土佐料理 旬の鰹がゆく!

自然豊かな高知の気候が育む産物を食材とした伝統郷土料理のご紹介です。 自然に触れ、それらを見守りながら地方の環境問題を考え、豊かな自然環境の中で収穫される食材を自身の主観でレポートしながら、旬とは何かを考えます。

高知の生き物もどっさり!

生物観察を通じて、海洋環境や里山管理のありかたを素人目線で分析します。

究極の活き締め手法
2012年、土佐清水で
漁師さんから清水さば縦縄漁の船上レクチャーを直接伝授していただいた時、様々な活き締め手法も教えていただきました。

特別な装備を持たない小型漁船で多くの水揚げの中、最も効率よく活き締めする方法のひとつ首折れといわる手法で瞬時に絶命さてたサバを『首折れサバ(くびおれさば)』と呼び、そのルーツは
鹿児島県の屋久島周辺で漁獲されるゴマサバを獲とともに、生きているうちに首を背中側に折り曲げて血抜きと活締めを同時に行ったもの。

今回は
血抜きと活締めだけへなく、それを刃物を使って背中から腹側に折り、露出した背骨に針金を通し神経締めにする進化型を私たちは行って鮮度保持の精度を高めています。

最も、一般にサバ類は首折れ血抜き後に神経締めを行わないのがアジ類との違い。それはサバの末端への神経伝達は脆弱で、神経締めの効果が他魚ほど現れ難いという産地の経験に基づく説もあります。
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絶命による細胞への自己分解作用を麻痺により遅延させ鮮度保持を行う神経締め。

近頃、そんな特別な施術を行ったゴマサバをよく見ます。それ即ち、ゴマサバが旬絶頂に達したことを意味し、それを施されたゴマサバが高い品質にある選ばれた逸品食材である証なのです。
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今日は実際にその品質を検証してみましょう。
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三枚に下した時点で明らかに違う鮮度を実感できます。中骨を外すと、その圧から解放された筋肉は、筋目に沿って肉が盛り上がって来るようにすら見えます。
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脂ののりも素晴らしいもの。
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この様に、強ち活魚が究極の品質保持だとは言えない、鮮度保持手法が存在するのです。
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12月に入り、通説通りゴマサバの食材品質は例年通り極まっています。この月、これ以上の魚食材は存在しないかの様に思えます。
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この鮮度を有したゴマサバの刺身。
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これを始めて体感した人は皆、間違いなく声を発します。これは本当にサバなのかと。
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これこそがサバの真の品質、でもそれを知る人は意外と少ないのです。

ちなみにこの刺身盛り、最前列の3カンはクロマグロの幼魚。12月の地サバがそれに劣るか否かは食べれば判ります。サバの凄さが・・・

切り方で変わる刺身の味わい
自身で漁した魚。如何に刺身にすればより美味しく楽しめるのかは、家庭レベルでも常に嗜好錯誤し、出来栄えを検証しています。
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洋食や中華では火を使った温かい料理が主役となることが多いのに対し、

アクアパッツァ
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ホイル蒸し焼き
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日本料理では素材そのものの味や鮮度を活かすために、包丁による繊細な技術「割」が最も重要視されてきました。

お造りに
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このため、板前の地位は板場と呼ばれるまな板を介しお客様の前に立つ調理師が花形とされてきました。
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焼き場や蒸し場に立ちその全てを含む店舗の味を醸し出せる人が花板としてお客様と会話が許される板場に立つのです。
 

刺身とは
新鮮な魚介類を非加熱のまま食べやすく切り揃え、醤油や酢などの調味料、ワサビ・ニンニク・ショウガといった薬味と酸味の強い柑橘等で味を調え食す、主皿を構成する日本料理
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刺身の手法は・・・

平造り(ひらづくり) マカジキ
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薄造り(うすづくり) マハタ
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角造り(かくづくり) シロカジキ
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焼き霜造り(やきじもづくり)  ズジアラ
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湯霜造り(ゆじもづくり) キダイ
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細造り(ほそづくり) ケンサキイカ
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そぎ切り(そぎぎり) カンパチ
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家庭で作る刺身でも、魚介大好きな我が家では、食材の種類や状態によって、日本伝統の刺身手法やそのアレンジ型で都度変更して、食卓を飾る工夫をしています。

これは多くの人が高級魚と認識するアカムツ

室戸佐喜浜産アカムツ 
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入手するまで2年室戸通いしました。

全長35㎝ 重量は・・・
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標準和名よりも俗名ノドグロの方が更に知名度は高まり、如何様に食しても文句のつけようのない美味しさと評される魚種です。

アカムツ(ノドグロ)お造り
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アカムツ(ノドグロ)
湯霜造り
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確かにどのように包丁を入れても甲乙つけがたい美味しさ。しっとりとした舌ざわり、コク深いうま味、硬くも柔らかくもない絶妙な食感。

高価な条件の全てを備え持つ特別な魚種なのです。

鮮度と熟成、ともすれば相反する経時変化を操る技法のひとつが刺身の昆布締め。刺身で美味しく味わえる期間を延ばす工夫や知恵も日本料理には数多く発達しています。

フエダイの昆布締め
フエダイ 昆布締め










適度に水分が抜ける中で、魚食材本来のうま味成分(イノシン酸など)が濃縮され、さらに昆布に含まれる主要なうま味成分であるグルタミン酸が魚の身に浸透、刺身のうま味が極限まで高まっていきます。

調味料を駆使し、加熱調理による時間短縮の❝味変❞をじっくりと時間をかけ食材に新たな生命を宿す包丁仕事。実に奥深い職人仕事なのです。

さて、そこまでには至らない魚種を豪華に見せ、自ら仕留めた魚との一日を振り返り記憶に留めるなら・・・
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活け造り
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刺身の盛り付け手法も多様で、季節感に留まらず
TPOに準じた主皿に仕上げるのも刺身盛りならでは。

活け造りの中には、様々な刺身技法も盛り込めるのです。

刺身でなんぼ!
❝なんぼ❞とは価値を問い確かめる関西のことば。私が生まれた高知では昔、魚の価値は生で食べて
❝なんぼ❞という人が少なからずいました。

一方で高知では温かく多湿な気候風土によって生まれた、鰹の本枯節の様に優れた出汁文化も発達。特産品の複数の柑橘類を合せた調味料にも土佐の名を冠するものはあります。
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高知の生食文化も鰹のたたきを始めとして個性的な創意工夫を凝らして来ました。

しかし近年では流通が急速にグローバル化するに従い、共に豊かな海産資源を誇る長崎県等に後れを取り、私も高知市食品団地の組合員を代表して、何度も先進県へ研修に行ったものです。

それでも、高知を訪れた観光のお客様は高知の料理に高評価を付けてくださり、全国トップ暮らしのランキングは毎年の様に観光紙面を賑わしたものです。

現職中は高知の優れた食材が育んだ食文化を産直で如何に全国各地にお届けするかを試行錯誤していましたが、自由に生きる今は昭和30年代の高知気質の原点とも言える鮮度でなんぼを家庭料理で追及する原点回帰を楽しんでいます。

日本料理の世界には割主烹従かっしゅほうじゅう)という四文字熟語が存在し、そこから花板の立ち位置が確立されているのですが、総合職として厨房外から見守っていた板前仕事の花板さんの包丁使いにはずっと魅了されていました。

専門店のトラフグてっさ
トラフグてっさ











専門店のクエ薄造り
クエ薄造り











それを
店舗にいた20年見続け、自ら漁して調達した食材を自宅へ帰り、職場で見て来た板前仕事の鮮やかで華やかな職人技を時に文献を読み、見様見真似で家庭で検証しその神髄に少しでも近づきたいと思っていました。

誰に手解きされた訳でもなく、自身でも思っていた以上には上手くできたのですが・・・
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それを横で見続けていた妻の上達ぶりが尋常ではなかったことには驚きました。
アオハタ刺身











一度教えたものは次回は私よりずっと上手くこなし、それは
割主に留まらず烹従に至るまで家庭料理を完結してしまうのです。
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今は親子で釣った魚を持ち帰るのが只々楽しみでしかありません。
フエダイお造り













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