2010年07月

2010年07月24日

湯の峰温泉「あづまや」と「つぼ湯」



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以前より「訪れたい秘湯リスト」上位にあった「あづまや」は
熊野大社から車で10分程の鄙びた温泉地、湯の峰温泉にある。
開湯は1800年前で日本最古の温泉とされるが、知名度は決して高いほうではない。


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ここは熊野詣に先立ってまず身を清めるための
「湯垢離場(ゆごりば)」として知られてきた。


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江戸後期より営業する「あづまや」は湯の峰を代表する名旅館。
外見は決して豪華でも、侘びているわけでもないが、
世評に違わず、内湯「環湯」が素晴らしい。


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檜がふんだんに使われた湯殿は、天井が高くて開放的だが
床には滑り止めの格子が刻まれ、大きな湯船は黒光りして
その侘びた風情はたとえようもない。


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部屋にご挨拶に見えた女将がおっしゃるには
天井の空気口によって湯気がこもらないところも自慢だという。


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湯の峰温泉といえば、後述の「つぼ湯」が有名だが
「環湯」は「つぼ湯」と同じ泉質を持ち、成分が非常に濃い。


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大湯船の横には93度の源泉を冷ましながら注ぐ「さまし湯」がある。


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庭園を持つ露天は熱めだが、名湯に相応しい格調を漂わせている。

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torublo at 00:50|PermalinkComments(2)TrackBack(0) 旅館 | 旅 − 温泉

2010年07月17日

世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道―玉置神社」



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熊野古道を訪れた。
2004年に世界遺産登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」は
熊野、吉野、高野三山の広大なエリアにまたがる地域。


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歴史建造物や自然が対象となることが多い日本の世界遺産の中で
ここは霊場を繋ぐ参詣道と文化背景が登録対象であるという意味で異色。

紀伊半島中央に位置する吉野から熊野に至る大峯山脈には
標高2000mの峰々が連なり、奈良時代より修験道の聖地とされてきた。


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参詣道には中辺路、大辺路、小辺路、伊勢路などいくつものルートがあるが
熊野本宮から吉野まで大峯山脈の尾根を通る「大峯奥駈道」は
大変険しく厳しい山道で、道自体が修験道の道場とされている。
それは「この道がなければ世界遺産認定されることはなかった」
と言われるほど類例のない道だという。

修験道の険しい参拝道は三徳山投入堂で経験済みだが、
今回は苦労せず、車で移動し、古道の最後の部分を歩くのみ。


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熊野本宮、湯の峯温泉郷、熊野速玉大社、青岸渡寺、熊野那智大社などを歩いたが
中でも特に引かれたのは、熊野三山の奥の院として鎮座する玉置神社。


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古道に石畳が多いのは紀伊山地に雨が多いためというが、この日も雨。


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霧に霞み、樹齢数千年の古木に囲まれた参道の果てに
霊気立ち込める玉置神社が現れる。


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玉置神社は紀元前37年に第10代崇神天皇が王城火防と悪魔退散を祈願し
日本の最高神を集め、祭祀創建したと由緒伝えられる神社。
熊野大社には玉置神社を遠く拝むための遥拝所すらあったとされる。


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周囲は霊地に相応しく、神秘的な木々が茂り玉置神社を守っているが
天然記念物指定された杉古木には廻尺10m、樹高50mにもなるものすらある。
最も古いとされるのが樹齢三千年の「神代杉」。


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巨石、森、山など人知の及ばない自然の驚異に日本人は神を見い出したが
何千年もの昔から巨人のように立ちすくみ、人々を見下ろす巨樹に
宿る神を見出した古代人の気持ちがわかるような気さえする。


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玉置神社に対する皇室の信仰は厚く、
歴代でも花山院、白河院、後白河院、後鳥羽院、後嵯峨院が
京都よりはるばる参拝を行ったというから、
いかに篤く信仰されていたかしのばれる。


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境内には後白川院、和泉式部による供養塔と供養仏がある。
輿で訪れたにしても、片道200kmもある険しい山道を
あの雅な平安歌人や上皇が参拝したとはにわかに信じられない。


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書院造の社務所はこじんまりしているが
山間の傾斜地に作られたため高台を見下ろす懸造になっており
周囲には縁を巡らせている。


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書院内部は杉の一枚戸で仕切られており
数十枚にわたって狩野派による花鳥画が描かれている。


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狩野法橋と橘保春によるという極彩色の杉絵が美しく、目を見張る。


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侘びた山間の霊所に似つかわしくないほどの華やかさが不思議。


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玉置神社社殿は昭和63年に重要文化財指定されおり、
入口には世界遺産登録証もかけられている。


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旅をすると思うが、その地の印象は、
天候や季節、混雑で大きく左右されるもの。


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この日は雨で人も途絶えて
途中の山道は怖さすら感じるほどだった。


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雨に煙る古道を歩んで到着した玉置神社だが
木立と霧の中から忽然と現れた社寺の霊気に圧倒された。


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こんなにも霊的な気配に満ちた場所を訪れたのは初めてかもしれない。


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十津川温泉、神湯荘に前泊して訪れた玉置神社だが
熊野大社が期待を下回った中で、ぜひ再訪したい場所。
晴れた日に訪れればまた違った姿を見せることだろう。


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torublo at 12:47|PermalinkComments(2)TrackBack(0) 美術 - 日本・東洋美術 | 旅 − 日本