2006年03月25日

VOCA展 2006

上野の森美術館にて「VOCA展2006」を鑑賞。

VOCAとはVision Of Contemporary Artの意味で、
第一生命がメセナ活動(企業による芸術支援)の一環として
1994年より毎年開催している若手アーティストの
登竜門的な美術展で今年で13年目。

これは全国の美術館学芸員や批評家など約40名の委員が、
それぞれ40歳以下の現代画家を推薦し、
それらの画家に出品してしてもらう展覧会で、
過去には福田美蘭、児玉靖枝、村上隆、奈良美智など
そうそうたる顔ぶれが出品しているが、
オレにとってはこの美術展で存在を知るのが初めて
というアーティストも多い。

本年度は出品作37に対し、
VOCA賞1名、奨励賞2名、佳作賞2名、
大原美術館賞1名、府中市美術館賞1名の計6名が
最終的な受賞者に選ばれている。 


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大賞小西真美「キンカザン1−2」は、
波の打ち寄せる海と、
霧の立ち込める森の1対の作品である。

どちらもごく普通の景色でありながら、
画面奥に吸い込まれるような魅力があり、
空虚で非現実的な印象を与える。

中心には2人の女性の後姿が描かれていて、
続く物語を感じさせるかのような不思議な空気を湛えているが、

あたかも世をはかなんで深い森の奥へ消えていく2人のように見えたのは
現実社会へ適応能力の高くないオレの心理を反映しているのかw?


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大原美術館賞の蜷川実花「the otherside」。

演出家 蜷川幸雄の娘にして近年活躍目覚しい写真家。
真紅の巨大なプリントパネルに花の写真が並られているが、
よく見るとどれも安っぽい造花。

一見すると美しいが近くで見ると毒々しい原色で、
「遠目に綺麗だが近づくと恐ろしい食虫植物」のような
奇妙な印象を受けた。

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橋爪彩「少女都市」。

少女の顔を描かずに足のみを描いた写真のように写実的な油彩で、
シュールで孤独な空気が漂い、でも繊細なイメージである。




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佳作賞と府中市美術館賞をダブル受賞の高木紗恵子「Untitled」。

地中に向かう植物の根のように下向きにうねる枝に、
実とも花ともつかないカラフルなものがたくさん群生している。
色鉛筆や塗料に半透明なアクリルが上塗りされていて、
にぎやかで不思議なマチエール (絵肌)である。
こうしてみるとオレはカラフルな絵が好きであるということが
自分でもよくわかる。

高木氏は友人の知人であることを後から知った。

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布や糸やスケッチを張り合わせた流麻二果のコラージュ「165人」

どの素材もはかなく弱げで
「どうやって作品を保存したり展示したりするのか」
見ていて気になったが、
一時的にしか存在しえない芸術のようで印象に残る。

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山田純嗣「on the table」

エッチングや写真を使った作品だそうだが、
不思議な素材感が面白かった。




torublo at 12:12│Comments(0)TrackBack(0) 美術 - 現代  

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