深山はもう秋何もいない雑木林なのです
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7月下旬の深山の雑木林
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8月に入ると人の感じる夏は益々、季節感を現わし暑さは一層過酷なものになるのに・・・

深山で見る雑木林の夏は、毎年同じ様に収束に向かっているのです。
奥物部オオムラサキ♂












限られた短い時間しか与えられていない昆虫にも夏バテはあるんでしょうか? それとも深山はもう秋??
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同じクヌギ樹が8月上旬には・・・
8月初旬に高知の奥山雑木林から示し合わせた様に突然消える昆虫たち。虫たちは何によって、人より早く秋を感じるのでしょうか。

それにはまず、7月深山の雑木林の様子を生活環の多様なクワガタムシで振り返ってみましょう。
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ミヤマクワガタ雌雄
夏、この環境に集まる虫たちは激しく摩耗ているのは確かです。それでもすべての昆虫が摂餌の為にこの消耗戦に参加しているのではなく、時間帯を変え棲み分けしているのです。昼行性のミヤマクワガタも、この混雑の中で見ることは多くはないのです。

生態系豊かな深山の昆虫だからこそ、何者よりも敏感に感じる季節の移ろいがあるような気がしてならないのです。
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私がこのミヤマクワガタを見る時には、だいたい混雑していない樹液場所。針葉樹の幹に止まりじっとしている時もあります。昼間、他の昆虫たちの摂餌活性が下がる時間帯をじっと待っているのでしょう。そんな季節には競合種の少ない樹上高くもお好みの場所の様です。
a42ac70e[1]ノコギリクワガタ♀






ノコギリクワガタ雌雄
そんなミヤマクワガタ属の他、ノコギリクワガタ属も一度成虫活動した後には、活性を低下させ長期休眠できない種。このまま成虫では冬を越せない種なのです。それでも飼育下では10月まで生き、単体飼育で温度調節と摂餌を行えば年を越しても生きている場合も少なくありません。それでも新たな春を迎える事はないのです。
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ヒラタクワガタ
一方、一度成虫活動後であっても活性を長期間低下させ、冬を成虫で越す事のできるオオクワガタ属
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スジクワガタ雌雄
そんなオオクワガタ属の成虫は、二年目には初夏早くに再活動を初めることが出来ても多くは8月を待たずに絶命します。それはそれらを飼育することで分かります。
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コクワガタ雌雄
唯一、高知には自然分布していないオオクワガタだけが複数の成虫越冬を普通に行うのです。そこには他の競合種との徹底的棲み分けによって消耗を回避する徹底的な自己管理能力が生きているのです。
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アカアシクワガタ
オオクワガタ属のアカアシクワガタもまた、ミヤマクワガタ同様に高知では低地の雑木林では見られないクワガタムシです。

以上、これらの画像は全て、昨年と今年の7月に奥物部の物部川の支流、
日比原川で撮影したクワガタムシたちです。

さて、8月に入ると深山では死に絶える訳ではないのに、多くの昆虫が雑木林の樹上から姿を消すのは何故でしょう。何かが昆虫たちの刺激となっているのです。

その要因は以前記事にした
回遊魚『アユ』の場合は水温の低下でした。

引き金となる要因はひとつでもないのでしょうが、毎年、規則正しく変化しているのは昼と夜の長さ。それは6月21日(夏至)よりその時間は高知の場合8月1日には、日の出4:56⇒5:18 日の入り19:19⇒19:06と昼間は短くなり、太陽の高度も徐々に変化しています。  

昼と夜の棲み分けを行う昆虫たちにとって、この刺激は大きいものである様に感じます。特に平地よりも朝が遅く夜が早い奥山の場合には。これから益々短くなる昼間、でも昆虫たちは死に絶えた訳ではないのです。あるものは世代交代を果たし、またあるものはその時のためにそれぞれ種として次の段階に進んだのです。

香南市の低山雑木林では毎年、一部のオオクワガタ属は10月中旬になっても普通に成虫活動しています。夏のクワガタムシの見どころは、条件や場所を変えればまだまだ沢山あるのです。