氷魚が知らせる季節感 春はもうすぐそこに
2月も今日で終わり、あと一ケ月もすると自らの活躍する舞台を海から川へと移す魚を夜須川河口部にある手結漁港で見つけました。
IMG_9227









この魚は厳寒期に行われる河口やその沿岸部の海岸で漁獲される、ウナギの稚魚の漁獲期には既に河口近くの海域や河口の中の汽水域を泳いでいます。
IMG_9730










里に桃の花が咲く頃に氷魚は河口の汽水域に集結してきます。

古より広く日本各地で氷魚と呼ばれるこの稚魚。成魚を氷魚や氷下魚とも呼ぶ北国のタラ目タラ科コマイ属のコマイ。
IMG_9788









シロウオ
高知や徳島でもこの仔稚魚と同じように、海から早春の河川へ産卵に遡るハゼ科シロウオ属成魚のシロウオもヒウオと呼ばれる事はあっても、これとは全くの別種の魚種です。※シロウオは激減し高知や徳島では絶滅危惧Ⅰ類と保全状態評価されています。

今日ご紹介する氷魚とは鮎の仔稚魚。発生初期の段階から身体に色素が沈着する前の稚魚期のアユを指します。そう呼ばれる理由は、身体が自然環境下で起こる氷結を思わせる透明性を呈することに由来しています。最も魚は発生初期には色素を形成しておらず、概ねこういう状態なのですが、特にアユは人の傍らで過ごす特別な魚種ですから、その状態を喩え愛でて多くの名で呼ばれるのです。
IMG_9258












氷魚
アユは通し回遊魚の中で、両側回遊魚の代表的魚類。晩秋から冬にかけて川の淡水域で孵化した後、海へ下り川の生活環境が厳しい間、動物プランクトンが豊富で水温の安定した、河口近くの海域で成長するのです。
サクラマス 遡上










遡河回遊魚

その生息海域は限られていて、概ね河口から4km以内とされています。しかしその間に複数の河川があることで、ダム上流部に生息する陸封型のサツキマス、閉鎖水域のアマゴの様に顕著な地域変異は現れ難いのです。
1e945006[1]









そんなアユはやがて、河川の水温が10℃前後になると遡上を開始します。その頃には色素は、ほぼ完全に沈着して、氷魚ではなくアユらしくなっています。
f2a52425[1]













春先、堰堤を越え遡上する鮎
更に水温が15℃前後になると遡上はピークを迎え、そのころのアユはもう、若鮎のように逞しい体型に変化しています。そこまでは体長が長くなるというより、色合や体型が顕著に変化します。
6ac98e25[1]









桜の花が散り終える頃
ソメイヨシノの花が散り終える頃には、河口や下流域の堰堤を飛ぶ小鮎の姿は消えます。
55a07492[1]










黄金の鮎
その後、川苔を食む様になってから同じ時を経過しても、それぞれに違うアユとなって秋を迎えるのです。