2008年09月

2008年09月30日

松江城

 

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松江城は江戸初期1611年に5年の歳月をかけて完成されたもの。

築城時からそのままの形で天守閣が残されている城を
12天守(弘前城、松本城、丸岡城、犬山城、彦根城、姫路城、
丸亀城、高知城、備中松山城、松山城、宇和島城、松江城)とよぶが
考えてみたら姫路城以外で12天守に入るのははじめてである。

 

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初代藩主の掘尾吉晴は、関が原合戦の功績により、
出雲、隠岐の領主となったという。

その後、寛永15年には家康の孫にあたる松平直政が入城して
以降、234年に渡って松平時代が続いたというから、
ここ松江は重要な地であったに違いない。

 

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天守は5層6階だが、構造上の強度を確保するためか、
下層階には窓がほとんどなく、内部はかなり暗い。

中には松江城にまつわる品々が展示されている。

 

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各階をつなぐ階段は取り外し可能で、
戦時には階段を引き上げて、
敵の侵入を防ぐことも可能だという。

床や階段は長い年月を経て色つやを増し、
重厚な照りを見せている。


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torublo at 02:07|PermalinkComments(0) 写真−建築 | 旅 − 日本

2008年09月29日

鑑賞日記 2008年8−9月

多忙のため、なかなか記せないので、この2ヶ月のアート鑑賞を記す。

8/10
「舟越桂 夏の邸宅展」 東京都庭園美術館

8/13
ニュージーランド料理 アオテアランギ

8/22
「ドン・キホーテ」 東京バレエ団(ポリーナ・セミオノワ&ウヴァーロフ)

8/28
演劇「闇に咲く花」 (井上ひさし作/栗山民也演出)

8/30
「濱田庄司展」 日本民藝館

演劇「ウーマン・イン・ブラック」 (スーザン・ヒル作/ロビン・ハ−フォ−ド演出)

8/31
柴又帝釈天 / 山本亭 / 深川江戸資料館 / 東京国立博物館

9/4  
栗原利佳&ニコラ・ロッシ・ジョルダーノ リサイタル(東京文化会館小ホール)

9/10 
「アネット・メサジェ展」 森美術館 
「スカイ・アクアリウム」 森美術館

9/14 
「高山辰雄展」 練馬区立美術館

「百寿を超えて」 山種美術館 (奥村土牛、小倉遊亀、片岡球子)

「夏季展 赤のやきもの」 畠山記念館
(金襴手・万暦赤絵・古赤絵・南京赤絵)

9/15
「液晶絵画」 東京都写真美術館  
(森村泰昌、ビル・ヴィオラ、やなぎみわ、鷹野隆大、オピー他)

オペラ「エフゲニ・オネーギン」 二期会
(アニシモフ指揮 コンヴィチュニー演出)

9/18
マセラティ・オペラ・ライブ (樋口達哉、黒田博)

9/21
「小袖展」 サントリー美術館  (松坂屋京都染織参考館所蔵品より)

「行動展」 国立新美術館

「紙で語る」 大倉収古館 
(随身庭騎絵巻(国宝)、東大寺文書屏風(重文)、奈良絵本 忍びね物語)

「トレースエレメンツ」 オペラシティ・アートギャラリー
(松井智恵、古橋悌二、田口和奈、アレックス・デイヴィス、S・カーン他)

「麻田浩展」  オペラシティアート・ギャラリー



torublo at 07:10|PermalinkComments(0) 日記 

2008年09月20日

松江風景

 

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出雲を旅してきた。

全日空で米子空港に入ったが、
松江までの移動の間も周囲には湖や川を望み、
市内に入ってからも堀や運河などの水の景色が続く。

 

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松江城周辺には、江戸時代からの歴史を思わせる
美観地区の町並みが続く。

整備されたのは最近のことで、
以前はこんなにきちんと整った風景ではなかったようである。

観光資源を大事にして、
城下町らしい風景を再び蘇らせようとしているのは好感がもてる。

 

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松江は江戸時代には築城とともに栄えたそうだが、
塩見縄手と呼ばれる旧通りには、
堀沿いに松並木が続き、
小泉八雲旧宅、武家屋敷など、
風情ある建物が並ぶ。

 

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小泉八雲が住んだ旧松江藩士の武家屋敷(国指定史跡)


正面に臨む季節の趣に富んだ庭の眺めが美しい。

決して奥行きがある庭ではないが、
立体感のある美しい庭で、
わずかな面積であろうと、
緑の庭がもたらす潤いと快適性は計り知れない。


縁側に腰掛けると、開いた窓を心地よい風が通り抜けて、
いつまでも座っていたいほど。

趣味人の住んだ家という風情である。

 

 

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torublo at 02:23|PermalinkComments(5) 旅 − 日本 

2008年09月16日

高山辰雄遺作展-人間の風景



   

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昨年9月に95歳で惜しくも逝去された
「高山辰雄遺作展−人間の風景」が
練馬区立美術館で始まった。

外面的な美を様式的に描くにとどまる作家の多い日本画において
生きることへの問いかけとも思える、濃厚で、哲学的な人物画を描いて
稀有な存在であった高山画伯。

 

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後期(10月11日〜)の展示になるが、
「いだく」(1977年)は画伯の絵画哲学を感じさせる一枚で
最も好きな作品である(画像は部分)。

母に抱かれた幼子が光が照らされて、こちらを見つめている。

うっすらと謎めいた表情を浮かべた幼子は
どこか自信に満ちたようにも見え、
穢れない無垢な魂が光を放つかのごとき神々しさがあり
あたかもキリストを抱くマリア像のようだ。

 

この絵を見ると、ジョルジュ・ラトゥールの傑作「生誕」
(新生児キリストをのぞきこむマリアと母アンナ像)が浮かぶが
そんな、生きることのおごそかさや、生命の神秘、
また、何も知らない幼子と今後出会うであろうたくさんの優しい人々など
絵には描かれていないドラマすらを感じさせるところが
画伯の優れた力量であろうか。

 

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高山画伯の作品は、近くで見ると
輪郭線が判別できないほど茫洋と描かれたものが多く
どうやって描くのか不思議に思われるほど。

だが少し離れてみると、ものの形がおぼろげに浮かび上がって
はっとさせられる。

人を描いては、その生命を描き出し、
風景を描いては、森や家、画面に登場しない住人の息づかいを感じさせ
道を描いては、日々そこを歩く人々を思わせる・・・・

そういった技量は並大抵ではない。

 

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高山画伯には精緻に描かれた美しい牡丹の連作がある。

茶の画面に、描き込まれた更紗と籠、
妖艶な牡丹が炎のように揺らめき、
全体が不思議な遠近感で描かれている。

画伯の静物画は
どこか哲学的な気配すら醸して、味わい深い。

 

絵の横には画伯の言葉が添えられていた。

『僕が美術学校の学生だった頃のことですが、
植物写生というものを一番長いときには
一つの植物をひと月かかって写生したことがありました。

ひと月も描いていますと花もどんどん開いて背の高さも違ってきます。
その何を写生しろと言っているのか、
何をつかまえたらいいのかわかりません。

 

洋画というのはどの方向から光が射しているのかとか、
構図がどうだとか。空気がどんなだとか、
そんなことを言いますが、日本画はそうじゃないんじゃないか……

そのときから僕は、日本画というのは、
今ある現象を描くのではなくて、
昨日と今日と明日に繋がるこの「時」を描くこと、
今目に見えていることじゃなくて、
時の中にあって生まれて死んでいく植物、動物、人間、風景
そういう「時」そのものを描くのが
日本画の特徴の一つなんじゃないかと思うようになったのです』

 

前後期でたくさんの作品が入れ替わるが、
会場には芸大卒業制作「砂丘」から、
彫刻、未完の絶筆まで、代表作105点が展示されて、壮観である。

 



torublo at 20:28|PermalinkComments(4) 美術 - 日本・東洋美術