土佐料理 旬の鰹がゆく!

自然豊かな高知の気候が育む産物を食材とした伝統郷土料理のご紹介です。 自然に触れ、それらを見守りながら地方の環境問題を考え、豊かな自然環境の中で収穫される食材を自身の主観でレポートしながら、旬とは何かを考えます。

カテゴリ: 高知の自然

深山はもう秋何もいない雑木林なのです
46547fd5[1]











7月下旬の深山の雑木林
5eacda2e[1]










8月に入ると人の感じる夏は益々、季節感を現わし暑さは一層過酷なものになるのに・・・

深山で見る雑木林の夏は、毎年同じ様に収束に向かっているのです。
奥物部オオムラサキ♂












限られた短い時間しか与えられていない昆虫にも夏バテはあるんでしょうか? それとも深山はもう秋??
IMG_1042












同じクヌギ樹が8月上旬には・・・
8月初旬に高知の奥山雑木林から示し合わせた様に突然消える昆虫たち。虫たちは何によって、人より早く秋を感じるのでしょうか。

それにはまず、7月深山の雑木林の様子を生活環の多様なクワガタムシで振り返ってみましょう。
ac4fb21e[1]









ミヤマクワガタ雌雄
夏、この環境に集まる虫たちは激しく摩耗ているのは確かです。それでもすべての昆虫が摂餌の為にこの消耗戦に参加しているのではなく、時間帯を変え棲み分けしているのです。昼行性のミヤマクワガタも、この混雑の中で見ることは多くはないのです。

生態系豊かな深山の昆虫だからこそ、何者よりも敏感に感じる季節の移ろいがあるような気がしてならないのです。
IMG_0469











私がこのミヤマクワガタを見る時には、だいたい混雑していない樹液場所。針葉樹の幹に止まりじっとしている時もあります。昼間、他の昆虫たちの摂餌活性が下がる時間帯をじっと待っているのでしょう。そんな季節には競合種の少ない樹上高くもお好みの場所の様です。
a42ac70e[1]ノコギリクワガタ♀






ノコギリクワガタ雌雄
そんなミヤマクワガタ属の他、ノコギリクワガタ属も一度成虫活動した後には、活性を低下させ長期休眠できない種。このまま成虫では冬を越せない種なのです。それでも飼育下では10月まで生き、単体飼育で温度調節と摂餌を行えば年を越しても生きている場合も少なくありません。それでも新たな春を迎える事はないのです。
4e377bf9[1]










ヒラタクワガタ
一方、一度成虫活動後であっても活性を長期間低下させ、冬を成虫で越す事のできるオオクワガタ属
4ad7398d[1]










スジクワガタ雌雄
そんなオオクワガタ属の成虫は、二年目には初夏早くに再活動を初めることが出来ても多くは8月を待たずに絶命します。それはそれらを飼育することで分かります。
2d708cbb[1]










コクワガタ雌雄
唯一、高知には自然分布していないオオクワガタだけが複数の成虫越冬を普通に行うのです。そこには他の競合種との徹底的棲み分けによって消耗を回避する徹底的な自己管理能力が生きているのです。
6f55160c[1]









アカアシクワガタ
オオクワガタ属のアカアシクワガタもまた、ミヤマクワガタ同様に高知では低地の雑木林では見られないクワガタムシです。

以上、これらの画像は全て、昨年と今年の7月に奥物部の物部川の支流、
日比原川で撮影したクワガタムシたちです。

さて、8月に入ると深山では死に絶える訳ではないのに、多くの昆虫が雑木林の樹上から姿を消すのは何故でしょう。何かが昆虫たちの刺激となっているのです。

その要因は以前記事にした
回遊魚『アユ』の場合は水温の低下でした。

引き金となる要因はひとつでもないのでしょうが、毎年、規則正しく変化しているのは昼と夜の長さ。それは6月21日(夏至)よりその時間は高知の場合8月1日には、日の出4:56⇒5:18 日の入り19:19⇒19:06と昼間は短くなり、太陽の高度も徐々に変化しています。  

昼と夜の棲み分けを行う昆虫たちにとって、この刺激は大きいものである様に感じます。特に平地よりも朝が遅く夜が早い奥山の場合には。これから益々短くなる昼間、でも昆虫たちは死に絶えた訳ではないのです。あるものは世代交代を果たし、またあるものはその時のためにそれぞれ種として次の段階に進んだのです。

香南市の低山雑木林では毎年、一部のオオクワガタ属は10月中旬になっても普通に成虫活動しています。夏のクワガタムシの見どころは、条件や場所を変えればまだまだ沢山あるのです。

最高気温34℃にも負けず
IMG_1590









蜻蛉の逆立ちは暑い日の証拠
そんな猛暑日も寸前の炎天下で屋外取材を敢行してきました。陸上では未だ台風10号の影響もまだ少ない8月12日の事です。
IMG_1574











近くまで来ても、いつ以来だったか記憶がなかったので調べて見ると、去年の秋からずっとご無沙汰だった北川村モネの庭マルモッタン
IMG_1573












私が来た8月12日11:00の気温は既に外気温33℃。それなのに、多くのお客様が入場されていました。さすがにこの時期、大型バスの団体は少ない様ですが、県外のお客様が大半、この日はアジア圏のお客様も多く入場されていました。
IMG_1770










この日の最高気温は猛暑日一歩手前の34℃の予想。でも遥か沖合の台風の影響も少し現れてきたのか適度な風がやむことなく渡っていきます。夏台風の風だと蒸し暑そうに思うでしょうが、森の木立の中を通てくる風は思いのほか涼しく心地よいのです。
IMG_1557









さてモネの庭、夏の見どころといえば水の庭の熱帯スイレン。4月、藤棚のフジの花と呼応するように咲き始める水面の温帯スイレンとは別に、遅れて6月下旬に咲き始めるのが熱帯スイレンです。
IMG_1774










8月はその熱帯スイレンの盛期なのですが、入り口インフォメーションの8月一押しは幸福のブルービーことルリモンハナバチ。実際には、日本にはルービーは日本に複数種存在するんですが、このルリモンハナバチが一番人気、つまり幸福への御利益が多いと思われているようです。最も毛深く花粉を運びそうなところが、縁つなぎを思わせるのでしょうか。
IMG_1483










そしてそんなルリモンハナバチの個体数は毎年増加しているように感じます。

ですから今の季節、モネの庭には幸せを繋ぐブルービーに肖って若いカップルが年々増えているように見えます。因みに私の場合、ここへ30回以上来ても妻と来たのは二度。一度は家族総出で、もう一度は二人できたのですが、その一度も妻のたっての希望によって園内では時間を決めて自由行動。積んできて積んで帰っただけです。

さて、そのルリモンハナバチなんですが、モネの庭ではオミナエシが咲く頃に訪れると先ず空振りはありません。ここではそれだけ個体数が多いのです。
IMG_1551












この日もルリモンハナバチはミゾハギナガバミズアオイ等、複数の花に誘われていました。モネの庭には労働寄生という特殊な生活環を持つハナバチを育む生態系が見事に確立、毎年変わらず維持され続けているのです。
IMG_2172ルリチュウレンジ







全身が瑠璃色の光沢に輝くハバチ
この日は、青色というより全身が瑠璃色のハバチ、ルリチュウレンジが桜の葉で休んでいました。
IMG_1768











そしてこの季節、ルモンハナバチの撮影に最も適した場所は花の庭の噴水池の傍ら。ここに咲くオミナエシに止まるルリモンハナバチが最も撮影し易いのです。その分、人も多いんですけどね。
IMG_1735











気が向いたら丸い噴水池も覗いてみてください。ここには周りの水辺から飛来してきた現在では希少な昆虫、複数のゲンゴロウ類が多数泳いでいます。
IMG_1729









無機質に見えるこの池にこれだけのゲンゴロウがいれば、水の庭のスイレン池にはさぞかし多くのゲンゴロウが潜んでいるのでしょうね。
IMG_1567










実に生態系豊かなモネの庭であることを来るたびに実感します。

自然とは何かを深く考えてください
IMG_3565












夏休みに入れば、毎年いち早く取材してくるのが里山の大自然。中でも雑木林の中の昆虫たちの活動は、この年齢になっても多くの発見があって、見ているだけで楽しいのです。
IMG_3543









7月26日には今夏初めて雑木林でミヤマクワガタを見ました。しかも野外の生体記録では私史上、最も巨大なミヤマクワガタだったのです。今年はいつになくミヤマクワガタを見つけるのが遅い夏になりました。四国の梅雨入りは史上最も遅く、明けたのは6日遅かったことも影響しているのでしょう。
IMG_3067








その分、香北町を訪れる度にいろんな場所でシーズン早々に力尽きたミヤマクワガタの屍は数多く見ました。このクワガタムシは、高知では山地性を現わし低山では見なくなりました。長く続く高温に弱く、雨が苦手、濡れると頗る体力消耗をするクワガタムシの様です。でも幼虫は、水分の多い過発酵土壌が好きなんですよ。

ここは実に高知らしい、豊かな生態系が維持された山林です。
IMG_3563









その一方で自然作用ではない、人の残念な行為も見ました。林道脇のクヌギ樹に複数の傷を人が付けているのです。行為を起こすからには、その人なりの目的があっての事。そして、その目的は甲虫を誘き寄せる事だと思います。
IMG_3487









でも実際、この行為は結果を伴い難いもので、その分生態系破壊にもつながりにくい行為ではあります。生態系の調査にしてもこれでは得るものは殆どなく、それならあるべき手順を踏んで本格的に灯火誘導で調査した方がずっと結果が残せるのです。
IMG_3559








それでも、この傷つけた樹皮にこれだけ多数のカナブンが誘われていることで、付近の山林にはこの行為を行った人にとって狙いの昆虫が潜んでいるであろう推測はできます。
IMG_3521










そして近くには間違いなく、それを育む大自然のスペクタクルが展開されているのです。

人工的な樹液露出作業で昆虫を捕獲するにしても、実際にそれが結果を伴うためには1km圏内の同じ種類の樹に、いくらでも自然に樹液が滲み出ている樹が沢山ないと、俄かに工作を施しただけの場所にこれだけの数の昆虫は来ません。
IMG_3515










周囲にはそれとは比べ物にならない多種多様な昆虫、何種類ものクワガタムシたちが、実際の自然のなかで活動しているのです。
IMG_3554









そして、この圧倒的な地域独特の生態系がどのようにして確立されているかは、夏だけの訪問では決して理解できないのです。
IMG_3541










でも、一度その自然循環が理解できれば、別のフィールドへ出向いても、同じようにその場所からお目当ての樹を割と容易に見つけ出すことができるのです。
IMG_3525









真に豊かな生態系が確立されている場所では、そこへ行くたびにいつも大好きな生き物たちに巡り合えるのです。

そしてあとは大好きな生物たちをそっと見守ることで、いつまでもエンドレズな出会いと新たな発見が無限に待っているのです。そんな自然を育んでおられる地域の方々とも仲良くなれて、いつしか自身もその里山の一員になっているのです。

勿論そこは入場料無用のパラダイス、圧倒的な大自然のテーマパークなのです。人だけの価値など無用の場所、そこではむしろ無用な労力や金銭を使うこと自体がタブーなのです。

タイプの違いも魅力のコガネムシ科の甲虫た
梅雨明け直後の奥物部で見た、美しいコガネムシ科の甲虫を紹介させてください。
IMG_3073









先ずは長瀬ダムの堰堤端で早朝みつけたコガネムシ科の甲虫。多分、夜間にダム事務所の室内光に誘われ飛来してきたのでしょう。
IMG_3077








な~んだコガネムシか、なんて思っている人も少なくないはず。

ところが日本原産のコガネムシの中には、この様に実に美しい種も結構多いんですよ。
IMG_3084








昆虫の美しさをどのように受け止めるかは人それぞれ。美しさの要素たる、色素による色彩の豊かさ、光沢、形、大きさといったものの中から、昆虫好きにも個性豊かな選択要因による好みのタイプがあるのです。
奥物部オオムラサキ♂









こちらは奥物部のオオムラサキ♂。表翅の広範囲に現れる紫色が最大のポイントではありますが、大きさも相当なもので最大で♀前翅長は7cm近く、開張寸は10cmに及ぶ色彩の美しさだけでは語り尽くせない大型タテハチョウです。
IMG_3170








一方、オオムラサキと同じ樹にいるクワガタムシ。黒一色のこの甲虫を見てj心魅かれる人もごく限られた少数派・・・とは限らないのです。

ちなみにクワガタムシを美しいと感じる決め手は種それぞれの個性を現わす形と大きさでしょうか。昆虫好きにも、この様に好みのタイプがあるのでしょうが・・・
サクラコガネ








このたった2cmほどのコガネムシを見て目を奪われない人は少ないと思うんですよ。

翅鞘は暗赤紫、胸部と頭部は緑、肢や腹部は橙黄色。そして各肢先は翅鞘と同じ暗赤紫と、お洒落で色彩も豊かですが光沢も卓越した実に美しいコガネムシなのです。

息をのむほどの美しさと喩えるべきでしょうか。昆虫には、時に擬態対象となるモデルが存在するんですが、このコガネムシなら化粧品会社のモデルさんにも抜擢できそうな艶やかさです。

何に擬態することもなく、何に隠れようとする紋様や色彩配列でもない。ただ輝くことが生存戦略の好天日に高活性を示す昆虫類の一種です。

種名は最初サクラコガネであると思ったんですが、大きさ等によってヒメサクラコガネやチビサクラコガネといった種が存在します。また何れにしてもこれほど光沢の強烈な艶やかなタイプの個体は今まで見たこともありません。
IMG_3075








それより翅鞘に現れる縦筋はスジコガネの形状に適合しています。ところがスジコガネ類にも、スジコガネの他にオオスジコガネヒメスジコガネといった別種が存在する様なんですよ。

これだけ美しく輝いでも、スジコガネ類も人間にとっては害虫。幼虫・成虫と一貫してスギ・ヒノキやマツ類を寄生樹として食害する営林業界では知られた害虫なのです。成虫体長2cmほどのコウチュウながら、そうは思えないスローライフを貫き、幼虫期の土壌生活に三年を費やすのです。つまり土の中のも3年というポリシーの持ち主、幼虫で三度越冬するのです。

ですから、たった二ケ月程度の成虫生活でこれほどまでに輝けるのかも。

半面で林業においては、重要な樹木の苗木の根を3年間も食害し続けられる訳で、苗木の樹勢衰退には計り知れない悪影響があるのです。そして生活環リズムが素数であることから、その発生率は変調し、当たり年が生じやすいことが予想されます。

スジコガネ類が生活環の全てを森林に固執した理由は、長い幼虫生活を要する生活環境が田畑よりも森林の方が環境変化を受けにくいからだと思います。

世界一美しいコガネムシ、それがプラチナコガネであると紹介されているのをよく見聞きしますし、実際の生体個体をそれを育む環境下で見たことはありませんが、私としての好みのタイプは高価に思えるキンキラキンより多分こちら。この種というよりこの個体に限っては、プラチナコガネよりこっちの方が美しいと思うのです。

つまり、オオムラサキの様に種の中でもフレッシュな♂であれば例外なく美しいのではなく、ゴガネムシ科の甲虫には、種と言う括りを越え卓越して美しい個体が存在します。それはある程度確率された地域変異ではなくタイプの違いを基にして、とんでもなく美しい個体が稀に出現するように思えます。

この様に多様な色彩や光沢形状の違いが多様なタイプとなって日常的に現れることの多いコガネムシ科の昆虫種。

例えば、
セマダラコガネ










同じ日に奥物部で見た、このセマダラコガネ。1cmほどの小さなコガネムシ科の甲虫なんですが、本種の場合は同じ場所でお誂え向きに別タイプの同種がいたので、いい機会だと思って比較してみてください。
IMG_2850








コレがそのセマダラコガネの黒色タイプです。特徴的な紋様が体表に残り、地色が違うタイプなら同種であろうとも推測できますが、これほど違うと俄かには同種とは思えないのです。コガネムシ類の場合には現れる変化を前もって把握していないと。

ところが、タイプ変化のパターンをある程度把握していると、
IMG_2847









最初から種としての特徴を目敏く探そうとするんで、普通なら見え難いものが見えてくるのです。
このセマダラコガネの場合は、黒一色に見える色合いの中から、見る角度を変える事で運よく翅鞘の紋様が透かし彫りのように薄っすらと見えてくるのです。
黒色型ジュウシチホシハナムグリ








さて、栗の花が咲くころ香美市の低山でよく見るコガネムシ科ジュウシチホシハナムグリ。これにも劇的変化といえる複数のタイプがあり、この個体は黒色型のジュウシチホシハナムグリ
d60fa84c[1]








本種には暗赤色型というよりこの様に鮮やかな色彩のタイプが存在します。
私の見る範囲では、年によって黒色の年や赤色に集中する年があるのです。因みに令和元年は黒色の当たり年でした。

この様に多くの昆虫には同種でありながら、様々なタイプが現れる種が少なくないのです。そこに種としての生き残り戦略があるのです。天敵から免れる確率の高かった種が、やがてその特徴を遺伝情報として伝達し、固定化を図っていくのです。地域によって天敵が異なる場合は、生き残るタイプが変化することもあり、それが地域変異個体として固定化されることもあり、それはやがて亜種として発展することも。

多様なタイプがあるということは、今までの天敵に対しては特に優劣なくどれもが有効であったのでしょうね。多様なタイプが存在することは、将来に向けて生き残る術をより多く残しているとも言えるはずです。
IMG_3164










画像はオオムラサキの♀。先の画像の♂とは大きく色合いが異なり、一般的には大きさも♀が大型です。この様に雌雄による明らかに色彩や色合いが異なるものは性的な雌雄二形と表現されます。

コガネムシたちのそれは性的二形とは異質な多様性なのです。

今夏見たのはオスばかり
IMG_1658











奥物部のオオムラサキ
今夏は今まで3度、奥物部の雑木林に入ったのですが一度も♀を見ていません。
b9a81376[1]84a2b2cc[1]







高知県本山町のオオムラサキ雌雄
蝶種には一見して雌雄識別が可能な種も少なくありません。そしてオオムラサキもそのひとつなのです。
IMG_1489









そんな蝶種の場合、もちろん好みや探す目的の違いもあるのですが、そしてオオムラサキの場合はその和名特徴が現わす通り、見たいと望むのは絶対的にオスの指示派が多いと思うのです。息をのむほどに美しい大型蝶種なのですから。

勿論、体表に雌雄差が顕著に表れる性的二形が顕著に現れるある種の蝶において、色彩的に美しいのが必ずオスに限っている訳ではるません。メスが色彩的に美しいと思われる蝶種も存在します。
IMG_1497










裏翅模様では性識別が一目瞭然とはならないのがオオムラサキ
それらには性別においてより美しいという特徴だけでなく、例えばヒョウモンチョウ類の様に、種間の識別に紛らわしい近似種が存在した場合にも、種として特徴豊かな性が和名として成立している場合も少なくはないのです。
IMG_1281










ですから厳密には、ある種の生物種を探しにその生息地を訪れる場合、もちろん雌雄を同種に見つけることが目的となるのですが、それが叶わなかった場合には、種の特徴をより鮮明に示す個体、そして多くの場合にその性別個体に巡り逢うことを熱望するのです。
IMG_1286










そして豊かな生態系の確立されている目的種の生息地へいけば、一部の蝶に見られるような特別な条件下でない限り、雌雄はほぼ均等に確認されて何の不思議もないのです。

しかるに今夏の奥物部の雑木林で見るオオムラサキの場合、10頭を超える個体数のひとつひとつを時間をかけて性識別をしたのに、確認できたのは全数オス個体だったのです。
IMG_1187










逆に本山町でみつけたオオムラサキの場合、その年も複数回訪れたのに初年度見た複数のオオムラサキは全てメスという経験をしたこともあります。いずれもその地域で世代交代が恙無く進行される環境保全状況だあることも確認した上での事なのです。
IMG_1828









そして翌年からは、同じ季節、同じ場所で雌雄が均等に見られたのです。何故そうなったかの謎は今でも推測もできません。

さて、そんなモヤモヤ感のなかこの翌日(7月16日)の夕方にもこの奥物部の雑木林に行ってみました。この日も思惑天気がよかったもので。
IMG_2336








するとこの日は、四翅に摩耗のないフレッシュな個体が暗くなりかけた空を飛んでいました。
IMG_2296









以前より見られるオス個体の多くは今やこの様に後翅が大きく欠損しているのです。

フレッシュな個体がどこかの蜜場へ止まらないかと追跡していくと、
IMG_2204










幸運にも止まったクヌギ樹にたどり着けたのです。

そこで辛抱強く翅を開くのを待っていると、メスであることが確認できました。
IMG_2180








不思議なもので、奥物部で一頭のメスを始めて見たこの日は、別のクヌギ樹でもメスを見ました。しかも双方摩耗の少ない美しい翅の個体。
IMG_2245








思うにオオムラサキの場合、メスよりオスが早生でより早く成虫活動を始めているのではないかと。今年は満を持し早くからここへ来だしましたから。逆に昔、本山で最初にオオムラサキを見た時は梅雨をやり過ごした後の盛夏だったような記憶がします。
IMG_2908











まあ、それも何年か通い詰めると自ずと分かってくることでしょう。オオムラサキを育む豊かな里山で見るこの蝶は、何年見続けても人の心から色褪せていくものではないのです。そして、この輝きは自然の中で見てこその美しさなのです。
IMG_1922










今年もあと何回かは奥物部のこの場所を訪れる予定です。
一気に秋まで続くこの後の里山大自然物語から目を放すのは如何にも勿体無さすぎます。
IMG_1818









そしてこの圧倒的な高知の里山環境が地域の方々の営みのなかでいつまでも変わらないことを熱望し、その環境からも私の心からもその情熱が決して色褪せない様に、全力で見守り応援したいと思います。

このページのトップヘ