土佐料理 旬の鰹がゆく!

自然豊かな高知の気候が育む産物を食材とした伝統郷土料理のご紹介です。 自然に触れ、それらを見守りながら地方の環境問題を考え、豊かな自然環境の中で収穫される食材を自身の主観でレポートしながら、旬とは何かを考えます。

カテゴリ:高知の食材 海産物(水産資源) > 高知の美味しいエビ

実はよく食べられています
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VS、この対決は先日の『
』続編でもあるのです。なにしろ片方はレッドソックスと喩えた高知ではアシアカの名で流通している熊海老クマエビPenaeus semisulcatuなのですから。
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熊海老クマエビ)】
ですから今日は一応、海老料理の話です。海老をどう料理するかは、地域の伝統や個人の好みによっても大きく異なるところでしょうが、
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わが家の場合、家族の総意で基本フライにしてから、更に次の段階へ進みます。
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一年を通じ楽しめるエビフライ料理ですから、当然その時のイベント性は特に重視をするのですが、
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なんといっても王道は、有頭の熱々エビフライを自家製のタルタルソースで頬張る事。
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先ずは有頭にすることで、いつものエビフライを使った家族の食事が非日常のレストランでの食事感覚になるのです。

じゃあ、外食でエビフライを食べに行くとなると何にこだわればいいのでしょうか。間違いなく一番は味へのこだわり。それに、その時の様々な事情が加味されていきます。

味という事では、種本来の特徴となる味と食感、加熱時の美しい発色がその評価を彩っていきます。それには鮮度にこだわることも重要で活に越したことがないとなると国産に限定されてきます。即ちそれは種を限定することにもなり、食材評価の最高峰は国産の活クルマエビということになるのでしょうか。高知では、それを価格と味のバランスや地域性による資源量の優位性で補う種がクマエビといえます。


その味と鮮度、それに見合う価格評価以外の観点でクローズアップされる要素を持つ海老が今日のもう一つの主役『牛海老ウシエビ)』 Penaeus monodonなのです。
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室戸市のキラメッセに隣接するレストラン『鯨の里さん』。
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ここは太平洋に面した室戸の荒海が一望でき、屋号が連想させるように、鯨料理でも有名な飲食店なのです。赤身が実に美しい鯨の刺身。鮮度も柔らかさも申し分なく、サエズリ(鯨の舌)の酢味噌和えも実に柔らかく美味。鯨は鮮度劣化が齎す血生臭さと筋を取り除く繊細さが無ければ興ざめてしまう料理なんですが、基本に徹し美味しい鯨料理でした。

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そして人伝に気になっていたのが、こちらのエビフライ。家庭料理としては一般的なエビフライやハンバーグだからこそ、外食で味わい次なる段階へ上がりたくのる気持ちがあるのです。
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ここの特別は先ずこの大きさ。巨大ともいえる全長35cmはあろうかという大きさへのこだわりなのです。これを全身余すことなく美味しく揚げることは簡単な事ではなく、もちろん家庭料理のレベルでは到達しえないエビフライ料理です。
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室戸市椎名漁港で見た巨大な天然クルマエビ
国産クルマエビでも極々まれに30cmを超える、車というよりトラックみたいな大型メス)に出会う事かあるのですが、これは更に一回り以上大きいのです。このエビフライの食材とされているのがクルマエビ科最大種のひとつウシエビ! つまり海老の世界では牛は熊の1,5倍以上になるのです。

因みにこちらのエビフライ、この大きさですから後学の意味で頭から尾の先まで食べ尽くしましたが、全て可食出来ました。この固い甲殻と身の食感をどうやって両立させるんでしょうね。ウシエビは発色に優れる反面、加熱による身の締まりは過剰と評されることも少なくない海老です。


このウシエビ、和名で呼ぶより一般的な呼称『ブラックタイガー』と呼ぶ方が多くの人はイメージできるのでは。完全に外国の海老とおもわれているブラックライガーなんですが、歴とした和名を有する東京湾以西にごく少数分布している和の海老でもあるのです。でもそれが流通することは皆無ともいえる幻の国産海老なんですね。
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一般的には東南アジアでの淡水養殖が多いブラックタイガー。一部流通している巨大な個体は、日本以外の海域で漁獲され、特別な別称『シータイガー』とも呼ばれる海産個体なんだとか。真相は明らかではありませんが・・・

そう思って食べていると、まるでバッファローを食べたような気分にもなるのです。話題性は大きな商品力でもあるんですね。

大月町育ちのシロアシエビ
シロアシエビ










シロアシエビ
ご存知ですかシロアシエビ⁈ アシアカと呼ばれる脚の赤い海老は、高知で古くより食材活用される美味しい海老なんですが・・・
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アシアカことクマエビ

高知では古くよりアシアカの名で流通するも、この海老の標準和名はクマエビ
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近年、後を絶たない食品の原材料表示の問題点として多くの人に着目された様に、クルマエビ科の表示には慎重を期さなければなりません。

このクマエビ、高知では昔は国産海水エビというのが普通だったんですが、その分布域は非常に広く隣国をはじめ東南アジアや南半球オセアニア圏までクマエビと呼べる種が分布しているんだとか。現在ではコスパ面でクマエビ流通は国産より冷凍輸入物が多いのです。

ということで、高知で活エビ状態での流通なら国産と見て間違いないと思います。
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そうなると、こちらのシロアシエビも活エビなので国産かというと・・・高知県西部の幡多地方、大月町育ちと明記されているので国産ではあるんですが、
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愛情たっぷりの手作りポップに❝大月町育ちのシロアシエビバナメイ)❞ つまり、これが近年悪者海老の代表みたいなレッテルを張られたアウトロー。ブラックイメージ覚めやらぬバナメイなのです。イメージはブラックでも、新しい源氏名はシロアシエビでかっこバナメイかっこ閉じるなのです。

勿論海老自体にはなんの落ち度もないのです。人間社会が勝手に踊り乱れた巻き沿いを被った海老、もっと言うと外国で人間が作り出した過酷な生育環境で生産された可哀そうな海老なのです。否応なしに人間によって、コスパの最先端を突き進まされたクルマエビ科のバナメイエビなのですね。

人間がこのバナメイ海老を標的にして流通拡大を図ったのは、一にも二にもバナメイが美味しい海老であること。そしてご覧の様に水槽へ過密に入れられても弱った個体がいないように強い海老なのです。

強いというのは、塩分濃度の変化や病気にも強いんですね。でもそれには限界もあるのです。水質悪化や過密は養殖対象生物に多大なストレスを与え続けます。本来、自然環境下での生物の摂餌は、地域の生態系の食物連鎖の上に成り立っていて、高次生物の排泄物や死骸も害になるどころか無になることもなく他の生物に活用分解され、あるべき循環が確立されています。

それを科学的に改善することは恒久的には不可能であるといっても過言ではありません。甲殻類は基本的に薬剤投与には脆弱ですが、養殖業の命題である収益性を高める為に餌料への抗生物質添付は避けて通れない必須手法なのです。

ですから、閉鎖水系での海老養殖は何年も同じ場所では続けられないとされています。度を過ぎると、長期に渡る水質汚染や土壌汚染につながるのです。

生産者の多くは口を揃え言いますね、高いものは売れないと。消費者もコスパが良いと喜ぶのは事実です。でもそこには何故、他より安いかの自身の検証はないのです。自分や家族の食べ物なのに。勿論、法令に従い一定の基準をクリアしないと食品は流通しません。でもコスパ以上の選択はもっと考えるべき。品質と価格の評価は薄っぺらなものでなく、もっと多角的包括的に調査してコスパは初めて語るべきものであると考えます。
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さて大月町育ちのシロアシエビことバナメイエビ。見た感じ地方名(ブランド名?)の如くに貴婦人のよう。育ちは良いみたいです。

価格は活状態で一尾250円。サイズは30~40gくらいでしょうか。私は活海老として至極妥当な価格だと思いますが、もちろん一般的なエビフライ定食には食材活用できない価格です。でも、普段使いにはならなくても、名物になれば食べてみようと思います。味も加熱発色にも優れた海老ですから。

でももう一つ確かめておきたいのは、仮に自然環境下へ放たれた場合、既存生態系への環境圧迫の懸念は・・・

大月町では、全て検証済みなんですよね。もっとも、バナメイ自体は国内での養殖実績もある様ですが。

イセエビ属の珍種『毛深伊勢海老』って
珍種といっても私はこの伊勢海老を見たのは初めてではありません。そしてどこが毛深いのかもよく分かりません。まずはケブカイセエビの画像をご覧ください。
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ケブカイセエビ Panulirus homarus
これがケブカイセエビなんです。

伊勢海老をよく知る人ならばちょっと変だとは気づきますね、色合いとかが。でもこの様に水揚げされても、大型のイセエビとして流通しているケースが結構多い様なんですよ。
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このケブカイセエビは、天然色市場の生簀で活イセエビとして販売されていました。でも、そう表示して販売しても問題を指摘され、是正するには当たらない海老です。伊勢海老とはイセエビ属やミナミイセエビ属の総称ですから。
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販売表示価格のこの日は最高値で6,000円/㎏。この個体は最低でも1.5㎏、もしかるると2㎏くらいはありそうですから、10,000円くらいはしそうです。

食べるのには全く支障のない両触覚が欠損しているので、1,000くらいは値切るのは可能・・・と思案していると即地元の居酒屋さんが買いました。タイとヒラメと一緒に。

このイセエビと呼ぶことも多い、イセエビ属やミナミイセエビ属の仲間たち。姿のイセエビ、味のクルマエビと例えるだけあって、姿形へのこだわりは尋常ではなく、部位が欠損した個体は結構値打ちが落ちるのです。

逆に、味にこだわるクルマエビはクルマエビ Marsupenaeus japonicusだけにとこまでも執着し近似種クルマエビ科のクマエビ(ウシエビ属) Penaeus semisulcatus バナメイエビLitopenaeus 属)Litopenaeus vannamei等の別属をクルマエビとして表示したり商品訴求することは許されていません。

イセエビの仲間は概して容姿に優れ、味も明確な差が認め難く、総じて価格も大差がないということなのでしょうか?

例えば、
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ニシキイエビ Panulirus ornatus

沖縄本島の海鮮料理店の生簀で撮影したこの種はニシキエビ(錦海老)。
さらに、
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【カノコイセエビ Panulirus longipes

知らない人が見たら、まるでイセエビと見紛うカノコイセエビ鹿子伊勢海老)。この画像は沖縄国際通リの鮮魚店で撮影しました。
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むろと廃校水族館のカノコイセエビ
カノコイセエビもまた高知に生息しています。

さらには以前ご紹介した
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リョウマエビ Justitia japonica
リョウマエビ龍馬海老)もイセエビと呼ばれることの少なくないイセエビの仲間なのです。そしてこれらは、イセエビと呼ばれる海老たちの一部。中にはイセエビと違いの判らない別属も存在するのです。

ちなみに、
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イセエビ  Panulirus japonicus

和名イセエビともいわれる種。本伊勢海老とも言うべきイセエビはこちら。
イセエビの仲間は概して南方種が大きくニシキエビは5kgほどにまで成長します。

南方系の種は大味ともいわれますが、生の活伊勢海老たちは
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冷凍で広く流通しているオースロラリア産のイセエビよりはずっと美味しく、出汁も上質なのです。

ケブカイセエビもまた、地の逸品には変わりないのです。
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明日は世界最大の甲殻類の記事です。香南市にいましたから・・・

高知県東部のイセエビ漁
秋深くなると各地の漁港で水揚げされるイセエビ。今日はそのイセエビがどのようにして漁獲されるのかを取材してきました。
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手結漁港の生け簀 活イセエビ
高知県では5月1日~9月15日までが禁漁期となるイセエビ漁も10月に入ると主要な海産資源として目立った存在になってきます。

イセエビは、主として刺し網漁で漁獲します
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これが伊勢海老漁の漁船。海岸近くの隠れ根シモリ根)のある浅海の海底に、先日の夕方に刺し網を投入しておきます。
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好条件なのは凪であることと、月の小さい暗い夜であること。そんな夜を狙って伊勢海老漁は行われます。
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すると、海岸からすぐ近くの漁場でこんな立派な伊勢海老が網に掛かっているのです。1㎏はありそうですね。

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高知県東部の室戸岬周辺で取材した、活イセエビの水揚げの様子です。
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重要な海産資源となるイセエビは通常、この様に『底刺し網漁』で漁獲され、禁漁期の設定以外にも網の長さや網目の大きさにも独自の規定が設定されている場合もあるようですね。

高知県のイセエビ漁の場合、体長13センチメートル以下(体長は、眼の付根より尾端までとする。)は採捕できません。
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そして、この西日本の太平洋岸で行なわれたイセエビの底刺し網漁には、混獲される可能性のある非常に美しい魚種が今日も一匹だけ掛かっていました。
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それがこのキンチャクダイ科キンチャクダイ属のキンチャクダイChaetodontoplus septentrionalis   です。

ちなみに、こちらは生体展示されていたキンチャクダイ
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2018年4月26日に室戸市室戸岬町にオープンした『むろと廃校水族館』で撮影しました。

美魚揃いのキンチャクダイ科の各魚種は熱狂的なアクアリストも多いんですよ。中でも温帯海域への順応性が高く、和の情緒漂い独特な雰囲気を醸し出すキンチャクダイ科の一種。ところが、本種は餌料に難しく熟練者でも飼育は至難の業なんです。

紋羽って
ご存知ですか『紋羽モンパ)』  粗地で柔らか、起毛させてけば立った綿織物をそう呼びます。

そも、高知で紋羽(モンパ)といえばコレ。
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高知の紋羽
モンパは海老、イセエビ下目セミエビ科セミエビ属の
蝉海老(セミエビ)を高知では何故か紋羽海老と呼ぶんですね。けば立った多毛にも見えず、ましてや柔らかさとは程遠い表皮が何故紋羽なのでしょう。ずっとそう思って高知で暮らし、不思議に思いながら紋羽を食べてきましたが、蝉海老は私が生まれるずっと前からそう呼ばれ続けているのです。

強いて言えば、色合いが紋羽織物のそれに似ているようにも見えるのですが・・・
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紋羽海老は、主に熱帯から亜熱帯の海に生息する海老、日本近海では千葉県以南の外洋岩礁域に分布し南下するほど個体量は豊かになるのです。ですから、高知辺りでも『
幻の海老』といって珍重される、大型で甘味の強い海老。漁港で地消される個体は、結構安価に手に入るので家庭で調理して食しています。

当然、沖縄地方へ行けばこのセミエビの資源量は多いのですが、南西諸島で紋羽と呼ばれるのは動物の海老ではなく、ムラサキ科キダチルリソウ属の常緑小高木、つまり植物なんですね。
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宮古島の紋羽
南西諸島で紋羽は木(植物)なのです。その紋羽の木も分布域は熱帯から亜熱帯、然程重要とも思えない共通点は一応ありました。紋羽の木は多雨な場所でも水捌けの良い砂礫地や砂浜に生え、そんな場所を好む植物らしく葉は多肉で、表裏ともに細かい毛が密生し、まるで紋羽のような触感。高知の紋羽よりは、名前に整合性を感じます。

因みに紋羽の木の手前にある木は、同じく熱帯・亜熱帯の海岸に多い草海桐花クサトベラ)の木です。クサトベラは高知のトベラとは全く別目で、海岸に広く分布しているのは種子が海流に乗って散布されるからなんですね。

ところで、高知のモンパって本当に由来は紋羽だったのでしょうか
 今夜も寝苦しい夜になってしまいそうです。

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