秋磯潮溜まりの魚たち
昔、秋になると誰もいない海なんて歌がありました。確かに夏休みが終わると、海辺からは人が少なくなるのです。殆ど見なくなるのは、彼岸のころでしょうか。
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ここは香南市の塩谷海岸。同市在住の私は、子供が小さい頃は、毎年遊びに来ました。

それは夏に限ったことではなく春から秋までずっと。つまり磯で生物が活動する季節なら、その移り変わりを感じに家族で来ていたのです。
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今年は過酷なほどの残暑でしたが、夕立が降り出したことでやっと空気感が変わって来だし、この日は海辺の秋を象徴する『海蜻蛉』が目立ち始めていました。
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塩谷の浜一帯は風光明媚な岩礁地帯。

夕日がきれいな冬季には、それを見にここへ来るので結局一年中、ここを訪れない季節はないのです。自宅から車で10分ですから。
潮溜まり










さて、大人になっても磯の潮溜まりを覗きに来るのはワクワクします。その溜まりの中にも、毎年同じ様に季節の移ろいが展開されており、それを見て何かを感じ取るのはとても興味深いことなのです。

この様に大小様々な潮溜まりが塩谷の浜には広く点在しています。その中には室戸岬周辺の潮溜まりほどの巨大な魚は侵入してきませんが、
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季節を代表する多種多様な魚種が多数侵入してきて泳ぎ回っているのです。
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そんな魚種の中から、今日は先ずこの魚をご紹介させてください。
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最初は温帯海域の沿岸部に生息するコショウダイの稚魚かと思ったのですが・・・

体表には縞模様だけで斑点が見られず、どうやらヒゲソリダイの幼魚の様です。

ヒゲソリダイは初夏から今頃にかけて産卵。孵化した個体が5cm程に成長しています。
明るいところでは明瞭な縞模様が現れていますが・・・
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岩陰でじっとしていると、たちまち全体が黒化してくるのです。

おおくの魚種において幼・稚魚期は成魚期よりも、色彩変化を瞬時に行い、色彩環境への順応性を高めているのです。
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因みにコショウダイの成魚はこちら。有用海産資源として食材活用されます。
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身質はコロダイ同様に強く、鮮度劣化を感じにくい魚種として重宝される反面、味わいは淡白といえる魚種。美味しく食べる為の工夫を必要とします。
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コショウダイの家庭料理
一方でヒゲソリダイは、同じイシキ科ながら別属のヒゲダイ科の魚種。
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ヒゲソリダイは水揚げ量がまとまらない事もあってか、多くの鮮魚店で両種は混同され販売される事も少なくないのですが、容姿は似通っていても味は全く違うというか、天と地、雲泥の差とまでは離れていなくても相当な差があるのです。
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ヒゲソリダイの幼魚はこちら。幼魚から成魚まで、あらゆる成長段階のヒゲソリダイが桂浜の高知水族館で生体展示されています。

さて、このヒゲソリダイ、食味は優れていると述べたのですが、往々にして漁獲時に胃の内部に大量の食物残渣が半消化状態で存在、それに纏わる腐敗進行により臭みが身に移る場合が少なくありません。
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ですから、ヒゲソリダイ本来の食材価値を存分に味わい尽くすには、この様に活き締めされたような鮮度の優れる個体に巡り合う事が必要です。
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その幸運に巡り合う事が出来れば、きっとヒゲソリダイの美味しさに驚き、芳醇な味わいに酔いしれる事ができるのです。

明日からは、秋磯潮溜まりの様々な魚種を紹介します。