土佐料理 旬の鰹がゆく!

自然豊かな高知の気候が育む産物を食材とした伝統郷土料理のご紹介です。 自然に触れ、それらを見守りながら地方の環境問題を考え、豊かな自然環境の中で収穫される食材を自身の主観でレポートしながら、旬とは何かを考えます。

2015年10月

高知県食品工業団地の結束
高知県内で「ものづくり」に携わる事業者の方々に、優れた技術・製品の紹介や、商談を行う場を高知県・公益財団法人高知県産業振興センター(ものづくり地産地消・外商センター)が提供する『ものづくり 総合技術展』。
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今年が第4回目で、高知県の「ものづくりの地産地消」と「地産外商」を、より一層推進させることを目的としています。
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もちろん、高知市大津の『高知県食品工業団地事業協同組合』組合員の皆様も、自慢の開発商品を持って毎年新たな商品提案を行っているんですよ。
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高知県にとって、来たるべき南海地震に備える防災用品や機器の商品開発は重大なテーマ。開発提案商品は県外で同じ懸念を抱く、多くの地域の方々にも注目されています。

又、『高知県食品工業団地事業協同組合』組合員さんの中には、防災備蓄用食品の提案だけでなく、地域の浸水に備える避難施設を敷地内に造り、地域の防災に多大な貢献を果たす企業さんもおられます。
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TPOに応じて多彩な提案を行うミレービスケット
このように、組織全体としての目的を明確にし、それぞれの強みで地域貢献を果たしながら、経営的にも安定を図る『高知県食品工業団地事業協同組合』。
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その大きな原動力となってきたのが、組合員企業の若い力。自らの想いを企業人としてフェイスブックで情報発信しながら、組織の一員として様々な貢献を果たし成長し続けています。
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彼女たちの企業は、手前より『株式会社青柳』さんと『だるま味噌株式会社』さん、彼女たちの発信するフェイスブックも是非ご覧になっでください。

多くのお客様とのつながりを大切にしながら、組織人として地域貢献を深めていく『高知県食品工業団地事業協同組合』の取組。暖かく見守ってくださいね。

第四回ものづくり 総合技術展』は、高知県高知市布師田の高知ぢばさんセンターにおいて下記日程で開催されています。
平成27年10月29日(木) 午前10時~午後4時
             30日(金) 午前10時~午後4時
             31日(土) 午前10時~午後4時

八重山の脇役たちです
八重山諸島で見た南の島の生き物たち。今日ご紹介するのは失礼ながら、八重山へ行くからにはぜひ見てみたいと思っていた生き物とは違う、近くて遠い昆虫たちなんです。でも本来、目的としていた昆虫たちに次回会える過程になればと思い、撮っておいた画像です。

先ずは蛾。蛾と言えば灯火飛来と思い、
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灯火シルエットに浮かび上がった生き物は・・・先ず先日ご紹介した『ホオグロヤモリ』。熱帯から亜熱帯に広く分布し、去年行った小笠原諸島にもいます。もちろん奄美大島以南の琉球列島にもこの様に。
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尾にとげ状の鱗が環状に並んでいるもが良く見えます。
その横にいる蛾は、本ブログ初公開なんですが、シルエットでは種名が判りませんよね。
シロスジヒトリモドキ







こちらが、その蛾の正体です。シロスジヒトリモドキ Asota heliconia riukiuana イヌビワを幼虫食草とします。八重山諸島では一般種ですが九州にも見られるそうですよ。
コウチュウ目や半翅目の画像もあります。
アカスジカメムシ








セリ科の植物に群れているのはアカスジカメムシGraphosoma rubrolineatum の幼虫。このアカスジカメムシ、今日は八重山諸島の竹富島で見たんですが、実は北海道でも見ることが出来る種なんですよ。

アカスジカメムシの後ろに見えている小型のハナムグリ。
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高知あたりでも見られる北海道から四国・九州まで分布している『アオハナムグリ』に似ていますが、それよりも小さいアオヒメハナムグリ。宮古諸島亜種・八重山諸島亜種・与那国島亜種が知られるアオヒメハナムグリ、見つけたのは竹富島なので八重山諸島亜種なんでしょうか

ところで、ハナムグリの隣にいるセスジナガカメムシに似たカメムシ、何という種なんでしょう。
(いつもコメントを頂戴しているカブ子さんに、このカメムシ教えていただきました。四国にも分布している紋様変異の多彩な『ヒメマダラナガカメムシ』だったんですね。)有難うございました。

沖縄の軍鶏
昨日は地元高知の季節の風物詩だったのに、今日は思い出したように再び沖縄・八重山のことを記事にします。どうか混乱しないでください。単に地域より季節の移ろいを重視した結果なのですから。

さて、沖縄の食材でもある石垣牛やアグー豚を使った料理、地域の特徴ある食材ですから、郷土料理といって過言ではないのですが・・・
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アグー豚のステーキと沖縄もずくの天婦羅
その沖縄の郷土料理の徹底ぶりにはいささか驚きました。
高知で言えば『鰹のたたき』に匹敵する、絶対外せない料理が、地元名でなく私たちが知る料理名で言うと『もずく酢』・『豚の角煮』・『発酵豆腐』。沖縄島でも八重山諸島でも郷土料理のコースメニューには必ず含まれる、三種の神器みたいな、これらの象徴的料理があるんです。

特に発酵豆腐たる『豆腐よう』やこの三種の次に位置する『みみが』、『地豆豆腐(じーまーみどうふ)』は珍味的味わいですから、沖縄島・八重山諸島へ連泊する場合は自身で知識と意思を持って飲食店を選び、料理を選択しないと相手任せにしていれば、毎日・毎日間違いなくこれらの料理を延々と食べ続ける事になるんですよ。

その中で特に『もずく酢』は夕食のみならず、ホテルの朝食バイキングでも、沖縄そばをセットメニューで頼んでも、必ず添えられています。沖縄では『スヌイ』とよばれるもずく酢は、一食当たりの量も他県と比べ驚くほどに多量で、沖縄におけるモズクの食材価値は他県とは比べ物にならないほど県民にとって高評価。結果、沖縄の一人当たりもずく消費量は全国平均の約10倍なんですって。その代表料理が酢の物ですから、酢が苦手な方にはとってもキツイ結果となるのです。

ですから沖縄で連泊する場合、食事は人任せにしないことをお勧めします。地域産品を地域伝統の料理で活用するのは地産地消の理想的姿。でも沖縄の人々は、地域で収穫されない昆布の消費量も富山県と並び全国トップクラス。その消費量も、日本料理の出汁文化として全国で確立し食材として重宝される昆布でありながら、全国平均の1,5倍に達している沖縄は海草王国なんです。

でも、これにも歴とした時代背景が存在し、徳川幕藩時代に日本から清への輸出品の中継地として、沖縄にもたらされた北国の昆布が必然的に広まったことも、北前船によって大阪に運ばれた昆布を薩摩の商人が沖縄の砂糖と交換した歴史的な事実も、まちがいなく影響しているのです。

そんな沖縄において、一般的に日本の伝統食文化の傾向は「東の豚、西の牛、九州の鶏肉」と肉食の嗜好が別れるなか、こと畜産品に関して沖縄県では豚肉の消費量が多く全国2位なんですね。地域の伝統料理としてこの徹底ぶりですから。
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竹富島で放し飼いにされていた烏骨鶏
石垣島では主要道路の脇で牛や馬が放し飼いにされていましたから、昭和中期の他県のように家禽が、庭先で放し飼いにされていても全く不思議ではないのです。
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沖縄本島の人の大勢いる駐車場でも放し飼いにされている家禽を見ました。
ハイビスカスの茂みを人目を気にせず、堂々と歩いているんですね。
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筋骨隆々の後姿は『軍鶏』のそれです。軍鶏といえば、高知も有名な産地。でも高知の場合、近年まで闘鶏の歴史伝統的な背景が食材価値よりも、ずっと先行してきました。軍鶏は闘う鶏としてより評価されてきたのです。
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江戸時代初期に、タイからもたらされたとされる軍鶏。系統的には小型の軍鶏『小軍鶏(こしゃも)』に見えます。
軍鶏の本能を際立たせる訓練はされていないんで、愛玩動物として近所の方が飼育されているんでしょうね。

でも放し飼いにできるなんて・・・沖縄の沖縄らしい一面はこんなところにもあり、それが出来ない環境に暮らす私たちは、そんな沖縄にも憧れるのです。

里山のクライマックスシリーズ2015
今日は久々に、高知の季節のいきものたちの話題です。
日々深まってゆく里山の秋。10月下旬のある日、里山の林縁ではアサギマダラが南の島へ飛び立つ準備をしていました。
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この香美市の里山では、アサギマダラ成虫は11月初旬には見られなくなってしまいます。代わりにこの地へ残るのが、産み落とされた卵から孵化した幼虫たち。

でも実は、この高知の里山で産み落とされたアサギマダラの幼虫たちにも、南へ長距離を洋上移動する成虫以上の試練が待ち受けているのです。
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その殆どが冬の厳しい寒さと、天敵の攻撃に容赦なくさらされながら、幼虫での休眠期を含め5ケ月以上もかけてゆっくりと成長してゆくのです。

そして3月末に羽化し、この里山に留まる事なくそのまま北国や高山地へと旅立っていきます。
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一方、南の島でいち早く羽化した早春のアサギマダラたちも又、北へと向かい途中辿りついた高知より涼しい場所で夏を過ごし、その地で世代交代を果たし、又秋には高知へ戻りこの地で産卵し役目を終える個体もいれば、大部分の個体群はより南の奄美群島や沖縄島、八重山諸島へと向かいます。時には台湾まで飛んで行って越冬、繁殖して世代交代を果たし、春早くに、高知の里山で羽化した個体群と合流して北を目指す。延々とそんな生活史を繰り返しているんです。

これが里山季節の風物詩のひとつアサギマダラの渡りなんですね。
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香美市の里山では、この日もアサギマダラの里in秋葉山のメンバーさんによってマーキング調査が行なわれていました。
そんななか、
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この群れのなかには10月9日に富士山麓を旅立って、日本列島を南下し高知の里山に舞い降りたオスのアサギマダラがいたんですよ。

そんなアサギマダラの秋渡りがピークを迎える頃、香南市里山の石清水のせせらぎでは、緩やかな秋の日差しをあびて・・・
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ミヤマアカネの世代交代が始まります。こちらはアサギマダラよりもっともっとゆっくりと幼虫期をこの里山のせせらぎで過ごし、7月中旬に羽化して近隣の照葉樹林の中で3ケ月をかけて成熟、今日を迎えているんです。
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それぞれの秋の息づかいが、しっかりと聞こえてくる里山の秋風景。今年も多くの人々によって守られていたのですね。

報告を兼ねて
3泊4日の八重山・沖縄旅行を終え、期間中撮影した蝶の画像を持って、香南市在住のチョウ研究家、植田先生のお宅へ行きました。
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私が八重山諸島や沖縄本島で見た蝶をより深く知る為に、植田先生にアドバイスを頂戴するんです。
先生は、三十数年に渡り高知に活動拠点を置き、チョウ目(鱗翅目)に特化して様々な研究をされてこられ、特に素晴らしい状態に保たれている標本の数々は、
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今まで四国内で観察記録があり、現在では見る事の出来なくなったチョウ目(鱗翅目)や、南方の島々から偶発的に飛来した迷蝶に至るまで、記録のあるチョウ目をほぼ全種完全な標本として保管されているんです。その大部分がご自身で捕獲したり、繁殖させ標本材料としてご自身で標本制作されているんですよ。

実は私も自慢の蝶の標本を持っています。というか昆虫の標本はこの1箱だけ。
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どうです何れもが摩耗の全くない完全な蝶の標本体。植田先生に2年前いただきました。生物を標本として保存する場合、殆どの標本は生きている時の色彩を失います。ですから魚類などの場合、図鑑は写真より肉筆画が種本来のイメージ伝達に優れる、なんて場合もあるんです。

そんな中、昆虫の場合はコウチュウ目(鞘翅目)やチョウ目(鱗翅目)は、巨大種がいても他の動物よりは小型揃いで、概して色彩の劣化が少ない為に標本の価値は、芸術的にも生物学的価値にも優れています。
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色彩や光沢は言うに及ばず、全体的に欠損・摩耗の無い蝶の美種標本は、自然環境下で見る生体に負けない、まるで今尚生きているかのような輝きを放っています。何年も何十年も変わることなく。そんな標本を見たくて、珍しい蝶を見つける度に植田先生のご自宅を訪問するんですが、お目当ての種がなかったことは一度もないんですよ。植田先生のチョウ目に関する標本色彩はインターネットの画像検索より美しく、多彩でナチュラル。さらに植田先生の豊富な知識が結集された解説付きなんです。
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今回の沖縄本島や八重山諸島への訪問で、見ておきたかった蝶はたくさんありました。そのいくつかとは、彼らの暮らすフィールドで対面でき、他にも施設での生体観察によりその蝶たちを育む自然環境を感じることもできました。

そんななか、今回の限られた時間では見る事のできなかった地域ならではの蝶も少なくはありません。アオタテハモドキJunonia orithyaもそのひとつ。
そんな蝶のひとつひとつを、先生所有の標本を見ながらその生態を解説いただき、自身が実際に見てきた沖縄本島や八重山諸島の自然環境と照らし合わせて、それら蝶の羽ばたく姿を想像してみました。

そして必ず実現させる次回の訪問では、それらの蝶にもきっとあえるようなイメージ作りの準備を今日からしていくのです。
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植田先生は、ご自宅の近くに蝶ハウスを持っておられ中に様々な幼虫食草を植え多種多様な蝶を飼育されています。私はこの施設でオオムラサキ羽化の瞬間を見せていただきました。でも、さすがに沖縄本島や八重山諸島の蝶たちはいません。
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また植田先生と同じ専門の活動を、高知でされている方は複数おられます。私の知る室戸の長崎先生もそのおひとり。
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皆さんは連絡を取り合って、常に最新の情報を共有されておられます。私は発見できませんでしたが、県東部には今年も、先日沖縄本島で見たカバマダラが迷蝶として飛来しているとのことでした。

先生のお宅へ伺うと、同じ専門家の方が来られている時もあるんですが、当然専門家同士の話になると珍種が主体となる為、私は横で伺っていても全く話が理解できません。
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そんな先生のご自宅には今日もお客さんが団体で来られました。といってもこのお客さんは毎日、こられるんですって。それも玄関からでなく、居間のガラスサッシをたたいてみたり、戸が開いているとそのまま部屋に入ってくるそうなんですよ、一年中ほぼ毎日。

ですから、今日は私もそのお客さんに挨拶させていただきました。ご紹介します、野鳥のヤマガラさんです。手にヒマワチの種を持っていると止まって食べます。
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そしてお腹が張ると水を飲んで裏山へ帰るんです。

他に、シジュウカラもほぼ毎日来るそうです。これらは周年見られる留鳥ですから。さらに数日前からは冬鳥のジョウビタキも来るようになったんですって。
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先生のお家の庭では、数年前に営巣したコゲラの穴を利用して、ヤマガラの雛が今年も巣立っていったとか。うらやましい自然環境です。


私もまた来ます。野鳥たちとも友達になるために。

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