土佐料理 旬の鰹がゆく!

自然豊かな高知の気候が育む産物を食材とした伝統郷土料理のご紹介です。 自然に触れ、それらを見守りながら地方の環境問題を考え、豊かな自然環境の中で収穫される食材を自身の主観でレポートしながら、旬とは何かを考えます。

2015年06月

私たちに特別な夏鳥
今日は、香南市の吉川町にとって特別な海鳥を紹介させてください。
コアジサシ










撮影場所は香南市吉川町と、南国市久枝の境界線、物部川の河口域です。ここに4月頃から飛来している夏鳥がチドリ目カモメ科アジサシ属の小鯵刺コアジサシSterna albifrons、日本に夏鳥として繁殖に来るのはその亜種です。
コアジサシ 物部川










私たちが見ているコアジサシは夏羽で、嘴は黄色で足は橙色。頭から目にかけて黒色と精悍な感じの色合いです。冬羽になると嘴は黒みを帯び、頭は白っぽくなるんですよ。
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コアジサシ 高速飛翔
そしてこの地において何故、この夏鳥が特別な生き物かというと、合併して香南市になる前、コアジサシは旧吉川村指定の鳥。つまり地域の象徴的な野鳥だったんです。ちなみに現在、香南市指定の鳥はメジロ、市の花はみかん、市の木はせんだんです。
《メジロの選定理由》
うぐいす色の体に目の周りが白い特徴的な姿が愛らしく、美しい鳴き声にはのどかな自然が感じられ、心が癒やされます。里山だけでなく、まちの庭先でも年中その姿を見ることができるため、身近な鳥という親近感からも市の鳥として選ばれました。
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コアジサシ 索餌飛翔
つまり、コアジサシの誘致には特殊な自然環境を必要とし、生息地域が非常に限定されるのです。それに昔は珍しい夏鳥ではなく、そのわりに知名度が低い部類の鳥でしたから。
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コアジサシの全長は30cm弱(翼開長は50cm強)、昨年の秋、南国市の石土池にいた旅鳥、黒腹鯵刺クロハラアジサシChlidonias hybridus よりも小さいのです。アジサシは全長35cm(翼開長は85cm)ですから、名前の通りかなり小さいアジサシなんですね。
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コアジサシ ホバリング
日本国内で繁殖するコアジサシ亜種の越冬地は確定されておらず、調査によると標識放鳥個体がパプアニューギニアやフィリピン、オーストラリアでも回収されているとの事。アジサシの仲間は長距離を旅する渡り鳥なのです。
コアジサシ (2)コアジサシ (5)





アジサシの仲間は、繁殖地とする地域近くの水辺を飛び回り、獲物とする小魚を見つけるとホバリングして、小魚目掛け水面へ突っ込みます。
それが和名の由来となっているんですね。

このコアジサシ、絶滅危惧ⅠB類EN)の指定を受け、急激に個体数が減少しています。その理由は、繁殖地で大規模なコロニーを形成できる場所が開発や環境変化によって減少しているのです。
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コアジサシ ダイビング
そして繁殖成功率が低いうえに、繁殖期を狙ってカラスや猛禽類に襲われ易いのです。繁殖期を狙ってコアジサシの天敵生物種が襲うのは雛たち。コアジサシの営巣は、砂浜など拓けた場所の石礫や砂地に浅いくぼみを掘り、小石を寄せた簡単なもの。特別な隠蔽や外的の侵入から雛を保護する工夫は少なく、むき出し状態なんです。よって大規模なコロニーが形成できないことも雛致死率増加に影響しているのでしょうね。
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コアジサシシの卵と雛は、白と灰色の斑模様で営巣土壌と区別がつきにくく、抱卵日数は概ね20日程度、雛の成長は早く生後20日で飛べるようになるのです。本来の飛翔力を得たコアジサシシにとって、カラスや狩りの上手くないチョウゲンボウなどは、もはや天敵では無くなっているのです。
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そんなコアジサシですから、ぜひ夏の間に物部川の河口域へお越しになられて、繁殖地での営みを見られてください 。きっと、何かを感じることができるはずです。

何ホタルの幼虫
夜中、林縁脇の田んぼにトンボの羽化を見に行っていると、林縁の草むらが光っているんです。今の季節、珍しいことではありません。この辺りはゲンジボタルが生息していますから。光源を懐中電灯で照らしてみると、
オバボタル 幼虫









その先にいたのは、ゲンジボタルでもヘイケボタルでも無くホタルの幼虫。ですから幼虫陸生のホタルなんです。そうすると、この辺で昼間に多数飛んでいるのは姥蛍オバボタルLucidina biplagiata ですから、てっきりそうだと思っていました。陸生ホタルの幼虫は、成虫より幼虫の方が強く発光するんですね。
オバボタル









ちなみに、オバボタルの成虫はこちらです。昼間盛んに活動し、成虫は殆ど光りませんから、この種に出会えるのはほとんど日中ばかりなんです。雌雄の出会いは、ホタルの特徴とされる発光による繁殖誘引ではなく、フェロモンによるとされています。
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オバボタルの成虫はパッと見、ヘイケボタルみたいですが体に厚みが少なく、ひしゃげています。さらに触角がごっつく、蛾のように櫛状に見えるんでヘイケボタルと間違う事はないのです。
オバボタル 幼虫 (2)オバボタル 幼虫 (3)








オバボタルの幼虫もはタイトルのように陸生なんですが、幼虫の時からひしゃげて、まるで一反木綿(いったんもめん)みたい。でも毛虫なんかと比べて動作は機敏なんですよ。幼虫はホタル科には珍しく、陸生貝よりもミミズが好物とか。間もなくこれらの幼虫は土中の間隙で蛹になります

でも、これはオバボタルの幼虫ではありませんでした。 コメントで流浪のホタル飼育者さんにお教えいただいて、私としては初めて出会えたホタル種幼虫だったんです。

本文下のコメント覧を是非見てくださいね。

夜の水田にて
香南市の田んぼで初夏になると毎晩、どっさり羽化しているトンボの様子を見に行きました。
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そのトンボは薄羽黄蜻蛉ウスバキトンボPantala flavescens
ウスバキトンボ











成熟したオス個体の一部は背面が赤味を帯びるものも見られるため、多くの人が赤蜻蛉の一種だと思っていますが、アカネ属とは別属のウスバキトンボ属でハネビロトンボに近い南方系のトンボなんです。
ウスバキトンボ羽化 (7)ウスバキトンボ羽化 (5)








ウスバキトンボは、春早く亜熱帯の島で羽化した個体が大挙して、南九州や南四国へ飛来してきます。ですから毎年3月頃になると、高知では昨日まで全く見られなかったウスバキトンボが一夜にして、群れ飛んでいるんですよ。そしてとてつもない繁殖力で飛来地域において交配・産卵を繰り返しながら、東日本へと勢力拡大していくんです。毎年、毎年。でも晩秋になると温帯域では、如何なる成長段階でも越冬できず、全て死滅してしまい又来年春には同じ事を繰り返す、その季節的北上拡散は今のところ無効分散と言われる評価を受けています。
ウスバキトンボ羽化 (2)ウスバキトンボ羽化 (3)







ウスバキトンボは全成長段階で、他のトンボたちと同じ肉食なんですが、長距離飛行に特化して翅広で外皮が非常に弱く、同じ大きさのトンボ達からも一方的に激しく駆逐され、さらに繁殖期を迎えているツバメの格好の餌食。春から秋にかけてのウスバキトンボの旺盛な繁殖力が、この季節の地域の生態系に大きく寄与しているのは紛れもない事実です。
ウスバキトンボ羽化 (4)ウスバキトンボ羽化 (6)







ウスバキトンボの羽化は日没後、幼虫が水から出てくるとともに他のトンボ達より短時間で始まります。そして進行も早く、22時頃にはこの状態。同時進行で見ていると、水から地上へ上がったアカネ属のヤゴたちは未だその時間には羽化には入らず地上でじっとしています。
ウスバキトンボ羽化 (8)ウスバキトンボ羽化 (9)






産卵から羽化までを1ケ月程度で行い激しく世代交代するトンボ種ならではの生き方は、年一化のアカネ属とは全ての速度が異なっているのです。

雪下セッカ
初夏、沢に行くと林縁の崖沿いに雪ノ下ユキノシタSaxifraga stoloniferaの花がたくさん咲いています。
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ところが野鳥にも、似た字の小鳥がいるんですね。雪下と書いてセッカと読みます。
それがこちら。
セッカ











物部川河口部、河川敷のセッカ
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雪下』以外にも『雪加』とも表すセッカCisticola juncidis は、スズメより小さい(全長は約13cm)スズメ目セッカ科セッカ属で高知では多くが留鳥。
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世界中の温暖地に広く生息するもアメリカ大陸には分布していません。
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日本では北海道には分布しておらず、東北など北日本の地域では冬季、南日本へ南下し漂鳥化します。
DSC04946セッカ (3)






雪に因んだ表現をされる野鳥でありながら、北国や豪雪地帯など漂鳥化する地域では、個体数の減少が危惧されており、秋田県・山形県・長野県・富山県では絶滅危惧Ⅰ類、絶滅寸前と言われています。それに比して、四国や九州では個体数は維持されているんですね。
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画像のセッカは夏羽姿です。5月~8月頃はセッカの繁殖期にあたり、オスは空中はるか高く舞い上がり、水平に飛び続けながら、ヒッ、ヒッ、ヒッと切れ目なくずっと泣いて、下降する際にはチャ、チャ、チャと鳴き声が変わります。
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チガヤ
セッカの名前由来、実はイネ科チガヤ属茅萱チガヤImperata cylindrica の白い穂を雪に見立て、それを巣材利用するため咥えて飛ぶ姿からセッカ。又は、繁殖期、飛びながら激しく囀る姿が 「とてもセッカチ」 に見えることからとの説もあるとか。

里山の夏野鳥たち
今日は素敵な里山の、ステキな夏野鳥たちを紹介させてください。香美市の里山にある小さな集落、初夏の風情です。
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ここは、4月7日に渡りをする鷹・サシバの里山として記事にした、香美市の棚田の最奥部にある集落です。
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ですから今日も、上空には大型の鷹が複数舞っていたんですよ。タカ科の猛禽類なんですが、遠目にはハチクマに見えます。ずっと近隣の森林に留まっているんでしょうか
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そしてこれがより鮮明に見える画像。やはりハチクマです。

初夏の里山の全生物は頗る活性が高く、大型猛禽類だけでなく小野鳥たちも人を恐れず活発に活動しています。
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キセキレイ
一年中このあたりで見られる、キセキレイハクセキレイは棚田を冷たく清澄な谷川の水で潤す沢周りに。
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メジロ
ホオジロは初夏を迎えてもしきりに囀り、周年絶えることのない美しい野鳥の鳴き声が、静寂な集落に響き渡るのです。

そんな中で今日、最も目立っていた野鳥がこちら。
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黄鶲キビタキFicedula narcissina ヒタキ科ヒタキ属の亜種。日本本土では夏鳥ですから、当然冬は見られません。越冬地は東南アジア、フィリピンまで南下する渡り鳥なんですから。
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キビタキ オス
雄はこのように、頭部から背面にかけて黒。眉斑・腹部や腰は明るい黄色。翼には白斑、喉周辺は、最も美しく鮮やかな橙黄色なんです。
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キビタキ メス
かたや雌の上面は褐色で、腹部は褐色がかった白色と成熟後も地味なんですよ。
キビタキ












キビタキは夏になると、住宅地では見られないものの、山間部の里山集落ではこのように人の傍らで極普通に見られる小野鳥(全長14cmほど)です。
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キビタキは里山集落脇の森林に暮らし、一日に何度も集落」へ出てきて小虫を捕食しています。ですからいつ行っても逢えるんですよ。森林から出てきた時は、電線に止まり囀り続けてますからすぐ分かります。キビタキの囀りは数パターンあり、蝉のツクツクボウシの鳴き声に似たパターンもあるんですが、今は、ピーピョロ。夏の間中、この集落に留まってくれると思いますよ。

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