3月11日に東日本大震災が起こり、東北地方では、多くの人たちに対する 「こころのケア」 が必要になっています。

そこで、今日は、『心と身体をつなぐトラウマ・セラピー』 (ピーター・リヴァイン著、藤原千枝子訳、雲母書房) から、その内容を紹介することにしました。

「トラウマ」 は、「病」 ではありません。また、「カタルシス」 によって癒されるものでもないのです。
つまり、「薬」 や 「心理学の知識」 や、ただ共感するだけの方法で対処できるものではありません。

『心と身体をつなぐトラウマ・セラピー』 は、トラウマが、人間全般に対する広く深い理解なしに対処できないものであることを、語っています。

今回は、その一部を、色付けせずに抜粋して紹介します。
関心を持った方は、ぜひ本をお読みください。

※ ※ ※

・「有機体を研究する際は、身体と心、原始的本能、感情、知性、そして精神性(スピリチュアリティ)のすべてを考慮に入れる必要があります。」p.14

・トラウマを自然現象として癒すプロセスとは…「我々の誰もが持っている生来の癒しの叡智を取り上げ、それをまとまった全体性へ織り上げる試みです。最も原始的な生物反応の世界への旅に出るのです。」p.15

・トラウマの癒しのプロセスの知識は…「個人と社会の両レベルにかかわりがある」p.16

・「世間を揺るがす出来事から生じるトラウマの衝撃は、家族、地域社会、そしてあらゆる人々に損害を与えます。トラウマはいったん起こると、無限に続く可能性があります。トラウマがトラウマを生み続け、我々が立ち上がってその増殖を抑えようとするまで、家族、地域社会、国家の中で世代を超えて広がり続けるのです。」p.16

・「激しく感情的なカタルシス的な治療法の中には有害なものもあります。」、「カタルシス的アプローチは長期的にはカタルシスの継続に対する依存を作り出し、いわゆる『虚偽の記憶』の出現をうながすものだ」p.17

・「トラウマの持つ性質からして、カタルシス的な再体験は、治癒的に働くよりもむしろ、さらなるトラウマを引き起こすことになりかねません。」p.17

・「トラウマの癒しの鍵は、強烈な感情よりもむしろ、身体感覚です。」p.19

・「トラウマの癒しの過程では変容が起こる」p.19

・「人間のトラウマ症状を癒す鍵は、からだを震わせて硬直反応から抜け出し、元の機能と運動性を完全に回復する野生動物のしなやかな順応性を取り入れることである」p.26

・「PTSDの症状は、この『硬直』あるいは『凍りつき』状態に入り、それをくぐり抜け出て行くというプロセスを完了できないときに発現します。」p.28

・(トラウマの残余エネルギーは)「身体に残り、しばしば不安、うつ、心身症、問題行動など広範囲にわたる症状を作り出します。これらの症状は、行き場のない未放出のエネルギーを何とか閉じ込める(あるいは囲い込む)ための有機体の対処法なのです。」p.29

・(セラピーでクライエントに対して) 「リラクゼーション」 ⇒ 「ひどい不安発作」 ⇒ 「麻痺し、呼吸ができない」 ⇒ 「心臓は激しく鼓動し」 ⇒ 「次にほとんど止まってしまったよう」 ⇒ 「私 (セラピスト) は (クライエントの) 地獄のふたを開けてしまったのでしょうか?」p.38

・「トラウマの癒しには、古い記憶を掘り起こして感情的な痛みを再体験する必要はない」p.40

・「症状と恐怖から解放されるために必要なのは、深い生理的な力を喚起し、意識的にそれらを用いることです。本能的な反応の筋道を変える我々の能力を反動的ではなく主体的に用いること」p.40

・「トラウマを経験し尽くして本能的反応を完了することができないとき、こうした未完了の活動はしばしば私たちの人生を損ないます。未解決のトラウマがあると、私たちは極端に用心深く引っ込み思案になるか、トラウマの再現や虐待、危険な状況へ無分別に身をさらすといった、抜け出すのが難しくなる一方の悪循環へとはまりこんでいきます。」p.41

・「トラウマの症状の中に閉じ込められているのは、トラウマを建設的に変容するために必要なエネルギーや可能性、資源そのものです。症状を抑えるために薬を使ったり、適応やコントロールを強調しすぎたり、感情や感覚を否定したりなかったことにすると、創造的な癒しのプロセスが遮断されてしまいかねないのです。」p.47

・「トラウマを病とみなすとき、(中略)薬は頻繁にこの自然で創造的なプロセスを押さえ込むために使われてきました。回復反応が薬で抑え込まれていても、恐怖の中に閉じ込められていても、あるいは純粋に意思の力でコントロールされていても、そのとき生来の自己調整能力は横道にそれています。」p.49

・「多くの場合、トラウマは長時間のセラピーや、痛ましい記憶の再体験や、薬への継続的依存なしに癒せるのです。」p.49


・・・後に、つづく。