秋深まって
初夏に始まった鮎漁も多くの河川では9月30日(一部河川では10月15日)をもって禁漁となっています。そんな鮎は今、どうしているんでしょう。10月13日の日曜日、赤野川へ秋の鮎を見にいてみました。

先週中頃から気温が急に下がり、高知の朝は秋本番らしい15℃以下に低下、水温に敏感な鮎たちの変化を確認したかったんです。
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赤野川は夏でも縄張りを持たす、群れで秋まで暮らす鮎も多い河川。そんな赤野川の群れ鮎たちは、秋本番を迎え体表がさび色に染まりつつあります。
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一方でこちらは堂々たる縄張り鮎。鮎の攻撃性と水温には深いつながりが見られそのピークは水温25℃であるといわれています。
この、未だに縄張りを持つ堂々たる体形の鮎ですが、ときたま縄張り内を通過する群れ鮎には結構寛容に見過ごしています。

そんな状況下でこの日、赤野川中・下流域で一番印象に残った縄張り鮎がこちら。
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本流筋の石を縄張り拠点として、そこの入る鮎の全てを執拗に追い払っています。しかもその範囲はこの岩の周り直径1m以上の範囲に及び、その闘争心は夏の盛期と比べても衰えを感じません。
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ガタイでは、先の大岩にいた鮎に劣っているように見えても、この鮎は赤野川では極限られる黄金化した鮎なのです。

もちろん鮎にとっての一番は、鮎が人にだけ評価される価値が一番という訳ではありません。数多の生物が、自らの目線で自らにおける一番を毎年選ぶのです。互いに生態系に生きる一員として。

さあ、これらの縄張り鮎も、このまま年を越す訳ではありません。10月も終わるころになると、朝の気温が更に下がり10℃を割り出し、全ての鮎が縄張りを放棄して産卵群の中に吸収され落ち鮎群となって、春群れで遡上してきた本流を再び群れとなって下り、産卵床のある下流部へ移動します。

産卵群の鮎の数は、遡河群の何百・何千分の一。それでも産卵後、年内に孵化して一旦川を下り汽水域で越冬する際にはその何万倍もの激しい淘汰を受け、選ばれし者だけが春に遡河し、更に淘汰され秋を迎え、その中で一番でなくしても強い生命力を持つものが産卵群において世代交代を実現させるのです。
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まもなく見られる勇者の凱旋。豊かな川の秋を象徴するその密度は数的には遡河群の何千分の一。ところが白く輝く銀鱗を赤茶色の鎧に変えて、川面を染める塊は物質的には数の密度に劣るものではないのです。
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これこそが自然の輪廻、自然の循環、そしてその種をも超越した循環のなかで無駄になるものは皆無。

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そのピークが11月中旬。高知県下の多くの河川で、この時期限定の生態系の営みが展開されるのです。
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秋風渡る赤野川の水面を秋のアサギマダラが飛んでいきました。