土佐料理 旬の鰹がゆく!

自然豊かな高知の気候が育む産物を食材とした伝統郷土料理のご紹介です。 自然に触れ、それらを見守りながら地方の環境問題を考え、豊かな自然環境の中で収穫される食材を自身の主観でレポートしながら、旬とは何かを考えます。

2015年03月

春の日の幻想
生き物、特に昆虫の画像をブログ公開していると、一枚の画像だけでは種を明確に同定できない昆虫や、種は限定できても、標準型とは明らかに異なった地域や季節変異ではない変異種を見つけることがあるのです。

それらは自身で気付くものもあれば、知らずに記載して専門の研究者の方にご指摘いただく場合もあり、それらも又、ブログを始めたことによる御縁で今の私の生きがいのひとつでもあるんです。何しろ、5年前に大病を患い大きな制約を体に残した代償として始めたライフスタイルの一部なんですから。
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何サナエ⁉

そんな流れで日々の記事を書いているのですから、画像保存が可能である生体は全て撮影しておくんです。そして、家へ帰ってから文献で調査に入るんですね。勿論ブログを始め3年以上、毎日更新するのが重要な日課で、私の実生活を知らない人には仕事が合間みたいな誤解すら持たれかねないのですが、前にもご説明した通り、画像取材は休日に集中して行い、毎日記事を30分から1時間で作成しアップしています。
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四万十市タベサナエと香南市ダビドサナエ
ということで、今日の記事は先日、北川村「モネの庭」マルモッタン へ行った時の画像ですから撮影日は3月25日の事。今年は四万十市トンボ自然公園では、3月9日にはトンボ(タベサナエ)の羽化が公園市場最早で始まったとブロク公開されていました。実は2月20日に、タベサナエの羽化を見たくて朝3時に起きて四万十市の同公園へいったんですが、結局見る事ができず帰ってきて、トンボ自然公園のブログを見ると、今日は50匹のタベサナエの羽化を確認「盛期を迎えたタベサナエの羽化」という見出しに折角行ったのに、機会損失した自身に不甲斐なさを感じたのでした。

でも、自らの活動範囲で「自然が織りなす物語」を見る機会は、そのフィールドを知り尽くしている人と、外部の人では大きく異なり、いくら予習をして行っても時に50対0という大きな差になって現れるのです。一年中、トンボ公園の環境維持に奔走される方に観察者として知識で近づくことは、並大抵ではないのは無いのです。更に、タベサナエはトンボ自然公園の季節を飾る代表種なのですから。

私の回りのトンボで、私の知るフィールドにおいてトンボ自然公園に勝っている場所や種類もあるのです。ネキトンボタイワンウチワヤンマがそれ。でもそれは、非常に少ない種間で営まれる生態系における生物多様性で、限られた地域の環境で如何に多種多様なトンボが多く見られるかでいえば、四万十市トンボ自然公園は多くの生き物、そして私達にとって価値の深い、数少ない日本屈指の楽園なのです。

そういった意味では、北川村「モネの庭」マルモッタンもまた、私にとって四季折々訪れたくなる場所。こちらは、人の為に作られた楽園で、多種多様な自然生物が間借りしている印象なんですね。そこに暮らす動物たちは、超ワイルドではないイメージなんです。でも、現代人がそこで見るものから受ける感動には甲乙つけ難く、何れもが自然と過ごすワンダーランドなんですね。深く知りたいと欲すれば欲するほど、訪れる度にめくるめく季節感があり、発見に感動を覚えるのです。基本的には、限られた商圏において自身のテーマーとするファンを増やせば、日々の運営で飽きられることは無いと思うんですね。後は、如何にしてターゲットにコアな情報発信を行い、忘れられないようににて、訪れて頂く工夫をするかなのです。
ルリシジミツバメシジミ








今回、私がモネの庭で主に画像保存したのがシジミチョウだったんです。フジの蔓からわずかに出た葉芽に産卵するルリシジミや、風を避けるツバメシジミといった小型蝶たち。
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そんな画像に混じって、後翅裏が無斑紋なシジミチョウが写っていたんですよ。撮影したときは分からなかったんですが.見かけによる種の同定に、シジミチョウの後翅斑紋は最重要部位。それが全く無いんですね。こういう場合、持つべき者は頼りになる専門の先生、香南市在住の植田先生にお電話でご指導願ったところ・・・

画像はお見せしていないんですが、春型ルリシジミは後翅斑紋が薄く見え難いものがあるそうですが、全く無いものは珍しいそうですよ。わずかに開いた前翅表よりこの個体はメスであることが判りますし、前翅裏紋様は確かにルリシジミのそれ。

後日、植田先生に画像をプリントアウトしてお持ちしたところ、右後翅だけが異常に短いルリシジミの異常型(メス)なんだそうです。昆虫の場合、こういった個体は異常型と表現するんですね。自然環境下で発見される異常型は、多くの意味で貴重なんですよ。

誰が見てもオンリーワン個体なんですから。

蚯蚓の本分
蚯蚓とは・・・
丘を引く虫って何 町奉行所や火盗改めなど、江戸時代の警察機能を有した組織末端を担った非公認の活動者を「岡っ引き」と呼んだのは歴史事実。岡とは本来その役目を担う正式な者ではない脇の立場の人間であることををも意味しているそうですね。

では岡と丘の違いは何 普通に考えると回りよりも小高い場所を「おか」と言いますが、皆適当に緩やかな勾配だと丘とか、急峻なイメージだと岡って勝手に使い分けていますよね。ですから守りの要となる日本の城の場合は、圧倒的に岡の字を当て城のある地の地名も岡山とか福岡、丸いおかでも丸岡城なのです。

それが何故か『蚯蚓』という漢字の読みは「ミミズ」なのです。ですから今日、これまで書いた文章はミミズには全くつながっていません、ごめんなさい。ということになると、全く糸口がつかめない話はやめて、ミミズの役割について書いてみたいと思います。

ミミズの戦略 人と蚯蚓の関係
にしえよりミミズは土壌づくりに必要な生物であることは、多くの人々に認識されていました。ミミズは土壌中の有機物や微生物を自らの栄養源とし、分解排泄することで植物の生育に適した団粒土壌を形成。農耕地の生態系において自然に土壌を耕す、農業ににとって大きな役割を果たしてきたのです。つまり動植物の生態系にとっては必要不可欠な生物でありミミズの本分がまさにコレ。同時にマブナやウナギなど、淡水魚類の釣り漁には欠かせない餌であるのが、人にとってのミミズの一分。いずれにしても人と切り離せない存在の生物なのです。

その先祖は、やはり海水魚の餌としても活用される環形動物門・多毛類の「ゴカイ」で
、陸上生活における進化のなかで土壌生活に高度に適合する為に身体の単純化を選んだ生物、貧網類(目立たない剛毛を有する)なのです。凄いですね、自らの本分を高度に追求するために、苦心して手に入れた機能を手放す勇気と、決して後ろは振り向かない覚悟がミミズにはあったのです。

ミミズをメミズと呼ぶ地域があるのですが、まさにそれこそがミミズの語源。高度な視覚を持たないミミズは、明暗を辛うじて認識でき(眼点)、表皮における触覚とともに適度な深さの土壌に留まることができるのですが、その仕草をもって目視ず(メミズ)なのです。それに高度に対応するために、ミミズは性的に雌雄同体で繁殖期を迎えても配偶者を探す手間なく繁殖に至る機能を持ちます。ちなみにミミズは直接発生で、卵の対外放出ではなく、成体とほぼ同じ幼生で発生するのです。

日本最大の蚯蚓 
そんな蚯蚓において、日本最大のミミズが「かんたろう」ともよばれる蚯蚓。一般人には謎多いミミズの生態のなか、「かんたろう」には更に興味深い生態があるのです。

その前に「かんたろう」とは呼称で種名は『シーボルトミミズPheretima sieboldi 。シーボルトとは言うまでもなく幕末期のオランダ商館医Philipp Franz Balthasar von Sieboldのことです。彼は医師であるだけではなく、動植物学にも精通した東洋研究家なのです。生物の命名に際してSieboldの名前を織り込まれた、学名に"sieboldi"または"sieboldii"が命名されている生物は数多いのです。

高知発「かんたろう」の田舎伝説
最大40cmを超える巨大種、シーボルトミミズも土壌には有用な生物であることは間違いないのです。ところが、家内が力説するのは・・・「イノシシはかんたろうを食べない‼」ととんでもない事を言い出すんですね。でもこれは、高知又は家内の出身地である香南市夜須町の一部⁉もしくは家内の実家だけに伝わるど田舎伝説なのです。つまりミミズの大好きなモグラやイノシシはシーボルトミミズも大好きなんですね。

ついでに言えば毒蚯蚓伝説こちらは、ミミズは汚染土壌への耐性に優れ、それを食べた捕食者が健康被害に陥るケースはあるのです。でも決してシーボルトミミズの、人にはチアノーゼを連想させる、光沢のある青紫色が毒を持つ特徴ではなく、警戒色として天敵に機能していないことも確かなのです。

素数周期蚯蚓 シーボルトミミズの戦術
さて、ここからは学説に基づいたシーボルトミミズの謎というか不思議というか・・・シーボルトミミズの繁殖は雌雄同体の卵生。産卵から数えた寿命が3年で、内訳は夏産卵して卵越冬で翌年初夏に幼生発生し越年、成熟して繁殖を規則正しく繰り返す生活史です。その周期が同一地域で繰り返される素数(周期)セミと同じで、成熟して産卵に至る年が全個体同じだといわれています。つまり同じ年、同じ周期で同じ年齢の生活環を繰り返しているそうなんですね。ですから、卵の年は地域一体でシーボルトミミズの姿が消え失せるのです。

更にこの効果に連動するシーボルトミミズの習性だと考えられているのが、地域における長距離季節移動パターンで、右向け右”の一斉行動なのです。春には谷底から高所の丘めがけ、逆に秋には来た道を下って行くのです。ですからシーボルトミミズが見られる年でも、季節によってどっさりいる場所もあれば、この前までうじゃうじゃいても全く見られなくなる場所ができるんですね。

これらの生活環や生態がもたらす効果とは、天敵となるイノシシなどにシーボルトミミズを主たる餌料と認識させないこと。生きるための知恵だといわれているんですね。つまり、頼りにできない食糧だと思い込ませ、天敵に索餌活動を習慣づけさせない効力があるという学説なんです。

今日は展示画像がないもんで、文字に色変化を付けて凌いできましたが・・・
そろそろここで一枚だけシーボルトミミズの画像を掲載します。
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撮影場所:トンボ自然公園

実は私、長々とシーボルトミミズの記事を書きましたが・・・この生物が大の苦手なんです。私だって家内の他にも怖い者はあるんです

キリギリ頑張った撮影なんですよ。

越冬蜻蛉
3月末、高知では水生植物が芽吹きだした湿地性の池を、一種のトンボが占有しています。
ホソミオツネントンボ













彼の名は『ホソミオツネントンボIndolestes peregrinus。実は昨年の初夏に羽化して成虫化しているんですが、その年には成熟せず、冬を成虫のまま越して長く休眠した後、春に成熟し繁殖行動に移るんです。
成虫初年度は小枝に擬態したような茶色い色で、多くのトンボたちが活動している水辺には来ません。山やヤブの中でひっそりと時をやり過ごしているのです。
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分類上は、アオイトトンボ科. ホソミオツネントンボ属で見ての通りイトトンボの仲間。今日、水辺で見た個体はどっさりいたんですが全て雄。トンボは概して成熟に至り繁殖期を迎えるのはオスの方が早いようて、雌に先駆け繁殖場所とする水辺へ待機、縄張りを張っています。その頃には画像のように空色に発色するんですね。
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高知では桜の咲く季節になると、多くのオスが水生植物の繁茂する止水池の回りに集まり、互いに小競り合いをしながら、刺激しあって急速に成熟します。
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メスは、じっくりとその周りのヤブで成熟を待ち、その時がくると水辺を訪れ交尾に至るのです。
産卵から羽化までの幼虫期間が約2ケ月、成虫期間が1年以上にもなる普通のトンボと逆の活動をしている越冬トンボたち。そこにも限られた水辺環境で棲み分けをする、種としての繁栄戦略があるんです。

ここで3月の水辺を占有しているのは、彼らだけなんですから。
ホソミオツネントンボ 産卵











4月に入るとホソミオツネントンボは産卵期に入ります。形態は連結静止して水辺の立草に卵を産み付けます。

同じ成虫で越冬するホソミイトトンボも同じ季節に産卵に入るのですが、
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こちらは、水面の枯草などへの接水産卵です。

怪魚part
見てください、奇妙な魚類をgetしました。
ワニギス












この怪魚、どうやって手に入れたかというと、ケンサキイカを料理していて、イカの外套腔から出てきたのです。

イカの体内から、ほぼ完全な形で小魚が現れるメカニズムは前回お話しした通り。でも今回出てきた小魚は、眼後端をはるかに超える大口、口裂け魚です。体色は金属光沢を帯びた灰褐色で、薄い暗色の斑紋。腹部は無鱗で、体長10cmくらい。同じ大口でも、カタクチイワシ属 Engraulisなどとは異なり、頑丈そうな顎は肉食性であることを現し、主に甲殻類、小魚、頭足類などを捕食する生態を持つ、獰猛な小魚なのです。

この魚お名前を知っていたら・・・あなたも学者級の魚類なんですね。

一応、有用海産資源なんですよ。でもこんな容姿ですから鮮魚流通ではなく、練製品の食材利用なんです。更にこれを原料にすれば、美味しい蒲鉾ができるという代物でもなく、先日ご紹介した『宇和島じゃこ天』の主原料ホタルジャコなどが底曳網で漁獲される際に混ざって水揚げされ、害もないのでそのまま一緒に磨り潰される、名も無き雑魚というのが、位置づけの小魚。

でも中にはそういった同じ境遇でありながら、バブル時代のグルメブームに乗って不動の地位を築き今尚、土佐珍味として高級食材化した『のれそれ』だって、その昔はどろめ漁のパッチ網に混入する邪魔者扱いだったんですよ。それによく見ると、顔は主に日本海側で食用にされる重要海産資源で、秋田県の県魚でもあるハタハタArctoscopus japonicusに似てないこともないのです。

この辺で正体を明かすと、スズキ目ワニギス亜目ワニギス科ワニギス属ワニギス Champsodon snyderiなんです。でも、私が考えるにメジャーデビューは難しいでしょうね。

しかし、ワニギスは肉食魚でありながら、自らも水深60~120m位の大陸棚砂底域に生息する重要海産資源となる大型底棲魚類の餌として重要な位置にある、大陸棚の生態系を形成する生物多様性に大きく貢献する豊かな海の一員なんですよ。

人の名前
今日は香南市で見つけたとっても珍しい鮮魚をご初回します。長い記事ですけど、是非最後までお付き合いくださいね。きっと得した気分になります、特に魚料理の好きな方には。

では先ず『トモモリ』って御存知でしようか。高知ではそう呼ばれていました。でも他の地方では「タモリ」と呼ばれている場所もあるそうですから、やっぱり芸能人の名前
ここで一部をお見せしましょう。
トモモリ














これがトモモリの口。どうやら、トモモリは魚のようです。
正体をはじめから知って記事にしている私が、どうやら魚みたい・・・と綴るのも変な話ですが、話を盛り上げようとする精一杯の自作自演なのです。

下顎先端部の突起様の皮膚はこの魚の特徴でもあるんで、きちんと覚えといて下さいね。もう少し画像を引いてみましょう。
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この角度で見ると、皮膚や眼球の色合いと頑丈そうな吻部から感じられる風貌はイシナギの様でもありますね。
でもこの個体は50cm弱で種としてはこれが最大級。イシナギのように1mを越える成長を見せる魚種ではありません。
今度は尻尾だけの画像。
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これだけだと今度は、なんだか岩礁地帯の餌取り、毒魚キタマクラみたいです。

では、この辺で全体画像をお見せしますね。この画像を見て、この魚の種名を答えられる方は、間違いなく相当な魚通です。言っときますけどトモモリとかタモリっていうのはダメですよ。それはとても曖昧で消費者を混乱させる不特定な魚種の呼称であり地方名なんですから。
セトダイ










この魚、全体を見るとズングリムックリした魚。体高がある魚としては珍しい二頭身半タイプ。そう見えるのは、尾鰭が小さいのと、小イカをどっさり食べて腹十二分目位の状態だったんです。

複数の魚種の呼称となっている『トモモリ』
ところで、今日のタイトル『トモモリ』なんですが、
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以前ご紹介したコショウダイ属のコショウダイ Plectorhinchus cinctus をそう(トモモリと)呼ぶ地域もあるんですよ。トモモリも分類上はスズキ目イサキ科(同科異属)の魚ではあるんです。
この両種、稚魚と成魚では体色・体型とも全く違う魚種でその経年変化においては、共通点があります。

でも吻部の違いは、生態においての大きな相違点でもあり、トモモリはコショウダイと同じ食性であっても、マダイやクロダイのように動きの俊敏な小魚や甲殻類、頭足類を好んでを捕食するのです。

ヒゲダイ属
今日ご紹介する香南市で購入したトモモリの和名は『ヒゲソリダイHopalogenys nitens。スズキ目スズキ亜目イサキ科ヒゲダイ属なのです。
稚魚
ヒゲソリダイの体表紋様はコショウダイに似ていてもセトダイHopalogenys mucronatusに近い種です。左画像がセトダイてすから体型はコショウダイよりずっと同科・同属のセトダイににているんです。11棘15軟条ある背鰭の第3棘条が長く発達している他、尻鰭第2棘条も同様に発達しているのが、セトダイの特徴です。老成するとセトダイも同じ位の魚体に成長し、セトダイもトモモリやタモリと呼ばれます。

セトダイは、温帯温暖息の海域に生息し亜熱帯域にはいないとされています。日本近海では瀬戸内海に多い事が名前の由来で漢字名『瀬戸鯛』なんですが、高知県など太平洋側の大陸棚砂泥底にも若干は生息しています。ヒゲソリダイとセトダイは、土佐湾やその沿岸では同じような場所に生息し資源量は非常に少なく、狙って漁獲する種ではありません。底引き網漁や定置網漁の副産物で稀に漁獲され、魚料理の大好きな私も滅多に見る事の無い魚です。

瀬戸内海で有用海産資源として、好んで食材利用されるセトダイは若魚が主体。今回、同属のヒゲソリダイを料理していて、その理由が何となく理解できました。
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その前にもうひとつ、上画像が見栄えで損しているみたいな、やはり同属同科のヒゲダイHopalogenys nigripinnis。下顎には名の如く髭があります。こちらも、高知ではセトダイと同じような場所に生息するも、セトダイより岩礁域を好む魚種。
ヒゲダイ







ヒゲの役目は感覚器官で味覚を司る器官なんです。ヒゲダイが無精髭を剃るとヒゲソリダイみたいになる?まさに名前通りなんですが、ヒゲソリダイの下顎も感覚(味覚)器官ではあるんですね。
ヒゲダイとヒゲソリダイ








ヒゲダイ(手前)とヒゲソリダイ:桂浜水族館にて

今日は、だいぶ引っ張りましたが、ヒゲソリダイ料理してみましょうネ。
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ヒゲソリダイは、こじゃんと骨太。鱗も大きく、けっこう料理するのが大変なんですよ。調理していて出刃が欠けてしまいました。

ですから瀬戸内海ではセトダイの中・小型魚体を好んで食材活用するんでしょうね。

さらに瀬戸内海各地では、セトダイは刺身などの生食より、加熱して塩焼きや煮付けが好まれているようです。高知で鮮魚は、基本刺身で味わうものと勝手に思い込んでいる私ですから先ずは半身を刺身用に、皮を引いてみました。
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三枚におろした時に判っていたんですが、皮目にも全く脂がのっていません。

血合いの色はクロダイにも似ていますが、身質的にはコショウダイの様。食べる前から失礼にも、やっぱり旨くないのかと思い、半身の腹節片身だけ刺身に料理しました。
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ところが食してみるとこの魚刺身で案外イケるというレベルではなく結構美味しいです。身質はとてもしっかりとして適度な歯ごたえがあり、旨味はしっかりしています。脂ののりが生み出すコク深い旨味ではなく、ヘダイの様な臭みの無い上品な旨味で、しかもヘダイでは決して生まれない身の締まりがあります。強いて例えれば、ハタ科の魚のような食味。食感です。

つまり刺身としても『上ネタ』なんですよ。その特徴が成魚だけなのか、若魚も同様なのかはわかりませんが、ヒゲソリダイを今度見ても私は買います。
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そうそう、食べる前から判っていたのが、キモは旨いということ。料理した時のキモの色をみれば大概判ります。身質とは逆で、キモは柔らかく適度に脂がのっていましたから。

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唐揚げも絶品。身質のしっかりした食感が加熱後の料理にも反映しています。

複数の文献には、ヒゲソリダイは非常に美味と記載されています。
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洋食のムニエルにも調理しましたが、これまた美味。

美味揃いのヒゲダイ属
ということで今日の主役ヒゲソリダイと共に、比較記載したセトダイコショウダイ。瀬戸内海を除く多くの地域では、この3種の魚種名が間違いなく混同されています。それは、外見形状の類似部位が多く、生息地も重複しているからなんですね。

でも、ヒゲダイ属の魚は総じて美味。類似しているコロダイやコショウダイといった別属の魚類とは異次元の美味しさの違いがあります。でも、セトダイ以外のヒゲダイ属は資源量の少なさで、その食材価値は認識されていないんですね。
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そして吉川の天然色市場でたった700円(2kg弱)と、とっても安く売られていました。

幅広い調理で、こんなに美味しい魚種がこの価格なんてありえない訳で、香南市では資源量の多いコショウダイと混同して同等価格で販売されています。

皆さん、多分美味しい魚だって知らないんですね。私も、ほんの今まで旨い魚だとは知りませんでしたから。でも今回料理してみてヒゲソリダイは季節を問わず、とっても美味しい魚だという確信ができました。この魚の旨さは、決して旬だから旨いというのではなく、周年美味しい数少ない白身魚です。見栄えは良くありませんけどネ。

ヒゲソリダイの成長に伴う体色と体型変化
高知の桂浜にある『桂浜水族館』は1931年(昭和6年)4月開館された歴史深い水族館。

高知にとって水産業が如何に重要であったのかを実証する施設でもあります。そんな『桂浜水族館』には、ヒゲダイ属のヒゲダイやヒゲソリダイが数多く生態展示されています
ヒゲソリダイ幼魚








こちらがヒゲソリダイの幼魚。体長は3cm位です。生体展示は、その生息環境に合わせ自然状態をイメージさせるものですから、ヒゲソリダイの幼魚は潮だまりで見られることが多いんでしょうね。ヒゲダイとヒゲソリダイ、幼魚の識別は至難の業です。
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年を越え若魚となると鮮明な縞模様が現れてきます。シマイサギと混泳させているところを見ると、この時期は内湾の汽水域や河川の河口域に侵入するのでしょう。体長は25cm程です。
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成魚化すると地色が再び黒色化してきます。色合いがコショウダイに似てくるのもこの頃。海水域に入り沿岸部の砂地や泥質の低層で索餌しています。

地元水族館では、地域に密着してその土地の水産資源を主体に生体展示していますから、私はよく利用します。

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