オニヤンマのねぐら
6月には羽化を始めるオニヤンマ。
オニヤンマはこういった場所で発生しています。
奥が水生植物がバランスよく繁茂する浅い池。手前は山からの沢水が流れ込む湿地性の草むら。足元の木橋に巨大なオニヤンマの羽化痕が複数あります。
ところでオニヤンマ、幼虫(ヤゴ)期間が5年と頗る長いんです。ですから環境の変わり難い場所を選ばないと大変。
〖ウスバキトンボ〗
ちなみにウスバキトンボは産卵から5週間足らずで羽化します。
余談ですがこのウスバキトンボ、もっぱら他のトンボたちに狩られ餌になっています。
これがオニヤンマの羽化痕。でもこれじゃ巨大さが判りませんね。
右画像、左がオニヤンマ、中アカネ属トンボ、右アブラゼミの羽化痕です。羽化後オニヤンマは、生まれた水辺近くの山に向かいます。それが私の家の近くでは三宝山、標高213mです。
〖AM8:30 高く飛ぶオニヤンマ〗
今の季節この山を走る県道385号を歩くと、複数のオニヤンマに出来わすので年に数度観察に行きます。雨降りでなければ必ず飛んでますから。
遥か上空を飛翔するオニヤンマの雌が、餌となる小昆虫を追って林縁近くまで来ると、どこからとも無く雄が素早くアタック。林縁のどっかの枝から見ているんですね。
〖オニヤンマ交尾〗
雌雄はすぐに交尾に入ります。これがまた長時間、通常1時間交尾を行い時に2時間動かないことも。ですので、この後雌が産卵に行く姿を確認できていません。オニヤンマは飛翔スピード以外、全てスローです。
私が三宝山でオニヤンマの交尾を確認するのはいつも午前中。午後も県道の上を低空飛行していますが、目的は索餌のようで虫を捕まえてはすぐ止まります。
午後になると、
三宝山ではオニヤンマに混ざってギンヤンマが沢山飛びだします。
ヒグラシが鳴き出す頃には、飛翔するギンヤンマの数は更に増え、逆に三宝山を飛んでいたオニヤンマは崖に沿って一頭また一頭と上昇し、岩盤に自生する低い木に止まりだします。
時刻はPM5:30頃のことです。
ところが、しばらくすると再び次から次へとオニヤンマが現われるんです。よく見ると、それらは山の下の野市や山北の方角から昇ってきているみたいですね。
今まで活性の下がったオニヤンマを、夕暮れ近くまで観察したことがなかったので気づきませんでしたが、夕闇が早く訪れる三宝山南東側岩壁の小樹木は沢山のオニヤンマたちのねくらになっています。
そして、オニヤンマたちの一日が終わる頃三宝山の西斜面では、複数種の黄昏ヤンマたちが森林から飛び立ち、ギンヤンマに混ざって活動を始めます。
そうそう、明るい内に林縁で休む黄昏トンボたちを探しているとこんなトンボを見つけました。
オニヤンマではありませんよ。いつも水辺で見るオオヤマトンボです。何故か池が近くにない山の木の上で休んでまいた。
でも良く見ると、少数がオニヤンマと一緒に活動しています。今までオニヤンマと誤認していたようですね。
コメント
コメント一覧 (2)
ヤブヤンマの写真はまるで静岡の自分のフィールドの光景のようで感動しました。
林間の小規模な止水域・・・一昔前なら周辺環境も水質も短期間で激変しても可笑しくないプレイスです。
一日だけの観察ですが、現在の自然環境においては、孵化後の幼虫の生育条件には、産卵法としてマルタンヤンマのそれが優れているように思えます。水生植物につかまって、水面での静止産卵を行うことにより、親種はその池の豊さを実感できると思うんです。
今後より広いスペースで、様々な産卵行動を観察していくことにより生き残ってきた術が見えてくると思っています。
日没前後の一時間か一日の成虫活動のピークとなる黄昏トンボたち、今のところ複数種が高密度で飛んでいるのに、縄張り争いや雌探索行動による互いの接近、接触は希薄。
今後の観察を通じ、自らの目で検証したいことが多々あり、黄昏トンボの魅力に興味の尽きることはありません。