2007年06月14日

植民地は、辛いな・・・逆らえませんな 2

  【国際政治経済学入門】不動産市場を変えたアメリカ


詐欺の構図






 国土交通省が発表した公示地価では「三大都市圏の地価上昇」が鮮明になり、一部では不動産バブルの再発を懸念する向きもある。だが、東京都心を例にとると、1980年代後半のバブル期とは明らかな違いがある。無秩序で雑然とした不動産開発が姿を消し、収益性の高いまとまった規模の不動産開発が主力になっていることだ。

 日本の不動産市場を一変させたのは「ブッシュ・小泉コンビ」である。だがそのプロセンスは決してきれいごとでは済まされない。

 内政干渉すれすれ

 2002年2月19日、来日したブッシュ米大統領は日本の国会で演説し、小泉首相を「アメリカの新しいベースボールスター、イチロー」にたとえ、「投げられた球をすべて打ち返すことができる」と持ち上げた。このときブッシュ大統領が小泉首相に投げた決め球とは自衛隊のイラク派遣(2003年12月)のことではなかった。不良債権処理の催促である。大統領は、「アメリカは過去に不良債権を市場に出して、新たな投資を可能にした。小泉首相の改革で日本経済に関しても同じ事が起こるだろう」。米大統領の発言は応援演説の域を超え、内政干渉すれすれまでオクターブを上げた。

 ブッシュ大統領は念には念を入れていた。来日前に小泉首相に親書を送り、不良債権の市場処理を強く求めた。銀行の不良債権が帳簿上での処理にとどまり、不動産や事業など企業の不稼働資産が処理されていない状況に苛立ちを隠さず、「早期に市場に売却されないことに、強く懸念している」とかなり具体的、直接に問題解決を促していた。


市場価格で不良債権処分

 大統領は日本を再生するためだけに小泉首相の背を押したわけではなかった。死に体になった日本の金融機関・企業や野晒しになったままの不動産を超安値で買いたたいては収益資産に仕立て上げて高値で売り抜ける米系投資ファンドや大手投資銀行。その利害を、ブッシュ大統領は代表した。投資ファンドの多くは政治銘柄である。ワシントンに本拠を置く「カーライル」はブッシュ大統領の父親の元大統領が関与し、父親ブッシュ政権時代の副大統領であるダン・クエール氏は「サーベラス・グローバル・インベストメンツ」会長という具合である。

 小泉首相は同年10月に「金融再生プログラム」を打ち出して市場価格での不良債権の最終処分を促して土地の市場放出を増やす一方、翌年の9月には市街地での容積率規制を大幅に緩和して土地を高度利用して収益の上がる高層ビルや高層マンションが建てられるようにした。

 グラフが示すとおり効果はてきめんだ。外資系の金融機関や投資ファンドが乗り込んでくる。手法は主として、不動産投資信託(REIT)である。投資先の不動産を証券化して一般の投資家に売る。投資家を惹きつけるためには高収益の上がる不動産でなければならない。まとまった広い面積の土地を確保する必要があるが、障害がある。

 バブル崩壊後、権利保有者の利害が複雑にからんだ土地や雑居ビルが多く、裏社会が関与している。大手の米系投資銀行は参謀格に米軍出身者を据え、米側関係者の居場所や電話番号などの連絡先から脅迫や誘拐対策まで危機管理マニュアルを整えた。万全な備えをしたうえで、日本側業者の地上げによりまとまった規模の案件の受け皿になった。

 米系投資ファンドに引き寄せられるように和製ファンドやREITが続々と誕生。好立地の物件に殺到するので地価は上昇する。局地的なバブルは不可避だが、見向きもされない地方や地域は地価が下がり続ける。(編集委員 田村秀男)

(2007/04/05 15:38)  産経新聞


toriya555 at 01:56│Comments(0)TrackBack(0)

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