土佐料理 旬の鰹がゆく!

自然豊かな高知の気候が育む産物を食材とした伝統郷土料理のご紹介です。 自然に触れ、それらを見守りながら地方の環境問題を考え、豊かな自然環境の中で収穫される食材を自身の主観でレポートしながら、旬とは何かを考えます。

2016年09月

瑠璃鐫花娘子蜂
ご存知ですか『瑠璃鐫花娘子蜂』、これだけ漢字が並ぶと日本の もの なのか こと なのか判りません。その読み方は今日のブログタイトルにある通リ『ルリチュウレンジ』チュウレンジのひとつなんです。いい加減分からないのに、カタカナひらがなで書くと余計に何のことか意味不明。中型の電子レンジか中距離用の何かの道具か、はたまたお寺・・・

これを知っていると雑学博士か昆虫博士級の物知り⁉なんでしょうが、今は名前が分かっていれば、簡単にネット検索出来て、画像があれば珍しいものほど素晴らしい知識の方々が優しく指導してくださる凄い時代なのです。私は自身が今まで知らなかったことや、誤解していたこと、また自身の考え方はそうであっても、違う視点からの物の見方を何度もその方法でお教えいただいてきました。

でも、わからない知らないものに対して最初は自分で考えてみることは、仕事の第一線を退いた今の私にはとっても楽しい事でもあります。さてそんな観点から
瑠璃鐫花娘子蜂を分析していくと・・・その前に今までの記述で昆虫であることは解けていると思うんですが、漢字名の如く蜂なんです。
先ずは、それを見てください、きっとその方が話が早いのです。
瑠璃鐫花娘子蜂










これが
瑠璃鐫花娘子蜂なんですよ。瑠璃色に輝くメタリックボディーが個性豊かな特徴で名前に繁栄していますね。この個体は光沢の強さからもメスと判断できます。

更に雌雄特長としては、オスの触角は短毛が密生し、メスの触角には毛がない。まるで蛾みたいです。

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そんなある意味ロボット的な印象なんですが、誘因されている花がオトコエシですから、結構コンパクトボディーなんですよ。サイズは1cm未満ですから。

北海道、本州、四国、九州、沖縄の平地から山地、都市部の公園や植え込みでも見ることができる珍しくない昆虫で、体色も特徴的なんですが大きくないんで目立たない存在なんですね。でも他の昆虫が少なくなる晩秋まで活動しているんで、これからの季節は存在感を発揮出来るのかも。

次に
なんですが、この漢字の意味はと書くのが一般的で、大工さんのノミなんです。つまり瑠璃鐫花娘子蜂は卵を植物の葉の縁側組織内に産み付け、葉の縁に列状に並ぶその痕跡が鏨を使ったように見えることからそれなんですね。他のチュウレンジハバチは卵を若い枝に産み付ける種もいます。
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つまり
瑠璃鐫花娘子蜂は蜂といってもハバチの仲間で、幼虫が寄生するのはツツジ科の植物なのです。でも名前に躑躅まで入れると更に日本語らしくなくなるのです。因みに瑠璃鐫花娘子蜂は、普通に見られ幼虫は群れを成し激しくツツジ科の植物の葉を食害するんで、人間にとっては害虫に相当します。娘子は妻やむすめの意味(中国語)で、この場合は何

その辺もきちんと解明できるんでしょうか。

瑠璃鐫花娘子蜂大きくない上に、ハバチの仲間ですから刺すための針を有しておらず
天敵は多く、そんなところが数頼みな生態に繁栄しているのかも。さらに他の多くのハバチがそうであるように多化で一年に3・4回の発生を繰り返すんですよ。越冬形態は土の中で繭を作って蛹で休眠するのです。

昆虫として高度な社会性を有する蜂の成虫はほとんどがメス。
瑠璃鐫花娘子蜂のメスは、有性生殖以外にも単性生殖で産卵する能力を持っています。以前、ミツバチやスズメバチたちの記事で書きましたが、受精卵から発生する2倍体(2n)個体は全メス。未受精卵から発生する1倍体(1n)がオスあることから、単性生殖で発生した場合は瑠璃鐫花娘子蜂においても同様に全てオス、交尾後産卵された卵から孵化した幼虫は全てメスなのです。

そして、蜂の社会は雌中心で運営され数的にも圧倒的にメスが多いのです。そんな配分の中、オスに出会えなくても世代交代に一役買えるこのシステムなんですが、未来に向けて上手く世代交代が進み、種が保全されるように個性的に計算されているんですね。

さて、高度な社会性を持つ進化した蜂たちに比べ、仮に毒針を有していても成虫ステージにおいて単独で生活する蜂たちの人体への危険度は低いとされています。それは時に攻撃をも辞さない、コロニーを守る役目のメス蜂の役目以上に、世代交代を完了するというメス蜂の役目を彼女らが最優先に生きているからなんですね。
ルリチュウレンジ












更にハバチの仲間は、産卵管を毒針として兼用できない古代的な蜂なんです。

これらの蜂の特長は、寸胴でくびれがなく蜂か虻かわかり難い類です。そこで思い出すのは・・・子供の頃、黒い寸胴のこんな虫を見つけると何故か『
便所蜂』と呼んでいませんでしたか。でもそれらは本来、蜂ではなく肥溜めや畜舎、堆積した生ゴミ等から多数が発生するミズアブ科の昆虫を指し、それらの衛生害虫とは全く違う、どちらかというと農業害虫なんですよ。瑠璃鐫花娘子蜂は、ハチ目(膜翅目)ハバチ亜目、ミフシハバチ科(触角が3節から成る)の昆虫なのですから。

何処へいくにもカニまかせ    
メスのガザミ(タイワンガザミ)にたくさんの寄生虫
アブミウスエボシ














これだけ付着されると蟹も大変です。勇気を出して、もう少し接写してみましょう。
アブミウスエボシ (1)














これって
固着性の甲殻類でありながら、漂流物などに付着して他力で移動するエボシガイみたいな形状の寄生虫です。ということになると、カイという名でも節足動物で甲殻類の仲間なんですが、甲殻類にどっさり付いている甲殻類ということになるんですね。

でも、それって蟹に寄生ということになるんでしょうか。エボシガイは広義にはフジツボの仲間で、栄養源は海水中より自ら摂取、
脚を用いて小型のプランクトンを食べるのです。

蟹の甲羅に付着で思い出すのは・・・

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ズワイガニに付着するカニビルの卵。カニビルといってもその栄養源は魚類の体液、一般的には成体が目にされる機会は少ないため、よく目立つ卵の付着している場所をもって、カニビルなんですね。
カニビルはズワイガニの甲羅を産卵場にするだけで、カニビルの成体がズワイガニの体内に侵入してズワイガニの体液を吸ったりはしないのです。

カニビル成体の活動場所の低床が砂泥地の為に、ズワイガニの甲羅が産卵に最適な点、さらに蟹の移動によって卵が適度に放散できるメリットがカニビルにはあり、ズワイガニにはメリットは多分無いんでしょうね。でも片利的であっても栄養搾取はなく、他のサービスを持続的かつ一方的に収奪するという寄生の定義に当たるのかは、収奪という点で微妙でもあるんですが・・・やっぱり寄生なんでしょうね。

ではもう一度ガザミの付着生物に話を戻すと、
甲殻類に甲殻類樽エボシガイが付着する場合、ワタリガニにはコスジエボシが一般的と言われていますが、この動物名は多分『アブミウスエボシです。

これらは、付着物によって低層や浮遊物のほか生息海域を変えることなどで広く棲み分けしているんですね。
アブミウスエボシ (2)














そうなると、アブミウスエボシはなぜこれだけ密集して付着しなければならないのか

それにもちゃんと理由があって、これらの仲間は
雄同体なんですが、自家受精はせず陰茎を通じて他個体に精子を渡して繁殖するのです。互いに近くにいないとダメなんですね。

さらに蟹は脱皮するんで、その生活サイクルを早くしないと蟹とは付き合えないんですよ。ですから、これらの付着具合によって、その蟹個体が脱皮後どれくらい経過しているのか食材判断基準にもなるんですよ。

さて、いつもの流れでいうとこのアブミウスエボシも、甲殻類だからフジツボやカメノテのように美味しいんでしょうか?って聞かれそうなんですが、このガザミは買っていないので、アブミウスエボシの味もわかりません。

かわりにとっておきの情報をお知らせしましょう。海底にもクワガタムシが生息しているんですよ。といっても昆虫ではないのにクワガタムシそっくり。

嘘だと思ったら『ウミクワガタ』で画像検索してみてください。ウミクワガタは
潮間帯・汽水域・干潟にいますが、里山の雑木林にはいません。大きさはチビクワガタより小さい数mm程度、でも大アゴは立派でコクワガタからホンドヒラタみたいなのもいれば、ツシマヒラタ型もいるのです。しかも、これから新種の発見も期待できるとか。地上のクワガタムシでいえば羽化したてみたいに白く、さらに小さいですから見つけにくいんですね。

ちなみにウミクワガタは幼虫期、魚類に寄生し吸血します。変態後の成体は魚を離れるんですね。

紋付(モンツキ)
紋付羽織袴(もんつきはおりはかま)ではないんですが、日本伝統の和礼装みたいな魚がいるんですよ。それは近海の有用海産資源で、近頃ブログで紹介させていただいた何種かのフエダイ属の仲間です。その魚種は、食味・食感に優れるフエダイ属のなかで、土佐湾では最も資源量の多いフエダイ属ですから、けっこう流通量も多いんです。
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クロホシフエダイ 成魚

秋、沖の漁礁で深場に落ちるマダイを狙っているとよく釣れます。この魚の本来の旬は春から夏とされるも、私たち遊漁船で釣れるのはもっぱら秋。でも、身質がしっかりしているんで産卵直後以外はあまり味が落ちる魚でもないんです。
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体長は成魚になると50cmを超え、成長とともに全身赤銅色を呈してくるのが成熟の目安。沖で釣れるのは大体いつも40cm以上の老成魚的な個体が多く、旨い魚揃いのフエダイ属のなかでは、私の釣ったこの魚はいつも大味に感じてしまいます。もう少し小さい30cm台のほうが旨いんでしょうねきっと。
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クロホシフエダイ 若魚

この魚の標準和名は『クロホシフエダイ
Lutjanus russellii 、この辺りの海に生息するフエダイ科フエダイ属有用魚のなかでは比較的大型の部類で、温帯海域を中心に亜熱帯にも分布しています。高知ではこのクロホシフエダイ紋付モンツキ)とも呼ぶんですね、背中の黒紋に擬えて。さらにはその部分を喩えてモグサなどとこの魚を呼ぶ人もいます。

この草色のような若魚が成長すると、
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上:フエダイ 下:ニセクロホシフエダイ
吻や顔面の方から赤銅色に染まり変化してくるんですね、まるで秋の紅葉のように。

さてこのクロホシフエダイ。幼魚期には汽水域に好んで侵入し淡水に近くなるに従って、体色が萌葱色(もえぎいろ)っぽくなります。この稚魚も秋にはよく漁港岸壁で釣れ、その引きは結構子供たちを楽しませてくれる強いものなんですよ。

このクロホシフエダイには、よく似たニセクロホシフエダイという種がいるんですが、縞模様が3列のこちらはクロホシフエダイ。ニセクロホシフエダイにはこの線が6本くらい現れます。さらにクロホシフエダイの縞模様は褐色、ニセクロホシフエダイはそれより黄色いのです。他にも外見上の見分け方法が存在します。
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クロホシフエダイの歯型

食材利用する際に、この明瞭な黄褐色縦帯の有無は非常に重要でこの縦帯のない種はイッテンブエダイ
Lutjanus monostigma という別種。昔より日本近海ではドクギョ(毒魚)とも呼ばれ、フエダイ属では非常にシガテラ食中毒の懸念される魚種なんですよ。

イッテンフエダイは成魚化すると、背鰭や尾鰭も黄色化する傾向にあるんですよ。その他にも、シガテラ食中毒の危険性が高い種は、フエダイ属のバラフエダイやイトヒキフエダイ属のイトヒキフエダイ、フエフキダイ属のキツネフエダイ(キツネフエフキ※下記コメントご指導により修正いれましたなど、けっこう多いんですよ。

美味しい魚といわれる一面で、成長とともに有毒化する魚種には亜熱帯海域産でなくても、これからますます注意が必要となります。

フエダイ属の料理はこちら
クロホシフエダイの料理はこちら

秋棚田の花々
台風16号が接近する、収穫間際の香美市の棚田。
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里山の田畑ではモグラ対策に有効とされてきた彼岸花も咲きました。

この画像でも見える水路脇の
芭蕉の木、今年も夏からずっと花を咲かせ続けているんですよ。
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秋金色に染まる棚田脇に咲く、季節の花は他にもたくさんあるんですよ。

そんな花のなかで、今日ご紹介するのは江戸時代に日本に渡来した、薬や料理さらには染料として地域の人々の必需品として活用されてきた、インド原産のとっても有名な植物を見つけました。
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ここの棚田はすごく急こう配で、集落のある下からは登ってくるだけで“おおごと”なんですが、ご覧のように、上段に県道が通っているんですね。

ですから、急斜面にへばりつくように開かれた小さな棚田の連続なんですが、このインド原産の植物が日本へ来た時代よりはずっと棚田の運営も楽なはずなんです。それに今では棚田の米の品質の高さは、高知のように多雨な暖地では特に再認識されてきていますから。
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これが、この集落の作物を潤す豊かな水源のひとつ。このほかにもう一本水源があて、地域一帯の隅々まで勾配を利用して枯れることのない水路が整備されているのです。
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そんな棚田最上段でインド原産の植物は花を咲かせているのです。この植物は、多くの方々が既に気づかれておられると思いますが、
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ショウガ科ウコン属多年草『鬱金(ウコン)』通称秋ウコンなんですね。でもこの白い部分はウコンの花ではありません。

ウコンは高知の里山へ行けば畑の横に普通に植えられています。
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花期は晩夏から秋にかけて、まさに今の季節なんです。
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非常によく茂る黄緑色の大きな葉の間から、白い花穂(先が美しい淡ピンク色をしているものもあります)が伸びて、鱗のように重なった淡い緑の苞に黄色い花を咲かせます。ですからウコンの花は姿勢を低くして覗き込まないとよく見えません。

美しくとっても幻想的なウコンの花と花穂ですから今の季節、里山で葉を見つけたら覗いてみてくださいネ。

ネイリとシオ
室戸のヒレナガカンパチ













室戸の大敷網で漁獲されたヒレナガカンパチ

先日ご紹介した
カンパチの記事で登場したヒレナガカンパチ
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今日もその両種が揃って香南市の天然色市場に入荷していました、旬の天然魚ですから。

今日はその続きということで、高知県東部でシオを呼ばれるヒレナガカンパチを刺身におろしてみましょう。
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これがヒレナガカンパチの若魚。560gで税込560円で販売されていました。

アングラーの間において、自然環境下で釣り上げたカンパチを漁獲域によっては純天然由来の個体か、養殖生簀から逃げ出して再び自然環境に適合し成長しているのを推測している記事を見たことがあります。勿論、確証のないことを自由な発想で論争点を絞り込んで議論されているんですが、養殖魚と天然魚の形状相違を再確認できることで非常に興味深く読まさせていただきました。

そしてアングラーさんたち、終いにそれら釣った魚を食すんですが、総じて養殖逃げした釣り魚は旨いという結論に達しているんですね。旨い理由は体内に適度に残った脂肪分、それに環境順応するための運動量が身質に反映して食感が加味される。そういった評価のようですね。

そういう意味で、このヒレナガカンパチの形状は天然漁獲でありながら結構変です。元来ヒレナガカンパチは天然魚であっても、その体色は養殖カンパチっぽいのです。ご覧の様に黒化傾向にありますから。

さらに養殖魚は限られた空間で一定期間飼育されることにより、自然環境ではありえない過密状態と過食状態にさらされ、それに伴う水質悪化など多くのストレスにそれ相応に晒され続けています。

それらに起因する形状変化を読み取るんですが・・・それは天然魚においても皆無ではなく、だから興味深いのです。

さて、画像のヒレナガカンパチはカンパチと比べ体高がある魚種なんですが横から見て特に後半部が寸詰まりのように見えるんですね。その原因は尾鰭にあり、成長段階で尾鰭の上部を天敵に襲われ失ったにも関わらず生き延びて再生段階にある。そんな個体に見受けました。

基本、ヒレナガカンパチは沖縄で養殖試験されているも・・・実用化されてなかったような。そして高知のような温帯域においては、養殖目的でモジャコ採取の際に混入したヒレナガカンパチの稚魚は、何らかの理由で外部へ放たれると聞いたような気がします。曖昧な記述ですみません。

さて、そのヒレナガカンパチの個体を、食材として捌いてみたのかごちら。
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ご覧の様に過剰な脂は一切ありません。でも、アジ科独特のしっかりした身質は健在です。
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皮下には薄っすらと脂がのっているんですが、ヒレナガカンパチの食味は、総じてカンパチよりあっさりと感じるのです。
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南方系の魚種らしく、どちらかというと夏向きのあっさりした食味、カンパチと比較すとうま味が薄く淡白なのです。

さてこれをカンパチとして出された場合、あれっと思うことはあってもこれはヒレナガカンパチじゃないですかと自信を持って言えるかどうか・・・
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盛り付けがこうなっていると私でも言えます。ちなみに、これら若魚は同じ流通価格で扱われていました。ですから偽装云々ではなく、産地の民が段階別に判るか否かの話です。
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ともあれ、今日はヒレナガカンパチを家庭で調理して、お造りでさっぱりと美味しくいただけました。

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