土佐料理 旬の鰹がゆく!

自然豊かな高知の気候が育む産物を食材とした伝統郷土料理のご紹介です。 自然に触れ、それらを見守りながら地方の環境問題を考え、豊かな自然環境の中で収穫される食材を自身の主観でレポートしながら、旬とは何かを考えます。

2020年11月

明日からは師走
妻の里山では、北風によってヤマザクラの葉が舞い散っていました。今年、四国に木枯らし1号は吹いたのでしょうか??? 

ご存知ですか、それを発表するのは気象庁で、しかも発表されるのも関東地方(東京)と近畿地方(大阪)と、日本を代表する東西のふたつの人口密集地域に限ったもの。しかもそれと定義される条件は関東と近畿で全く同じではないのです。

木枯らし1号は、地方には当てはまらない現象、春一番のような全国区の気象現象ではなかったんですよ。しかも、10月中旬から11月いっぱいまでと期間まで限定され、稀に条件に当てはまらず発表されなかった年もあったのです。

その乱れ飛ぶ落ち葉に混ざって、まるで竹とんぼかウイングスーツを纏ったように舞い降りて来る青い虫がたくさんいるのです。
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正体はツユムシの仲間、ヒメクダマキモドキ。未だフレッシュなキリギリス科昆虫の一種ながら厳寒期には成虫の寿命は尽き、親が産み落とした卵で越冬するのです。

このバッタ類の色彩パターンには鮮やかな緑色しかない様で、この季節になると環境に溶け込むのに苦労しているみたいです。
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一方で、初冬になっても自らに残された時間を精一杯輝こうとしているのが日々数少なくなっているアカネ属赤とんぼたち。
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その赤とんぼの背後の斜面に、鮮やかな緑色と紫がかった花穂に残る実が目立つ木が初冬の青空に浮かび上がっています。
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鮮紅色に染まり目立つ果柄の特徴は犬山椒イヌザンショウ)のそれ。その色付きは種子を運んでもらおうと野鳥に精一杯アピールしているものだと言われています。
イヌザンショウ










そして澄み切った空気感の中に天一杯広がる青空によく映えています。

ミカン科イヌサンショウ属の本種は落葉低木。
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しかし本株は、斜面の中段に根付いたとはいえ、樹高5メートルにも達していそうなイヌザンショウとしては結構な巨木なのです。
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自家製ちりめん山椒
和の伝統香辛料として我が家でも里山小径で毎秋、季節感を刺激として味わうために収穫してくる山椒
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収穫した山椒を使った白甘鯛の山椒姿煮

しかし犬山椒には、本家たる山椒ほどの香辛性はありません。

今日日、家庭では人と同等の健康管理と、時にはグルメ食を与えられる犬なのですが、昔はイヌやカラスと頭に名の付く植物等は役不足的印象を表現する手法のひとつでした。

それが現在では・・・わが家の場合ならイヌは家族として私より愛されているような…辛うじてカラスよりはマシという地位が私⁈ 娘にはカラスのようにウザいとも・・・つまり妻の里山にあるこの木は犬山椒ならぬ、味の腑抜けた親父山椒 若しくは夫山椒なのです
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しかも、種を落としたあとも、いっこうに葉を落とそうとしない❝しぶとさ❞があなたそっくりと、言いたい放題の妻。

初冬の里山に自身と似た境遇の植物を見つけた11月下旬の昼下がり、イヌサンショウの下で共にもう少し頑張り合うことを誓いました。

天然旬魚カンパチVSブリ
以前ブログでブリ属三兄弟(実際には4兄弟なんですが・・・)について書きました。今日はその付属記事です。
ブリ対カンパチ











これは天然のブリとカンパチの刺身。といっても地物ではなく東シナ海のもの。高知でブリが本格的に旬を迎えるのは、日本海やこれら東シナ海のものより2ケ月以上遅れてという、天然ブリにとっては特殊な地域なのです。同じ高知県でも、特に東に位置する室戸は西の足摺や宿毛よりまとまって漁獲される時期が遅いのです。

カンパチは一足早く旬を迎えるものの、周年を通しブリよりも食材としての季節差異が少ない魚種。この刺身を見て魚種を言い当てる人、更には2種の魚の刺身であることを正確に言い当てる人は少ないのかも。

因みに原魚の姿は(いずれもが室戸で水揚げされた大敷網漁獲の天然魚)
カンパチ天然











こちらがカンパチの食べ頃4~5kgサイズ。
ブリ天然









一方、こちらがお値打ちサイズのブリ10㎏クラス。つまり市場に出回る場合も良質な個体は、概ねこのサイズであることを知っていれば、切り身の形でだけでも魚種識別の指標となるのです。

更に慣れれば、切り身の血合いの形状でも識別は可能となります。逆に今の時期なら双方優れた品質の個体を鮮度を揃えて食せば味の違いで識別する方が難解なのかも。
ブリ室戸 









はっきり言って、種類の違いより同種でも個体差の違いがより大きく味に反映する魚種、特にブリの場合はそうなのです。

これらの魚は、日本食の食材として見た場合青物と呼ばれる魚種。更にはアジやサバも食材としては青物なのです。つまり外見上、側面の上半分は青みを帯び腹部は白っぽい光沢を放つ流線形の魚種。それが釣人用語になると青物は引きの強烈なブリ属を主とする回遊魚たちに絞られてくるのです。

そんな釣り人にとって、高知など太平洋岸のお値打ちはブリカンパチが一般的。前述の様にブリにはハズレが少なくないのです。そしてカンパチは2㎏を越えるあたりから皮下に脂がのって来だして、ちゃんと手当てをすれば概ね旨いのです。

強いて言えばブリは出世魚としてブリと呼ばれるサイズが最も上質で、ブリよりもずっと巨大に成長するカンパチは、1.5mを越え深場へ移動して行くとアジ科らしい美味しさは損なわれていきます。
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上画像は30㎏を越える巨大カンパチ。ソジとも呼ばれます。数キロあるカマスサワラが小さく見えます。

本来、多くの地域ではブリよりも値の張るカンパチですが、品質の優れるもの同士を食べ比べれば・・・

身色が変色しない程度に熟成させた身質の食味と食感は、極上ブリでしか味わえない特別なものがあります。逆に長く美味しいカンパチにはそこまでの満足以上の感動が生まれないのかも。

旨いブリには、それを操り良さを余すとことなく演出できた時の❝してやったり感❞が芽生えるのです。

三宝山の夕日
初冬に海で朝日や夕日を見る際には、雲の無い事を願うのですが、
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それを山の上から見る時は、雲や霧もいいと思うのです。2020年11月28日の山夕日は、そんな思いを充分に満たしてくれる飛びっきりの夕日でした。
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これは香南市の西方向。三宝山から望む月の名所桂浜、その向こうは美しいリアス式海岸が延々と続く横波半島です。

この日の高知県地方は、高気圧に覆われ概ね晴れ。しかし昨日までより寒く感じるのは寒気が流入している影響で、急に雲が広がり時折、小さな雨粒も落ちてくる不思議な天候の一日でした。
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その集大成とも言うべき気象現象が、夕焼けに集約されて現れたのです。

傾いた夕刻の太陽の傍を通過する雲が次から次へと虹色ひ色づきいていきます。が現れだしたのです。
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山の反対側、つまり東側を振り向くと不完全ながら薄っすらと虹が現れていました。
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麓まで降りてくると彩雲は空いっぱいに広がっていました。何とも言えない我が町の夕焼け。
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南国高知も明日からは、季節相応に寒くなります。

もちろん自然の話です
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物部川下流部の浅瀬。水に浸かって前屈みになったダイサギの群れ。全てが同じ格好で上流を向いています。
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これが今の季節の風物詩、鷺たちの待ち受けスタイルなのです。待ち受けているのは上流から群れで下って来る鮎の産卵群。
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この直ぐ下流には、自然の地形を利用して人が造設した天然鮎の産卵床があるのです。
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鷺たちがその上手で待っていると言うことは、今冬は鮎の産卵が未だ本格的に始まってないということなのです。
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鮎たちの産卵場には魚食鳥が侵入し難い仕掛けを人が造っていますから、産卵が本格的に始まれば鷺たちはその下手に陣取るのです。そしてその時期にならば、何百という鷺が陣取るのです。
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鮎の姿を見なくても、鮎と関わりを持つ動物たちの動向を見る事で鮎の今が判ります。


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産卵盛期になれば、魚食猛禽類、ミサゴも多数集まってきます。
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ミサゴが舞う青空の直下には、もの凄い数の落ち鮎が群れているんですよ。
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 異常気象を容認しているのは
冬燕の記事ですが、先日季節外れの繁殖を目撃した燕とは別目別種の決して近縁ではない燕の話です。
物部川の冬燕










これは厳寒期の物部川水面上を飛び回る冬燕、少なくても三種類の燕が混群し、水面上を飛ぶ川虫たちの成虫を飛翔補食しています。

今の高知県海岸近くは、冬も燕が活動しているのです。
冬のツバメ









先ずこれは、夏に民家で普通に繁殖して来たスズメ目ツバメ科ツバメ属のツバメ Hirundo rustica です。

ツバメと言えば代表的な夏鳥(春から初夏のころ現われて繁殖し、秋にはいなくなる野鳥)だったんですが、今は南九州や南四国の各地で、冬もこの様に群れて摂餌行動が見られます。

つまり今の日本の気候は、本土の限られた場所ではツバメが集団で越冬できる環境が地球温暖化の影響で可能になったという事なのです。

しかしこのツバメ
Hirundo rustica は、秋のある期間全く姿が見られなくなるので、夏鳥として南方から飛来して来た個体群とは異なる、もっと北で繁殖していた異なる個体群ではないかと推測しています。
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ところが今年2020年には立冬まで育雛をおこなっていたツバメHirundo rusticaを高知県東部海岸部の町、田野町で確認しました。

先日(11月10日)、気象庁が季節学に基づいて行う生物季節現象(気温や日照など季節の変化に反応して生物が示す現象を目や耳で確かめて、確認できた日を記録する観測)である生物季節観測の種目・現象の変更を発表し、来年からはこのツバメを始めとして多くの観測が廃止される発表を行った事に大変な衝撃を受けました。温帯日本の豊かな季節感は今、大きく破壊しているのです。

ツバメもその内きっと夏鳥ではなくなる様な・・・
イワツバメ










次に登場するのがスズメ目ツバメ科のイワツバメ Delichon urbica

いわゆる普通のツバメ
Hirundo rustica とは別種ながら、本種も夏鳥とされる種ですが、高知では周年を通し普通に見られます

そして今日の主役、
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小柄ながら非常に立派な翼を有する燕。ツバメといってもツバメ科ではなく、アマツバメ目(ヨタカ目とも)アマツバメ科アマツバメ属のヒメアマツバメ Apus nipalensis
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ツバメとは分類学上、決して近縁とは言えない本種ですが、営巣形態や摂餌形態は近似で容姿もイワツバメと似ていることから見れば多くの人がツバメと認識できる野鳥なのです。
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翼が非常に発達し、飛翔能力を向上させたいが故に、その代償とでもいうべきでしょうか。足は退化傾向にあり、平地に水平に着地すると歩けないほどに未発達なのです。

ですから基本営巣の基礎は自ら作らない場合が多い様ですが、他種の古巣をそのまま使用するのではなく、自らの羽毛を唾液で接着して飾りつけリニューアルしているので、そこにヒメアマツバメが住んでいることがすぐに分かります。

現在、
ヒメアマツバメは高知では留鳥に区分されていますが1960年頃まで、本土には生息しないと認識されていた南方種です。このヒメアマツバメは、以前もblog記時にしたことがありその営巣は香南市役所の解体された旧庁舎にありました。
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同じ香南市で見つけたこのヒメアマツバメの巣は2つでしたが飛んでいたのは30羽以上。近くにもっと巣はあるはずです。地域によっては一年に3回繁殖する様で4月下旬~12月に入るまでが繁殖期。

この様に複数のツバメが数多く周年見られる様になった背景には、冬でもこの個体数を満たせる餌料(飛翔小昆虫)が発生しているという事なのです。そして、それは決して良いことばかりではないはずです。

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