土佐料理 旬の鰹がゆく!

自然豊かな高知の気候が育む産物を食材とした伝統郷土料理のご紹介です。 自然に触れ、それらを見守りながら地方の環境問題を考え、豊かな自然環境の中で収穫される食材を自身の主観でレポートしながら、旬とは何かを考えます。

2019年10月

一年の終わりに集結する目的
群れを成す鳥ではないものの、この季節になると水質の良好な大規模河川の河口部へ集結する大型の魚食鳥がミサゴ)です。
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ミサゴは留鳥ながら秋から早春を外した季節には殆ど見ません。温暖な季節はダムや池を有する河川の発達した山奥や北の方へも拡散していく野鳥なのです。そんなミサゴは多くの自然動物にとって厳しい季節とされる秋から早春にかけて、この場所に集結するのはちゃんとした理由があるのです。
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ミサゴの個体数について現在その保全状況は決して良好ではないのです。生息域の環境が悪化すれば急速に個体数が減少し、絶滅の危険も否めない野鳥種とされています。

そんなミサゴが晩秋になると、最下流部の架橋から河口までの限られた場所に集結するのは落鮎の産卵群を捕食したいがため。俊敏な急流魚の鮎も、この時期は自身の子孫を残すことにだけ集中しており、頭上の天敵に気を配ることができないのです。
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つまり、鮎資源量の豊かな河川ではこのミサゴの集結は晩秋の風物詩なのです。今はまだそのはしり、ミサゴは汽水域のボラを捕らえ、静かにその時を待っています。

これからも、物部川河口部で見られるミサゴの数は増加し、そのまま新年をここで迎えます。一年の終わりをここで迎えるミサゴたち、物部川が豊かである限り毎年継続されるミサゴの終結を見、その数を数えながら今年の終わりを共にカウントダウンするのです。

これから集めてみようかと
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永瀬ダム ダムカード
この年になると妻に教えられることは益々増えるんですが、このダムカードもそのひとつでした。
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今まで高知県内の河川を回り、そこにあるダムも数多く記事にしたのですが、このカードの存在は知りませんでした。

妻は香南市のウオーキングイベント『太平洋を一望 考える村と和食ダム見学ウォーク』総歩距離12.7km に参加した時、全員に配られたダムカードによってその存在を知ったんだとか。以来ちょうど半年間、自身ではダムに興味を膨らませた訳ではなかったのですが、
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未だ秋の気配の薄い永瀬ダム
先日、家族で早明浦湖へ行った時、突然ダムカードの事を思い出したようで、ダムに隣接する管理事務所へ入って行って人生2枚目のダムカードをGETしたのです。
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早明浦ダムのダムカード
それならばとその2日後に物部川の永瀬ダム湖に冬鴨の飛来の様子を見に行ったときに管理事務所に立ち寄って、永瀬ダムのカードをいただいてきたのです。
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このダムカード、ダムマニアがそこへ訪れた際の記念がほしいという意見に国土交通省が耳を傾け平成19年より作成され出した、良く出来たダムのカード型無料パンフレットです。

正式なダムカードの雛型は、表面にはダム名称と写真、そのダムが地域に担うF:洪水調節 N:流水の正常な機能維持 A:灌漑用水 W:水道用水  I:工業用水 P:水力発電の6つの役割が記号で表示されています。
高知のダムカード










永瀬ダムカード:早明浦ダムカード裏面
裏面はコレ。でも年々様式は多様化するとともに、全てのダムにダムカードが存在する訳でもないため、今では非公式カードもあるんだとか(私は四国の配布ダム一覧表を永瀬ダム管理事務所で頂戴しました)。それだけ人気があるということなんでしょうね。ダム巡りもダムカードも。

私にはこのダムカードをいただけることで事務所の職員さんとの間に生まれる接点を利用して、いろんな質問ができる可能性が生まれることも大きな魅力です。

室戸のムツを開き干物でいただく
ムツの開き









ムツの開き干物
ノドグロと呼ばれるアカムツの開きは、普段使いの干物ではない超高級干物。それが一見、皮色が変わると価格も激変(激減)⁈ 実はそれほど単純な問題でもないのです。
アカムツとムツ











赤と黒の甲冑を纏う両者はまるで川中島の合戦
アカムツとい対しクロムツやホンムツ等、黒い皮色のムツはムツ科ムツ属の魚種アカムツはホタルジャコ科アカムツ属の魚種なのです。

ホタルジャコ科の魚種といえば・・・
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ホタルジャコを使ったのが宇和島名物ジャコ天
特に有名なのが宇和島のジャコ天! ちょっと意外ですよね。

ホタルジャコの仲間にはすり身の原料とされる種が多い中、アカムツはどう調理しても超旨いと万人が感じるであろう例外中の例外的な魚種なのです。

アカムツが含まれるホタルジャコ科の魚種についてもう少し深堀りしてみましょう。

見誤ってはいけない保存食の真の価値
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ホタルジャコ科のオオメハタ
一般的にホタルジャコ科の魚種は雑魚(ジャコ)の文字が示す様に大衆的雑魚でありながら、中型種以上の魚種は鮮魚としても実に美味しいのです。
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オオメハタもその一種。ところが、鮮魚として美味しい為には、鮮度保持が整っていることは基より、身にうま味がないといけません。適度な脂ののりも重要な要素です。

ところが、低温管理が整わない時代に考案された、日本伝統の保存食にとって身の脂ののりは、商品の経時劣化を早める要因でしかないのです。
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幻の板付き蒲鉾
ですからオオメハタを活用するすり身製品は、底引き網漁の小型な個体のみを使用するのです。因みに今は無きこの超高級板付き蒲鉾の価格は一本2,000円超でした。

多くの人は雑魚を原料とするすり身製品が一本2,000円超・・・
と、驚いてもいたんですが、そのクセのない奥深い味わいと比類なき絶妙な弾力。これぞ蒲鉾の王道と称賛を惜しまない蒲鉾信者が全国各地にいたと聞きます。今は板付き蒲鉾が量販店で200円台でも売られている時代、その弾力とさして原料の味が感じられない様なすり身製品が蒲鉾としたものになっています。伝統蒲鉾の未来は極限られたモノになり、今までの流れの継承だけでは生き残れない時代になっているのです。

幻となってしまった、地域の古式製法にのっとた板付き蒲鉾の味、私は生きている限り忘れる事は出来ません。

さて私が社会で活躍出来た頃の日本は、風貌から想像できる中生代ジュラ紀ではなくバブル期グルメ時代といわれ、食生活も華やかに彩られたバブルの絶頂期。その時代の流れに乗ることも重要でしたが、その時代に食の本質、自らの生業を見失わないことは更に重要でした。食を生業とするものは、食材を大切にして食材とともに歩まなければなりません。

その為に旬は大切にしなければならず、旬を重んじることで自らが共に歩むべき食材に対し無用な環境圧迫を大幅に軽減できるのです。それを重んじない者は決してそれを生業とする者ではなく、その食材で成り行かなくなれば次の食材に依存し、強いては業態自体を変化させて生き残る者たち。それのどこが悪いかという疑問も数多くあるのでしょうが、間違いなく民族の伝統、歴史の継承は絶たれてしまうのです。つまりその流れのなかで地域性は間違いなく切り捨てられてしまい、地域でできる都会の仕事が主流になってしまう様な気がします、昭和中期生まれの旧式版の私には。
伝統保存食 新時代への幕開け
そんな中、ムツの開き干物には地域で生きる人間の意地を感じます。ノドグロ(アカムツ)の開きは知っていてもムツの開きを知らない人は多い筈ですから。
アカムツの開き











ノドグロの開き
因みに、ノドグロの開きが今でも大人気なのは世界的テニスプレーヤー錦織選手の影響が非常に大きいのです。世界を渡る一流のスポーツ選手なら食と健康にもうるさく、更に世界の美食も経験しているであろうという推測の中、ノドグロの味を絶賛しているのです。でも錦織選手にとって少なくてもノドグロは、故郷の自身が育まれた地域食材のひとつではあるのです。
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そのノドグロは高知にもいるのです、アカムツとして。その釣り物は今や地元でも簡単に手に入る代物ではありません。

それでも、産地へ出向けば都市圏の専門店で食す場合と比較して1/3以下で口にすることができるのです。しかしながら室戸のアカムツ、いかに産地購入で様々な購入条件が整っていたとしても、上画像の個体だと一尾3,500円はするので決して普段使いではないのです。
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白い大トロとも称されるアカムツの刺身
しかも数多の美味しい魚、魚に限らず数多の食材を知った後でもアカムツは文句のつけようのない卓越した美味しさにあふれているのです。それを開きで食す理由が見当たらないくらい。

干物は紛れもない伝統保存食。本来は多く漁獲された際に施す加工なのです。
思い出の干物の味の原点は家庭にあり
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干物は家庭の味
ところが、その製造工程で多くの魚種においてはうま味が更に凝縮され、身の弱い魚種の場合には身が適度に良く締まるのです。それがノドクロの開きに当てはまるか否かは、ご自身で鮮魚と干物を食べ比べて実感するしかないのでしょうね。ノドクロの開きの自身における真の価値はそうする以外に味わえないのです。

確実に言えることは、現在は流通技術の発達の中で脂ののった干物も経時劣化を抑え食する事が可能になっています。今や干物は保存食ではなく、調理法のひとつと考えるべきなのです。

山陰の産地の土産物店では一枚5,000円する品も珍しくないノドグロの開き。それでもその商品レベルは土産物店での高級レベルでしかありません。真のノドグロ開きの味は、信頼のおける専門店の味であり、その対価は少なくても土産物店の二倍以上の覚悟は必要です。
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でも多分、錦織選手の語ったノドグロの開きは専門店の味ではなく、彼の家庭の味だろうと思います。ご家族が彼の為に味を整えて水分量を調整した味。それは単に保存を目的としたものでもなければ、家庭でしか味わうことのできない家庭の味なのだと思います。究極の干物の到達点は多分そこにしかないのです。
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クロムツに見えて室戸産はホンムツ
そこでやっと今日のテーマ。ムツの干物ついてなんですが、
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二枚で450円
黒いムツの開きは安価です、土産で購入してもノドグロの1/10くらい。そこでムツの食材価値の検証をしてみると・・・
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ムツの身はノドグロに負けない脂ののり具合。刺身で実に上質な魚種なのです。でも、30cm以下の個体になると鮮魚流通では身の弱りが頗る早い魚種ではあるのです。
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室戸ムツの刺身
ですから、ある意味ムツの開きは保存食としてはノドグロ以上に長けているのですね。
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地産地消の開き干物 ムツの開き
強い台風が通過した後はしばらくの間、高知でも鮮魚は品薄になります。そんなときは鮮魚なら養殖魚という選択もあるのですが生鮮品の場合、品薄時は高値傾向になります。その時にこそ、魚好きの頭を過るのが干物なのです。
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ムツの干物は紛れもなく優れもの。食材品質に優れる魚種な割に知名度が低いためムツの開きは、地方の伝統保存食のままでいられるのです。しかも・・・見栄えは悪くても頗る旨い‼ 市場評価でもクロムツはアカムツの競合相手では決してありません。
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キチジの干物
西のノドクロ(アカムツ)・東のキンキ(キチジ)との喩え通り、その競合商品は国産キチジの開きなのです。好敵手の存在は両者の繁栄の証でもあります。片方に魅せられた信者(干物ファン)は絶対食べ比べせずにはいられなのです。そして勿論その軍配は地の味、地域の産品に上がるのです。干物の原点は地域の味であり家庭の味なのですから。

では、ノドグロやキンキに対抗する高知らしい開き干物といえば・・・
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この❝キンメの開き❞もそのひとつかと。関西よりも関東では高級魚として認識されるキンメダイ。鮮やかな赤は、やはり食材としても映えるのです。
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天日干しキンメの開き
釣り漁の中では資源量が豊かでとして、産地となる漁港周辺では中型魚体は開き干物として流通しています。

ところが、今では高級魚としての地位を確立したキンメダイよりもずっと高価な干物が高知には存在します。
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でもそれは普段使いの干物ではなく、釣り漁獲よりも籠漁が成立する季節が干物製造の盛期になります。

今は季節や天候に大きく影響される天日干しにこだわらずとも、干物も施設で製造可能な時代なのです。
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おたふくするめ
鮮度勝負の刺身が大好き、酒も好きな高知人の高級干物といえばアオリイカの干物でしょうかね。それは一番スルメの何倍も高価な❝おたふくするめ❞と言われる逸品で上物は8,000円はする、正月用の干物なんですよ。

さてさて、赤いムツと黒いムツの開き干物の食味合戦美味しいのはやはり赤。でも価格差通りに10倍旨いかと言えば人それぞれ、天と地ほどの差はないのです。物の価値はそういったものなのです。でも外国産アカムツの小型な個体よりは、黒いムツが旨いと私は思います。それは目先を変える普段使いの干物としては充分に及第点ですよ。室戸土産に是非どうぞ。

大雨の日の事です
10月24日、高知では一日中強い雨が降り続き、翌25日は多くの人の心配が的中。台風19号で甚大な被害を被った地域に移動した前線は沖の台風21号と影響し合って千葉県では300mm近い大雨を降らしたのです。今秋は、スポーツのビッグイベントが関東・東北で複数開催されていたのですが、外国からのお客様も広域で多くの人命までをも脅かす日本のこの荒天にはさぞかし驚かれた事と思います。
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高知で強い雨の降った24日の事、北から南へ渡りの途中の旅鳥が、河川や海岸の干潟から水田へ多数避難してきました。
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河川は急激に増水、海岸線では嵐のような高波で大荒れだったのです。普段は河口部の干潟や流れの穏やかな水域にいる水鳥たちが、この日は早朝から田園の上空を多数飛び回ていたのです。

時に田園は河川氾濫時の洪水被害において住宅地の浸水を緩和し、急峻な傾斜地にある棚田は山崩れの際に大量の水を含んだ土砂の流落を緩和する。そんな を以前blog記事にしたのですが、水田は水鳥たちの災害時避難場所でもあった様です。
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翌日には天気が回復し、水位の下がった秋田圃。

一時的に避難してきたカモやシギの群れは午前中の内に元居た場所へ飛び立って行きました。この中には、この後も香南市に留まり越冬する者とさらに南を目指す者がいます。

それらの生き物にとって我が香南市の環境は優しかったのでしょうか。

夏の花に秋の空冬の鳥
秋を見つけに自宅近くのダム湖畔に行くと、
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ネムノキの花
未だ夏の花が少なからず咲いています。それでも空は秋空で空気は秋の空気。過ごしやすい日中です。

そんな香南市の住宅地近くにも、順番に冬の鳥たちが飛来してきました。
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ジョウビタキ 10月22日
住宅地の公園に植えられた桜樹にはジョウビタキ

葉色と上手く体色を合わせ秋の景色に溶け込んでいます。
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ノスリ 10月22日
近くの田園にはノスリ。
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田園で活動しているのは今年初めて見たんですが、10月5日に秋鷹の渡りを観察しに行ったとき芸西村の山中では既に確認していたんです。
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そして最初のノスリの飛来から一週間が経ち毛並みの異なるノスリも田園に飛来。

香宗川で活動するカモたちの中にも、段々と冬鴨種が混ざるようになってきました。
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オナガガモ・マガモ
夏の名残りと冬の足音が混在する南国高知の秋模様です。

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