里山デビルのその後
イシガケチョウの終齢幼虫のその後をお知らせします。
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この中には終齢幼虫が写り込んでいるんですがお分かりでしょうか。
終齢幼虫はやがて蛹になる準備をするんですが、その手順は先ず突然摂餌を止めるんですね。
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ですから蝶の幼虫を飼っていて、通常4回脱皮して鮮やかな幼虫になったら、それが終齢幼虫。今までとは全く違う大量の食草を平らげだし急に大きくなります。
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そしてある日突然摂餌を止め、排便ばかりをして体内の食物残渣が完全になくなると蛹化の前段階、前蛹化します。この体形には蝶によって二種類。イシガケチョウなどタテハチョウ科の場合はこのような垂蛹すいよう)と化すものはこのように前蛹化します。

アゲハチョウ科など多くの蝶は帯蛹たいよう)化するのです。
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前蛹は一両日ほどで蛹化するんですが、幸運にもその瞬間に立ち会えると、急激な身体変化に驚愕します。その目撃感動は羽化以上なのかも。
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そんな蛹なんですがイシガケチョウの場合、概ね食草たるイヌビワの樹上で蛹化に至ります。そしてイシガケチョウの蛹が如何なる形かを知らなければ、その蛹の存在には先ず気付きません。
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枯れ葉が乾燥して縮まり丸まっている、まるで落葉寸前の状態に完璧に擬態しているのです。

なんと見事に葉脈まで体表に刻んでいるのですから。しかも、葉が乾燥していく際に生じる微妙な捩じれまで演出しているのです。

食草を知っていて、前もってそこに相当数の幼虫が存在することを知っていればこそ、蛹を見つけ出すことができるのです。
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林縁でイヌビワを見たら是非、注視してみてくださいね。

そして蛹化したイシガケチョウは、今の季節なら一週間程度で羽化します。
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イシガケチョウの羽化
イシガケチョウの翅紋様のデザイン。それは蛹のステージにおいて、擬態を完璧化するためのものだったのですね。
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