土佐料理 旬の鰹がゆく!

自然豊かな高知の気候が育む産物を食材とした伝統郷土料理のご紹介です。 自然に触れ、それらを見守りながら地方の環境問題を考え、豊かな自然環境の中で収穫される食材を自身の主観でレポートしながら、旬とは何かを考えます。

2017年05月

高知では夏桜も冬桜も
青空の高知に田圃にコスモスの花が咲きました。
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5月のコスモス 香南市

休耕田に咲いたコスモス。といっても去年の写真ではなく、今現在の香南市の画像なのです。つまり高知で一生懸命に探せば、コスモスの花は約9ケ月間見られるのです。
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元来、コスモスの開花は調整でき、通常は種蒔きから約3ヶ月の開花を目安にイベントに合わせ調整する地域も多いんです。

ところが、さらにコスモスには本来の10~11月に咲く「秋咲き」の他にも品種改良によって7~8月頃に咲く「夏咲き」、9月に咲く「早咲き」があるのです。

それが高知では、5月中旬には休耕田でコスモスが咲き、
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1月のコスモスは小花 芸西村

年が明けてもコスモスは咲いているのです。
そんなんじゃあ、コスモスは秋桜ではなくなってしまったじゃない、興ざめじゃないか。と思う方も多いのかと。
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10月のザ・コスモス 香美市

心配ご無用! 秋桜のコスモスは勢いも一輪づつの美しさも全く違いますから。やっぱりコスモスの旬は晩秋の小春日和なのです。

北米熱帯域原産のコスモスは、メキシコからスペインに渡りそこでコスモスという名になったとか。日本には明治中期までには移入されていた様です。数多の民族を魅了する花は、国も地域も民族も越えた宇宙的な秩序を意味するのです。

黒花槐(くろばなえんじゅ)
あっという間に5月も終盤。本来、爽やかな季節であるはずの5月なんですが、4月のように雨が降らなくなった途端、夏本番さながらの日々となっているのです。

香南市の田園には、旅鳥シギたちも見られなくなりました。だから、というわけでもないのですが、改めて田園を見回すと・・・

水田と水路に挟まれた農道脇に
えんじゅ)の葉に似た若木。でも、それとは違う暗い花穂が異様に目立つ低木があるんです。この植物、カナダ北部からメキシコまで北アメリカに広く分布する外来種、百年ちょっと前に韓国経由で日本に来たマメ科植物なのです。
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マメ科の木は根がよく張り土壌固定力が強く、大気汚染にも強い。肥料木としても有用であるため、半世紀ほど前からは在来種に代わって外国原産のマメ科植物も、土地開発の進む日本各地で盛んに開発された
法面のりめん)の緑化に利用されてきたんですね。

今日ご紹介する植物も、この様にして日本での分布を急速に広め、今では日本各地に野生化しているのです。

日本固有種でありながら、外国の人の名前のつく生物も数多く存在すれば、外来種でありながら、複数の日本名を持つ植物もいるのです。
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この植物の場合、
鼬萩いたちはぎ)であり黒花槐くろばなえんじゅ)とも呼ばれているんですよ。イタチハギは原産地でわかるように、温度耐性にも乾燥耐性にも優れていて広い地域の自然環境に適応し、場所によっては既存生態系に大きな影響を与えている場所も多いと聞きます。
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イタチハギの穂状花序と黄色い

開発に対する防災や緑化など、過酷な環境に適合性の高い外来植物を導入することで新たに発生する環境破壊、今は多くの人が学びより良い方法を模索しています。地域にあるべき環境保全は既存生物とともに歩んでいくべき事なのですが、近年の私たちは一寸急ぎ過ぎたようです。

見るべきものは未来のかたち。疑問をもった時は必ず過去を検証してみる事が必要ですね。もちろん、
鼬萩いたちはぎ)には責任はありません。イタチハギという名はイタチのように臭いのではなく花穂の形がイタチの尻尾を連想させるからなんですよ。

お堀の鼈
仕事のついでに高知城のお堀を覗いてみました。高知城に残る内堀は24万石の大名の城郭のそれとしては、どちらかというと小規模。故に、江戸時代から現存する追手門と天守閣、その天守閣に接合して残る本丸御殿など、大規模城郭にはない個性が遺構ではなく実際の建築物が江戸時代さながらに残る、貴重な文化財が高知城なのです。

しかし、それらの建造物はそれぞれに実際以上に大きく威厳を感じる不思議な造りなんですよ、高知城は。
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さて、そんな高知城には他にも日本一と思わせる巨大なモノがあるんですね。しっかもそれは複数存在するというか・・・いるのです。しかも、それはただ昔のままでいるのではなく、現在もさらに大きくなっているような、つまり
生き物なのです。

それは特に、日本有数とか超巨大とか案内されているわけでもなく、高知城へ来られても気づかない場合も多いようですが、偶々見つけた観光のお客様は指を刺し、お喜びになられています。ま、写真を撮るほどの興味は湧かないようですが。

では、そろそろこのあたりで日本一大きい?とも思えるその生き物を紹介しましょう。といっても、既にタイトルには表示しているんですが意地悪く漢字で『
』にしていますから。
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これが鼈、写真を見てもこれを分からない人もおられるのでは。日本に生息はしているんですが、昔話では妖怪に例えられたこともある亀(カメ目)なのです。読み方はスッポン、滋養強壮の食材として今でも宣伝されており、そのCMには現物(乾物となった)も登場するんですが、敢えてリアルに見せる場合は多くないような・・・妖怪的ないでたちなもんで。
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外来種ミシシッピアカミミガメの甲長は大型で25cm
スッポンは日本を含む東アジアから東南アジアに広く分布している亀でありながら、隣にいる外来種アメリカ大陸から来た亀のほうが、イメージ的にはずっと亀らしいのです。さらに多くの在来カメ種が防衛本能として刺激すると偶発的に噛むような行為を見せる場合もあるんですが、スッポンは攻撃的に噛みつき、噛まれると大怪我をする場合もあり、その首は自らの甲羅の前半分までは十分に伸長する首がまた異様な亀なんです。
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そんなスッポンを私たち日本人は古より『
妖怪』に例えるどころか『
月とすっぽん』などと醜い喩えにしたり『食いついたら雷がなっても離さない』としつこいものの象徴として嫌うのです。そのくせ日本人が最も食べる亀がスッポン、人は自分勝手です。
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月に例えられるほど甲羅の円形なスッポン(仁淀川産)

さて、天然スッポンの日本記録(スッポンは結構な高級食材として養殖されています)は、39センチちょっとだとか。でもそれは全長ではなく、亀の場合は甲羅長なんですって。そしてこの高知城お堀のスッポンたちも、挙っていい勝負のように見えます。

養殖もされるスッポン、それらには外国種苗を取り寄せたスッポンもいるようで、それらが種としてどのレベルで分化しているのかを私は把握していません。淡水カメですから海を隔てた地域では種の分化もあるのかも。食材とするレベルでは、外国由来のスッポンは身が硬く、攻撃性がより強いと聞きます。運動性が高く、攻撃力が強いスッポンは、日本の環境より間違いなく厳しい環境で生き抜いたスッポンたちなのです。

同じ様な事例が、オオサンショウウオの生息環境で問題視されています。こちらの方の大陸種は既に種レベルで分化して、環境問題となっているのです。
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話をお堀のスッポンにもですと、この大きさになるとスッポンの重量は7kgを超えるのは間違いありません。でも、興味があっても捕ってはいけません。一応、堀の『魚』は捕獲禁止になっていますし、亀は魚じゃないという考えはダメです。それを判断するのは、個人ではなくこの堀を管理する公的機関なのですから。見て驚き、夢馳せるだけに留めてください。在来種でもスッポンは危険生物でもあるのです。

魚種もカメ種も外来種の目立つ街中の環境。そんな外来種でも及びもつかない異彩を放つ、在来カメ種のスッポンはやはり昔話で例えられる妖怪の雰囲気を十分に醸し出しています。
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そして高知城お堀の亀たちは魚同様、よく人に慣れています。

ツバメチドリの小群、物部川河口部に現る
水田からシギ・チドリの姿が見られなくなって暫く経っても、全ての旅鳥たちが北へ向かった訳ではないのです。河川の中流域から河口部には未だシギ・チドリの姿が少々は観られます。

でも今日、ご紹介する野鳥は旅鳥とも言えないチドリの仲間です。高知では、季節が来てもそんなに多く観られる野鳥ではないようですよ。

2ケ月探し続けたツバメチドリ
以前、4月15日に半魚人さんからいただいたコメントの中で、情報をいただいた6羽の
ツバメチドリの飛来を知り、本格的な飛来はGW頃だともお教えいただいていたので、以来ずっとこの鳥を探していました。
燕千鳥
















物部川河口部の燕千鳥ツバメチドリ)】
そのツバメチドリが物部川の河口部にいたんですね。
物部川のツバメチドリ















このように石の多い中州に身体を伏せ、じっとし休んでいるので中々気づきません。でも目を凝らすと、あちこちにバメチドリが潜んでいるんです、一時間以上ずっとこの状態で。
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ところが上空にトビが接近すると、急に立ち上がって、一斉に警戒態勢をとります。
燕千鳥
















そして、一斉に飛び立つんです。トビが近寄るとこのような行動をとるんですが、ミサゴが飛んで来てもツバメチドリは平気なのです。
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真っ青な空に飛び立つと、何羽いたかが判るのです。全部で8羽いたんですね。
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ツバメチドリの飛翔姿、背面から見るとこうなります。黒と白のツートンカラーはまるでイワツバメ
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こちらは腹面の飛翔姿。羽根の色合いは茶色いですね。
ツバメチドリの色彩は、上面は灰褐色で覆われ、腹部や尾羽上尾筒と下尾筒は白い羽毛で覆われているのです。

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一度は、物部川大橋の上流まで飛んで行ったのですが、しばらくするとまた河口部へ戻ってきたんですよ。
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チドリ目ツバメチドリ科ツバメチドリ属ツバメチドリGlareola maldivarum全長は25cmほど、翼開張60cm以上あります。
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コアジサシよりは、ほんのちょっと大きいツバメチドリ。同目別科のツバメチドリとコアジサシ、ともにと尾羽がツバメのように細くとがっていて、ツバメに似た形をしているのです。
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コアジサシ
ですから名前由来は燕千鳥なんですが、一緒に観察していたバードウオッチャーさんいよると、一週間前には、河口東岸で、ツバメのように飛びながら川虫成虫を捕食していたそうでうよ。
ツバメチドリ














ひと昔前までは、珍鳥とされることもあったツバメチドリ。その保全状況は今も
絶滅危惧II類 (VU)に指定されています。近年は目撃例や西日本での繁殖例が増加傾向にあり、コアジサシ同様にこんな自然環境を繁殖場所に選ぶようです。

またひとつ楽しみが増えました。

ドレスアップ
同じ地域で周年見られる留鳥たちが、見違えるように美しく色彩変化を遂げています。
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香南市香宗川の中流域から下流域で周年見られるカイツブリも、
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いつしか見違えるように濃い色彩に変化し、番が寄り添っています。
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カイツブリの営巣

こちらはバン。バンは常に雌雄が寄り添っている訳では無い様です。
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何れも流水域というより、小魚や小動物の生息する止水域の中州や浅場に枯れ枝を束ね営巣している風景をよく見ますが香宗川の水域でそれを確認したことはありません。
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バンの営巣
それらは、見るからに人工の溜池や湿地といった場所が多いのです。人の営みを上手に利用する、常に身近に見られる動物たちですから、様々な変化に気付き易いんですね。

農村部で最も身近な留鳥といえば、

スズメ。換羽による色彩変化はなくても、その様々な行動は全て人の目に止まるところで規則正しく行われていますね。
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もっと身近に思えるツバメたちは、昔は夏鳥だったんですが今は高知でも多くが越冬しています。更にひとの建造物の利用度を高めながら。それは紛れもない地球温暖化の影響であり、冬期の温度上昇がツバメたちに直接影響を与えたのではなく、ツバメたちが必要とする冬期の餌料、多くの昆虫たちが冬の高知で発生し続けているのです。
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香南市手結の塩谷海岸に見られるサンゴ
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それは地球規模の生物生態系においては、決して好ましいことではなく、沖縄や高知辺りの浅海の造礁サンゴは、近い将来死滅する可能性が高いとか。サンゴは水質の濾過生物ですから、多大な海洋への影響が懸念されるのです。

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