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大判“みたいな”って
釣り人にとっては憧れの大判鰹。でも食材としては“難あり”といっても過言ではないのです。鰹の本場高知県の熟練板前といえど、鰹の目利きは並大抵のことではありません。つまり日本一、円熟した鰹の食文化を持つ高知県の、しかも舌の肥えた食通をも唸らせる鰹を日々仕入れることは、とっても大変なことなんですね。

そんななか『大判鰹』は通常、使い易い食材ではなんです。
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5kgを優に超える大判鰹
つまり包丁を入れる前の鰹原魚を見ただけで、絶対的な良さが判別できるのは鮮度だけ。身質の良さや脂ののり具合は、如何に熟練した仲買人でも絶対ところか多分というくらいの期待値的判断しかできないのです。

では外見では判断が付きにくい鰹の品質をどのように熟練仲買人は見定めるのかというと、固定した観念は漁獲法(一本釣り)と魚体の大きさ(2、5~3、5kg)。後は経験による学習と情報力を駆使して自身や所属する組織の力で目当ての鰹をしっかりと買い切る実力が求められるのです。その為には極上鰹を、消費する実力を持つ料理店や専門小売店と強いパイプを持っていなければなりません。

海域別に水揚げされる鰹の特徴が違うことは多くの人が知っているんですが、高速で移動する回遊魚たる鰹を日単位で、今どの海域で水揚げされている鰹が最も上質かを常に把握することは、毎日その業務に携わり、尚且つ日々積み重ねた信頼がないと到底出来ない、高度な特殊職能なんです。

それでも鰹の品質を確実に見定め切る技に絶対はなく、経験と実績によって算出されるブランド産地の意地をかけた確立論の追及でしかないのです。鰹はそれが他の鮮魚より奥深いだけのこと。逆に言えば、極限られた鰹は限りなく上質なんです。

ところが、今日わたしはその定説から外れた鰹を夕飯に買ってしまいました。原魚重量6kgに届きそうな『大判鰹』、産地は屋久島の近海という情報。でも、丸々『一本買い』したのではなく、おろして柵どりした片身の雌節(腹節)だけを買ったんで如何にセオリー無視といえど“わたし的には”結構品質には自信有りなんです。
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自身は購入しなかった、雄節(背節)の断面と購入する前の雌節の側面を見て身色と脂ののり具合を確認、納得して買っているんで・・・
虎の巻を見て宿題をズルした“みたいな”ものなんですね。

ところで『大判鰹』とは大きく成長した本鰹の成魚のことを、高知ではそう呼びます。居付き性の強い白身魚の場合、生存年数によって魚体には様々なダメージが現れ様々な部位が変形するんですが、鰹をはじめとする回遊魚は老成しても運動量が比較的低下せずに、回遊魚本来の体型を維持しています。

でも、近年の研究では成熟した鰹は黒潮に乗って三陸沖まで季節移動(北上)しない事が分かってきました。つまり産卵に参加する鰹は産卵域から大きく離れることはなく、三陸沖まで移動する鰹は成熟前の若魚なんです。ですから普段私たちが食材活用する鰹と『大判鰹』と呼ばれる鰹成魚の身質は別物であっても何ら不思議ないんです。

これら鰹成魚は土佐湾でも7~8kg、足摺周辺では10kgを越え更に南へ下ると最大大型のものは全長1m体重18kgにまで達し、まるでマグロのような大きさにまで成長する魚類なのです。

そんな鰹が大判と釣り人に例えられる境界がだいたい5kgでしょうか。鰹も5kgを越えると肉厚ですから、
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高知伝統の郷土料理、『タタキ』にするのにも、念入りに炙らなければなりません。素人の“わたし的”にはこれでもかと思うくらいに焼きました。
大判鰹』でありながら、優れた皮下の脂ののりを確認して柵買いしていますから、強火で炙ると脂のはじける音がバチバチ聞こえてきます。鰹を調理していてたまらなく幸福になれる瞬間なんですよ。
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焼きあがった『大判鰹』の雌節がこちら。雌節なのに炙る前に計量すると1kgほどありました。パッと見焼き鰹かと思われるほど炙っても、包丁を入れてみると、
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絶妙の炙り加減なんですよ。手が火傷しそうな熱いうちに、高知らしく厚めに切り揃え・・・って言っても柵自体が巨大なんで、全く厚く切っているように見えませんね。
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最も旨い部分を選りすぐって熱いうちに『塩たたき』で頂いちゃいました。家族の誰よりも先に味見です、初めての『大判鰹』ですから。
勿論、食味・食感とも及第点です。
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同一魚種で大型魚が敬遠される理由は筋肉繊維間の筋が、より発達しすぎて食感を損ねるとともに、本来その魚種の持つ特徴的な味が薄れ大味に感じられ出すから。でも今日の『大判鰹』は全く問題ありませんでした。
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削ぎ落した部位も無駄なく頂いちゃいました。とっても甘くて美味でしたよ。
更に、サービスで頂いた部位もあるんですよ。
それがこちら、
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大判鰹のハランボ』、ハランボは勿論塩焼きです。後で思ったんですが、これだけ鮮度が良かったら『チチコ心臓)』もくださいって頼めばよかったのに・・・新鮮な鰹のチチコは生食でとっても美味。
これぞ産地の逸品っていう鰹の特別な食材部位なんですよ。

ところでこの『大判鰹』、一般の購入価格と比べ格別安価でもなかったんですよ。魚屋さんは一本買いですから、それなりのリスクを覚悟で安く変えたのかも分かりませんが、捌いて試食して上質であれば、それに適合した価格で販売して当然なのです。“わたし的”にも、ちゃっかりオマケは頂いちゃいましたから

大判鰹』、今後“わたし的”にはきちんと食材吟味できれば、上質な刺身やたたきとして食利用材することにしましょう。