差し入れをしたくなる。

 コンビの掛け合いは相変わらず楽しいけれど、まだオカメインコのマキちゃんが出てこないので、ちょっと淋しい。


暗礁
黒川 博行
幻冬舎
2005-10

ミーちゃんは?

 ミーちゃんが死んで二週間になる。16歳、老衰で死んだ。母と息子と私の三人で、ちゃんと死ぬ瞬間を看取った。もう立ち上がることも出来ず、最後に大きな声で「アオーン」と鳴いて、長い間痙攣してから息を引き取った。
 死んだのは、スケジュール帳を見たら、16年前に友達から貰ってきた日だった。きっかり16年、一緒にいてくれたんだ。
 こんなに長い期間猫を飼ったのは初めてで、そして何より息子にとって初めての待望の猫で、私たちの喪失感は大きい。挨拶のように、「ミーちゃんは?」「車の下」という会話が1日に何度もあった。この季節なら答えは「こたつの中」。
 
 ミーちゃんのいない冬の夜は長いだろう。いて当たり前の猫がいない11月を迎えるのは辛い。鈴の音がした気がして、走っていって玄関を開けて「おかえり」と言ってもいなかった。夜中に鳴き声がした気がして、懐中電灯を持って探してもいなかった。いなくて当然だ、庭の隣の畑に穴を掘って、墓を作ったのに。でも、土を持ち上げて、ゾンビの姿でもいいから帰って来てほしいと思ってた。

 二週間経って、やっと「ミーちゃんは?」と言いそうになるのがおさまってきた。元夫の家にいた頃は酷い目にあったので、向こうの家では戦友でもあった。蹴られたり、山に捨てられたこともある。それでも戻ってきてくれて、一緒にいてくれた。猫は家に愛着を持つから、実家に連れてきて、こちらの家に馴染むのが大変だった。馴染んだら、母にべったりになって、私のことは執事扱いで、殆ど一緒に寝てくれなかったけど。死ぬ前夜までよろけながら母の膝の上に乗りに行った。

 一生忘れない。うちの子になってくれて、ありがとう。春になったら、子猫を貰いに愛護センターに行こうと思う。お墓には花の球根を沢山埋めた。その花が咲く頃には、もう気持ちも落ち着いているだろう。ミーちゃんはずっと息子の中では1等賞の猫として、心の中に君臨するだろうけど。

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NANA - ナナ-3

「NANA - ナナ-」1-21巻  矢沢あい 集英社

 少女漫画は苦手なので避けてきた有名漫画だけど、某サイトで最初の4巻まで無料だったので読み始めたら、1ページ目からはまって、中古で一気買い。
 ロックなナナとふわふわしてる奈々が列車で運命の出会いをして、東京で同居し始め、そこから始まるサクセス•ストーリー…というイメージだったのだけれど。
 バンドがメジャーになってからは、近場で誰かと誰かが簡単にくっついたり離れたりで、恋愛話が中心になってしまい、面白くない。そして、ふわふわしてる奈々は尻軽で女から見たらかなりイライラするキャラクター。
 最初の魅力的なイラストや勢いはどこへやら、ぐじぐじ泣いてばかりいるまだ二十歳位のガキ達がえらそうに人生語ってくれちゃうのも冷める。途中から未来から振り返った目線の話もややこしくなるだけ。
 10巻位までにまとめるべきだったと思う。せっかく面白い設定をグダグダ延ばして勿体ない。おまけに、まだ未完とは!! 映画化やアニメ化で少女漫画の金字塔みたいになってきて、作者が精神的に追いつかなくなってしまったのだろうか。



喧嘩  すてごろ4

「喧嘩 すてごろ」 黒川博幸 角川書店

 疫病神シリーズ。あらすじが長すぎるので省略。「破門」の後、組の後ろ楯のない桑原がどうやっているのかと思いきや、二宮くん、やっぱり桑原にサバキを頼んじゃうのね。でも、今回の選挙事務所とヤクザの繋がりに食いついた話、良く出来てる。昔は1票一万、とか私も聞いたことがあるけど、今の相場は二万かぁ。選挙は金がかかるのぉ。でも、当選したらボロいもんなぁ。
 嶋田さんの出番が少なくて残念。でも、コンビのやり取りは絶好調。特に桑原の策が痛快。いくらイケイケの桑原でも、実は組に戻りたくて必死なのだな。このシリーズ、ほんとワンパターンなのに読ませるのだわ。


喧嘩
黒川 博行
KADOKAWA
2016-12-09

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トラ猫にゃ

読書と映画、どちらの感想も記録に残しておきたい備忘録です。

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