緋舞鯛青舞鯛
舞鯛ブダイ









半世紀前、私が磯釣りを始めた頃なら舞鯛ブダイ)と言えばこの魚しか思い浮かびませんでした。

そうは言っても、高知でこれを専門に狙う人は漁師さんも遊漁の釣り人も先ずいません。明日は天気がいいのでブダイ釣りに行こうなんて釣り仲間を誘うと、お前とは二度と釣りに行かんとか言われて仲間外れにされかねない(*_*)(*_*; ブダイとは、一般的に高知ではそういった魚。つまり釣り人にとってはメジナ(グレ)釣り外道なのです。
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でも、魚屋さんで売られている時もあります。この時はkg450円でした。

そして、私はブダイを買って食べたことがあります。もしかして、これを隠れ外道の道というのでしょうか⁈
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ブダイの干物
でも多分大丈夫かと。これはブダイとしてではなくイガミブダイの一部地方名)として売られていたものですから・・・
改めて文章に認めると、なんか不思議と悪い事をしている気持ちに陥ってしまうのですが、これを購入して楽しむことは未来永劫合法で、決して脱法ではありません。

ブダイは、生息する全ての地域で安全な食材。食物連鎖によって自らが毒素を生物濃縮する事例もありません。更には食材価値としても安価な部類で、ブランド産地は無く(今のところ多分)地方名が紛らわしいと改善要請されることも先ずないと思われるのです。
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因みにブダイの干物はわが家では、おかずと言うより酒のあて‼ アルコールは全く嗜まない私は妻の為にせっせとブダイを調達して干物に加工するのです。

外道と言う言葉の意味は仏教に由来しています。仏教徒にとっての心理に反した教えや説が外道。元来は釣り用語では無かったのです。

因みにしゃば娑婆)も仏教においての教えの世界、人間の暮らす俗世界のことである事を先日、わが家の法要で菩提寺のご住職にお教えいただきました。

わが家は仏教徒の家、文化庁によると日本における平成後期の宗教別信者数の割合は、仏教が第一位なのです。わが家も仏教徒と言いましたが、妻は神道でした。夫婦別姓の時代、妻とは結婚した時に障害なく同姓になりましたが、日本国憲法第二十条 信教の自由は、何人に対してもこれを保障することから、信仰の異なる私は妻をあれから40年、〇〇と言ったことは一度もなく、言える訳もないのです。 え~と、今日は何の話でしたっけ。
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そうそう、このブダイには切り立った岩礁地帯に巣食う鬼ヶ島の鬼の様に、俗に言う赤(舞鯛)と青(舞鯛)がいて、やはり鬼ヶ島の様な岩礁地帯、つまり磯場に一緒に住んでいます。偉いのは青で、両種は同種で別姓ではなく同姓で別性なのです。

ブダイも性転換をする魚種の一種で青が♂、赤がとりあえずの♀です。青は赤を多数従え縄張を持ちハーレムを形成します。ブダイは青が縄張り内で絶対的主導権を持っていますが、我が家は赤が強烈な主導権を発揮します。妻は顔を紅潮させ多くを主張し、私は顔が青ざめる事ばかりなのですから。

私は魚屋さんで青は買いません。味云々より、どう見ても寒色系で寒々しく食材としては不向きのような。

これで赤と青の舞鯛の関係は分かりましたよね。でも、今日のタイトルは緋舞鯛と青舞鯛なのです。

舞鯛海線異状あり
ですから今までは序章、これからが今日の本論なのです。今日の主役、舞鯛なんですが、近頃磯や岩礁地帯の防波堤に行くと、今日これまで紹介した舞鯛とは別のブダイが水面直下を悠然と舞っているのです。
潮溜まりアオブダイ










それらは時に狭い水道を伝って浅い潮溜まりの中でも見られるんですよ。それも稚魚や幼魚ではなく、巨大な成魚が。

それらの魚の体長は先に紹介したブダイの体長の2倍、最大で90cmにも達する巨大な彩魚なのです。大胆不敵に浅い閉鎖的な場所に侵入し、我が物顔で振舞う大胆な舞鯛たちですから、防波堤で釣りを楽しんでいても割合簡単に仕掛けに食らいつきます。

ですから今日の記事カテゴリは高知の珍魚なのですが、今では決して珍魚ではないのです。その魚を釣りをしない多くの人が知らないのは、単にこれらの魚種が鮮魚店の棚に並ばないからなのです。
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後半登場の舞鯛たち、食いつきは良くても釣りあげられるかどうかは全く別の話。相手は大型な上に前記の如く、それ狙って釣りをする人は先ずいないのですから、強烈な引きに耐えられるタックルバランスで挑んでいる人はいないのです。

ということになると、ブダイはメジナ釣りの外道なんですが、この面々はイシダイ釣りの外道と自動的になってしまうのです。

その魚は、今日のブログの前半のブダイ科ブダイ属とは別属のブダイ科アオブダイ属の魚種たち。アオブダイ属の中には実際に標準和名アカブダイという種まで存在する、カラフルな色が特徴の元来、熱帯・亜熱帯海域の魚種たちなのです。
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緋舞鯛 ヒブダイ
そのアオブダイ属の中で最も食材価値に優れていると評されているのが標準和名ヒブダイ。といってもその評価は南西諸島を中心とした地域限定的なものに過ぎません。
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ヒブダイの刺身
私自身、二度目の沖縄旅行へ行った時、石垣島の海鮮料理店で、このアーガイ(沖縄地方名)と呼ばれるヒブダイを刺身で食べました。

味は淡白な白身魚ですから、うま味のある皮目を添えて提供されたのですが、この様に薄く剥ぎ切りにしても如何せん皮は厚く硬いのです。ヒブダイの厚みのある皮は湯引きでも無理があり、この過剰な食感を取り除くのは、焼き切り以外に本土の私たちには馴染まないとその時に思いました。

さて、南の島嶼では重要な海産資源のヒブダイに対し、
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青舞鯛 アオブダイ
アオブダイ属の旗種とも言えるのがこの標準和名アオブダイ

本個体は30cmちょっとの若魚です。これも、室戸岬周辺の防波堤なら今の季節どっさり鬱陶しい程に釣れてしまいます。しかしこの魚種は、ヒブダイと同じように釣れても食べてはいけない魚。生態系の食物連鎖において容易に毒素を生物濃縮することで、猛毒のバリトキシン様食中毒を引き起こす危険のある毒魚と言っても過言ではない魚です。

今ではどっさり釣れてしまう魚アオブダイですから必ず記憶しておいてくださいね。本土でも死亡例があるんですよ。
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アオブダイ成魚
そんなことで、地域によってはただでさえ見慣れないアオブダイ属な上、少々慣れていても成長段階によっては明確に識別し難い魚同士でもあり、アオブダイ属は総じて本土では敬遠されがちな魚たちなのです。

でも釣り味は、超満足な魚たちなんですよ。重みのあるパワフルな引きを手軽に存分に味わえるのですから。もちろん狙っているのではなく釣れてしまうのですから、晩のおかずが調達できてない内にこの爆釣モードに突入してしまうと・・・

世の流れは片方の理想通りには決して進まないもの。釣り道は精神修養の場でもあるのです。そういえば・・・修行道選択の自由は憲法に明記されていましたっけ。

高知の家庭で作るアーガイ料理
沖縄地方ではアーガイの名で親しまれているヒブダイ。高知の家庭料理としては、
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内臓と鰓、鱗をとって丸ごと豪快に素揚げにして餡かけ。
アーガイの中華風餡かけ








アーガイの中華風あんかけ
ほくほくとした肉厚でクセのない白身と、うま味の詰まった香ばしい皮目を同時に楽しみます。

筍は高知の特産品で秋が旬の四方竹です。
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私は思うんですよ。これを釣って持ち帰らないのは実に勿体ないことだと。

アーガイの餡かけ、一流の海鮮中華料理店の食材としても通用する味わいだと、真剣に思っています。

こう調理して味わうのなら、メジナやタイよりずっと旨い魚です。たまには家庭で中華料理はいかがでしょうか。