土佐料理 旬の鰹がゆく!

自然豊かな高知の気候が育む産物を食材とした伝統郷土料理のご紹介です。 自然に触れ、それらを見守りながら地方の環境問題を考え、豊かな自然環境の中で収穫される食材を自身の主観でレポートしながら、旬とは何かを考えます。

2018年02月

オオフサモの冬姿
冬の荒野の中にある湿地の一角で、季節違いの様に青々としている抽水植物があります。
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何処かゴルフ場のグリーンまわりの様な風景。

この瑞々しい水生植物、高知では冬でも常緑の水草なんですが、南九州や高知以外の多くの地域では冬になると、葉の先端部分や水中の茎の一部を残し緑色が茶色くなる水生植物なのです。
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普通は、春が来ると茶色くなった部分が再び緑色に戻り活性を増すのですが、香南市近辺の湿地で見るこの植物は周年美しい緑色なのです。

この水草の名は『オオフサモ』。実はオオフサモ、アマゾン川原産の外来種。温帯のなかでも暖かい地域から熱帯にかけての湿地で、広く分布できる抽水植物。しかも一度定着すると高い密度で群生し、既存の在来種を押しのける強い排他性を示す為、湿地の生態系が急激に変化することが危惧されています。
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更には高い密生度により、湿地の水流を阻害し自らの老成による水域の水質悪化を誘発する可能性も否めず、オオフサモは日本の侵略的外来種ワースト100に選定されています。
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オオフサモは本来、雌雄異株でありながら日本でこのように見られるのは雌株のみ、雌株は白い柱頭を持った小さい花をつけるも花は結実せず、伸ばした匍匐茎か千切れると、その先端から再生できるのです。

丈夫さと美しさでアクアリストを魅了し、人の力を利用して熱帯から温帯の湿地侵略を企てるオオフサモ。在来種を保全するには、再び人が働くしかないのです。自身が蒔いた種なのですから。

さて、この湿地に水を供給する一筋の小川。一足早くはるのせせらぎを感じさせる一見すると自然にあふれ、心和む景観なのですが・・・
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この水辺の抽出植物もまたヨーロッパ原産の外来種植物『オランダガラシ』です。

これらは非常に繁殖力が強く、水辺の稀少な在来植物種を駆逐することが懸念されているんですが、ここでの両種同士は勢力が拮抗しているのか、互いにより適した水域に縄張りを張るように、譲り合って暮らしている姿は、どこか不気味にも見えるのです。

明日はオランダガラシ』の記事を書いてみます。

メイタガレイ属 化目痛
全国的にはそんなに珍しくなくても、高知の海では滅多に見ない魚がいます。今日はそんな魚の話です。

いないことは無くても、高知では滅多に獲れない魚。例えば瀬戸内や日本海の高級魚マハタ属のキジハタもそのひとつです。この魚も私が見たのは今日で2度目。そしてその画像がコレです。見つけたのは室戸の浦戸屋さん。
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といってもフエフキダイ属のハマフエフキではありません。ハマフエフキは千葉県以南、特に亜熱帯域に多い魚種で、高知で数多く流通している魚種ではなくても、周年見られる魚です。

今日の話題はその上のカレイ科の魚種、氷で顔が隠れて分かり難いのでもう一枚。
ナガメイタガレイ














ご覧の様に頭部と口が小さく、目が特徴的なメイタガレイです。
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さらに詰んだ両目の間に突起があるのもメイタガレイの特徴なんですよ。
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ヒラメはよく料理して食べるんですが、カレイの仲間を捌いて食べたのは2015年5月の、この一回だけ。

旬は外していたのですが、評判通りのうま味の強さは驚きました。
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その時、料理したのがこのメイタガレイ。不規則な斑模様の濃淡が表皮に現れるのもメイタガレイの特徴です。
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そして今日見たのがコチラ。何れもがメイタガレイ属には間違いないのですが・・・

メイタガレイ属にはあまり知られていないものの2魚種が存在するんですね。それがナガレメイタガレイ


西日本では市場関係者にメイタガレイはホンメイタ、ナガレメイタガレイはバケメイタ(化目痛)として認識され、関東では混同されている事も多いとか。

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メイタガレイには頭部背縁を走る側線の前方部に分枝がなく、ナガレメイタガレイは分枝するのです。小さな鱗の形でも両種は微妙に異なり長いのはメイタガレイ、平たければナガレメイタガレイ。さらにナガレメイタガレイの体表斑紋は部分的に濃い黒紋が現れる様ですね。 


メイタガレイファンには両種の味の違いは認識できているようですよ。
ナガレメイタガレイはメイタガレイより深場に生息し、鮮度が落ち易く、身質が柔らかいので刺身にはせず、煮つけや唐揚げなど加熱して食べるのがよいのです。

鰻は大好きです‼
私は小さい頃から鰻に慣れ親しんできた親父です。子供の頃は、春近くに川へ行くと数センチほどの針鰻が群れをなして川を遡ってくる姿を毎年・毎年見ました。

夏に川遊びをすると、鰻はいくらでも簡単に獲れました。勿論、ヌルヌルとすばしっこい鰻ですから逃がす方が圧倒的に多いのですが、逃がしても逃がしても次から次へと新手の個体を発見でき、そのうちのいくつかを獲るのです。

川で鮒釣りをしていて潮が満む時間が来ると、鮒が釣れなくなって次々と鰻が釣れ、仕掛けがワヤクチャになってしまったもの。鰻が釣れ出すと釣りを止めて帰った時代があったのです。

その当時の私にとって、鰻は釣る魚ではなく筒を仕掛けて獲る魚でした。小学生の時に始めた鮎の投網漁に行って、鰻が網に入っても鰻は厄介者。粘膜で投網がワヤなのです。

その後、しばらくすると鰻の群れを川で見る事は少なくなりました。それは高知で養鰻業が盛んになった頃、でも当初は鰻がもっと大衆的な魚として多くの人に食べられる先駆けのように感じていました。

今まで天然ものが主流だった鰻が養殖もの中心に移行してもまったく違和感はなく、むしろ蒲焼を蒸さずに仕上げる事の多い高知では、身質の締まりすぎない加温養殖鰻の方が旨いと思ったこともありました。

でも、近年はその養鰻池にすら鰻の稚魚が十分に入ってこない状態になっています。鰻の自然循環が滞り、崩壊寸前になっているんですね。勿論、鰻の価格は跳ね上がり大衆的な食文化ではなくなるどころか、鰻の専門店も鰻単独の献立ではやっていけない時代になりつつあります。

日本人が何故、そこまで鰻に固執したいかと言えば、鰻には鰻でしか味わえない美味しさと、鰻を介しての多くの思い出が残っているからなんでしょうね。それが、いつでも食べたい時に食べれるのではなく、多くの制約を受けるようになると増々食べたい気持ちが強まるのが人間の性。
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専門店と同じ水準で提供されるお寿司屋さんの鰻にぎり

更に歴史と伝統に裏打ちされ、一大産業化を果たした絶対的価値が鰻にはあり、私たちがそれに対処する以上に、急激に鰻は私たちから姿を消しつつあるのです。その現状はマグロに似ているように思えます。

ところが、人間の創りだそうとする近年の食文化は、そんな鰻やマグロに対しても容赦なく低価格化と大量流通で環境圧迫し続けています。それらを食べる事が悪いとは私は思いません。

でも、その扱い方にはもっともっと配慮し、発生資源を天然に委ねる事を避けられない食材には、今までのような均質化を低いレベルで達成するのではなく、より高い価値観を創出する食文化に転換し、その高い食材価値を昔の様に認識しながら、利用数を調整しもって個体数を循環回復させるか、一定期間一切使用しないような取り決めを、国を超え行うしかないように思います。

そんな、食材を安価に提供し続ける意義が、より広い地域での自然環境維持を考えた時、見いだせるのでしょうか。遍く食材には安価に提供する以前にに、もっともっと重視すべき事があると思います。
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高知の回転寿司店さんでは鰻を大切に扱い提供してくれます

ちなみに、上画像は高知の回転すし店さんの鰻にきり。ウナギ産地は高知と鹿児島産に限定。オーダーすれば炙った直後に提供してくれます。価格は税込み680円、ここではクロマグロ大トロとともに最も高い価格設定です。

でも、その対価でも鰻のあるべき価値を認識できる逸品ではあるんですよ。

何より、低価格化は今ある循環を断ち切ってまで固執すべきことなのか、自分たちの生活にとって、循環不可能な低価格化が本当に必要であるかは、それぞれの事情に応じて考えることで、一律に同じ流れを万人が向く必要はないと考えます。

低価格化による非常に限られた範囲の還元により未来を窄める選択より、遍く循環を旨とする選択により多くの人が価値観を見出せない限り、鰻やマグロの次に人間の標的とされる生き物が必ず出て来るはずです。

これからの食材への接し方、私たちは今までにない熟考を迫られているのです。

冬のメダイのにぎりは殊の外旨し
水温の低い季節、沖の深場でタイ釣りをしていると偶に釣れてくる真っ黒い魚。
メダイ















メダイ

円らな瞳は愛らしさを感じるものの、多粘性で体表が見る見る内にベタベタの粘膜で覆われ、釣り針を外すのも躊躇われる魚が、
イボダイ科メダイ属のメダイ
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メダイ 幼魚

同科のイボダイが30cm弱なのに対し、このメダイは巨大で80cm位には成長する魚種。
メダイ













室戸の魚屋さんに並ぶメダイ

食用魚だとは重々理解していても、前記のように体表から多量の粘液を分泌するんで、クーラーボックスへ収納するのを一寸迷ってしまうのです。
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以前、地方銀行の地域振興の担当者さんの依頼を受け、幡多地方の漁港を回った時、メダイの日本料理への食材活用法を生産者さんと一緒に検討したことがありました。


最初の画像は、その時幡多地方の漁港で撮影したもの。背と腹の色合いが明確に異なり、目に濁りが無いのは鮮度の良い証拠です。その晩は産地の皆さんと、メダイを様々に料理して食したのですが、寒い季節では無かったので刺身の味は淡白なものに感じてしまいました。
メダイ
ですから、メダイの刺身は昆布締めしたり、焼き物は西京味噌で漬けたりして漬け魚として商品化し、自身では加工すれば美味しい白身魚という認識をしていたんですが・・・

それから20年近くが経過した2月中旬のある日、
メダイにぎり















メダイのにぎり

高知の回転すし店『寿し一貫』さんへ行ったとき、高知県西部で仕入れされ、にぎり寿司として商品化されている『メダイにぎり』を見ました。懐かしさを感じながら頂戴してみると・・・
それはあの時、私が産地で食べたメダイとは全くの別物でした。

メダイの旬は寒い季節
適度な熟成による旨味と、漬けた醤油に微かに脂が浮く上品な味。旬のメダイの旨さが十分に表現されただったのです、逸品にぎり寿司だったのです。

もう一品この日は、絶妙の旨さを感じたのが、
ヒラスズキにぎり












ヒラスズキのにぎり


スズキが冬に味を落とすのと逆にヒラスズキは冬でも旨い魚種。
ヒラスズキ








何れもが地産の逸品と言えるにぎり寿司でした。

にぎり寿司の原点は地産の食材にあり‼ 

それを回転寿司の分野にバランスよく取り込んでおられる寿し一貫』さんの取り組み。

以前私が上手に出来なかった宿題を、地域に根ざした飲食店として責任を持って果たしていただいている事に深く感謝します。

時代が変れば・・・冬場は高価なウマヅラハギ
子供の頃、漁港へ釣りに行けばこの魚は流通に回されず捨てられていました。多分沿岸の浅海引網で漁獲したものでしょう、1970年代の事です。
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中学になって磯釣りを始め沖磯へ渡った時、磯の強者たちに先を越され潮通しの良い好ポイントに入れず、仕方なく潮裏で竿を出して釣っていると、そんな小童を憐れんでか釣れて来る魚もこの魚。魚種名は『ウマヅラハギ』です。

荒磯のグレ釣り師にとっては、紛れもない外道たるウマヅラハギを色んな理由で釣れなかった場合、当時は仕方なく持って帰っておかずにしたウマヅラハギが、今では市場へ並んでいます、それも結構な値段で。でもウマヅラハギは今でも一匹買いではなく市場では箱買い。
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瀬戸内海の道の駅で売られていたウマヅラハギ
ですから、私たちはもしウマヅラハギが食べたくても市場では買えません。そんなウマヅラハギを、磯釣りが好きだった私は何度も食べました。美しく食感に優れる身は、刺身にして若干のクセを感じ特に旨いとも思いませんでしたが、不味いとまでのレベルでもなく、料理は簡単、刺身の他にも煮付け焼きもの唐揚げちり鍋など様々な料理法で食べられるのです。

しかも、寒い季節のウマヅラハギの脂ののった肝はより高級な丸ハギとも呼ばれるカワハギよりもボリューム感があり、まったり感もこちらが絶対に上なのです。

ところが近頃、ウマヅラハギを見る機会は非常に少なくなりました。少なくても漁港へ出向いて拾って帰る魚ではなくなっています。しかも高知の市場に並ぶウマヅラハギは、地物より日本海産のものが安定集荷しているとか。

現代は飽食の時代とも言われています。地域の食材でなく全国の美味しいとされる食材や料理をそこへ行かずとも食べられる時代なのです。そんな時代になって食材認識が飛躍的に高まっているウマヅラハギ

人の美味しさの指標は時代によって大きく変化するものなのですね。でも一度確立されたウマズラハギの価値は、今後1970年代に逆戻りすることはないのです。


高知にとって、ウマヅラハギの登場は早すぎたのか、仕掛けが足りなかったのか。何れにしてもブレイクするのには運を味方にすることと、その産物に誰にも負けない情熱を傾ける事が必要なんでしょうね。そうしていれば、いつしか売れるものの匂いを感じ取れるようになってくるのだとか。


このウマヅラハギ。実はこの魚にも非常に紛らわしい別種が存在するんですよ。
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それがこのキビレハギ。双方カワハギ科ウマズラハギ属の同属なんですが、ウマヅラハギの各鰭が青みを帯びている事からキビレハギなのです。
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カワハギ属の特徴たる眼の上の棘の突出位置がウマヅラハギはもう少し後部なんですよ。両種は明確に識別することなく流通している場合も多いのです。
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さて、近頃は高知の海で見る機会の少なくなったウマヅラハギなんですが、変って同じカワハギ科ウスバハギ属の高知ではシロハゲと呼ばれる大型のウスバハギが流通量が増加しています。ウスバハギの体長は、成長すると80cmに達する大型のハゲです。
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小型のウスバハギ

これは、亜熱帯・熱帯海域に分布する種で昔はそんなに見なかったように思います。
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大型ウスバハギ

そして同属のソウシハギは、ウスバハギほど個体数は多くないものの猛毒のバリトキシンを体内に保有し、ソウシハギは、食べたり調理は控えるべき魚種です。
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さて、食して安全なウスバハギ。味は非常に淡白なんですが、食感に優れる身色の美しい白身魚。魚の苦手な方でもウスバハギならOKという人は多いんですよ。

これを開きにした干物は、とても美味。ちょっと塩味を効かせたウスバハギの干物は酒の肴に絶品です。

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