開発と防災
以前、春のプロ野球キャンプが複数高知で行われていた時代、2月の週末には必ず訪問して地元商工会のお手伝いをさせていただいた『県立春野総合運動公園』。
春野運動公園













8月のある日曜日、公園内を初めて全部回ってみました。

高知市街の南に位置する標高約300mの鷲尾山や烏帽子山を中心とした鷲尾山系の丘陵地を大規模開発して作られた『県立春野総合運動公園』。温暖地の四季折々自然あふれる環境の中、充実した設備と全国大会可能な規模の各種スポーツ施設が整備されています。 この日も全国規模の様々な球技を中心とした大会が複数開催され、十分広い駐車場には数多くの大型バスが駐車していました。
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緑あふれる公園内で囀る小野鳥 ホオジロとヤマガラ
また、観戦やスポーツを楽しむばかりでなく、「ちびっこ広場」及び「いこいの広場」は、休憩の場だけでなく、子供たちの遊び場としても利用でき、地元の方々は森林の木立の中を走り抜ける整備されたクロスカントリーコースで汗を流しています。このように、散策道や太平洋を遠望する展望台、宿泊・飲食施設などもあるんですよ。
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木立の中のクロカンコース
なぜ、久しぶりに行ってみる気になったかといえば・・・
先日記事にした『身近な温暖化』のなかでいただいたコメントに、春野総合運動公園での思い出を寄せていただいたので、その場所を見てみたくなったのです。
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長雨の合間に羽を乾かすキジバト
最初の画像でもお判りのように、広大な運動公園内には治水管理の為に大小様々な貯水池があります。高知は年間日照時間が全国有数で、年間降雨量も全国有数。近年、短期間に降る尋常ならざる豪雨においても、比較的被害が軽減されているのは、水を一時的に貯め、一時的に逃がす場所(遊水地)がまだまだ残されているからなんです。いわば元来一時的な豪雨にさらされて来た経験で、その対策も他県よりは強化されている結果なんですね。開発と想定される天災への防災が両立しているんです。

でも、経済面では人工減少が全国2位、今年も4977人減少したそうですよ。元々その昔、初めて人口減少に転じたのも高知県と聞いています。高知県に住んでいる人には、とっても好い県なんですけど・・・人口減少の事実からすれば、他県には無い問題かきっとあるのです。かくいう私も人混みは大嫌いですけど。(高知県の人々が皆そうでは無いのですよ、念のため)
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公園内で最も広い中央貯水池
そんなこんなで、個人的趣味を持って運動公園に、淡水止水域に暮らす生物たちを見に来たんですね。冬場は中央貯水池をはじめとして冬鳥ヒドリガモの占有率が高い貯水池にいたのは留鳥カイツブリ。冬場は水温が安定し小魚が活動しやすい海岸域に多い野鳥が、夏場はこういった場所で繁殖しているんです。
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カイツブリの幼鳥と営巣の卵
湿地性植物と抽水植物に囲まれた貯水池は、高知県に最も多いタイプ。浮葉植物・浮遊植物に乏しく、濁度から判断して沈水植物も乏しいようです。
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ギンヤンマ
今の季節こういった止水域に多いのが、ギンヤンマタイワンウチワヤンマ
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タイワンウチワヤンマ
特にギンヤンマは止水域に限らず、流れの緩やかな流水域を含め自然条件への産卵適応性が高く、他のヤンマが減少する中、高知では最も一般的なヤンマとなりました。
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そして、この地域に特別多いトンボ種がコメントをいただいたハネビロトンボ。貯水池のみならず競技場脇の生垣に止まり、広い駐車場の上空を飛翔しています。

ここは拓けた池沼を好むハネビロトンボにぴったりな条件なんですね。
そうそう、公園の林には、すでにこんなトンボも現われていました。
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リスアカネ

いつも記述するんですが、山奥の秘境に行っても特殊なトンボは見られても、多種多用なトンボは見られないのです。今日見た動物たちは、それぞれ人間の創った環境を好み、上手く活用している種類なんです。良く見ると私達の身の回りには見られる種の生き物たち、逢った時には思い出してあげてくださいね。

彼らが見られる地域は、防災への配慮も成されていると考えられるのです。