土佐料理 旬の鰹がゆく!

自然豊かな高知の気候が育む産物を食材とした伝統郷土料理のご紹介です。 自然に触れ、それらを見守りながら地方の環境問題を考え、豊かな自然環境の中で収穫される食材を自身の主観でレポートしながら、旬とは何かを考えます。

高知の生き物もどっさり!

生物観察を通じて、海洋環境や里山管理のありかたを素人目線で分析します。

鮮度を極めるという特別
このブログでは3度目の記事になるのか、久し振りに長男と活魚 漁まさんへ昼食でお邪魔しました。ここには、家庭の魚料理では極められない特別があります。
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活魚 漁まさんのウリは数多くありますが、近隣の鮮魚料理店との違いを来店者が一様に認識できるのは、提供される刺身の鮮度と一釜づつ来店者に合わせて炊き上げられるご飯。店舗の個性を魅力的に彩るコンセプトが確実に履行できる体制が出来上がっています。
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エントランスには高級魚おの大型マハタが
その中で、厳密にいえばご飯の炊き上げには許容範囲内の差は感じたことがあります。でも、それはそれで微妙な差に人の作る温かみを逆に感じるのです。しかし、それは私の感性であってお米に特別の想いを持つ人は不満に思われることもあるのかと。そして、それはまた未来に向けての伸びしろを感じさせるのです。

そのこだわりが追求できる提供方法をウリにして顧客との間で商品を介して会話できるのは、ある意味素晴らしいことでもあるのです。

食材となるお米の状態はそれを焚き上げ、提供するまでにより高みを目指す余地はあるのでしょう。
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そしてもう一つの刺身として注文する魚種の鮮度、これは鮮度と言う品質では全く軸がぶれていません。季節毎、納得の品質が維持されています。刺身の美味しさの追求は、例え同じ魚種であっても一通りではありません。

食材たる魚は生物ですからその流れに従って調理するとなると、
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活マアジ神経締め
先ずは鮮度の追求でその基本は活き締めと血抜きの技術。刺身としての提供段階は、活状態か、その先の活き締めまで。それを確実に徹底しています。そのためには小型魚を提供する場合には、姿造りにして一匹売りを徹底すると同時に豪華に見せる姿造りにしています。
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中型魚や大型魚の刺身は、活き締め血抜き後に神経締めを施して死後硬直までの時間を延長しているかは定かではありませんが、刺身は硬直が軟化する段階まで進んだものを提供されたことは一度もありません。
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マアジ熟成
硬直が軟化していく段階は熟成です。身質がしんなりしてくる生物学的には自己分解過程であり、同時にうま味が凝縮されるように増加していきます。

この、身質が生む食感とうま味のバランスが創り出す絶妙な食味、熟成を極めるのは経験をはじめとする技術伝授と熟成時間という時を有し、個人によるぶれも生じます。お米を一釜づつ焚き上げ均質に提供するより場合によっては難しいことなのです。
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マアジ昆布締め
さらに生食であっても、調理を施す技法もあります。

そして、活魚 漁まさんがこだわり極めているのは鮮度
魚類食材の原点でもあり第一段階なのです。でも、これを極めるのは大変なのです。全くだましが効きませんから。
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見た目にも美しい活魚
その根底を支えるのが店内の生け簀による活魚提供。これにはいくつもの驚愕すべき特別があるはずです。食材はあるべき自然環境から切り離された時点で、例え活魚であっても様々な経時劣化が進行していきます。生きながらにして劣化するのです、確実に。それを遅らすのが、品質の高い養殖魚や蓄養魚を活用し、店舗までの輸送を確立し時間短縮や輸送の設備、技術により輸送時の活魚ストレスをできるだけ軽減させなければなりません。

さらに生け簀の店舗管理、水質の管理維持と入荷後に生け簀内で勢いよく泳ぐ活魚の先入れ先出しが確実に履行されないと、到底今の活魚 漁まさんの鮮魚品質は維持できないのです。それが達成できている自信があるからこそ、その自店のウリを多くの人が体感できる、来店顧客にとって無理のないメニュー構成へと導いているのです。

そしてそれを維持できない店舗展開をしないことで、顧客が理解できないサービスは提供しない経営姿勢を貫いています。それは同時に、自らの業態を駆使した利益増大に限界が生まれるのも事実、逆に言えばそれを行わなくても良い組織全体としての企業戦略があるのです。
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そしてこのボリュームで結構驚きのリーズナブル価格なのです。
他所にない強みが活魚 漁まさんには確実にあるのです。きっと凄腕のプロデューサーが活躍されているんでしょうね。

何のための突起
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今日はカジキ類のこの部分についての話にしたいと思っています。

いつもいつも話が脱線するので先に宣言しないと自分自身でわからなくなってきますから。

さて漁港での水揚げ、巨大魚のそれは見るものを圧倒します。
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キハダとバショウカジキ

縦横無尽に大海原を回遊していた巨大魚たちの水揚げ風景、秋になるとほとんどの日でこの光景が見られるのが大敷網の基地となる室戸の4漁港。
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佐喜浜漁港

中でも、大迫力のその光景が最も優れた状態でみられるのが佐喜浜の漁港なのです。水揚げの間口が微妙に広く、見学し易い漁港で、水揚げの時間が他所より若干遅く、漁獲魚が水揚げされ並ぶまでの導線が部外者にも判り易いのです。しかも漁獲も安定しています。
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黒いダイア 天然クロマグロ
勿論、見学には作業の邪魔をしないことが大前提、安全の為にも自身の立ち位置には最善の注意を払わなければなりません。そういった面でも佐喜浜は見学し易いのです。
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巨大な天然活クエ
トラフグと並ぶ鍋の王者、クエも潮さえ合えばこの様に複数水揚げされます。

そんな中で、私が最も野生を感じる巨大魚がカジキ類。突起状の吻が槍や剣を想像させカジキは大海原の荒武者のように見えるのです。
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メカジキ科メカジキ

2科に分類されるカジキ類ですが、足繁く佐喜浜通いをしていると、この漁港では両科の姿を間近に見る事ができます。
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このメカジキは1科1属1種。鱗と腹鰭が消失し、尾柄の水平隆起線が一対、吻を形成する突起が扁平なこと等がマカジキ科と大きく異なる特徴です。 食味も他のカジキと大きく異なり、脂肪含量が高い特別なカジキなのです。
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そうそう、この尾柄にある水平隆起線。安定巡行の為には結構重要なパーツの様で、新型の車にも似た様な機能的デザインが施されています。
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ほらこの通り。水や空気の流れをどう逃がし、どう捉えるかは、省エネ・運動能力向上の大切な要素なんでしょうね。ちなみに水平隆起線が2対ある私の車は分類学上はマカジキ科になるのでしょうか。

さて、そのマカジキ科。
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マカジキ科シロカジキ

丸っこいメカジキが女性的といってもメカジキのメは女ではなく、眼なのですが。

マカジキ類は男性的です。
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ちなみに尾柄の水平隆起線は例外なく2対。

そしてやっと今日の本題としたカジキの象徴的部位のひとつ、
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吻部の突起棒なんですが、切り取られています。

尻鰭基部を切り落とすのは、大型のマグロ・カジキ類共通で、専門職人さんが流通段階で身質を見極める為、このほか内臓を除去した腹腔部の切り口も必ず見ます。

動物の角は非常に高価⁈

一方、吻部の棒状突起では何を判断するかというと、生前の武勇伝‼ ではありません。人にとって活きている時は超危険部位で流通時には邪魔にしかならず、クジラの仲間イッカクの角(歯の変形)の様に日本での解熱鎮痛効果、ヨロッパでは解毒効果があると信じられ(一角獣Unicorn伝説の影響?)、この突起目当てに乱獲されることのない代物。

その証拠の様に、廃棄されていたのを拾ってきて撮影した画像なんです。

御存知の人も多いかと思いますが陸上のサイやゾウの角や牙は非常に高価。海に暮らす哺乳類イッカクの角は、私の大好きな開運!なんでも鑑定団 通称 お宝鑑定団に出展されたとき、100万円の値が付きましたよね。一攫千金、一獲千金、一角千金どれが正解か麻痺してしまいそうで、角は人を麻痺させる効果を持っているようです。

しかしお宝鑑定団にカジキの棒状突起を持ち込もうとしても、間違いなく選考段階で没か、偽物扱いでしょうね。
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さあ、この切っ先の鋭い棒ヤスリの様なカジキのシンボル。何のためについているかというと、カジキにとっての主たる活用法は、捕食の道具。ちなみにイッカクの角は、気圧や温度の変化を知る優れた感覚器官としての役割を持っているようですね。

カジキの棒状吻は捕食しようとする魚の群れに突っ込んで、指揮棒の様に華麗に操り群れを統率するのではなく、逆に錯乱させ、打ち弱らせることで狩りを成立させる補食道具なのです。

更にサメ等の自身の天敵からの保身にも活用され、時に小型船に突っ込んで破損させる相当な威力を持っています。鮫はそれと似た行為を長い尾鰭で行うんですよ。大型魚は、永年生きるために臆病さと裏腹の凶暴性を共に持ち合わせ、経験に伴った高い洞察力を備えています。

Ernest Miller HemingwayThe Old Man and the Seaは、作家の自らが糧とする生き物に対する想いや敬い、鋭い生態系の節理が見事に描かれ、今尚多くの人を魅了してやまない、いわば不変の価値を綴った物語なのです。

11月にフエダイを見た
例年なら夏の終わりから秋にかけてが漁獲盛期となるフエダイが今秋は未だに浦戸屋さんの魚棚に陳列されています。この日は900gが一匹に500gほどが2匹、フエダイ属は旨い魚種揃い。
フエダイとハマフエフキ









刺身でいただくと何れの種もうま味豊かで、食感にも優れているのです。そして70cmに届く魚は殆ど存在しないものの、若魚でもそこそこ美味。野趣にあふれる味わいでは、タイ科マダイ属以上の魅力を感じるフエダイ科フエダイ属の魚たちなのです。

余談ですが、この日は巨大なタマン(沖縄でのハマフエフキ地方名)も入荷。ハマフエフキはフエフキダイ科フエフキダイ属。フエダイ属と比べうま味は淡白でやや大味ですから、不明瞭な産卵前の脂ののった個体に上手く行き当たらないと、調理に一工夫必要な魚種です。それでも、伊豆七島辺りから入荷のある関東圏ではこのハマフエフキは1,000~2,000の値を付けるので、680円/㎏は安いです。しかしながらフエダイ属とフエフキダイ属では如何ともしがたいフィジカル的差異が否めないのです。
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その最高峰として食通の皆様に認識されているのがフエダイ科まで裾野を広げると、フエダイ属の最高峰フエダイとハマダイ属の最高峰ハマダイでしょうか。その優劣をつけるのではなく、希少価値でいえば近頃ハマダイは産地の室戸でも全く見なくなりました。

一方のフエダイは前記の様に季節限定なら手に入り易い魚種なのです。

そんなフエダイではあるんですが、今年は今の季節まで水揚げされているんですね。先月も食べたフエダイなんですが、今回は鍋にしてみようと思い3匹全てを購入しました。
フエダイ










価格は900gサイズが1,300円/kgで500gサイズは1,100円/kg税別。味の好みで敢て比較すると競合相手はイサキ。差し詰め旬の盛期のフエダイなら梅雨イサキ、いまの季節なら夏のイサキでしょうか。でも、双方の条件において私はフエダイの方がイサキより上だと思っているので価格的には決して高くはないのです。
フエダイ刺身











本日購入のフエダイの身質
ところが、イサキに喩えたフエダイを鍋にするのですから会う意味大いに奇抜ではあるのです。冬の磯釣りでイサキは刺身か塩焼き、唐揚げといったところ、鍋にするならメジナですから。
フエダイ鍋








フエダイを鍋にすると多分、マダイやメジナに似た食感になると想像しています。煮付けた時の食感がそうですから。
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なにはともあれ、その鍋は想像から遠いものではありませんでした。ただしアラを豊富に使って出汁のうま味を出しましたから、思った以上に味は濃厚で脂に由来するコク深さも適度でした。
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そして最後の雑炊まで美味しくいただけました。

鍋以外にも温まる料理がこちら。
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フエダイのみぞれ蒸し茸寄せ
ふっくらとした身質を生かしてこんな料理も。名残りのフエダイ、折角の鮮魚品質とフエダイの特徴を生かすとこんな家庭料理もありなのかと。
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