土佐料理 旬の鰹がゆく!

自然豊かな高知の気候が育む産物を食材とした伝統郷土料理のご紹介です。 自然に触れ、それらを見守りながら地方の環境問題を考え、豊かな自然環境の中で収穫される食材を自身の主観でレポートしながら、旬とは何かを考えます。

2018年06月

里山デビルのその後
イシガケチョウの終齢幼虫のその後をお知らせします。
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この中には終齢幼虫が写り込んでいるんですがお分かりでしょうか。
終齢幼虫はやがて蛹になる準備をするんですが、その手順は先ず突然摂餌を止めるんですね。
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ですから蝶の幼虫を飼っていて、通常4回脱皮して鮮やかな幼虫になったら、それが終齢幼虫。今までとは全く違う大量の食草を平らげだし急に大きくなります。
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そしてある日突然摂餌を止め、排便ばかりをして体内の食物残渣が完全になくなると蛹化の前段階、前蛹化します。この体形には蝶によって二種類。イシガケチョウなどタテハチョウ科の場合はこのような垂蛹すいよう)と化すものはこのように前蛹化します。

アゲハチョウ科など多くの蝶は帯蛹たいよう)化するのです。
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前蛹は一両日ほどで蛹化するんですが、幸運にもその瞬間に立ち会えると、急激な身体変化に驚愕します。その目撃感動は羽化以上なのかも。
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そんな蛹なんですがイシガケチョウの場合、概ね食草たるイヌビワの樹上で蛹化に至ります。そしてイシガケチョウの蛹が如何なる形かを知らなければ、その蛹の存在には先ず気付きません。
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枯れ葉が乾燥して縮まり丸まっている、まるで落葉寸前の状態に完璧に擬態しているのです。

なんと見事に葉脈まで体表に刻んでいるのですから。しかも、葉が乾燥していく際に生じる微妙な捩じれまで演出しているのです。

食草を知っていて、前もってそこに相当数の幼虫が存在することを知っていればこそ、蛹を見つけ出すことができるのです。
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林縁でイヌビワを見たら是非、注視してみてくださいね。

そして蛹化したイシガケチョウは、今の季節なら一週間程度で羽化します。
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イシガケチョウの羽化
イシガケチョウの翅紋様のデザイン。それは蛹のステージにおいて、擬態を完璧化するためのものだったのですね。
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多種特徴を集約したような小虫
本日、関東と甲信地方では梅雨が上がった様なのに、先に梅雨入りした九州や四国では激しい雨。この後も数日間ははっきりしない天候になりそうです。

そんな高知で梅雨の晴れ間に、河口近くのヤナギ樹を見に行くと、
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コムラサキ♂が葉の上で翅を休めていました。周囲には樹液の発酵した香りが漂っています。
樹液の出ていい場所を探していると、
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ゴマダラチョウと一緒にクワガタムシの♀が樹液を吸いに来ていました。今日は樹液を吸う甲虫の記事です。
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このひっくり返った甲虫をご存知でしょうか。多くの人はクワガタムシと思われるのかも。
でもちょっと違います。表向けると、クヌギ樹のある雑木林はよく見る昆虫なのです。
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起き上がった姿がコレ。鞘翅のデザインも複数の昆虫が採用しているものです。
この昆虫はカブトムシ亜目ケシキスイ科オニケシキスイ亜科のヨツボシケシキスイ。完全変態の昆虫なんですが、クワガタムシと違って幼虫も樹上の樹液が主な栄養源。幼虫のかたちはホタルのそれにも似て、何かに深く潜伏するのではなく、成虫同様に樹皮を活発に動きまわるのです。

ヨツボシケシキスイは、越冬態も成虫ですから冬場も見られます。
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ヨツボシケシキスイの♂には♀とは違った大あごがある・・・といっても一目瞭然ではありません。ヨツボシケシキスイの体長は5mmを切る個体もあれば最大でも14mm程、よく見ないと識別できない小さな甲虫なのです。しかも♂大あごは左右非対称の対で上手く噛み合わせが出来るようになっています。

この個体は♀なんですね。
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樹液に来たカナブンよりはるかに小さく、ハエと同じくらいの大きさのヨツボシケシキスイ。
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そういえば今日、河原に小さなセイタカアワダチソウの花が2ケ月以上早く、一株だけ狂い咲きしていました。

合歓木と青条天牛

西川花公園の桜樹でアオスジカミキリを見つけました。
アオスジカミキリ









アオスジカミキリ】
体長3cmを超える立派な♀です。アオスジカミキリの寄生樹はマメ科の木。今の季節、綺麗な花を咲かせているネムノキは特に好物です。
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ネムノキ
成虫はネムノキの樹皮に卵塊を産卵。
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幼虫はまとまった数でネムの生木を食い、大きなダメージを与えることが知られています。
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アオスジカミキリの雌雄は触角の長さを見れば一目瞭然に識別できます。
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体長と同等なら♀、♂は明らかに身体より長い触角を備えていますから。

関東以南、島嶼を含め西日本に広く分布するほか、朝鮮半島や東南アジア、エジプトやハワイにまで分布しているアオスジカミキリ。
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マメ科樹木の繁栄がその放散力を支えているのでしょうね。



超高級魚ノドグロに家庭料理で挑戦
日本にその名を轟かす超高級魚ノドグロ(のどぐろ)。今や地方の産地でも超のつく高級魚と化しています。
室戸どれアカムツ








室戸産 釣り漁アカムツ(のどぐろ)
ノドグロ(のどぐろ)として流通する魚がこれ、和名はアカムツでホタルジャコ科アカムツ属の魚種で、クロムツやムツのムツ科ムツ属とは別科別属の魚種です。
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ノドグロの名前由来
アカムツがノドグロと呼ばれるようになった由来は、咽頭から喉頭へ広く黒い膜に往われているからなんですが、他にも同じ特徴を持つ魚種は存在しており、例えばユメカサゴアコウダイも喉は黒いのです。
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しかもそれらの黒い部分は咽喉だけにとどまらず、腹腔壁も一面に黒いことが捌いてみると変わります。
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アカムツの旬は水温の低い時節とされ、産卵期は初夏から秋。実際に捌いてみると未成熟な卵巣が見られ産卵に向かう手前の個体群の様でした。

それでも身は全体によく肥えて、しかも食物残渣は消化管内に見られず優れた逸品揃い。高知室戸から徳島海部へ至る海域は、太平洋岸では知る人ぞ知る有名な産地なのです。でも地元の消費者は、高知の海でアカムツがコンスタントに水揚げされていることをあまり知りません。

それは水揚げさてても地元では一切流通しないのです。最低でもアカムツの小売価格は原魚で4,000~5,000円/kg、時には7,000~8,000円/㎏とうい高値も珍しくないのです。ですから高知で水揚げされる型の良いアカムツは即刻大都市圏へ送られるのです。
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網漁の中・小型アカムツ
高知で極々稀に量販店で販売されている地物アカムツは、こういった中小型の底引き網で漁獲されたもの。それでも開きにして一枚500円近い価格となるのです。

高知県東部から徳島県で釣り漁されるアカムツは総じて30cm以上、それを水揚げと同時に船上で鰓切りによる血抜きし塩水氷で締めていると聞きます。
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アカムツの刺身
今回、浦戸屋さんが手配してくださったアカムツには、それを感じさせるに余りある非常に優れた食材品質が見て取れました。

目で味わう透明感は清涼感を引き立たせ、予想以上の食感が心地よい演出をします。脂ののりには初めから定評のあるアカムツですが、うま味も十分にありどこまでも芳醇な逸品刺身が出来上がりました。
アカムツ湯引き










アカムツの湯引き
アカムツは皮目をバーナーで炙り、香ばしさを出す演出がTV等ではなされていますが、皮目は非常にうま味が豊かでしかも以外に柔らかいのです。ですからうま味をより強く味わうなら炙りより湯引き、私の好みではそう結論づけました。

アカムツの概ねの食材特徴をつかんだ後、今夜の晩餐用に盛り付けた大皿は、
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アカムツの刺身盛り
身の厚みをどうするべきは概ね把握できましたから、このように盛り付けてみました。
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アカムツの湯引き盛り
勿論、極上のうま味を秘めた皮目を生かした湯引きも造りました。
そして、わが家の定番家庭料理のあらだきとなるんですが、
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今日は贅沢に一匹全てを使って、尺上アカムツの海鮮煮を姿煮にしてみました。
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アカムツの姿煮
アカムツの煮付け、見た目の美しさや濃厚な美味しさ、理想的な身質の食感、全てが特急品です。

これで鮮度を生かしたアカムツ大人の家庭料理を締めようと思ったのですが、食欲旺盛な子供たちは、飯物が希望だったのか、
アカムツ海鮮丼









アカムツの海鮮丼
アカムツにぎり (2)








アカムツのにぎり

海鮮丼やにぎりを造って結構楽しくやっていました。

またひとつ、憧れの食材に家庭で家族と一緒に触れてみることが出来ました。

勿論、次なるターゲットも心の中では決めています、家族には内緒で。

高知では流通していないアカムツを食す
室戸市の佐喜浜漁港では、少ない漁獲量ながら漁へ出れば周年安定して水揚げされる釣り漁のアカムツ
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このアカムツ、ご存知の通りノドグロと呼ばれる方が良く知られる北陸から山陰日本海の一大高級ブランド魚です。

ところが、アカムツは太平洋側でも漁獲されるんですね。中でもこのように室戸から徳島海部辺りまでの漁港は、型の良いアカムツの隠れた産地なのです。
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定置網でも漁獲されるアカムツ
アカムツは、良型のものが椎名などの大敷網でも揚がります。ところが、高知県内では殆ど消費されません。それはアカムツが高級魚として価格に見合う高い評価を既に確立し、大都市圏でもその人気は絶大。対して高知では価格に見合うほどの評価が得られていないのです。

アカムツは水深100~200mの砂地の低層付近に生息する肉食魚、甲殻類や軟体動物を主に捕食生活を送っています。

ノドグロのどぐろとも呼ばれるアカムツの生態と名前由来を物語る鋭い歯がこちら。
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喉黒のどぐろ)】
咽頭から喉頭へと広く黒い膜に往われている喉黒のどぐろ)。

私の知る食にうるさい友人も日本海の産地へ行き、名の通った郷土料理店でノドグロ料理を一通り食べたそうなんですが、価格の割には・・・という評価を聞きました。それでも、高知で獲れるなら一度は地物を食べてみたいと思うのが、郷土料理の長年携わった者としての使命だと考えていました。

そこで、室戸の浦戸屋さんに無理を承知で選りすぐりのアカムツの手配を依頼。そんな念願の室戸どれのアカムツが6月26日、クール宅急便で自宅へ届きました。
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浦戸屋さんでは直接氷に原体が触れないよう、丁寧に1匹づつビニールに包み、氷焼けを防いでくれていました。
室戸どれアカムツ










型揃いの見事なアカムツが5匹、釣り物であることは一目瞭然です。
5匹揃って鰓蓋が開いていないことから、漁獲後速やかに絶命に至らしめたであろう、釣り漁師さんの流儀が伺える逸品揃い。
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計測してみると、全長は35cm程だったんですが肥えているんで重量感はあります。
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重量は700g以上ありました。

次回はこれを家庭で調理してみます。

ノドグロ』として日本にその名を轟かすアカムツの味、はたして・・・
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