蒲焼き丼VS照り焼き丼
夏の鰻丼冬の寒グレ丼、これって物凄くいい勝負なのです。以前、鰻の資源枯渇が問題視され、その代用食材が数多く考案された時、なぜこれが話題にならなかったのか・・・

厳寒期のグレ釣り
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今回、初めてこの様な調理をして、真面目にそう思いました。使った食材は厳寒期に自身で漁して料理した寒グレ。正確には寒のオナガグレクロメジナ)です。
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全長は30センチほど。
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生長すれば50㎝を軽く越え、高知県西部の離島の磯では60㎝オバーのモンスター級のクロメジナが乱舞しているも、名うての強者釣り師が挑んでも、足場の悪い高所の釣り座で猛烈な引きに耐えきれずハリス切れの連発。

それどころか食わせる事さえできずに磯を離れる人の方が多いという夢の磯魚です。

長男や私がメジナ釣りに行って、岸壁や地磯でメジナ釣りをして釣り上げるのは、メジナで40㎝台はあっても、クロメジナだと30㎝の前半止まり。

それはひとえにクロメジナの良型を運よくヒットさせても、技量的に良型と言われるサイズは獲り切れずれずに終わっているのです。

厳寒期の寒グレ。種類別に同サイズ(30㎝)を見比べてみると、

メジナ(クチブトグレ)
クチブトグレ










クロメジナオナガクレ
オナガグレ











両種ともに寒のグレはよく太って脂ものって実に美味しいのですが、オナガグレの脂ののりはこの30㎝台でも別格

しかも身質もクチブトグレよりも明らかに優れ、The寒グレと言うべきはまさにオナガグレの方です。
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いつもは土佐の伝統製法によって強火で皮目を焼き切るグレタタキ。
クロメジナたたき












でも寒グレなら、炙って間髪を入れず熱々を食す。これが最高なのです。

そこで重宝するのが調理用ガスバーナー。
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こうすることで厳寒期のオナガクレの品質の高さは極まります。
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冷めればタタキにしても皮目の香ばしさや魚の臭みが現れだすガスによる炙り製法ですが、最大の長所は手軽さ。

うま味も脂ののりも納得 寒のオナガグレ
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食すタイミングが
熱を感じるものなら、この調理器具は優れものなのです。

そしてこの調理を行うことで、厳寒期のオナガクレの脂ののりが半端ではないことを再認識しました。
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それならと次に挑戦したのが、オナガグレを使った寒グレの照り焼き丼。フライパンで十分にタレを絡ませ焼き色を出しました。
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妻はそれを照り焼き丼に。

寒グレの照り焼き丼
寒グレ照り焼き丼













私は、焼いた骨で出汁を取って味を調えた熱々のかけ汁で

釣った寒グレでひつまぶし
寒グレひつまぶし











さて冒頭の以前、鰻の資源枯渇が問題視され、その代用食材が数多く考案された時、なぜこれが話題にならなかったのか・・・

例えば鰻蒲焼を寒グレで再現してみると・・・
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寒グレは前記の様にメジナより厳寒期は更に脂ののるクロメジナで再現してみました。

寒メジナの蒲焼き
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蒲焼きはご飯と相性抜群な魚料理です。
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思い当たる理由はいくつかあるのです。先ずはこの対決、この料理が求められる食材の旬が表裏なのです。

獲った天然鰻でひつまぶし
天然鰻ひつまぶし (2)










本来は旬が秋口の天然鰻を今は猛暑の夏に合わせ、養殖によって鰻のコンディションを整えたもの。

一方、商業ベースでは殆ど養殖流通していないグレ。脂が最ものり切る季節は厳寒期で夏はそれと比較すると食材として劣る季節です。でも今の季節のオナガグレを白焼き冷凍で保管して夏にタレを絡めて仕上げれば、それなりの話題にはなると思うのです、この品質ですから。

照り焼きひつまぶしと言えば、室戸では特殊な地形を生かした朝どれキンメダイが昼には水揚げされます。そんなキンメダイを使った照り焼きで丼やひつまぶしを楽しみます。

金目鯛ひつまぶし
キンメダイ照り焼きひつまぶし












とろキンメといわれる、キンメダイが最も脂ののる季節は高知では夏。でも、高級なブランド魚たる金目鯛ですから、それは鰻と比較すること自体間違いで、それぞれが別格なのです。

もちろん季節を限定すれば、寒グレの照焼きやひつまぶしも別格。その味わいは金目鯛よりも鰻と比較されるもので、決して鰻に劣らない旨さがあり別格と言って差し支えない味わいなのです。