土佐料理 旬の鰹がゆく!

自然豊かな高知の気候が育む産物を食材とした伝統郷土料理のご紹介です。 自然に触れ、それらを見守りながら地方の環境問題を考え、豊かな自然環境の中で収穫される食材を自身の主観でレポートしながら、旬とは何かを考えます。

2019年02月

氷魚が知らせる季節感 春はもうすぐそこに
2月も今日で終わり、あと一ケ月もすると自らの活躍する舞台を海から川へと移す魚を夜須川河口部にある手結漁港で見つけました。
IMG_9227









この魚は厳寒期に行われる河口やその沿岸部の海岸で漁獲される、ウナギの稚魚の漁獲期には既に河口近くの海域や河口の中の汽水域を泳いでいます。
IMG_9730










里に桃の花が咲く頃に氷魚は河口の汽水域に集結してきます。

古より広く日本各地で氷魚と呼ばれるこの稚魚。成魚を氷魚や氷下魚とも呼ぶ北国のタラ目タラ科コマイ属のコマイ。
IMG_9788









シロウオ
高知や徳島でもこの仔稚魚と同じように、海から早春の河川へ産卵に遡るハゼ科シロウオ属成魚のシロウオもヒウオと呼ばれる事はあっても、これとは全くの別種の魚種です。※シロウオは激減し高知や徳島では絶滅危惧Ⅰ類と保全状態評価されています。

今日ご紹介する氷魚とは鮎の仔稚魚。発生初期の段階から身体に色素が沈着する前の稚魚期のアユを指します。そう呼ばれる理由は、身体が自然環境下で起こる氷結を思わせる透明性を呈することに由来しています。最も魚は発生初期には色素を形成しておらず、概ねこういう状態なのですが、特にアユは人の傍らで過ごす特別な魚種ですから、その状態を喩え愛でて多くの名で呼ばれるのです。
IMG_9258












氷魚
アユは通し回遊魚の中で、両側回遊魚の代表的魚類。晩秋から冬にかけて川の淡水域で孵化した後、海へ下り川の生活環境が厳しい間、動物プランクトンが豊富で水温の安定した、河口近くの海域で成長するのです。
サクラマス 遡上










遡河回遊魚

その生息海域は限られていて、概ね河口から4km以内とされています。しかしその間に複数の河川があることで、ダム上流部に生息する陸封型のサツキマス、閉鎖水域のアマゴの様に顕著な地域変異は現れ難いのです。
1e945006[1]









そんなアユはやがて、河川の水温が10℃前後になると遡上を開始します。その頃には色素は、ほぼ完全に沈着して、氷魚ではなくアユらしくなっています。
f2a52425[1]













春先、堰堤を越え遡上する鮎
更に水温が15℃前後になると遡上はピークを迎え、そのころのアユはもう、若鮎のように逞しい体型に変化しています。そこまでは体長が長くなるというより、色合や体型が顕著に変化します。
6ac98e25[1]









桜の花が散り終える頃
ソメイヨシノの花が散り終える頃には、河口や下流域の堰堤を飛ぶ小鮎の姿は消えます。
55a07492[1]










黄金の鮎
その後、川苔を食む様になってから同じ時を経過しても、それぞれに違うアユとなって秋を迎えるのです。

三宝山で見る朝日
IMG_8747










三宝山へ朝日を見に行くのは元旦以来。その時より日の出は20分早くなっていました。勿論、太陽が現れる位置も変わっています。
IMG_8763IMG_8766







尾根の檜のてっぺんに今の季節、この下の田園で活動するノスリを見つけました。三宝山に登って来る時も、林縁から車道へ別のノスリが飛び出して来ました。多くのノスリかここを塒としているようです。
IMG_8775IMG_8814






日の出を見て帰る途中、自宅近くのセンダン樹にハイタカを見ました。自宅のある住宅地回りの田園で樹に止まるハイタカを見たのは初めてでした。時々、山際の上空三宝山のお城の付近では飛んでいるのを見るのですが。
IMG_8816IMG_8818






住宅地近くなのであまり刺激せず距離を置いてみていると、どうやらカワラヒワを狙っている様です。その様子、カメラでは追い切れず、ハイタカはビニールハウスの死角へと姿を消しました。
IMG_9726









桃の節句を前に、香南市ミカンの山では、この一週間ほどでモモの花が見事に咲き揃いました。

香南市の里山が少しずつ色づいてきました。
IMG_0437











その山懐の集落にある古民家の庭では、ハクモクレンの花が開きました。
IMG_9720












今春はウグイスもいつもの年より早く里へ降りてきて数多く囀っています。

囀る競合相手が多ければ、未だ人に慣れていないウグイスもより大胆になるもので、あちらこちらに隠れることなく姿を見せています。

南国高知は既に春!

二月後半に回遊してくるのが室戸の極上ブリ
2月24日の早朝、日沖海岸から大敷網漁を見ると漁船と漁を視察しているチャーター船が一艘。
IMG_9386










新年は昨年に比し全般に低調だったように思われた室戸の大敷網漁だったのですが、久々に期待が持てそうです。先回りして椎名漁港で待機していました。

椎名漁港へ
IMG_9460










ここ椎名漁港は複数の定置網を朝の内に水揚げするので、2艘の定置網漁船が順に入港してきます。この日、まず最初の漁船の主たる漁獲魚は30cm程のシマアジ
IMG_9472









その後、戻ってきたのが大敷網の漁獲魚。期待通り、例年に並ぶ大型ブリの漁獲が今シーズンも始まっていました。
IMG_9501IMG_9492







しかも今年のブリは非常に良い状態に見えます。90cm前後の体長が揃い、しかもこの厚み。日本海産のそれに劣らず丸々と太っているのです。
IMG_9533IMG_9515







この日は70本程度の入りだったんですが、
IMG_9518












聞いた話では前々日はこんな素晴らしいブリは二・三百本入っていたんだとか。
聞いた話には背鰭・尾鰭が付くんですが・・・実際には(新聞記事によると)椎名の大敷網に22日の朝、700本のこんなブリが入っていたという記事が出ていました。
IMG_9523









そして2艘の漁船に次いで定置網漁を視察していたチャーター船も入港してきました。
IMG_9529










気になる検量を見に行くと、軒並み10㎏位はあるんですね。22日には更に20㎏を超える記録的大物も混ざっていたんだとか。

佐喜浜漁港へ
IMG_9536












この後もう一港、佐喜浜漁港へも行ってみました。ここは回遊魚といっても中小型の魚種が中心。それにハガツオや70cm位のハマチが混ざっています。
IMG_9559










それらを見ていると、大敷漁船の艫(トモ)でいつも浜焼きにしている獲れだち鮮魚の中から顔見知りの組合員さんがハマチの切り身焼を持ってきてくれました。
IMG_9547IMG_9549








浜焼き風にいただく鮮魚焼は素朴で味わい深く、実に美味しく室戸漁師の味を堪能させていただきました。こうなると是非、あの巨大なブリを味わってみたいものです。

室戸岬漁港横のとろむさんへ
IMG_9609











そこで久し振りに昼食は室戸岬漁港の『とろむ』さんで地の刺身を食べてみることにしました。
IMG_9598









この日は日曜日で、室戸には多くのお客様が入込み遅い時間に入店した私は、売り切れメニューもあって刺身定食を頼むことに。

この日の刺身は三種盛り、開店時とは魚の種類が変った?のか表示価格より安い1,200円で提供してくださいました。
IMG_9594









さてこの刺身盛りの中で、この日は地の近海物でない魚種が1品あるそうです。お店の人に伺いましたから間違いありません。しかもその魚種は、遠洋の冷凍品の解答提供なんだとか。その魚がどれか分かりますか。私は何も伺わなければ分かりませんでした。冷凍品があることを聞かされた後で初めて想像できた次第です。

その魚種はメバチ。他の魚種は室戸獲れのハマチとハガツオなんですね。驚きました‼といってもわざわざ室戸まできてマグロが冷凍のメバチであったことではなく、冷凍魚を地の鮮魚と全くそん色ない状態で提供できる技術についてです。本当に教えてもらわなければ分からない解凍メバチなんです。
IMG_9603IMG_9605








そして漁港で見た逸品ブリとは異なる品質であろうハマチ。身の奥深くまで脂がサシとなって浸潤はしていませんが、捕食状態が良い証として皮を剥いだ皮下の脂が豊かにのっています。しかも鮮度が良くやや赤みの強い身色でも生臭みは皆無です。
浦戸屋さんへ
IMG_9617






こうなるとますます、あの大型ブリを味わってみたくなりました。そこで、今度は室戸の地物が揃う鮮魚店『浦戸屋』さんへ。そこにお目当てのブリは入荷していたんですね。価格は原魚状態(12㎏超)で税別1,000円/㎏です。
IMG_9620









そして身を割った状態がこちら。勿論、夕食の一品はブリにします。
IMG_9689












室戸の極上天然ブリ

取材日2月24日 日曜日

2月末の室戸の朝
2月24日、久々に早朝から室戸へ行きました。予報ではこの日は晴れだったんですが、実際には雲の多い天気でした。それでも明け方は多少の青空も覗いていたんですよ。
IMG_9412












条件が整えば、水平線から上る朝日が見られる時間帯に椎名漁港近くの日沖海岸には着いていたのですが到底それが見られる気象状況にはありません。
IMG_9397










その代わりハヤブサの止まる大岩のてっぺん近くに、淡い虹色に染まった美しい幻日が現れました。蜃気楼現象たるだるま朝日が見られない時には、時々見られる大気光学現象の幻日、室戸では何度か見ました。
IMG_9344IMG_9364







この日、ハヤブサの一羽は大岩のてっぺん近く。もう一羽は留守かと思っていたら背後の国道の方から鳴き声が聞こえるのです。一羽は電柱に止まっていました。
IMG_8783










この日ハヤブサの観察に訪れた徳島県の方によると、5日前には大岩のてっぺんで交尾が見られたそうです。
IMG_9441








昨日は土佐湾沖で海難事故があったことが朝のニュースでも報じていました。今日も多少のウネリが残っているのですが、これから椎名と佐喜浜の漁港を回ります
fa067331[1]










2月の室戸を代表する旬魚の品質を追求してみます。

古代より変わらぬ価値観
DSC06449












先日まで貝類に食材としての価値しか考えてなかった私。でも思い起こせば一時は生体飼育にもハマっていました。淡水魚のガラス面の苔取りにイシマキガイを捕ってきたり、海水魚の飼育水槽ではその役目を市場で食材として買ってきたマガキガイに委ねてみたり。

親戚から贈られてきた活サザエをお腹一杯食べたので、水槽で保管していたらついつい二年間も飼育してみたりと。サザエが人の気配を感じて水槽の水面まで登ってきだしたのには驚きました。
シャコガイ












シャコガイ
飼育という点では最もハマったのが褐虫藻と共生して、どんな宝石よりも美しい輝きを放つシャコガイ(宮古島ではこれも食べました)も数年飼育しました、それ用の設備まで完備して。すると採水した海水を足して行くうちに、水槽の中で造礁サンゴが定着しそこに人工の生態系が確立するのです。でもそれは一時のこと。限られた空間ではちょっとしたバランスが崩れるとあらゆる生命が崩壊へと傾くのです。

つまり、つい先日まで貝は飼うか食べるか、砕いて畑の肥料にするかだったんですね。
DSC06445












漁港で漁師さんにいただいたショウジョウガイ
ところが市場では食材として流通していないであろう貝類を漁港で貰ってblog記事にして種名の特定に悩んだ時、貝類にとって貝殻が如何に重要であるかを今更ながら認識しました。
DSC06437











漁港で漁師さんにいただいたオオナルトボラ
そしてこれからは、自身に関わりのあった貝類の貝殻は、味について記憶するだけでなく、手に入れた思い出とともに貝殻も残し、大切にすることにしました。
847ba1ed[1]









香南市塩谷海岸
それで思い出したのですが、20年ほど前に香南市の塩谷の浜へ家族で磯遊びに行った時、大きなタカラガイを捕まえ、これまた水槽で飼っていたことを思い出しました。そんなに長くは飼育できませんでしたが。そこで妻に、その時の貝殻を今も持っているか試しに聞いてみると、しっかりと保管していたんですね。

DSC06463











20年前に塩谷の浜で捕まえたホシタカラガイ
これがその時のタカラガイ、殻長は約6cmあるホシタカラガイです。
DSC06465










この貝殻、妻の中ではしっかりと家族の思い出になっていたのですね。
タコブネ











タコブネ むろと廃校水族館にて
そういえば、貝類ではなくても同様の殻を生成するタコの仲間『タコブネ』という変わり種もいます。このタコ殻、マニアの間では相当人気が高いんだとか。

さて、食材利用にはその目的で流通していない貝類の危険性は先日記事にしたばかりなんですが、食べるわけでなくても磯遊びで見慣れた様な貝を捕まえて事故にあう場合もあるのです。貝だけでなくタコにも危険な種が存在しているのです。この危険性は、地球温暖化により年々高まっています。

家族の思い出作りは、常に幸福の積み重ねでできていくのです。思い出のかたち、これからの私は、貝殻でも創っていこうかと思います。

このページのトップヘ