土佐料理 旬の鰹がゆく!

自然豊かな高知の気候が育む産物を食材とした伝統郷土料理のご紹介です。 自然に触れ、それらを見守りながら地方の環境問題を考え、豊かな自然環境の中で収穫される食材を自身の主観でレポートしながら、旬とは何かを考えます。

高知の生き物もどっさり!

生物観察を通じて、海洋環境や里山管理のありかたを素人目線で分析します。

蚕(かいこ)の原種 
物部川河畔林に自生する桑の木の葉でクワコを見つけました。
クワゴ (2)








クワコの成長ステージは若齢幼虫。この形態はパッと見、色の薄いアゲハの糞状幼虫に似ています。

蚕(かいこ)が多くの家庭で人と共生関係にあった時代、クワコもまた人々に広く知られた昆虫でした。蚕の餌に摘んだ桑の葉に紛れ蚕室(さんしつ)にクワコが入ってくる事があったからです。

人間の為にある種の天蚕を飼育しやすい様に改良し家蚕となったカイコ。行動力をはく奪し成長力を高め多くの生糸を得られるようにして、養蚕業を隆盛させ人間が種の保護を行ってきた蚕。昭和の中期、学校の授業で昆虫の変態についての教材は必ず蚕だったのです。

体内で分泌される複数のホルモンによって、昆虫は成長しある過程を通過すると全く形を変え次のステージに進む。当時は不思議な、そして間違いなく現実の世界で紛れもなく進行していく生命の神秘に皆が驚嘆し、人の為に働く本能を持った蚕を気持ち悪いと思う人より、可愛いらしい虫と親近感を持つ人がずっと多かった時代が、ほんのこの前まで長く長く続いてきたんです。

蚕が多くの人の記憶から薄れゆく時代、それよりさらに未知の昆虫となってしまった幼虫がこのクワコです。
クワゴ








実は、このクワコBombyx mandarina 自体が家蚕の原種であるとされる説があるのです。そして養蚕業の隆盛時には、桑の葉に紛れて蚕室に侵入したクワコが家蚕であるカイコと交配し交雑種が現れていたようですよ。

でもそれは蚕室だけのカイコとクワコの秘め事で、自然環境下では先ず起こり得ないロマンスなのです。家蚕は人の家屋でしか生きられない虫。自生する桑の葉を自身の腹脚で押えつかまったり移動する能力がないのです。家蚕は人によって与えられた平面に敷かれた食草たる桑の葉を捕食することしか出来ないように改良されているんです。成虫化しても翅は退化し飛翔能力は全く失われ、6脚による歩行も儘ならないのです。でも人間に役立ち続けるために、世代交代する機能は維持されているんです。

人間は蓑虫のメスの生殖事例から、蛾は必要ない運動機能を著しく退化させやすい特殊な昆虫であることを知っていたのでしょうか

今は忘れられたカイコとクワコと人の春物語、いかがでしたか。

抑止力
物部川の河原に広がる草地に、良く目立つ紅色の花を咲かせた帰化植物を見つけました。
ムシトリナデシコ (2)








江戸時代に観賞用として日本に渡ってきて、こういった場所で自生している越年草。ナデシコ科の一属、マンテマ属のムシトリナデシコSilene armeria です。
DSC04923







本来、自生している場所では群生傾向があるんですが、物部川の河原で見たのは一株づつ離れて疎らにあります。

初夏になると枝の先に紅色で直径1cmほどの5弁花を多数咲かせるんですが、花弁と同じ紅色で長さ約1.5cmの筒状状の萼も、花に負けない色彩で小花でありながら体全体で存在感をアピールしています。

そんなムシトリナデシコなんですが、この花の個性はそんなもんじゃないんですね。
ムシトリナデシコ (1)







虫取り撫子は別名虫取り花とも言われるように、花近くの茎を巻いて対生する葉の下で粘着性のある液を分泌し、花めがけて登って来る小虫を捕まえるんですよ。ですからムシトリナデシコなんですね。
ムシトリナデシコ









でも、このムシトリナデシコは食虫植物ではないのです。虫をとっても、その虫を栄養源として消化吸収する能力はないんです、今のところ。つまりその目的は、地上から登ってくる吸蜜目当ての小虫を強力にブロックするというもの。多くの植物が妥協している盗蜜に対し、究極の抑止力機能を確立させているのがムシトリナデシコなんです。
DSC05001









ムシトリナデシコの花蜜を吸えるのは、飛来して花に到達できる虫だけ。異国の地で臆すること無く強い意思を貫く帰化植物、高知の荒れ地で逞しく自生出来ているムシトリナデシコなんですね。

春の異変
昨年の春みつけた、後翅の裏側に全く斑紋の無いルリシジミをモネの庭の藤棚近くで見つけたんですが、今年の春もちょっと変わった小灰蝶を見つけました。

それがこちら。
DSC04055








といっても、前翅長1cmに満たない小さな春型の小灰蝶ですから、この大きさでは、普通の人では同定は不可能ですよネ。

でも蝶の研究をされている方だと、飛んでいる小灰蝶で種の同定をされるんで、普通の人と書いたんですが、普通の人の大多数は河原でシジミチョウが飛んでいたとか、シロツメクサにチョウが止まっていたとかで終わり。それ以上のことは興味もなく、私も数年前までは全く同じように、季節を過ごしていました。

ところがいろんなものに目を凝らしてみてみると、生命あるものは全て輝き美しいのです。でもそれらの全てを、出会った瞬間に短時間で見定め感じ取ることが出来ない事は勿体ないと大病をきっかけに想い出してからは、いつもデジカメを持ち頼りない記憶よりも記録に留めているんです。季節の中ですれ違う多くの出会いを、次回はもっと楽しく語ることができるように。

そんな経緯で撮った一頭の小灰蝶なんですが、ちょっと変なんです。
DSC04057








裏翅の黒点紋は最初思っていた種類ではなくその上、尾状突起が存在しています。

一枚目の画像で僅かに開いた表翅の様子はメス。もっと接写した画像かこれです。
DSC04059










肉眼ではその場で確認出来なくても、上手く写真に撮れていれば、後でゆっくり考えることができるんですね。

そこで出した結論がこれ。
4dc5e6be[1]








後翅の橙色紋や多くの黒点紋が摩耗により消滅したのか、春型小型個体のために元々薄かったのか・・・

でも残る黒点に配列はツバメシジミの様ですものね。

さて、蝶の研究者でない私にこれ以上、この小灰蝶の氏素性を探る術はありません。しかし、蝶種としての特徴を失っても、この小灰蝶は自らの生きる目的を理解し、その結果を出せる日を迎えるために今を生きているのは紛れもない事実です。

自然界の生き物は、全て種としての共通の目的を達成するために、個としての責任を全うし全力で命の炎を燃やしているのです。

このページのトップヘ