2007年06月

2007年06月29日

二の丸庭園の菖蒲

 

 

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torublo at 01:31|PermalinkComments(4) 写真−花 

「クリストファー・ドレッサー展」

国立近代美術館工芸館のクリストファー・ドレッサー展を鑑賞。

 

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国立近代美術館工芸館では、
所蔵作品展としてヨーロッパにおける
最初のインダストリアル・デザイナーと評される
クリストファー・ドレッサー(1834-1904)の展示が行われている。

ドレッサーは今回初めて名を耳にするデザイナーであるが、
ネットで調べてみると、回顧展もたびたび開かれているアーティスト。

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家具、メタル製品、磁器、ガラス器、壁紙など、
多岐に渡るデザインを、ミントン社やウェッジウッドをはじめとした
有名ブランドに提供していたマルチ・アーティストだが、
国立近代美術館の工芸館ではドレッサーの作品を多数収集している。

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キャプションによると、ドレッサーは明治時代に日本を訪ねており、
影響を受けているようであるが、
そのデザインはミニマムで現代にも十分通用する洒落たセンスのもの。

 

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torublo at 01:08|PermalinkComments(2) 美術 - 西洋美術 

2007年06月27日

伊藤哲個展と「宵の口」

赤坂のギャルリー江夏にて
日本画家伊藤哲先生の個展を友人Nと鑑賞。

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伊藤画伯はまだ40代でいらっしゃるが、
月刊美術6月号で表紙を飾るほど評価が高く、
さらに特集には美術評論家の瀬木慎一氏による寄稿も掲載されて
非常にご活躍でいらっしゃる。

 

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伊藤画伯の絵は、
高い伝統技法によるさまざまな画がコラージュのようにつながれて
シャープな感覚でひとつの画面を成している。

じっくりと描きこまれた画はどれも上品で美しく、
大和絵の伝統的な奥ゆかしさと、
現代的洗練が共存しており、
複雑な画面構成は、観るもののイマジネーションをかきたて
その奥に潜む物語を感じさせる。

画伯に、さまざまな日本画の技法や顔料について、
丁寧にご説明頂いたのち、
画伯とNの3人で赤坂「宵の口」で食事となった。



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ここは「月の庭」「たまさか」「こんぶや」と同系列の店。

「結帯本家喜寅屋」という帯店だった建築物を改装した店だが
名物は中央に位置する中庭。


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山紫陽花、薄、萩、撫子などの野草が
色とりどりに咲き乱れる庭は
まさに日本画で見る武蔵野の風情である。

 

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torublo at 01:12|PermalinkComments(3) 和食 

2007年06月25日

スカラ座バレエ「ドン・キホーテ」


むっちゃ時間が経ってしまったが、ミラノスカラ座バレエ
「ドン・キホーテ」を6月9日マチネ(スカラ座プリンシパルキャスト)で鑑賞。

 

●ダ・ヴィンチ「受胎告知展」、「ペルジーノ展」、「パルマ−イタリア美術」
パレルモ・マッシモ歌劇場、スポレート歌劇場公演などと同様、
これもPRIMAVERA ITALIANA イタリアの春・2007の一環。

スカラ座は以前2度の来日公演のレベルにビックリしたので、
今回は見送るつもりだったが、編集長さんにご招待頂き、ご一緒した。

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●ヌレエフ版ということでマイムも多く、
日頃見なれたドン・キホーテとは構成も振付も違う。
美術と装置はさすがイタリア、重厚で美しい。

民族舞踊のシーンなどは面白かったし、珍しくて迫力もあったのだが、
クラッシックバレエの基本が不足したダンサーが多く、
足があがっていなかったり、揃っていないので、
全体としての印象はもうひとつ。

ザハロワの「白鳥の湖」「ジゼル」のDVDもスカラ座バレエ団なのだが、
ザハロワばかりに目がいって、特に印象がない・・・

どこのオペラハウスでも、
バレエとオペラのどちらか一方が勝っている事が多い。
スカラ座はオペラの殿堂ではあるが、
優秀なダンサーは他のバレエ団に流出してしまうのだろうか。


●今回の第一キャストはタマラ・ロホとホセ・カレーニョ。

ロホは絶妙なバランス感覚と強靭なテクニックを持つ
英国ロイヤルバレエのプリンシパル。
去年の世界バレエフェスティバルに続いてのドン・キホーテ全幕。

手足が優美に見えないので好きなタイプではないが
2年前のロイヤルバレエ来日公演の「マノン」では、
ドラマチックで素晴らしい演技を見せていた。

前日に見た友人によるとグランフェッテで軽く5回転も出たらしい。

昔、バイエルン国立歌劇場バレエのジョイス・クォーコが
3−4回転を回るフェッテの女王として
世界バレエフェスティバルでも名物となっていたが、
ロホはクォーコの比ではない。

ぐらつきながらも回るクォーコに比べて
ロホのフェッテは揺らぎもせず、安定と余裕がすごい。
今回もトリプルが交互に入るフェッテと余裕のバランスに唖然。
ドン・キホーテは技巧メインなので当然だが、
ロホとカレーニョの公演は大変な盛り上がり。

 

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●6月7日マチネはロマーニャとゼーニのスカラ座プリンシパル組。
「空席が多いのでは?」と心配したが
一階席は見たところほぼ満席。

会場で会った友人から
「ロマーニャは97年の世界バレエフェスティヴァルで
ロベルト・ボッレと「アポロ」を踊ったよ」と教えてもらう。

だが、イザベル・セアーブラとボッレのコンビは覚えているが、
ロマーニャのテレプシコールは見たのに記憶にない・・・(-_-;)

ロマーニャは背が高くてスラリとしたバレリーナ。
おっとりとした踊りで、体力があるように見えず、
キトリに向いているとは思えなかった。

2幕「夢の場面」ではしっとりと優雅な踊りを見せて1幕より断然よいがジュッテはもっとダイナミックに踊ってほしいところ。
ドン・キホーテは1幕と3幕を火花のような演技と強靭なテクニックで踊ってこそ
エレガントな2幕が映えて良い、と今回改めて思った。

●3幕のグラン・パドドゥではグラン・フェッテを10数回廻ったところで
足をついてしまった。
本人もあせったと思うが、トゥールピケに切り替えて舞台を廻る。

マヤ・プリセツカヤは黒鳥32回転で失敗してから、
いつもトゥールピケで演じるようになったと本で読んだことがあるが、
32回転を最期まで廻れなかったバレリーナははじめて見た。
友人の中には「指揮者が悪い」という声もあり。

「バレエへの招待」DVDでオペラ座バレエ学校クロード・ベッシーが
「ドン・キホーテでは部分的なミスを気にする必要はない。
次から次へと見せ場があって、観客もいちいち覚えていないのだから」
と話していたが、グラン・フェッテは最大の見せ場だけに大きい。
ロマーニャは足のあがり方がもの足りなく、切れ味がすっきりしない。

バジルのミック・ゼーニは、見栄えのするダンサーで不満はない。
ヌレエフ版のややこしい振りを健闘して踊っていたと思うが、
欲を言えば華が不足。数々の名ダンサーによる
ドンキのグラン・パドドゥを見慣れた東京ではやや分が悪い。

●余談になるが、スカラ座バレエ団といえば、
以前ニューヨークのリンカーン・センターでスカラ座バレエ団渡米公演を見ている。

演目はシルヴィ・ギエム振付/主演による「ジゼル」、
ヴィヴィアナ・デュランテ/マッシモ・ムッルによるプティ振付「カルメン」。

デュランテは、もちろんカルメンは得意の演目で絶品だが
ギエム独自の解釈によるジゼルは、ミニマムな装置と衣装、
独創的な振付で評判を呼んでいた。

特に2幕では、精霊達がおのおのがデザインの異なる花嫁衣裳で登場し
強いスポットライトの下で群舞を舞うのが華やかながら壮絶な印象だった。

このときは群舞は気にならなかったんだけどね・・・
ギエムの踊りは文句なしの美しさであった。



torublo at 23:26|PermalinkComments(2) バレエ 

2007年06月21日

フォトストレージとDS

来週の25日から10日間ほどヨーロッパに行く予定である。

友人を訪ねて遊びに行くのだが、久々の休暇にワクワクで準備中〜ヽ(^。^)ノ

ウルツブルグ、ローゼンハイム、ミュンヘン、ホーエンシュヴァウガウ、ブダペストなど、ロマンチック街道を中心にドイツやハンガリーを訪れる予定だが、デジカメ用にフォトストレージを買ってみた。

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きれいな景色を見ると写真を撮りまくってしまう癖があるので、2ギガのSDカードでは足りないと思い、EPSON PHOTO FINE-P2500を3万7千円で購入。

IPODは軽くていいのだが、パソコン経由でないと写真が取り込めない。それに比べてこのフォトストレージはモニターが3.8インチあり、画面が美しいのだが、重いのと高いのが難点か。今どきならもっと小さく出来そうなものだが、40ギガあってメモリー容量を気にせず写真が撮れるので、今からウハウハである。

さて、現地で友達と一緒にやろうと思い、他にも旅行用にニンテンドウDSソフトを買ってきた。「ピクロスDS」だけの予定が、うっかりして5本もお買い上げ。

実はオレは結構なゲーマーである。だが基本的にオレにとって、ゲームとは、友達と盛り上がるためのもので、ひとりではやらない。しかしDSにはパズルや知的ソフトが多くて、ゲームオタク以外の人にも楽しめるようになっているのでお気に入り。特に最近は人の名前が思い出せないことの多くて脳細胞が怪しいので、「脳トレ」は欠かせない・・・

ニンテンドウDSは素晴らしいゲーム機だと思う。

PSP(プレイステーションポータブル)も持っていたが、DSは?ペンを使って文字が書ける ?その文字をDSが認識できる ?大人向きの知的ソフトが多い などの点において、非常に優秀。PSPはヤフオクで売ってしまった。

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ピクロスDSはイラストロジックと呼ばれる人気のゲーム。25×25のマスをルールに従って穴埋めすると、絵が浮かび上がるというパズル。非常に頭を使うのでお気に入り。解いていると、ついつい夜中ということも・・・

「いまさら人には聞けない大人の常識力トレーニング」
ゲームとしては新しい分野。1400問もあって、一般常識の簡単なものから、敬語、礼儀、社会問題まで、難しい問題もあり、あきさせない。ゲームとしての完成度は高いが、もうちょっと問題が難しかったら燃えるのだが・・・

ちょっと古いが人気アドベンチャー「逆転裁判」。弁護士になりきって事件の謎を解く、というストーリー展開がスピーディで面白いとの評判。まだ試してないが、寝不足にならないようにしないと・・・


続く・・・・↓

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torublo at 23:28|PermalinkComments(4)

2007年06月19日

バンコク風景 ワットポー

 

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torublo at 01:20|PermalinkComments(2) 旅 − アジア 

2007年06月17日

開館40周年記念 山種コレクション名品展

開館40周年記念-山種コレクション名品選(前期)を鑑賞。

山種美術館は山種証券の創業者である
山崎種二氏による近代日本画コレクションを中心とした美術館で
奥村土牛や速水御舟の名品所蔵で名高いが、
開館40周年を迎えて、
前期、後期にわけて選りすぐりの作品が展示されている。

奥村土牛は近現代の日本画家の中でもとくに好きな画家。

何重にも塗り重ねた透明な白地に
さらりと淡い色彩で描かれた画面は
土牛ならではの清らかさで、いつみても心が洗われる。

 

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「醍醐」
は醍醐寺三宝院の桜を描いた83歳の時の絵。

白壁に絢爛と咲き掛かる枝垂れ桜が、
ほのかな桜色で描かれているが、
花びらは象徴化されて同形の繰返しとなって、
地面に散る花びらは、ただの白い点となる。

細部にこだわらずに、
不要なものを省いたミニマムな画面は究極の美しさ。

たらしこみ技法による樹幹や
石の濡れたような質感もすがすがしい。

土牛は描く前に何時間も顔料を摺ったと聞くが
どの絵もそんな隠れた努力を全く感じさせないさらりとした味わい。

80歳を越えて、なお円熟を増していたとは驚くべき画家である。

 

      

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「名樹散椿(重要文化財)」

日本画の写実において先駆的な地位にあった速水御舟による名品。

鮮やかな金地に描きこまれた華麗な椿が、
苔の緑と美しい対比を成して美しい。

花と葉は単純化されているが、細密に描かれていて
時が止まった永遠の世界を作り上げている。

40歳で早逝した御舟の35歳の作というから驚かされる。
昔の人の人生は短く、そのぶん早く盛りを迎えていたのだとと思わされる。

 

 

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村上華岳「裸婦図」も鮮烈な印象を残す。

目を細めてうっすら微笑んだ女性は、
薄物を羽織っているが、その裸身は透けて
清らかながらも妖艶な空気を放っている。

裸婦の形を取った菩薩のようにも見えるこの絵は
その曖昧さゆえに、繊細と大胆、清浄と官能、夢と現実とが
混在したような不思議な魅力を漂わせている。

どこともつかない背景と、神秘的な笑顔はモナリザを思わせる。

 

他、前期では、竹内栖鳳「斑猫(重要文化財)」
酒井抱一「秋草鶉図(重要美術品)」、横山操「越路十景」、
小倉遊亀「涼」、加山又造「冬山」など。

後期では奥村土牛「鳴門」、加山又造「波濤」、
川合玉堂「鵜飼」、速水御舟「炎舞(重要文化財)」など
美術館を代表する名作が出品される。



torublo at 23:41|PermalinkComments(0) 美術 - 日本・東洋美術 

2007年06月16日

新国立劇場「ばらの騎士」

新国立劇場「薔薇の騎士」を鑑賞
(2007年6月12日/ 6月15日)

 

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    元帥夫人:カミッラ・ニールント
    オックス男爵:ペーター・ローゼ
    オクタヴィアン:エレナ・ツィトコーワ
    ファーニナル:ゲオルグ・ティッヒ
    ゾフィー:オフェリア・サラ

    指揮:ペーター・シュナイダー
    演出:ジョナサン・ミラー
    美術・衣裳:イザベラ・バイウォーター

 

リヒャルト・シュトラウスは
最も好きなオペラ作曲家であり、
中でも「ばらの騎士」は特別に好きな作品。

 

オペラを見るようになって20数年、
ルチア・ポップ、ヨハンナ・マイヤー、シェリル・シュトゥーダ、
カラン・アームストロング、イヴォンヌ・ケニー、フェリシティ・ロット、
ルネ・フレミングなどさまざまな元帥夫人役で
「ばらの騎士」を見る機会があったが、
今回の新国立上演はこれまでを上回る感銘をもたらす公演となった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
若くして初老の元帥と結婚させられ、
ウェルテンベルグ公爵夫人として
何不自由ない生活を送る美しいマルシャリンは、
若いオクタヴィアン伯爵との情事で、
満たされない心を埋めている。

だが、ちょっとしたいたずら心から、
野暮な中年のオックス男爵と婚約した少女ゾフィーとの
結納代理人にオクタヴィアンを推薦したばかりに、
若いオクタヴィアンとゾフィーは互いに心惹かれあうようになってしまう。

やがて老いていくわが身を憂い
「いずれオクタヴィアンが自分のもとを去る日が来るだろう」
と感じていたマルシャリンは、辛い現実に苦悩しながらも
「全ての物ごとには終わりがある」と身を引く決心をし
若い二人を祝福して去っていく。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

華やかで陶酔的な音楽のかげに、
誰もが経験したことのある苦い別れと、老いへの憂い、
そして、それらを受け入れて、
人間として成長していくマルシャリンの姿を描いているところに、
このオペラの格別の味わいがある。

 

フィンランド出身のカミッラ・ニールントは、
女優デボラ・ウィンガー似のソプラノ。

出産直後で肉付きが良いが
それでも凛とした表情が気高く、
輝くように美しい歌手である。

楽しそうに笑い、ひとり寂しげに涙する姿は可憐で、
こんなにもマルシャリンにふさわしい容姿と演技の歌手がいたことに
感嘆した。

 

すっと立つ姿からは、貴族の品格が漂い、
真摯で情熱的な演技は、心に染み入るようである。

 

ジョナサン・ミラーの演出ノートによると、
舞台はこのオペラ初演時の1911年に設定されている。

 

幕が開くと、天井まで届くような高窓が並び、
繊細なシャンデリアと絵が飾られたマルシャリンの寝室。

 

右手に廊下があり、寝室の外の出来事も見える。

イザベラ・バイウォーターによる装置は簡素ながら美しく、
大きな窓から朝日がさして室内を照らし、
晴れやかなマルシャリンの気分を象徴するかのようである。

 

指揮ペーター・シュナイダーと、歌手陣も充実しており、
オクタヴィアンのエレナ・ツィトコーワ、
オックス男爵のペーター・ローゼも素晴らしい。

 

だが、何より圧倒されたのは、
やはりマルシャリンを演じるニールントの細やかな演技と、
ジョナサン・ミラーの巧みな演出である。

 

たとえば、1幕半ば、
寝室に押し寄せる物売りや客にイライラし
次第に精神のコントロールを失って
「みんな下がって!」と頭を抱えて叫ぶマルシャリン。


なおも居座り、銀の薔薇を出そうとする男爵に
「箱に入れたままにして!」と、
我慢しきれないといった素振りではねのける。


さすがに鈍感な男爵も憮然として、振り返りもせず部屋を立ち去る。
そして、いらいらした気分を引きずったままマルシャリンは、
苦々しい表情で「ようやく帰った。あの高慢な男・・」
と吐き捨てるようにつぶやいて、モノローグへ続くのである。

普段見なれた場面であるが、
歴代のマルシャリンは、貴族としての抑えた演技が中心で
こんなにも激しく演じられることはなかった。

 

些細なきっかけで、
全てのことが急に嫌に感じられることは
誰でも経験すること。

その前まではオクタヴィアンと楽しそうに笑っていたマルシャリンだが
「私ははしゃいだかと思うと、急に悲しみに沈んでしまう。
自分でも感情を抑えられないのよ」との言葉通りの演技は
この一連の場面を新しい感覚で見せてくれた。

ニールセンのマルシャリンは、
高貴な雰囲気をかもしながらも
どこか見る者に共感を覚えさせるもの。


外の廊下では召使が椅子に座ってうたた寝をし、
誰もいなくなった部屋で、苦しげに独白するマルシャリンの姿からは
貴族の称号を持ち、美しく着飾って、
たくさんの召使にかしずかれているのに
満たされない、そんなさみしさが伝わってくるようである。

戻ってきたオクタヴィアンの情熱的な話を、
目もあわせずに、うつむいて聞くマルシャリン。
「今は聞きたくない」という暗い表情のマルシャリンに、
不安を抑えきれないオクタヴィアンはついに背を向けて立ち去る。

オペラの中の2人のすれ違いが、身につまされて感じた。


オクタヴィアンが去った後に、マルシャリンは我にかえり、
召使に呼びとめさせようとするが間に合わない。

そしてにわかに降り出す雨・・・。

大きなガラス窓をつたって雨が流れ、
流れる水影がガランとした屋敷の壁に映る。

雨の中をずぶぬれで馬を駆るオクタヴィアンを思うマルシャリンの心を
うつすかのような寂しい光景・・・。

精神的に疲れきって、窓辺に立ちマッチに火をつけ、
乾いた表情でタバコを燻らすマルシャリン。

薄暗い室内にマルシャリンがシルエットととなり、
外を降る雨が室内に反射している。

マルシャリンの孤独を、
これほどまで雄弁に感じさせた演出があっただろうか。

予想もしなかった切ない幕切れに思わず鳥肌が立った。

 

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torublo at 11:18|PermalinkComments(2) オペラ 

2007年06月10日

新国立劇場「夏の夜の夢」

新国立劇場「夏の夜の夢」を鑑賞(6月8日)

アテネ公爵シーシアス
      /妖精王オーベロン・・・・・・・・村井国夫
アマゾンの女王ヒポリタ
/妖精の女王ティターニア・・・麻実れい
パック・・・・・・・・・・・・・・・・・・チョウソンハ
ライサンダー・・・・・・・・・・・・・・細見大輔
ディミートリアス・・・・・・・・・・・・石母田史朗
ヘレナ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・小山萌子
ハーミア・・・・・・・・・・・・・・・・・・宮菜穂子
ボトム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・吉村 直
豆の精・・・・・・・・・・・・・・・・・・神田沙也加

原作:シェークスピア  翻訳:松岡和子  
    演出:ジョン・ケアード 
美術/衣裳/ヘアメイク:スー・ブレイン  照明:中川隆一

村井国男と麻実れいのベテランを中心に、石母田史朗(青年座)
細見大輔(キャラメルボックス)、神田沙也加などさまざまな若手を配し
さらに英国ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーのジョン・ケアードを
演出家に迎えての豪華プロダクション。

今までに鑑賞した新国立の演劇中でも、かなり上質で
楽しいアンサンブルの舞台である。

●中劇場のステージ両脇に作られたピットに
バンドが別れてメンデルスゾーン「真夏の夜の夢」を演奏する。

フルオーケストラを聴きなれた耳には物足りないが、
逆にその素朴さがいかにも村芝居っぽくて楽しい。

舞台にはアテネ公シーシアスの白い御殿が立ち、
スーツにサングラス姿のシーシアス(村井国男)とマフィア風な部下達、
アマゾンの女王ヒポリタ(麻実れい)は白い刺繍のドレスに皮のブーツ。
全体がハードで現代的なイメージ。

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●舞台が回転すると、シーシアス候の御殿裏から現れたのは
妖精王オーベロンと女王タイターニアが潜む夏至の森
(村井と麻実の2役)。

舞台が回ると同時に、舞台中央部を照らす一筋のライトが、
カメラの絞りが開くかのように舞台上に開がって、
一瞬にして森の気分がみなぎる。

森の装置は、うねるような鉄の階段である。
鉄の曲線が絡まりあってアールヌーヴォのようにも見えると同時に
交錯する鉄が寄せ集めた廃材のようにも見える。
階段上にはティターニアのベッドが置かれている。

個人的には緑溢れる神秘的な森が見たかったが、
この現代加減がいかにもシェークスピアのお膝元英国の演出
といった気分で、これはこれで美しい。

●ティターニアの率いる妖精は白いチュチュを着て、
ちょこんと着脱式の羽を背中につけた少女達。

神田沙也加の歌う豆の精、いかにもバレリーナ風な妖精、
チュチュがはじけんばかりの太目の妖精まで、
さまざまな見た目の少女は寄せ集めの偽物集団のようでユニーク。

対する妖精王オーベロンに率いられた妖精達は黒服を着た集団。

とがった耳の妖精達が鉄パイプの木々にぶら下がるさまは
群れた小猿かコウモリのよう。

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●全キャスト中で群を抜いて素晴らしかったのはチョウソンハ演じるパック。

学生服のいでたち、悪戯なまなざしと表情で舞台狭しと飛び回るさまは
全てのドタバタの元凶となるそっかしさを全身から溢れさせて圧巻。

オレが鑑賞したのは6月8日だったが、
1幕の後の休憩が終わって2幕で再登場したパックは
包帯で手を吊っている。

オーベロンの村井が
「どした?さっきのバクテンか?」と聞くとうつむいて「はい・・・」。
「このまま続けられるか?」といったアドリブも生々しく
会場の笑いを誘っていたが、ソンハは1幕中で負傷した様子。

この日以降、最終日の17日まで代役をたてずに演じ通したようだが
いたずらでパワフルなソンハの演技は、
この喜劇の求心的な役割を果たし、全ての騒動に説得力を与えていた。
まだ25歳というが、若いながらも素晴らしい俳優である。


●麻実れいのティターニアは、予想を裏切らず、
堂々たるオーラを放って素晴らしい。

だが1999年映画「真夏の夜の夢」でミッシェル・ファイファーが演じた
繊細でヒステリックなティターニアがディフォルトとなっている
オレにとっては、麻実はやや立派すぎる印象も・・・。

それにしても宝塚出身女優は、誰もが見事な演技と歌唱力
コメディーなどの舞台表現を身につけていて、
そのオールマイティーさにはいつも驚かされる。

●ボトムのロバ面は、耳がピクピク動き、
唇が開いて歯がむき出しになったり、つぶらな目が瞬いたり、
精巧に出来ていて楽しい。
かわいらしい動きは観客の笑いをかっていた。

●負傷しながらも演じ通した幕切れのパックの最期の口上は味わい深く
負傷の痛みからか、カーテンコールで涙するソンハに
心から拍手喝采である。

他にも、素朴な吉村直(ボトム)、小山萌子(ヘレナ)、
細見大輔(ライサンダー)も印象深い。

 

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●堂々たる貫禄のオーベロンとティターニア、
若く凛々しい2組の恋人たち、元気いっぱいの妖精パック
「この人たちホントに俳優?」と思うほど田舎っぽいボトムと職人たち
とそれぞれの役割がくっきりと明確な配役が
見事なアンサンブルを成して、とても楽しい舞台である。

 

●大勢のキャストを率いるジョン・ケアードの演出は
スピード感があって、現代的でもありながら、
込み入った物語を観客にわかるようにしっかり見せる。

現代においては、過剰な修辞が時に気になるシェークスピア作品だが
今回は違和感なく見ることができ、
心から楽しみながらコメディーの古典的名作を堪能した。

 



torublo at 01:36|PermalinkComments(0) 演劇とミュージカル 

2007年06月06日

サントリー美術館「日本を祝う」

六本木に新装オープン成ったサントリー美術館に母と行く。

 

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サントリーは、陶芸、硝子、絵画など
3000点に及ぶ古美術収集で知られ
そのコレクションは国宝や重要文化財も含む重厚なもの。

 

「和のモダン」をテーマにしたという隈研吾による空間は
格子や木を多用して爽やかで気持ちが良い。

ライティングも美しく、あちこちに置かれたガラスケースは
作品をさまざまな角度から眺めることができて、
繊細な工芸を見るには最適である。

 

新サントリー美術館は、東京ミッドタウンの3-4階にあり
4階展示室から天井高9mという緑のみえる壮大な吹抜けを通り抜け
3階展示室へ移動する流れになっている。

 

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開館記念として開かれていた「日本を祝う」展(6月3日で終了)

コレクションの中から「祥・花・祭・宴・調」という
五つのキーワードによって華やかななイメージの美術品が展示され、
開館記念にふさわしい祝典的な気分が溢れている。

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狩野探幽による「桐鳳凰図屏風」

金地に描かれた雲と流れ。
華やかな金屏風はあたかも永遠を象徴するかのよう。

時の止まった世界で、空想の鳳凰が華麗な羽を伸ばして遊ぶ。
想像上の鳥を独創豊かに描いた屏風は、華やかさに溢れている。

 

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数ある鍋島と伊万里の中で目を引くのが
染付松樹文三脚皿
(重要文化財)

鍋島藩の御用焼として、
採算を度外視して製作されていた鍋島焼は、
民間の陶器とは一線を画しており、
デザインの独創性、繊細な絵付、全てにおいてレベルが高い。

その中でもこの絵皿は、美しい足が印象的である。

こんなに大きくて重たい皿が、
沈んだり、ゆがむことなく、完璧な半円形を保ち
しかも小さな三脚の上に焼かれていることに驚かされる。
色ムラなく描かれた松のモダンなデザインが美しい。

 

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浮線綾螺鈿蒔絵手箱(鎌倉時代 13世紀 国宝)

ふっくらした箱の全体に、螺鈿による綾織文が浮き出して、
金地と、玉虫色の螺鈿とが、優雅な雰囲気を醸している。

鎌倉時代というと質実剛健なイメージだが
その一方で京には後深草院二条の日記「とわずがたり」に見られる
西園寺家のような華やかな貴族もいた。

おそらく、そういった公家の所持品だったのだろうか。

こんなに美しい手箱に、
どんな人が、何をしまっていたのだろうか、と
時代を超えた想像をかきたてられる。

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torublo at 23:51|PermalinkComments(4) 美術 - 日本・東洋美術 | 各地の美術館