土佐料理 旬の鰹がゆく!

自然豊かな高知の気候が育む産物を食材とした伝統郷土料理のご紹介です。 自然に触れ、それらを見守りながら地方の環境問題を考え、豊かな自然環境の中で収穫される食材を自身の主観でレポートしながら、旬とは何かを考えます。

2016年05月

栗の雄花かと・・
昨日の続き、クリの雄花に集まる昆虫をみているうちに見つけた鱗翅目。といってもこの虫は花が咲く前からいたのです、幼虫ですから。
シラガタロウ







鱗翅目の幼虫ですから、その姿は大体想像がつく⁉のでしょうが、大多数の人が見たくない・・・いわゆる『ケムシ』です。パッと見、クリの雄花みたいな。

このケムシ、当ブログでは2度目の出演。クスサンの幼虫で呼称『髪太郎』なんです。

クスサンの越冬態は卵態ですから、この髪太郎がこのクリの葉に存在したのは昨年の秋。春に孵化してこんなに・・・大体7cm以上・・・に成長しているのです。クスサンは、一か所に卵を数十個単位で産み付けるようで、これが自然淘汰されずに成長していくと、寄生された樹はおおごとになります。
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髪太郎は大食漢ですから。

そして髪太郎は、毛むくじゃらでも棘もなければ毒もない。ですから、可愛いといって捕まえて手の上で猫のように遊ぶ人もいるんですが、私はしません。個人的にはちょっと興味はあれど可愛いとは思えませんから。

髪太郎を飼っている人もいます。鱗翅目の幼虫は大概、特定の植物に寄生することで、狭い環境でも棲み分けしているんですが、髪太郎の場合は複数の食草に対し順応しています。つまり主たる食草のひとつがクリなんですね。でも仮に髪太郎が大量発生し、このクリ樹の葉を食べ尽くし途中からクスノキやクヌギ、コナラを食べて成長できるかは分かりません。飼った事ないもんで。

この髪太郎の幼虫は7齢にまで達するとか。ですから、草食動物特有の乾いた糞を信じられないほど大量に落下させること、そしてその糞が驚くほど巨大であることも想像できます。毛の少ないチョウの幼虫は飼ったことありますので。
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髪太郎は、食事していない時はひたすら寝ています。不要なエネルギーは使わない主義なんですね。

そんな白髪太郎には別名がありその名は『スナンタロウ』。シナンタロウというケムシもいるんですがそれは別種で、結構危険な蛾の幼虫(イラガ)なんですよ。

いにしえにおいて巨大な蛾クスサンの幼虫は天蚕としてではなく、釣りテングスの材として利用されていたとか。でもそれは繭からではなく、終齢幼虫の体内から絹糸腺取り出して酢に浸し、指先でしごいてテングスに仕立て川魚釣りをしたとか。昭和の大戦の前、川魚を愛する地域ではそうしていたんです。
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今は忘れ去られようとしている白髪太郎と人と川魚ウグイの物語、そんな昭和の語部たちが少なくなると、髪太郎の話題もまた遠く彼方へ消えていくんでしょうね。

雁瘡平目(がんぞうびらめ)
食材活用する魚は普通、その価値を高めるために印象の良い名前をつけるもんなんですが、極一部にはそうでもないものもあるんです。例えば高知で火傷(ヤケド)といわれる標準和名ハダカイワシ(ハダカイワシ科ハタハタ属の深海魚)。ただでさえ鱗が剥がれ易い鰯なんですが、この種は底引網などで水揚げされた時点でほとんどとれてしまっているため裸鰯。なんですが・・・

高知ではそれではこの魚を表現するのに物足りないと思ったのか、かさぶたの剥がれた火傷傷に擬えてヤケドとは酷いものです。このヤケド、干物でいただく海産資源なんですが、体内に人には消化できない油脂を蓄積しており食べ過ぎに注意が必要なんですね。

そして今日の主役もそんな変わった名前の魚なんですよ。それがこちら

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天然色市場のカンゾウビラメ

いつもの天然色市場では、朝からパワー全開のおばちゃん小団体が押し寄せて、ヒラメが安いだの、カレイが安いとか言って、気に入った魚を袋詰め。売り子のお兄ちゃんも、それはヒラメじゃないとか、カレイと違うとか説明に追われているんですが、美味しい魚に格好が似ているだけで結果OKの様で、しかも安いのです。

ところでこの魚が何かなんですが、
ヒラメとカレイの 両者ともカレイ目に属し、腹を手前に置いて左に顔があるのがヒラメ、右にあるのがカレイというのが定番(一部例外があるんですが)。それでいくとヒラメの仲間ということですよね。
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弘化台でも売られているカンゾウビラメ

正体は、カレイ目ヒラメ科ガンゾウビラメ属のカンゾウビラメなんですね。ヒラメより小型魚で、旨味もヒラメより劣ります。習性もヒラメほど貪欲ではなく、アクションを交えた疑似餌に反応するより、鯛のフカセ釣りで、餌を底につけると釣れてきます。釣り上げた直後には有眼側の側線湾曲部に、良く目立つ暗色斑が一点現れるのが特徴。

ところがガンゾウビラメ属は複数種存在し、暗色斑が数ヶ所現れるタマガンゾウビラメは、ガンゾウビラメより旨味に優れているのです。
タマガンゾウビラメ












ヒラメ

ま、何れにしてもヒラメ科の王者は間違いなくヒラメ なんですけどね。
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ところでカンゾウビラメは漢字で書くと雁瘡平目なんですが、雁瘡はガンガサと呼ぶ湿疹の一種で、冬鳥の雁が飛来する頃に陥り易い病気、雁が去る頃には治る結構しつこい皮膚病なんですって。
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もっと美味しそうな名前、無かったんでしょうかネ

洋食料理ではけっこういけるんですよ。
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刺身で食す時だって、ヒラメと比べなければ十分に美味しいのです。

里山に咲く初夏の木花
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香美市にある里山の棚田で、田植えが終了するとその脇で咲く木花。
わたし的に最もお気に入りなのが、
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この更紗空木(サラサウツギ)。外側が紅紫色で内側が白色になるので更紗の名で呼ばれるんです。香りのよい花を下向きにつけるので、下から見上げても美しいユキノシタ科(頂戴したコメントをご参照ください改めアジサイ科の花。
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空が青ければ青い程、更紗空木は更に美しさを増し、初夏をより爽やかに彩るのです。

でも、コウチュウたちには更にお気に入りの花があるんですね。その花を咲かせる樹は里山の人々に保護されるべき、人とも深い関わりを持つ木なのです。
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それがこちら、皆が知るクリの雄花です。ブナ科植物は大体が風媒花なのにクリやシイは虫媒花、虫の仲介によって受粉するんです。

里山でなくても、山が近くにある町では初夏になるとえぐい臭いが漂ってきますね。spermineを含んだ芳香成分がその臭いの正体なんですが、虫はともかく人には芳香ではないと思います。私などは、この花の傍にいると喉ガイガイガしてきますから。
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でも虫たちにはそれがたまらない様で、アオハナムグリやコアオハナムグリがこの花に群がっています。
ということで、蝶も蜂も蠅も多種多様な昆虫が誘引されるクリの花で、コウチュウを探してみましょう。
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先ずは、

暗赤色に黄白色の斑点を散りばめたコウチュウが飛来してきました。
ジュウシチホシハナムグリです。

コウチュウは飛ぶ為にけっこう全身に力が入っていますね。飛翔しながら捕食する虫たちとは、その能力において大きな差があります。でも、よくみると一生懸命さがよく伝わってきて愛らしい飛翔姿なのです。
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ジュウシチホシがあるハナムグリという和名に皆が疑問を持っているんですが、☆に喩えられた黄白色の斑点は、前胸背板や上翅のみならず体側や尻にも現れているのです。
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ジュウシチホシハナムグリ、一般的な体色には黒色地型が多いんですが、黄白色の斑点に現れる変異と同じ様に、オスの体色にはこの様な暗赤色型が普通に現れるのです。
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クリ花の上ではこの体色のジュウシチホシハナムグリはとっても目立ってしまいます。体長も10mm以上ありますから。

逆にジュウシチホシハナムグリより小型で、クリの花色に融け込んでのが、
ヒメアシナガコガネ









ヒメアシナガコガネ。体長は6~9mmほど。こちらもここに見られるように、鱗片は黄褐色以外にも赤褐色から黒褐色まで様々な変異が大きく、また斑紋も個体差による変異が多いのです。
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このヒメアシナガコガネ、クリの花にどっさりいますが、香美市の色彩パターンは雌雄共にこの鱗片色ばかりでした。

これら花に来るコガネムシ科のコウチュウは変異のデパートなんですね。

コガネムシ科以外のコウチュウもひとつ。
トゲヒゲトラカミキリ








スレンダーボディーが特徴の小型トラカミキリ。青灰色色彩のカミキリムシは他にもいるものの、よく見るとい帯模様の形で判別できるのです。

初夏のクリ樹は大賑わいでしたよ。

初夏の投稿画像
ご自身で釣られた魚の画像が送られてきました。本当は前回のように画像よりも現物の方がいいんですが、なんちゃってともかく画像送付ありがとうございました。

では送っていただいた画像を早速拝見してみましょう。まずは・・・
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浦戸湾内で釣ったヒラスズキだとか。現物を見るとスズキとヒラスズキは割と簡単に識別可能なんですが、頂戴した画像では撮影角度とかですぐに判断できない場合があります。

さらに釣った場所が完全な汽水域の湾内ということになると猶更。でも頭部形状と、ぎょろっと眼。更にはこの道のスペシャリストが釣られた一尾ですから、ヒラスズキに間違いないんでしょう。
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でも両種は目を瞑っていても識別できる方法があるんですよ。

刺身を食べてみればいいんです。同程度の鮮度であれば万人が判るほど、好みの問題などではないレベルでヒラスズキが旨いです。

ま、ヒラスズキはこの辺にして画像はもう一枚送っていただきました。
キジハタ






それがこちら。マハタ属の非常に美味な高級魚。キジハタ(俗称:アコウ)です。

キジハタの資源量は高知では多くありません、生息はしていますが。

黒潮流れる高知では、競合相手となる中小型のハタは数多います。土佐湾は多種多様なハタ属が生息しているんですね。ですから瀬戸内海や日本海のようにキジハタは一般的なハタではないんです。
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活キジハタのお造りは極めて美味。ということになると・・・
ヒラスズキもしかり、一般流通していない極めて美味しい魚を2種も仕留めたんですね、うらやましい経験です。

でも、念のために後で確認すると画像を送っていただいたキジハタ。実は瀬戸内海まで遠征して釣った一尾だったんですって。釣り三昧の記録なんですね、それもまた羨ましい限りです。

初夏のコムラサキ
物部川の河畔林で羽化直後のコムラサキを見つけました。
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これが羽化したばかりの美しいコムラサキ。ということで、今日はコムラサキの羽化に至るシーンを終齢幼虫期から画像で追ってみましょう。コムラサキの幼虫は、春になってヤナギ属の葉が樹上いっぱいに生え整うと、その樹のどっかにいます。
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昼間は比較的じっとしている幼虫なんですが、夕方や日の出前には活発にヤナギの葉を摂餌しています。

そんな食欲旺盛なコムラサキの幼虫なんですが、摂餌を止めて一日同じ場所から動かなくなると、蛹になる時が近いのです。
2日ぐらい動かずひたすら体内の老廃物を排泄し終わり、頭を下にする体制をとると、
コムラサキ 前蛹








幼虫は背中をやや丸めた体型の前蛹になります。その時既に幼虫の尾部は糸で固定されているんですが、コムラサキの前蛹は、比較的幼虫に近い形状で収まっています。

そんな前蛹は一両日で蛹になります。
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これがコムラサキの蛹。5月のコムラサキ蛹は10日程度で、やや表面が茶色になって来たかと思うと、あっという間に殻を破り、成虫が出て来ます。

コムラサキの蛹は、羽化の直前になってもオオムラサキやゴマダラチョウのように、蛹殻の下に成虫の模様が明らかに透けて見える状態にはなりません。微妙な体色変化が羽化の前兆なのです。
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これがコムラサキの羽化。その微妙な羽化前兆を見逃してしまうと見れないシーンです。

蜻蛉と違って蝶の羽化にかける時間は非常に短く、30分もしない間に翅は伸びきって羽化を完了させているのです。
コムラサキ羽化







ですから、蝶種の羽化に立ち会えることは滅多にないんですよ。

飼育していても、いつのまにか羽化していますから。

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