土佐料理 旬の鰹がゆく!

自然豊かな高知の気候が育む産物を食材とした伝統郷土料理のご紹介です。 自然に触れ、それらを見守りながら地方の環境問題を考え、豊かな自然環境の中で収穫される食材を自身の主観でレポートしながら、旬とは何かを考えます。

高知の生き物もどっさり!

生物観察を通じて、海洋環境や里山管理のありかたを素人目線で分析します。

ハゼノキの冬姿
昨日のブログで話題にしたハマセンダン、その中でチョッコと登場した櫨の木。古より人と様々な深い関係を構築してきた、人里に広く分布する雑木で、今は多くの人にとって厄介者的存在です。

特に妻は、傍らに行っただけでかぶれると警戒。自身の山の
櫨の木の大木を完全防備で切り倒していきます。一方私は櫨の傍らで大自然の生きものと触れ合いますがかぶれたことも、体調に異変を感じたことは一度もなく、秋の紅葉を愛でます。

ハゼノキの紅葉
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初夏、香南市では栗の花より少し早く花期を迎える雌雄異株のハゼノキ。

5月開花したハゼノキ雄花
ハゼノキの花










栗の雄花には送粉虫の誘因力で劣る櫨の雄花の繁栄戦略が見て取れます。

櫨の花と黒色型ジュウシチホシハナムグリ
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櫨が結実させた果実は、灰汁抜きを施すことで古の人々の飢餓を防いだ史実が有ります。年末年始頃、殆どの葉を落とし果実のみとなりつつある櫨の木。
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そこには、雑食性の多種小野鳥が果実を啄みに来ます。
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初夏、開花の季節には一番になれなかった櫨の木。この季節、ここでの一番人気は間違いなく櫨の実です。
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室戸1月の紅葉・黄葉樹種の正体は
鉢植えの斑入り葉が美しい葉山椒の幼木。標高1,000m付近、大豊町と本山町の境あたりに位置する所有の山林から二度目の調査入山の際、2013年9月に採取してきたものです。

風通しが良く涼しい環境から一転、二年連続で猛暑厳しい平地へ里下りした葉山椒は、少なからずダメージを受け夏の間に一度、全ての葉を落とし生え変わり秋を迎えたのです。

3月覚醒
3月斑入り葉山椒












4月若葉
4月斑入り葉山椒












そんな斑入り葉山椒の残り少ない葉も黄葉して、間もなく完全な冬姿となります。
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今年は夏の猛暑とアゲハチョウの食害を防ぐため、夏からは玄関の中へ移動しました。斑入り葉山椒は柔らかな陽光の方が良い様なので、玄関戸のすりガラス近くにおいてあるのです。

屋外は霜が降り氷結する日が連続し出した香南市平野部ですが、路地とは異なる環境で1月中旬まで葉を残していたのです。

香南市より更に温暖な室戸岬の南側山斜面では、新年に入って1月2月に紅葉黄葉する落葉樹があります。

新年の室戸山肌を飾る黄葉ハマセンダン 紅葉は・・・
室戸 ハマセンダン











遠巻きにには11月12月に紅葉するウルシ科ハゼノキに似ていますが、

旧年中に色づくハゼ
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新年になって色づくこれらは、サンショウ類と同じミカン科の落葉樹ハマセンダンだと認識しています。

でもミカン科の落葉樹の色付きは黄色が基本と認識していましたが、黄葉以上に紅葉が目立つ、1月の室戸の山肌。

南方樹は北限に至るほど見違えるハゼノキの様な鮮やかな紅葉を表すとも聞きますが、遠くからしか見えない葉を望遠レンズで写したこれ、真にハマセンダンなのか・・・

年が改まって見事な紅葉の中、咲かせた花姿の痕跡が見て取れます。真冬という季節を考慮しなければ、枝の特徴はハゼノキです。
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室戸の山斜面で今、黄葉しているハマセンダン。ミカン科であることからハマセンダンはカラスアゲハの好む食樹となります。

旬魚寒チヌ番外編
チヌ(クロダイ)は味が濃厚な魚です。ですから原魚で2㎏の寒チヌを釣れば、ひとつの料理で攻め切るのは一寸重いのです。

きめ細かい繊維質と抜群のシズル感 寒チヌ刺身
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厳寒期の今、自ら仕留めたそんなチヌを刺身やしゃぶしゃぶ、そしてちり鍋といった素材勝負の料理で楽しんだと職場で自慢した息子は、食材の納品業者さんに❝チヌが旨いはずがない❞と一蹴されたそうです。

寒チヌしゃぶしゃぶ
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寒チヌちり鍋
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現代社会において、大半の人々がチヌに有するイメージはまさにその通りなのです。

魚介食材を流通・販売する業者さんのチヌに対する評価自体がそれでは、資源量豊かなチヌが有効に流通、消費されるはずがないのです。

嘗ては夏のクロダイより品質が劣るとされた夏期のメジナ。今、夏の磯釣りでは釣ったメジナを持ち帰りチヌはその場で全てリリースなのです。

今回、私と長男が家庭で料理して楽しめたのは、外海に面した地磯で自ら釣り、完全に血抜き活〆、温度管理して持ち帰った活き締めの『寒チヌ』。高級魚と認識されていないチヌをこの状態で流通させることは、もとより無理な話なのです。

でも息子は今回、確信したのです。素材として旨い食材は如何なる料理でも美味しい事。そして食材の旬が如何にそれを扱う者にとって大切な定義であるかを。

これは寒チヌの頭部を丸ごと焚いた白湯スープ
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中華の魚介スープとして重宝できる濃厚な油脂とコラーゲンは、牛・豚・鶏に劣るものではありません。

それを日本料理として使うには・・・
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家庭料理でも一工夫、二工夫します。それが冷めると、少量の脂が鍋の脇にラードの様に固まる。

天然魚であって鯛の仲間の白身魚、季節を選び抜いた寒チヌの特徴はまさにこれなのです。

寒チヌ茶漬け
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このスープを使って楽しむのが寒チヌの出汁茶漬け。チヌが臭い魚と言うイメージから脱しきれない人は、聞いただけで悍ましい料理だと思うのでしょうね。
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ところが食材の名前を伏せて白身魚として振舞えば、多分大半の人はイメージとして持つ臭さにマスキングできるのかも。
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食材の個体差は、別種間以上に大きいものであることを経験している人は多くても、それを上方修正するための高品質探しには多くの人が挑戦しません。

現代社会では味わい探しは人任せ、勿論そこにも社会としてのメリット・デメリットが表裏に現れるのですが。提供者として食材を操る事で顧客と深い関係性が構築でき、出来なければ顧客との食育キャッチボールはできません。

同一魚類であっても、脂はなぜ身にのり、臭みはなぜ現れるのか、食感の良さはどうすれば維持できるのかなど、顧客に語りそれと整合性の高い提供商品を持てば、商いは有利に運べます。食べれば自ずと違いが分かる顧客は日々減少しているのですから。

そしてチヌの良さを、販売流通者が認識していない以上、旬の優れた寒チヌであったとしても、それはチヌなりの価格で手に入るのです。

寒チヌの塩焼き
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そんな厳寒期の寒チヌ、皮目はゼラチン質に富み皮下には芳醇な脂を蓄え、臭みを感じない品質であれば、鮮度を生かして小細工をせず塩焼きに。
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それは手っ取り早くフライパンではなく、ゆっくりとグリルを使って深部はしっとり、表面はこんがりと焼き上げます。
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チヌの身質は加熱してもふっくら。その上質さを最も体感できるのが塩焼きなのです。

寒チヌの塩焼き
寒チヌの塩焼き












それでも中には魚臭みに以上に敏感な人はいます。

そん人にも寒チヌの美味しさを伝えたければ・・・
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寒チヌのドリア
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といっても、前もってライスはカレーリゾット風に、最初からひと手間かけています。
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寒チヌの未だ未熟な真子は、卵の一粒一粒が絹の様な舌触り。この料理にこれを使わない手はありません。

勿論、家族て釣った寒チヌでしたからここまで楽しみ、こだわりを持って楽しめました。魚は釣るより買うほうが安いと言う人がいます。

果たしてそれは真実でしょうか・・・答えは自分次第なのです。

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