土佐料理 旬の鰹がゆく!

自然豊かな高知の気候が育む産物を食材とした伝統郷土料理のご紹介です。 自然に触れ、それらを見守りながら地方の環境問題を考え、豊かな自然環境の中で収穫される食材を自身の主観でレポートしながら、旬とは何かを考えます。

2017年07月

刺身で美味極まる‼
IMG_6439











透明感のある身色は神経締めのクエならでは
昨日、吉川の天然色市場で購入した『天然の真クエ』。
IMG_6329












昨日は下処理を施した後、一晩冷蔵庫でじっくりと寝かせて、食味と食感を高めてみました。
IMG_6336












一晩の熟成で、活き締め活魚の真クエの身質は適度に硬直し、包丁の入りは良くなっています。未質が生きた状態の魚を捌くのは、素人にはそんなに簡単なことではないのです。生きた魚の身はとても柔らかいものですから。
IMG_6359












こちらが厚い皮を挽いて柵取りした真クエの身色。天然魚らしく発達したエンガワと皮下脂の適度な乗り具合、鮮度を生かした適度な熟成にもこだわってみました。シズル感も上手く演出できていると思います。

ハタの仲間は血合が非常に薄く淡い色をしています。
IMG_6400













切り揃える包丁の走りも実に滑らかなのは、硬直が適度な証です。
IMG_6407












どうです、この真クエならではの身色、この魚の薄造りはやや身を厚めに挽くのが良いとされているのです。
IMG_6442











上身・縁側の他に、塩茹した肝・皮を添えて盛り付けてみました。
IMG_6428











天然活き締め真クエの薄造り』の完成です。
IMG_6508














薄造りは皮と共に肝和えにして、土佐の伝統調味料『ゆずぽん酢』でいただきます。クエの身には、心地よい食感と豊かなうま味がある上に、肝の豊潤でまったりとした旨味が加味されると、その味はまさに『美味極まる』のです。

さて、一尾買いの真クエですからもう一方の片身は、
IMG_6366












昆布締めにして、もう一日寝かせてみました。明日が楽しみです。

天然色市場の活締め真クエ
香南市の吉川の天然色市場、土・日限定の地場産品の販売所です。
IMG_6151














近隣の多くの人々は、土・日の朝にここへ来るのが楽しみ。香南市在住の私も例外ではありません。ですから多くの人と顔見知りで、勿論、販売してくださるスタッフの皆さまからも様々な情報をいただきます。
IMG_6157











型の良いマゴチ
夏らしい地どれの魚が、お買い得価格で購入できる天然色市場の魅力的な個性は、活魚の水槽があること。勿論、活魚も天然の地ものです。

今日は最初の画像でもわかるように、型の良いマハタ属の天然活魚が入荷していました。
IMG_6148











この生け簀は前の海から海水を汲み上げているんですが、今日は土用波の影響もあってか濁っています。マハタ属であるのはわかっても魚種までは識別できません。

鍋具材として人気が高いマハタ属の食材価値は寒い時期に高騰し、暖かい季節になると場合によっては半額以下。ですから迷わず購入しました。産卵直後を除けばマハタ属は概してうま味が豊かで、適度な身の締まりが心地よい食感にも優れる美しい白身魚なのです。

タモ網で掬ってもらって、魚種を確認すると・・・
IMG_6162













真クエ
モロコ)でした。天然色市場にマハタ属の活魚が入荷している事は時々あるのですが、真クエは初めてだったので驚きました。
IMG_6163












厚い皮に細い鱗 体表は粘液性に富む真クエの活魚

体長は55cmほど、2kg程度でしょうか。一般家庭用としてはピッタリのサイズです。
オオモンハタのお造り









オオモンハタのお造り
ここに入荷してくるマハタ属は、殆どがこれ位の大きさで、種としてはオオモンハタが圧倒的に多いです。

オオモンハタは夏を旬とするマハタ属なのです。
IMG_6175












真クエは外洋性マハタ属としての生態系の役割も、食材としての価値も共に最高峰‼

そんな真クエは家庭では資源量の少なさや非常に高価であるため、手に入り難い食材。一般流通とは違うルートで、鮮度保持されて専門店へと運ばれていきます。

産卵期は夏とされ、まさに今。しかしこの個体の大きさだと、産卵行動には未だ参加しできない大きさ。真クエは1mを越える巨大魚で、60cmが成魚としての境だと言われています。
IMG_6178












鋭い歯は、獰猛な食性を如実に表しています。
IMG_6605












実際に調理したあと、顎を外した骨格の様子がこちら。分厚い唇の中には、こんな鋭い歯が多数潜んでいるのです。そして特にクエの場合はゼラチン質に富んだ分厚い表皮が頗る美味なんですね。

つまり皮まで旨い魚なんです。というか実際には骨まで美味く、骨ごと炊くあら汁は豚骨の白湯スープのように、とろみと濃厚なうま味がありしかもクセを感じ難いのです。七味をたっぷりかけて味わう、クエあら汁の味噌仕立ては最高です。
これをややあっさり目に味わいたい方は、一度湯引きを施せばいい按排に調節できるんですよ。

前述の様に、冬場(11月下旬から新年1月初旬)は、人気の高級鍋食材としての高い需要がある真クエ。高知では一二を争うほどに高騰する食材価値に、海産資源としての高い魅力があります。

資源量は決して多くない外洋の生態系の頂点に立つこの真クエ。そんな真クエを冬場の一時期だけ、いつも行う漁をやめて真クエを専門に狙う漁師さんが私の知人にいます。

嘗て私も、そんな一攫千金の夢が見られるような『真クエの延縄漁』を土佐清水の海で体験したことがあるんですよ。私にとって真クエは思い出深い魚種なのです。
IMG_6182












究極の活き締め、神経締めする真クエ 


今日はそんな天然真クエを神経締めにして、家庭で料理する機会が久々に訪れたのです。
IMG_6189












今まで高知県で食に携わる者として数多く食す機会は有りましたが、それはお膳立てされた料理として味わった体験。今日はその経験を家庭で発揮すべくの挑戦です。
IMG_6199












専門漁師さんの真クエ漁や専門料理店のクエ鍋の味は経験していても、
IMG_6207












その高い食材価値を、自らの家庭で料理し、味わう経験は真クエだけにそうある事ではないのです。
IMG_6209










ちなみに購入価格は、約2kg1尾で3,000円税込みでした。季節が夏で、偶発的に香南市で漁獲された個体とはいえ、天然活き締め真クエがこの価格‼ 天然色市場ならではのお買い得感なのです。
IMG_6211














活き締めならではの、もちもち感。
IMG_6213













ここで、自身のイメージする食味食感が引き出せる時間を調整します。刺身にはそれが非常に重要で、活き締め処理がそれを可能にするのです。

さて、クエはマハタ属の1魚種の正式な和名。近頃はマハタ属の各魚種を、それぞれの和名で呼ぶ事が多くはなったのですが、高知県を始め多くの海沿いの地域ではマハタ属全般をクエと呼ぶ事もあり、混同を避けるために真クエ(まくえ)としました。また私たちは本クエ(ほんくえ)と呼ぶ場合もあります。
fce61d6e[1]







マスグエとも呼ばれるマハタ属 マハタ

西日本、太平洋沿岸の人々にとってクエは紛れもなくマハタ属の最高峰であり、その個体数は決して多くはないため、その食材価値に肖って形の似た同属(マハタ属)の魚種をクエと呼ぶ習慣があると考えられます。

そんな高い商品価値と比較的飼育が簡単な事もあってクエには養殖個体も流通しています。またニホンウナギやクロマグロと違い、早くから種苗生産も確立。より暖海性で成長の早いマハタ属ヤイトハタとの種間でハイブリッド個体も飼育、事業化が試みられた時代もありました。

粘液性の高い魚種は飼育には有利でも、飼育方法や鮮度、流通にまで十分にこだわらないと、養殖魚独特の生臭みが感じられるようになります。ですから天然のクエは今でも希少性も伴ってお値打ちなのです。
アラ










ハタ科アラ属 アラ
ところが、九州では広域でクエを同科別属の魚種でもあるアラと呼びます

高知ではクエよりもアラの方が見る事の珍しい魚種です。このアラは不思議な魚種で、こんなに肥えていても漁獲時には空胃の事が多く、そうある事で野締めでも鮮度劣化を起し難く高い品質評価を得ているのです。

今日、ご紹介した天然真クエも胃の中に摂餌残渣はありませんでした。

今日はここまでで、ひとまず終わりにします。
IMG_6508













明日は、適度にねかせた真クエの家庭料理編です。

室戸で見つけた思い出深い巻貝たち
モネの庭マルモッタンで午前中遊んだ後は、いつも室戸方面まで足を延ばし、岬ならではの産物を買って帰ることが多いのですが・・・
シッタカ












この日は、室戸市吉良川町にある国道55号の道の駅『キラメッセ室戸』の産直品直売市場楽市で、いかにも❝らしい❞食材を見つけました。
イボニシ












子供が小さい頃には夏になると、香南市の塩谷海岸へ行って磯遊びや水浴びをしながら、帰り際にお土産として持って帰った、思い出多き潮間帯の巻貝たちなのです。
b658afc7[1]











これら巻貝を持って帰ったあと塩茹でにして食べるのですが、私たち海辺の民にとってそれは買う物ではなく、海辺に行けば当然あるものという存在だったんです。
39e85aa9[1]












でもわざわざそれを取りに行くことはありませんでした。
73b8e9a8[1]












家族で一日遊んだ海の思い出のひとつが、その晩この巻貝たちを食べることで完結するという代物だったのです。わざわざ獲りに行くのは、強いてあげればイソスジエビだけ‼ 掬い網とバケツを持参で2時間ぐらい取れば300g程度獲れるんで、素揚げにして塩を振って食べるのです。

味の好みは別としても川の手長海老よりはずっと食べやすいのです。
IMG_6129












さてこれら磯の巻貝たち。室戸の道の駅での商品名はこういった名前でうられていましたが、私たちは画像の右を尻高シッタカ)、左をニガニシと呼んでいました。シッタカはバテイラと呼ぶのが一般的の様で、ニガニシはイボニシ
IMG_6134












ニガニシのワタは苦くもエグ味も結構強いんで、苦手な人はワタを外して食べるんです。

野趣にあふれる磯の巻貝たちは、それに慣れ親しんでいないと刺激が強すぎるのかも。でも私たち家族には思い出深い逸品でした。

リンゴやサクラの害虫
モネの庭の遊歩道で、色鮮やかなカミキリムシを見つけました。その色合いはまるでチュウレンジハバチのようです。
ニセリンゴカミキリ












リンゴカミキリ
この柔らかそうな甲虫は、カミキリムシ科 フトカミキリ亜科 リンゴカミキリ属のリンゴカミキリ Oberea japonica . 南西諸島を除き日本に広く分布しています。

これにはリンゴカミキリ属にも酷似種がいます。成虫はリンゴやサクラを寄主として生きた小枝に産卵し、幼虫がそれを食べその枝を枯らします。越冬態は終齢幼虫か蛹で成虫体長は2cmほどなのに、世代交代には2年を要します。


そして羽化後の後食もサクラの葉脈なのです。
ニセリンゴカミキリ











酷似種のひとつニセリンゴカミキリ(15㎜ほど)はリンゴカミキリに酷似しているも、鞘翅の縁の黒い部分が肩にまで延びることで識別できるんです。
IMG_6033











リンゴカミキリ
ちなみにニセリンゴカミキリが寄生して食害するのは、
スイカズラ科のスイカズラなんですよ。

そのがニセリンゴカミキリこちら‼

ニセリンゴカミキリ (4)











2018年5月19日、香美市奥物部のべふ峡の公園を飛び回っていました。

追跡すると、ツツジの木に止まり、
ニセリンゴカミキリ









ニセリンゴカミキリ

葉裏に隠れました。すぐに葉裏に隠れるのがリンゴカミキリの仲間たちの生態行動の様です。

ニセリンゴカミキリ (2)











このニセリンゴカミキは、背側がホソキリンゴカミキリに酷似していて、腹側がリンゴカミキリに酷似しています。
ニセリンゴカミキリ (3)












ホソキリンゴカミキリはまた食性が異なり寄生樹はフジやハギなど。それぞれ、ちゃんと賢い棲み分けをしているんですね。

水の庭の飛び蜘蛛
モネの庭マルモッタンの水の庭で、睡蓮池の周りに生える木本を飛び猿の様に飛び移って行く蜘蛛を見つけました。
IMG_5976













1cm弱と小さい上に、20cmほどの距離を高速で飛びながら移動する蜘蛛。動きが速く写りません。

その飛び蜘蛛が止まった画像がこちら。
ヤハズハエトリ (2)












行動形態とこの角度から見た感じもハエ取りグモなのですが、別の角度で見ると、ずいぶんスマートなんですよ。
ヤハズハエトリ













日本では北海道から南西諸島の一部にまで広く分布するハエトリグモ科の矢筈蠅捕蜘蛛ヤハズハエトリMendoza elongata なのです。
ヤハズハエトリ (3)












この個体はオスで、黒地で腹部に青み掛かった灰色の横帯があります。メスはオスよりやや大きくずんぐりとして、茶色っぽい灰色で腹部に褐色の縦条が2本ある地味な色合いです。
IMG_5942












水田や河川に多いハエトリグモなのは、イネ科植物の葉上がお気に入りだから。そこで、飛んでくる昆虫を捕食するのです。

ちなみにヤハズ(矢筈)の語源は、矢の元端の弓弦を掛けるV字型の切れ込み部。でも実際はもっと広い部分を機能的にとらえた言葉で、その型はY字として捉えられているのです。それは筈とも言い、例えばお相撲の型でも親指と人差指を大きく開き腕の力を利用してY字形に相手の脇や胸に押し当て攻めることを『筈押し』というのもヤハズからきているのです。

相撲ファンならご存知のように、この筈押しは強力な攻めてのひとつで、相手を後退させるだけでなく組手では不利となる重心を高くさせ、しかもハマったハズは守る側が外し難い。これをハズに掛かるというんですね。

今場所、高知(安芸市)出身の栃煌山は調子よかったんで、ついつい相撲の話になってしまいました。
IMG_5962













細身のヤハズハエトリが身がまえた姿が、人にそれを印象させるのでしょうね。それに、この蜘蛛の場合は射った
矢のように、俊敏に飛ぶ特技もあるのです。

このページのトップヘ