土佐料理 旬の鰹がゆく!

自然豊かな高知の気候が育む産物を食材とした伝統郷土料理のご紹介です。 自然に触れ、それらを見守りながら地方の環境問題を考え、豊かな自然環境の中で収穫される食材を自身の主観でレポートしながら、旬とは何かを考えます。

カテゴリ:高知のトンボ > 四万十市トンボ自然公園

日没
19:00まもなく香南市は日没を迎えます。
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日没前の青色の残る空を飛ぶのは、塒を探すオニヤンマコヤマトンボ
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でも空が緋色に替わった瞬間
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飛翔するトンボの種類も替わっているのです。昼と夜とのとばりの時は、蜻蜓たちの棲み分け時刻。時の境なのです。
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この限られた短時間に索餌飛翔をするのが黄昏蜻蜓なのです。
四万十市のトンボ自然公園では、7月中旬には既にみられる蜻蜓の黄昏飛翔黄昏飛翔するトンボの数と期間が長いほど、その地域にはトンボにとって豊かな自然環境が保全されていると言えるのです。
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今年も、蜻蜓の黄昏飛翔の季節が三宝山に訪れました。黄昏飛翔は8月いっぱい見られるのです。三宝山でもピーク期には黄昏蜻蜓の群飛が見られるんですよ。

初夏の代表種
ウチワヤンマ
Sinictinogomphus clavatus は、当ブログでもよくご紹介させていただくサナエトンボ科の蜻蛉(トンボ)ですから、こんなに立派で力強くても蜻蜓‎(ヤンマ)ではありません
ウチワヤンマ (3)










ウチワヤンマ
日本固有のサナエトンボでは無く、本州、四国、九に分布するも高知では準絶滅危惧。減少原因の一つに生息域が競合する南方系近似種タイワンウチワヤンマ Ictinogomphus pertinax の分布拡大があると言われています。

そのウチワヤンマを『四万十市トンボ自然公園』では今尚、たくさん見ることができます。
ウチワヤンマ (2)










ウチワヤンマ
高知では成虫発生においては、ウチワヤンマがタイワンウチワヤンマより一か月程早生で、体型もウチワヤンマが一回り大きい。さらに清浄性に劣る水質でもある程度は繁殖可能と言われています。

ウチワヤンマはチョウトンボのように水生植物が繁茂していない環境でも発生し、むしろ抽水性植物が少ない水深のある場所を好む傾向があるのです。又、コシアキトンボのように小さな止水池を繁殖場所と選ぶ柔軟性は無く、環境の激変を受けにくい水量豊かな池を好むみたいです。
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ウチワヤンマと棲み分けをしている多種トンボたち
画像でもおわかりの様に縄張りを張っているのは、地下茎から茎を伸ばし水面に葉と花を1つ浮かべる浮葉性の水生多年草『スイレン』の繁茂する池ではなく、泥濁し底床まで光が届きそうにない止水池に集中しているのです。
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ウチワヤンマ
でも私の暮らす周辺ではウチワヤンマを見ることは無く、池を飛んでいるのは全てタイワンウチワヤンマなのです。
タイワンウチワヤンマ










タイワンウチワヤンマ
比べてみてください。ウチワヤンマとタイワンウチワヤンマ。
タイワンウチワヤンマタイワンウチワヤンマ





タイワンウチワヤンマ
雌雄ともに腹部第8節に、黄色を黒色で縁取った団扇状の拡盤を有し、タイワンウチワヤンマにも同様な広がりがあるものの黄色の横斑紋は無く、大きさも少し小さいのです。
ウチワヤンマ (4)











ウチワヤンマ
さて、ウチワヤンマの特徴的な団扇。その役割を良く尋ねられますが・・・
サナエトンボの幼体(ヤゴ)には扁平な種が多く、幼虫期底床の落ち葉に潜り込むのに有利な体型となっています。その名残が成体活動に支障ない形で残っている・・・?概してサナエトンボの多くは少なからず同所が膨らんでいます。実は幼生期、最も扁平なのがコオニヤンマなのです。

そのなかでウチワヤンマだけが団扇に例えられる位、腹部第8節拡盤が特異に発達しているんですね。生物は天敵の攻撃から急所を守る為、支障の少ない部位に目立つマークを施すのですが同部位の付近は繁殖に必要な部位でそれも考えられず、同種間の認識法としても中途半端なのです。

でも昆虫の複眼と人間の目の機能はまったく異なる能力があり、昆虫の視力は概ね人間の1/100、逆に動体視力は人間の100倍、広い視野を持ち紫外線を視認できる。ですから同じ物を見ても、人間とは全く異なる見え方をするんですね。団扇の役割、一度ウチワヤンマに聞いてみたいものです。

ちなみに、ウチワヤンマとタイワンウチワヤンマの交雑報告は聞いたことはありません。

ウチワヤンマ撮影場所四万十市トンボ自然公園
タイワンウチワヤンマ撮影場所北川村「モネの庭」マルモッタン

異端のセセリ
当ブログで確か2度めの写真公開となる黒挵クロセセリNotocrypta curvifascia 、何れも撮影場所は『四万十市トンボ自然公園』です。
クロセセリ (4)












クロセセリは 翅長20mm以上とセセリチョウとしてはかなり大型で、黒褐色の翅、前翅に大きな白斑、長く先端の白い触角が特徴。
クロセセリ (2)












温暖地(主に四国・九州以南)に生息し1年3回発生、成虫は春から初秋まで活動します。現在、地球温暖化の影響で分布域を拡大しつつあるんですよ。食草も人に管理され普及していますから。
クロセセリ












多くのセセリチョウがイネ科の植物を幼虫食草とするのに対し、本種はミョウガの葉が大好きなんです。何れにしても害虫で、セセリチョウが大好き(食物として)なのがキンヤンマ。勿論、高知ではギンヤンマも既に成虫発生し、早い個体は繁殖行動に入っています。

美しい瞳
早朝の『トンボ自然公園』に響き渡る、金属的でけたたましい鳥の鳴き声「キョッ・キョッ・キョキョキョ・・・」。これこそが「クイナの戸たたきつまり、しつこく戸を叩く音に、その鳥の鳴き声が似ているのです。 

この鳥の鳴き声は「水鶏たたく」とも文学表現される、日本古典文学にも登場する夏の季語なんですよ。鳴き声の主は緋水鶏(緋秧鶏)。ヒクイナと読み、、学名Porzana fusca ツル目 クイナ科 ヒメクイナ属の水鳥です。
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沖縄のヤンバルクイナ(飼育個体)】
以前、沖縄で見たツル目クイナ科ヤンバルクイナ Gallirallus okinawae に見られるように、 クイナ科の特徴は尾羽や翼は短く一般に丸みを帯びています。特筆すべきは全く飛べない種や、繁殖後に風切羽が生え換わり、一時的に飛翔できない期間がある事。全体的形は側扁型種が多く、茂みの中素早くを移動するのに適しています。でも鳥としての強大な能力である飛翔力に劣ることが種としての最大の弱点。閉鎖環境で独自の進化をしたクイナ科には、人間の移住により持たさされた、新たな競合種や天敵によって絶滅した種が世界中に数多くあるんですよ。

そんな中で、ずっと多くの競合種や天敵と対峙し生きてきたヒクイナは、科の中では飛ぶのも得意。しかも走りも泳ぎも得意なのです。

では、お見せしましょう。水生植物の間を小走りで走り抜ける姿を一枚だけ撮影できましたから。
ヒクイナ











四万十市トンボ自然公園のヒクイナ
特徴的で美しい虹彩は濃赤色。全長20cm程てすが、これで成鳥、初夏は繁殖期で更に美しい個体です。こういった河川や湿原に生息して、食性は動物食傾向の強い雑食。あらゆる小動物や種子なども食べます。ちなみに雌雄同色ですから、私には性別は判りません。多くの県で準絶滅危惧(NT)にランク付けされ、私の住む高知県東部では滅多に見る事もないんです。同じツル目クイナ科のバンは結構見るんですが。

ヒクイナの出現、トンボ自然公園が豊かな自然環境にある証なんですよ。

初夏のスイレン池では
四万十市のトンボ自然公園。水と水生植物で環境を整え、四季を通じトンボを中心とした生態系を確立しています。
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四万十市トンボ自然公園の懸念
昭和の時代には普通に見られた水辺の生態系が、今尚この公園では見られるのです。でもずっと見続けてきていると判るんですが、公園敷地奥の水田は年々、米の栽培が少なくなり、休耕田が増加してきました。余り知られていない事実なんですが、広大な敷地を有する『トンボ自然公園』では、昭和時代の農法さながらに米栽培が行われているんですよ。その水田が今年は3区画しか栽培されてないんです。
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初夏、水田で羽化するアキアカネ
ですから、デターを取れば「アキアカネ」が減少し、「ハラビロトンボ」は増加傾向にあるはずです。
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休耕田を活動の場として好むハラビロトンボ
でもそれは、農村が辿ってきた変遷と全く同じで、トンボ公園もその過程にあれば、私たちその経験を持つ人々にとっての魅力は、時とともに色あせてくるのです。
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私論ですが、『トンボ自然公園』は人によって多種トンボが繁殖できる環境を管理維持している自然公園。できれば、人の営みとともに多種トンボが繁殖できる、トンボと人間の共生モデルをも追及してみたいものですね。
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イネの害虫ツマグロヨコバイを捕食するキイトトンボ

思い出してみれば、昭和40年代の高知市には住宅地の周りに水田が広がり、水田の回りには蓮を栽培する大小の湿地や池が数多くありました。田圃に水を送る水路は土堤に石を組み強化したもので、多くの生物が人の栽培する作物の周りで、毎年変わらぬ営みを繰り返していたのです。
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黄昏ヤンマの一種ヤブヤンマ

家屋にはエアコンが無く、開け放った戸や窓からは午後になると数多くの種類のヤンマトンボが飛び込んで来て、それをおさえては一生懸命昆虫図鑑で検索したものでした。

昭和時代を意識したテーマパークづくり
豊かさの象徴、子供の夢の価値観は間違いなく今のそれとは違っていたのです。
ですから、昨今経営状態が苦しいと聞く『四万十市トンボ自然公園』も、そういった昭和の時代に普通に見られた生態系をトンボ中心に組み立てアピールすることで、大人の来場動機は間違いなく増加する筈ですし、今大変な思いをして公園内で稲作をしておられる皆様も、そういった交わりを心の底で望んでおられると思います。人は人に自身の誇れる何かを伝承したいと思っているんです。
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かつて蜻蛉たちは、水田の害虫を駆逐する。そういった役割を果たしてきたのです。
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トンボ自然公園を飛翔するタカネトンボ
トンボ自然公園のHPでも紹介されていましたが二つめの懸念は、昨年夏の大規模な干ばつ。こちらはその影響が懸念されていたトンボ種が、今年も数多く成虫出現していました。局所的・短期的、つまり一時的自然環境変化には、自然の中で生き抜く生命は逞しいのです。その為に地域、地域の生物多様性がしっかりと維持され、広域に渡る自然環境が確立されているのですから。
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今年も活発に行動するトンボ自然公園のウチワヤンマ
香南市の私の知るフィールドで現在、ウチワヤンマを見ることは殆ど無くなり、嘗てウチワヤンマがいた場所には今たくさんのタイワンウチワヤンマがいるのです。
タイワンウチワヤンマ












高知県東部に多いタイワンウチワヤンマ
両種の違いは改めて記事に書きますね。

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