2008年11月29日

浄瑠璃寺 九体阿弥陀仏と吉祥天像

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浄瑠璃寺は、京都の南、当尾の地にあるが、
むしろ奈良から近く、
奈良公園から車で30分位の山中にひっそりと建つ古刹である。



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山中とは思えないような大きな駐車場に驚かされるが、
小さな山門へ続く参堂に歩みを進めると、
山寺らしい素朴な趣きに、心が次第に静まっていく。


その歴史は1042年に小さなお堂が建てられたことに始まるというが、
京の華やかな寺院と異なり、
往生を願う人々によって静かに浄土信仰が行われてきた。


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庭は、 西の阿弥陀堂のまえには宝池が作られて
東には五重塔に薬師仏(重文-非公開)を祭り、
三方を山で囲まれた、素朴ながらも美しい浄土式庭園となっている。

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いにしえの人々は、
緑の池越しに、来迎仏が並ぶお堂に合掌して、
美しき彼岸の景色に浄土を見たことであろう。



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11世紀、平安中期に末法思想が広がると、
貴族の間では浄土信仰が隆盛し、
こぞって九体阿弥陀仏を建立したという。

だが、それら全国30以上あった寺々も、時と共に失われ、
今では九体阿弥陀仏が残されているのは
東京奥沢の九品仏浄真寺と、浄瑠璃寺のみ。

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(写真集より)

極楽浄土の主である阿弥陀佛が、
一体のみならず九体も居並び、
薄暗い本堂に金色の輝きを放つ姿は荘厳そのもの。

中央にはひときわ大きな中尊像が
祈る者を見下ろすように座し、
それら九体仏と吉祥天像(重文)のまわりに、
地蔵菩薩(重文)、不動明王(重文)、四天王(国宝)が寄り添う。


医学や科学もなく、
病や死から逃れるためには仏に頼るしかなかった時代に、
人々はこれらの仏にすがり、
どんなにか力づけられたことであろう。


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薄暗い本堂の中で祭壇前に座し、
阿弥陀群像を見上げて、
薫り高い香を、香炉にくべながらお参りすると、
威厳に満ちた眼差しで見下ろす大きな中尊に、
信仰心のない自分までが、思わず身がすくむ。


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写真家の土門拳が「絶世の美女」と称えた吉祥天女像(重文)は
中尊脇の厨子に秘仏として安置されている。



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(写真集より)


長く秘仏であるがゆえに、
今も鮮やかな彩色が残る吉祥天像は、
春、秋、正月には厨子が開かれて、
神々しい姿をあらわす。


開かれた厨子から、美しい姿を見せた吉祥天は、
あらゆる願いをかなえるという宝珠を右手に掲げ、豪奢な瓔珞をまとい、
人々に幸福と財を与えるという使命にふさわしい華やぎをたたえていた。



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以前より訪れたかった古刹だが、
朝早かったこともあり、侘びたたたずまいに心洗われた。



torublo at 09:00│Comments(4)TrackBack(0) 美術 - 日本・東洋美術 | 旅 − 京都

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この記事へのコメント

1. Posted by kim   2008年12月02日 01:33
旅行中にも、できれば^^お寺に行くことを好きですが、
仏像、秋紅葉の荘厳さ。。
敬虔な美しさをかもし出しますね。
2. Posted by とーる   2008年12月03日 07:45
KIMさん

紅葉の時期に京都や奈良に行くようになると、
その他の時期では物足りない気がします。

昌徳宮も紅葉が素晴らしいと聞いていますので、
そのうちぜひ行ってみたいものです。
3. Posted by しょーた   2008年12月10日 11:59
初コメントです。
心が落ち着く写真ですね。
何だか実際に行きたくなってしまいました。
特に2枚目と3枚目のような場所が大好きです。

旅行って本当に良いですよね。

4. Posted by とーる   2008年12月11日 07:00
こんにちは!

コメントありがとう。

奈良にはとても良いお寺がたくさんありますよ。
今月は忙しくてBLOGを書く時間がないのだけど、
他にもよかったところがたくさんありました。

秋になるといろんなところに行きたくなりますが、
紅葉もそろそろ終わりです。

今月からは雪見温泉にあちこち行く予定です。

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