青瓦台が司法の決定について立場を明らかにするのは適切ではない
引用 yonhapニュース



 どこからか出てくる三権分立万能論(汗)



 この問題のポイントは「関係性が3つに分かれている」と言う点にあります。それを混濁して、例えば日本政府が韓国司法に対して批判をすると三権分立違反とか平気でいう人がいます(苦笑)
 ということで、今回は、この関係性を分かりやすく個別にみていきたいと思います。いずれの主張が正しいか否かと言う点は解説しません。あくまでも、法的にどのような主張をしているのか?と言う点に重点を置きます。


1、日本と韓国の関係その1

 一言でいえば以下の通り。
(1)日韓政府との間で日韓請求権協定(以下、本件条約)を締結
(2)財産権および請求権の終局的放棄
(3)前述の請求権に変えて韓国政府に日本政府が資金を供給
 そもそもですが、問題となっている請求権に関しては何も韓国だけではなく日本も対象となるものなのです。そして、これは、当該請求については互いの国において解決すべき事柄として他国の責任を問わないというものがポイントです。
 そのため、例えば韓国国民が韓国政府に対して訴訟を提起する、といったことは可能である一方、日本政府に対して訴訟を提起することは出来ないものなのです。逆もまた然り。若干正確ではありませんが、そういうことです。


2、日本国内の関係

 簡単に言えば、以下の二点だけ。
(1)本件条約を元に法律(財産措置法)を制定
(2)日本の司法は本件条約および法律を根拠に個人請求権を否定
 本件条約をもとに、韓国国民による請求権がないことを確認する法を制定し、その法に基づいて司法が判断をしたという極めて分かりやすい論理です。
 さて、後に問題になる韓国国内における本件条約の国内効力についてですが、その前に日本の場合についても考えておきます。例えばですが、日本の司法が「本条約は憲法に違反している」として違憲と判断することももちろん可能です。一応、ここでは条約に対して憲法の方が優先されるという通説を前提にしますが、そういう判断も可能ではあるということ。
 よって、後述するように、韓国司法が請求権を認める判断をしたとして、それが仮に日本政府の主張する条約の内容に違反していたとしても、司法判断としては可能なのです。


3、韓国国内の関係

 事実が変遷していますので、それも指摘しておきます。
(1)条約の国内法制定なし
(2)韓国政府は本件条約ですべてが解決したわけではないと主張
(3)裁判において韓国通商部は本件条約にかかる資金供給に賠償が含
   まれるとの書面を提出
(4)裁判所が請求権を認める判決を出す
 見ての通り、当初の韓国政府の対応の変遷がありますが、基本的には本件条約によって個人請求権も認められないということは同意しています。
 ただ、司法が別の判断をした、ということで今回の問題が起こっている訳ですが、それは上述したようにあり得る話ですし、その判断に対して韓国政府が強制的に判決を変更するように圧力を加えることは出来ないでしょう普通は。これを一般的には三権分立、特に司法の行政に対する影響力を排除する、というものに当たります。日本でいえば大津事件が良い例でしょう。
 また、日本の法律である財産措置法はあくまでも日本国内の効力を持つ法律ですので、それがあるからといって韓国司法は同法を適用して判断する必要性はありません。これも一般的な常識としてみたらわかると思います。


4、日本と韓国の関係その2

 ここが本題。問題を分かりやすく言えば以下の通り。
日本の条約に関する司法の判断と、韓国の条約に関する司法の判断が矛盾している場合に、両国の政府ができることは何か?
(1)一つ考えられることは、互いの政府が互いの司法に対して判決を変更するように圧力ないし強制力を加えること。
 まず、日本政府が韓国司法に、あるいは韓国政府が日本司法に対して判決を変更するように圧力を加えることが考えられます。しかし、これらは国家作用に対する他国からの侵略行為、いわば国家の独立権を侵害する敵対行為になります。
 よって、時折記事や意見で聞かれる「日本政府が韓国司法に対して圧力を加える」というものは確実に誤りです。
 もっとも、日本政府が韓国司法の判断を「批判」することは問題はありません。確かに批判と圧力の差異は何か?と問われれば難しいですが、ようは批判はしても影響力を行使することは出来ないということ。ある意味で韓国司法の判断というのは国家統治権や独立権を重視したものだと言えなくはないのです。

(2)次に、韓国政府が韓国司法に対して判決の変更をするよう強制することが考えられます(日本政府と日本司法は意見が一致しているためこれはあり得ない)。しかし、このような司法に対する強制というのは三権分立の関係から出来ないでしょう(こらそこやっているとか言わないように!)。
 つまり、三権分立というのは、あくまでも国内の国家組織間の関係性を表すに過ぎないため、日本政府が何かを言う場合に出てくる言葉じゃないのです。
 ということは、両国ともに他国の司法ないし自国の司法の判断を行政が覆すよう強制することはあってはならないこと。じゃあ、この問題解決しないどころか互いの条約に関する解釈が矛盾している状況が続くってこと?いえいえ、解決策はあります。

(3)司法に対して強制できないのならば行政が行政として政治的な判断をすることができるでしょう。行政は独自の判断で解決を導き出すことができるのです。三権分立の観点から行政が司法判断を覆すことは出来ないのと同じく、司法も政治的な判断をすべて審理することは出来ません。
 例えばですが、日本政府側が妥協をして今回に限り賠償を認める、と判断することも、韓国政府が当該賠償については韓国政府が支払うとしても、それが高度の政治判断であるのならば可能な場合があるのです。
 もちろん、この判断は国民によって選挙と言う方法で審査されることはあるでしょう。その結果、当該行政行為を否とする結果が出る可能性はあります。もちろん、その場合には今度は行政行為における信頼の法理が働きますが、それはまた別の話ということで。





 ということで、徴用工詐称問題を関係性に分けて説明をしてみました。
 断っておきますが、私はこれらの政治的な妥協案を行使しろといっている訳ではありません。紛争の終局的解決を図る条約に例外を加えるなど論外なのは当然だと考えていますので。ただ、今回はどういう方法があるのか?という説明に終始しているだけのことです。
 長くなりましたが、言いたいことは条約と国内法の矛盾判断を両国がどうしていくべきか?と言う点に終始します。基本的には日本は司法を含めて終始一貫した判断をしている一方で、韓国は政府答弁の変遷もあり司法判断もそれに左右されている傾向がうかがい知れます。
 まあ、結論は今回は省略しましょう。





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