土佐料理 旬の鰹がゆく!

自然豊かな高知の気候が育む産物を食材とした伝統郷土料理のご紹介です。 自然に触れ、それらを見守りながら地方の環境問題を考え、豊かな自然環境の中で収穫される食材を自身の主観でレポートしながら、旬とは何かを考えます。

2019年04月

産卵数の不思議
いつ以来かわが家の食卓に登場した二黄卵。子供の頃はこれを❝ふたごのたまご❞と呼んで、鶏卵1個の値段で2つ食べれた、なんとも言えぬ極上の幸福感にどっぷりと浸り、学校へいったものです。昭和中期の子供の満足感は、それで十分満たされていました。
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それは、当時は鶏肉や鶏卵が凄いご馳走。普段の動物タンパク質摂取は、鯵・鯖・鰯といった大衆魚と言われた魚類や鯨肉が中心でした。つまり、陸上動物の肉は押並べて高級品、一週間に一度のどれかを献立に入れる贅沢品だったのです。その中で唯一、鶏卵だけはもう少し利用頻度が高かったのですが。
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そんな鶏卵は、当時パックで販売されず必要な個数を目でより分け購入していました。ですから少しでも大きいものを選んでいましたし、その内に二黄卵にも個性的な特徴があることに気づき、それを寄ることによって自身の幸福の頻度を高めることができました。その喜びは多分、回転寿司店で当たり皿に巡り合った時の幸運感に匹敵し、その頻度を高められるのです。

当然のことながら、回転寿司店舗でレーンを回っている寿司を別注すると通常、当たりには巡り会えません。もしそれで当たり皿に当ったら、その人自体がそこのお店の上顧客、つまり当たり客なのです。

店舗運営において計算された確率で、一種の顧客満足を高めるために提供される限られた当たり皿ですから。その当たり確率は提供者側で設定されていますが、鶏卵の二黄卵は計画的に生み出されるものでなく、それでもある理由によって流通されその確率には1/1000というデータがあります。

多分、割った鶏卵が二黄卵でも、購入店にクレームを言う人はおらず、それ自体が食品の異物でもないのです。偶に珍しいので気持ち悪いと思う人はいても。子供の頃、故意にその頻度を高めていた私は、近頃はとんと二黄卵にはご無沙汰で、その存在を忘れていました。

この確立通りだと一家五人家族のわが家には1年に1度くらい回ってきても良いもにもう何年も見たことが無かったので。だいたい妻が購入してくる鶏卵はSサイズ、私も果実みたいに小粒なものが味が濃いと、いつしか思いこんでおりそれを選んでいるのです。

ところが忘れた頃の二黄卵、思わず写真を撮ってしまいました。実は二黄卵を産む鶏には、ちゃんとした訳があるのです。それはその鶏が♀であること、当たりまえですね。因みに同じころに生まれた♂はとうにこの世にはいません、既に鶏肉になって・・・

つまり採卵専用鶏のメスは早くて生後4ケ月遅くても半年までにはその養鶏目的となる採卵が可能になります。しかしその初期には排卵と産卵の一連の生理形態が正確に進まず、そんな雌鶏に二黄卵が現れるのです。そして雌鶏は二年間卵を産み続け、排卵数が落ちると親鳥として食鳥処理されます。あっさり割り切るとこれが、ひとによって人のために洗練された家禽の運命。自然への影響を最小限に留め、人の暮らしを豊かにしようとする取り組みなのです。

人によって奪われる命と、人の庇護によって生まれ継続される命。その採算が合えば人はそれに気持ちの折り合いをつけ前に進めるのです。自らの使命に覚悟を持ち続けて。ちなみにこの二黄卵、仮に有精卵で親が卵を抱いたとしても孵化には至りません。さらに鶏卵の場合、見たことはありませんが三黄卵まであるんだとか。
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ところで先日記事にした鰤子(ブリコ)の場合、卵数は50万個以上。平均150万個あると言われています。人間の側からの所見では先ず痛風の人は食べてはいけないものです。でも、この数は卵巣に含まれる卵粒の数。単にいくつ卵を産むかではなく、採卵鶏の場合一日に産む卵は1個でも年間では300個弱は産みます。

生きる環境が変わらない卵生動物には、生態系で自身が次世代に種を継続するために計算し尽くされた産卵数が設定されています。その計画は増加もしなければ減少もせず、生態系の一員として上手くやっていく種のバランス維持がなされているのです。

全ての動物は生態系においては消費者。自らの消費を生産によりコントロール術を持たない種が殆どです。その一部の種のなかで人間だけが特にその能力に突出しています。それだからこそ、逸脱してはならない摂理を個々に厳守せねばなりません。今や種としての制御では歯止めがかからない段階にまで、それは達しようとしているのですから。

さて、実はこの3日後に再び二黄卵がわが家の食卓に現れました。千分の一が連続したことで同日、妻は血相を変え速攻で量販店へ。でも卵を買いに行ったのではなく敷地内のチャンスセンターへ宝くじを買いにいったのです。

二黄卵の家庭での出現と宝くじの売り上げは連動するのでしょうか。どうやら妻は二黄卵の出現を吉兆と捉えたようですが・・・

岡山県の郷土料理
高知では馴染みの薄いニシン科の魚の一種にサッパ)という海水魚がいます。沿岸部で河川の水が流入する海域や内湾に群れで押し寄せる魚種の中でも、これを重宝してきた地域が瀬戸内海にあり、岡山県では郷土料理として酢漬けや姿焼きに加工される土産物としても有名です。
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岡山県の郷土料理のひとつ飯借
高知でも、河口近くの防波堤でサビキ釣りをしていると、群れが回って来て突然釣れ出すこともあり、ハラカタという名で知られる魚。そのまま食べるには味が淡泊な上に、どこが食べるのかわからないくらい小骨が多く、魚離れを地で行く代表魚種的な印象を持ちます。
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高知の家庭では棒寿司にされるコノシロ
似た特徴の魚に、江戸前握りからは外せないコノシロがいるのですが、これも熟練の調理技術でその隠れた魅力が現れだす魚種。淡泊なことで、生まれる職人の個性が高い価値となって滲み出る玄人好みの食材なのです。
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ヒラ
この類で、高知で最も珍重されるのはヒラでしょうか。画像はアジの夜釣りで釣ったヒラです。ヒラはこれらの中では最も大型になる分、家庭では調理しやすく食べやすい魚。でもこれら3種を狙って漁する人は、先ず高知にはいないと思います。

飯借の由来は、これをおかずにすると家で炊いたごはんが足りないくらいに食が進み、ご近所にご飯を借りに走るといったもの。このサッパ料理の秘訣もまた、合わせる酢のうま味と酢が小骨を食べやすくするところにある様です。

瀬戸内海のお土産物屋さんで見ていると、『ママカリ』を買うのは大体私より年上が多く、若い人に人気の魚介加工品は『じゃこ天』。
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愛媛じゃこ天
試食も後者にシフトしていますし、熱いものを購入すれば移動の車中でも食べられる『じゃこ天』。お土産は渡す相手の事を考えると、先ずは食べやすさを意識せざる負えないのです。

ですから、ママカリを買う人の多くは自宅用? 少なくても私の場合はそうです。さてこの飯借、私の家庭で出しても家族は余り箸が進まなかった様でした。時代!なのでしょうか。これからの日本人らしさとは・・・その個性が新しくなっても❝らしさ❞は見失いたくないものです。いつの世でも、食は健康の源でもあるのですから。
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わが家では成魚を棒寿司で食べるコノシロ。ところが、その新子が江戸前仕込みで絶品な握りと化すのは有名な話。

サッパの新子も個性豊かな酢で締めると、淡白な身が作り手の好みの味に染め上げられます。実に味わい深く、信じられないほどの芳醇なうま味が滲み出ています。淡白といってもヒカリ物の味わい深さを、絶妙な熟度で醸し出しているのです。

さて、ママカリの酢の物の味。酢物の好きな私はちょっとハマってしまいました。そこで高知らしく地魚を使って同じ料理を作ってみると・・・
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ウルメイワシに塩を効かせ、甘酢で重ねて締めてみました。

でもやっぱりサッパの新子の方が調味料との相性も食感も数段上。地域で培われた料理はそう簡単に超える事はできないのです。でもひとつ分かったことは、ウルメイワシなら、切り身をもっと細かく一口大に切り揃え酢を深部まで十分に浸透させると美味しさは向上します。
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高知の場合には食材の鮮度を過多に生かした料理が得意で、加工品として食材の奥深くに潜む能力を引き出すのは、やや苦手な傾向にあるのかも。

わが家も日本食の奥深さを持って、家庭の中で伝統食を守り伝えていきたいと思っています。
ママカリ』いろんな思いで美味しくいただきました。

アジ科の最高峰と真っ向勝負
旨い魚揃いのアジ科の中でも、最も人気の高い魚種が縞鯵シマアジの天然もの。10月に入ると、高知県の東部や西部の潮通しの良い場所では港の防波堤からでも釣れ出し定置網には春ごろまで入るのです。
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それらは大体一尾が500g程度、大敷ものなら1,000円/㎏程度で購入できるのですが1㎏を超えると価格は倍以上になります。そうなると脂ののりも良く味はこの上なく豊潤、食感も更に高まりまさにアジ科における至極の味なのです。
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シマアジ
ところが回遊魚たるシマアジは秋から春先以外の季節にはパッタリと獲れなくなるのです。つまり旬も秋から春の早い時期まで。旬を極めるというより、天然シマアジはその時期しか安定した流通がないのです。

ところがこのシマアジ。マアジ同様に昭和40年代半ばには既に養殖が軌道に乗り商業的流通が確立されていたのです。
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養殖シマアジ
ですから天然シマアジが回遊していない時期は養殖のシマアジを手に入れるという選択があります。

一方で天然ものにこだわりたいなら、趣の似た別の魚種を選ぶという選択もあるのです。
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オキアジ
例えばこのオキアジ。旬は秋から冬です。大きさから言えばシマアジ並み、
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【以外と身色の白濁が早いオキアジ
でも身の白濁が非常に早く春から夏は産卵期。周年身質はしっかりしていても結構、季節差異が味に現れる魚種なのです。
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カイワリ
それからすると、高知の沿岸部ではどこでも手に入り易い魚種がこのカイワリ。シマアジより小振りで、最大でも40cm程度。高知ではベイケンと呼ばれ、25~30cm位のベイケンは煮つけにして非常に人気が高く、食べやすくて美味しい魚種。旬が特に限定されない程、周年美味しくしかも手に入り易い魚。品質に優れるだけあって安くはないのです。
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カイワリの刺身
そして30cmを超えるカイワリは同大きさの天然シマアジに身のうま味でも脂ののりでもそん色なく、鮮度にこだわれば食感はそれに勝っていることが多いのです。
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シマアジの刺身
つまり、シマアジがアジ科中で至極の逸品であるためには40cm以上の天然ものの必要があるのです。シマアジの価値には大型化するアジ類であることも含まれているのです。特に美味しいのは40~50cm、つまりこのサイズの天然シマアジに勝るアジ類はいないということです。

そこで今日は、40cmほどの養殖シマアジと30cmほどのカイワリを弘化台市場で購入し
、家族で食べ比べてみました。
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弘化台市場の春カイワリ
高知でのベイケン価格は大体こんなもの、安くはないんですね。そこでもうひとつ趣向を凝らし、高知らしい魚を合わせ刺身ではなく、にぎりにしてみました。
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養殖シマアジ(コセアジ)を捌く
シマアジは時節柄、養殖シマアジで、
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今春も入荷がまとまりだした近海物の初鰹
本鰹は高知の近海初鰹。価格も安定しだしました。
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シマアジと初鰹のにぎり
いずれもが❝らしい❞切り身の特徴を現わしています。

一方で、
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こちらがシマアジに対する鮮魚カイワリと、脂ののる季節に突入した高知で人気のヒカリモノ。そして、これをにぎりにしたものがコチラです。
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カイワリとウルメイワシのニギリ
こうなると、サブタイトルの真っ向勝負ではなくなり、優劣を競うには焦点が実に曖昧化してしまいました。人は欲張りな生き物ですが、こと食に関してはそうあるべきというのがわが家の伝統であり、伝承してもらいたい食育です。因みに今日の食事担当は長男でした。

魚の味は人によって好き好きが分かれるところ、
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生け簀料理店の活マアジのお造り
でも中小型の青魚の場合は、特に鮮度にこだわるべきです。旬を大切にすれば、どれも特徴豊かで豊潤なうま味がしっかり味わえる魚種揃いですから。

様々な食品衛生面でも、青魚は鮮度を害してはいけない魚たちなのです。

蛾には見えない蝶の一種
今まで今日のサブタイトル同様の蛾の取材は何度かしてきましたが、今日の蛾もまた筋金入りなんです。
イカリモンガ









イカリモンガ
蝶の様に舞い、蝶のように止まり、蝶の様に花蜜を吸うのです。活動も昼行性。
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テングチョウ
しかも裏翅紋様も蝶の様。開張寸は35mm前後あり飛び方はテングチョウにも似て俊敏なのです。

3月末に、西川花公園で飛んでいるのを見ましたがその時は止まらず撮影できませんでした。つまり本種の成虫は3月には既に見られ、それから10月まで長期にわたる成虫活動をするんだとか。つまり年複数化する蛾なんですね。そしてイカリモンガのライフサイクルは1年2化、春と秋に羽化するのです。

幼虫食性は、イノデ属のシダ植物。ですから森の様な薄暗い環境にいることが多いのです。
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ベニイカリモンガ
一方で、こちらは以前記事にしたベニイカリモンガ。その時の記事を抜粋すると、イカリモンガ科に分類される『ベニイカリモンガCallidula attenuata。幼虫食草は、シダ植物門ウラボシ科イワヒトデ属の常緑多年草イワヒトデ Colysis elliptica です。

同科のイカリモンガがテングチョウを思わせ、ベニイカリモンガはベニシジミを想像させるのです。イカリモンガの♂は、尾部先端からヘアペンシルを断続的に出し入れし性フェロモンを放出。♂が♀を自らに誘引する種です。

このイカリモンガを撮影したのは、サシバの鷹柱が見られた香美市の林道。今日は距離が遠くて鮮明には撮影できませんでしたが、その内また出会えると思います。更に秋にもここへ来て、花に止まって吸蜜する姿や、夏型個体も見てみたいと思っています。


ということで、一度締めた記事なんですが・・・
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今春の少雨で、季節外れの異常渇水に悩む香美の里山広域に、24日は一日で80mm程度のまとまった雨が降りました。
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その恵みの雨の翌日、朝霧に煙る里山林道を散策しているとイカリモンガが林道の上を飛んでいたのです。
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明るい場所に出て来て止まったので、この日はもう少し鮮明に撮れました。

イカリモンガ、やはりその印象は蝶‼
同じ環境に棲む蛾はこうなんです。
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精一杯の擬態
昨日、blog記事にしたヒメアカハネムシを見つけた同じ場所で、特殊なハチ目(膜翅目)を見つけました。♀が産卵管を毒針に進化させず、社会性を有さず、幼虫期を巣で過ごさないハチ目なのです。つまり♀でも外敵を刺せないハチ目なんですね。
キコシホソハバチ










キコシホソハバチ

ハチ目ハバチ科のキコシホソハバチという名が付いています。知らない人は先ず素手で触ろうとはしないでしょうし、知っていても触ってみたくない気持ちがよぎる虫なんです。

何故かと言うと、刺す蜂を連想させるに十分な容姿と色柄をしているのです。
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蜂に似た蛾

ハバチといえば、その幼虫は和名にもしっかり明記されている私たちが知るハチの幼虫ではなく、総じてチョウ目(鱗翅目)のような生活をしています。逆にチョウ目の仲間にもハチを思わせる成虫姿を真似るものがいます。
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勿論、これは一定の効力を有するであろう擬態。ところが、もとからハチが天敵関係にある動物たちには当然役立ちません。それはハバチ類も同じです。完璧な擬態は無く、擬態モデルとなったハチは、食物連鎖でそれらよりは生態系の上位に立っていても、頂点に位置する者達ではないのです。

でも、人はそれに恐れ触ろうとしない。触る必要がなくても、その存在に寄り添う必要を人は心の奥底に持ち合わせる必要があるのかも。

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