土佐料理 旬の鰹がゆく!

自然豊かな高知の気候が育む産物を食材とした伝統郷土料理のご紹介です。 自然に触れ、それらを見守りながら地方の環境問題を考え、豊かな自然環境の中で収穫される食材を自身の主観でレポートしながら、旬とは何かを考えます。

カテゴリ:高知の食材 海産物(水産資源) > 高知の美味しい貝

すぐ前は自由の世界
里海漁港で、漁獲動物の大脱走劇を目撃しました。その脱走者たいはこちら。
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これが何かというと多くの方々はご存知の通り磯の貝で高知では『流れ子』でしられるトコブシ

よく似ているアワビ類とは同科(ミミガイ科)で、アワビ属とトコブシ属に分かれる別属。高知ではアワビ以上に食べられている非常に重要な海産資源。地域を挙げての資源保護にも力を注ぎ9月から3月までは完全な禁漁期。目の前にいても絶対獲ってはいけない期間が7ケ月間あるんです。
(禁漁期は全くアワビと同じ)
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そんな流れ子が、今漁港の生け簀から脱走中。よく見たら生け簀に入れた網籠の蓋があいていたのです。

生け簀は、海からの豊富な取水による源泉かけ流し。勢いよくオバーフローした流水に乗って軽快に脱走を試みる姿はまさに流れ子

流れ子の流れ子たる所以を目の当たりにしました。もちろん漁協さんには知らせましたよ。流れ出る海水のすぐ先は海ですから。高知県の里海の民は実におおらか⁈
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流れ子はアワビよりは安いといっても需要は高く、安価な貝ではありません。

潮騒の香り漂うのはアワビ同様でも身質はアワビより柔らかく、それを好むかどうかでこの貝の評価は分かれるところ。でもそれはあくまで県外の話して、食文化の確立している高知では、アワビとトコブシの優劣をあえて決める必要はないのです。
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流れ子の刺身は豪快な厚切り。食感がアワビより柔らかい分、豪快に頬張るのが流れ子の流儀。
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大振りな流れ子はバーベキュー風に焼いて、小さめの流れ子は潮騒かおる煮つけにします。

家庭料理としてはアワビよりずっと重宝されている高知の流れ子なんですよ。

そうそう、高校時代の事ですが磯の貝として有名なサザエを自宅で飼ったことがありました。餌はワカメだけ。それと自然に水槽へ生えた苔も食べていました。

二年以上それで生きていたんですが、しばらく経つと餌を与えるのに水槽のカラスを軽くたたくとサザエが餌をもらいに這い上がってくるんですよ。生物の潜在能力を侮ってはならず、心は通じる生き物どうし、貝も人に慣れるんです。

イワガキとマガキ
香南市吉川の天然色市場に、とびっきりの旬食材が今年も入荷していました。
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イワガキ

これが、その夏食材。誰が見てもわかる牡蠣です。でも牡蠣なら旬は冬じゃないの⁉ と思っている方も皆無ではないと思うのです。私の娘なんか牡蠣が大嫌いで、磯臭い臭いも嫌ですから、初めから食べるつもりもないので牡蠣の旬など知る由もないのです。

ですから娘にとって牡蠣は一括りで牡蠣、種類も調理法も関係ないのです。ところが、そんな娘の父親である私は牡蠣が大・大・大好き。そこで非常に困るのは妻。食事の準備が大変なんですね。

我が家の複雑な家庭事情はこのへんにして、
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マガキ


私たちが普通に食べている牡蠣は、マガキ属のマガキ
Crassostrea gigas、広く知られているようにマガキの旬は冬。食材として最も味の良い季節も晩秋から初春まで。発達する食文化も冬料理が主になっています。

一方で今日ご紹介している牡蠣はマガキ属イワガキで同属別種なのです。何が違うのかというと、今日のテーマのように
マガキとイワガキは旬が違う訳ですが、その理由は母貝が受ける産卵ダメージの違いによって生じる季節差異で旬が分かれているのです。

マガキの産卵期は初夏に始まり、秋になっても産卵する個体もいるのです。産卵後は痩せて美味しくないんですね。片やイワガキの産卵期もマガキ同様ではあるんですが、産卵に費やす肉体疲労がマガキほどではなく、季節差異を感じない程度で収まっているのです。
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更に殻形が丸いのもイワガキの特徴、一般に流通している種はマガキより大型で平均的に男性の手のひら以上はあります。
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更に殻の厚さもこの通り。イワガキは最大1kgくらいには成長するマガキ属なのです。今日私が購入したのは500g弱程度の個体、実際マガキも同じくらいの大きさにはなるんですが、殻の厚さが違うためにマガキはイワガキを知っている人が見ると華奢に見えます。

さらに流通マガキは殆ど養殖物ですから、加熱調理しやすい適度な大きさで出荷されるのです。

マガキとイワガキ、昔は殻を一枚外して生のままで食べることが贅沢のひとつとされていたのですが、今は二枚貝を生で食べることは、ノロウイルスに対し大きな危険を伴う為、生食を控える指導が成されています。
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さて、そんなマガキ属のマガキとイワガキは、旬を分けることで牡蠣好きの人々を周年満足させていました。昔は天然ものの少なかったイワガキは、マガキと比べ高価ではあったのですが、夏もとびっきり美味しい牡蠣が食べられるということで、食通の皆さまは特に割高感は感じなかったのでしょうね。

ちなみにこのイワガキ、香南市の天然色市場では一殻で大が税込み300円、それよりやや小さいものが200円です。これは天然と聞いています。
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近頃では養殖イワガキも流通し、価格はリーズナブルにはなってきています。ところが、同時にマガキを不稔性にした三倍体マガキなるものも作り出されたとか。イワガキの資源保護の必要性とは違う部分で、人の牡蠣への接し方が変化しているようです。

勿論、マガキの産地で周年牡蠣が食べられることで少なからず地域が潤う可能性はあります。でも一方で、先人が大切にしてきたマガキの旬は失われ、旬によって彩られた牡蠣料理も数々は今の地位ではいられないような気がします。

そしてなにより旬を創り出す自然への恩恵を人は科学の力で凌駕して、自然と向き合い守っていけるのでしょうか。アユも3倍体にすることで、50cmを越える個体が算出できます。でもそれが実用化されないのは、それがアユと認識されないから。産地のアユはどの川のどの淵や瀬でえられたのかまでこだわる人々がいて、真似のできない地域の個性を食材に感じ愛しているからに他ならないのです。
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明日は天然色市場で購入した、この夏旬魚を調理してみます。

食材は旬の地物厳選二品
弘化台へ行けば、禁漁期でなければ普通にある天然貝類や養殖の貝類。そんな貝類を出勤途中、ちょこっと買って夕食にいただいてみました。
ナガレコ











弘化台で売られていた型の揃ったトコブシナガレコ)】

先ずは『トコブシ』、高知では流れ子ナガレコ)と呼ぶのが一般的な磯場に生息する天然の貝類です。ナガレコことトコブシの漁期は4月から8月、でも折角の活魚介ですから輸送時のリスクを考えると漁解禁当初が高品質だと思います。ですから、毎年ナガレコはその産地となる室戸の浦戸屋さんまで買いにいっていたんですが、今年は通勤途中に弘化台で買いました。
トコブシ 刺身












トコブシナガレコの刺身

ナガレコ料理はちょっと特殊。といっても特別な調理方がある訳ではなく、とにかく何が何でも魚介類の産地においては先ずは生食的な気質の高知において、加熱調理が一般的なのがナガレコ料理なんです。

ナガレコはどの種のアワビと比べても身質が柔らかく、その食感を良しとしないのが日本料理の傾向なんですが、形が似ているからといってアワビが確立した生食価値と比べなければ、ナガレコはナガレコとして刺身で美味しいのです。ですから私は毎年一回は必ず刺身で食べます。
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でも今日は、タイトル通りに直火でこれを焼くのです。ナガレコは加熱によって過度に身が締まり固くなることがない貝類。ですからその食材特徴を生かし、ナガレコは加熱することが圧倒的に多いんです。

このような海鮮バーベキューを高知では
海賊焼きといって、高知県東部や徳島県では波静かな入り江に筏を浮かべその上の簡素な小屋で、漁師の気分になって食べる・・・そんな施設が数多くありました。簡素で素朴な調理法、素材勝負の海賊焼きは、海味にあふれる漁師の浜焼き風海鮮料理なんです。

そんなナガレコの相方として、今日のバーベキューに選んだ貝が「
ヒオウギガイ」。
長太郎











弘化台で売られていたヒオウギガイ長太郎貝)】

この『ヒオウギガイ』は高知では長太郎貝と呼びます。色彩が豊かで見栄えがする人気の貝類、勿論おいしいんですが、養殖技術が確立され割と安価なのです。もちろん刺身でもいけるんですが、今日はナガレコと一緒に焼きます、海鮮バーベキューというタイトルなもんで。
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そうするとナガレコ同様に貝柱はあまり硬くならず、濃厚な旨みと貝の風味があって、これまた美味なんですね。

そんな絶品海鮮バーベキューを家庭で堪能したあとの“しめ”は、
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もちろん貝の炊き込みご飯

更にもう一品、オマケというには大役すぎる旬の逸品
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弘化台で売られていたハマグリ

といってもこちらは海鮮バーベキューにするのではなく、やや小振りなハマグリだったんで吸い物に仕上げてみました、雛の節句でもないのに。
ハマグリ 吸い物













家庭で貝料理三昧、結構手軽で楽しかったですよ。

蝶じゃないんです
ヤマトシジミの画像を送っていただきました。といってもいつものように蝶じゃないんです。
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蝶のヤマトシジミ Pseudozizeeria maha
今日、送っていただいた画像は二枚貝のシジミ科シジミ属の大和蜆ヤマトシジミCorbicula japonica。同じ大和でも小灰蝶でなくなんです。

そのいただいた投稿蜆画像がこちら
浦戸しじみ








短時間の漁で、家族で食べきれない程にたくさん収穫できた様ですね。
高知の蜆も結構凄いらしいんです。

こんなに型の揃った蜆が短時間で、この量を収穫できる漁場・・・皆知りたいですよね。でも投稿者さんも一緒にその場所で蜆漁をする仲間から固~く口止めされているそうです。貝の事だけに口を閉ざして貝になるつもりなんですね

それもそのはず。この蜆、そんじょそこいらのモノとは訳が違う代物なんです。
高知のシジミ












これがアベレージサイズですからアゲハみたいなジジミ・・・ではなく、蛤か浅利みたいな蜆なんですね。

ところが、こんなに優れた漁場でも不特定多数の人に秘密の場所を知られると、あっというまに小型化してありきたりの漁場と化すとか。汗かいて足で探し当てた甲斐がありましたね。

日本には複数種生息する蜆ですが、河口の淡水域の砂泥地で大潮の干潮時だけ歩行しながら採取できるという生息状況と、この大きさの種が呈する色ムラの少ない黒い色から本種はヤマトシジミなのです。

大和蜆は河川の中・上流域を生息域とする真蜆マシジミCorbicula leana とは明確な環境選択による棲み分けをしています。
でも、大和蜆が生息する自然環境下でこれだけ粒揃いなのは、間違いなく比類なき好漁場です。

最後に蜆を美味しくいただくコツ
この2枚の画像にはコメントが添えられていて、シジミの冷凍保存、うま味も栄養価も増すとか。
昔、蜆は食べたい時に田圃の水路で適量獲って砂抜きをして、さらに数時間水抜きしてから食べていました。冷凍なんて考えもしなかった時代のことです。蜆の冷凍保存が食材価値を上げるという説は、化学的にも立証されているそうですね。

漁場は教えてもらえませんでしたが、今度の大潮には漁獲した蜆を別けてくださるそうですから、色々試させていただきます。

追伸 5月7日その大和蜆をいただきました。
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高知の蜆通の多くは、自分だけの穴場を持ち、決して人に教えることはないとか。

つまり居る場所を知っていれば、必ず収穫できるんです。ですから、自身で秘密の穴場の資源量を管理しながら、長く蜆獲りを楽しめる努力をするんですね。
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まあ昔ならともかく、今の私は蜆を掘れる体力にありませんから、いただくだけで大満足なんです。
そして、先ずは定番の『蜆の味噌汁』これは絶対外せませんね。

対照的に新興 蜆料理。高知では麺料理に蜆が流行のようですね。
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わが家の場合はとりあえずコレ。

ごちそうさまでした。

高級貝
香南市吉川漁港の物産店舗『天然色市場』。
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冬場は、先日ご紹介のミクリガイ(ヨダレガイ)があんまり美味しかったもので、その後も何度か買いに来ていました。
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が、今日は変った名前の貝が一袋だけあったので思わず買っちゃいました。
ニシガイ夜泣貝だそうです
袋の中身を覗いてみると、
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大きな巻貝(腹足類)です、泥だらけの。
ニシガイ (2)
さらに、貝殻軸唇に海綿動物が付着しています。
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全体像がコレ。
高知では一般にニシガイ(正確にはテングニシ)といわれる大型の巻貝(殻長15cm位)です。良く見るんですか食べたことはありません。
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これだけ入って、価格は450円。1kgちょっとあります。価格の高い貝ではありません。ここ吉川ではミツクリガイ同様に底曳の籠網で獲るようです。

見栄えが良いんで、料理店でも手に入ればサザエのようにお造りにします。お味は、筋肉質の足部は生で食べると特に食感がよく、甘く味がいい反面、ワタ(内蔵)は苦みと渋みが強く無理してたべると、口が痺れてくるとか言われていています。
テングニシ












夜泣貝、名由来は夜、水につけて置いておくとキィキィ音 を立てるからだと言われています。
更に広島県では夜泣貝の食文化が盛んで好んで食し、夜泣きの薬ともしたとか。 赤ん坊が痺れて泣きやんだとかじゃないんでしょうか
夜泣貝、広島では価格が他県と比べ高いそうです。

広島の夜泣貝、画像でみると形が、高知のニシガイとは若干異なっていますので異種であるのかもわかりませんね。

私は市場で何度も見、料理しているのも見たことあり、いつものように興味本位で買っちゃいましたが、痺れるという文献を見て、食べようかどうか悩んでいます。
ただでさえ私、普段から痺れていますから

今日は別にキビナゴを買ってきましたんで、天ぷらにしてとりあえず昼飯はキマリ。
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夜泣貝、もし料理して食べたら、また改めてご報告しますね。


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