土佐料理 旬の鰹がゆく!

自然豊かな高知の気候が育む産物を食材とした伝統郷土料理のご紹介です。 自然に触れ、それらを見守りながら地方の環境問題を考え、豊かな自然環境の中で収穫される食材を自身の主観でレポートしながら、旬とは何かを考えます。

カテゴリ: 高知の畜産物

今年最後の肉料理
家族が集う年末、今年最後の肉料理は『すき焼き』。私の母のリクエスト、90歳を越してこの霜降りが大好きなんです。
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特別な日の肉料理は、いつも高知市帯屋町一丁目の『和耕肉舗』さんに予約しておきます。すると用途に見合った和牛部位を揃えてくださいます。生鮮品って部位や等級の同じものを選んでも、いつも同じ食味食感とは限りませんよね。価格は結構りぐった心算でも、今日のお肉はイマイチだったなんてことも。
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でも和耕さんのお肉は、電話予約でもこの信頼度。物を見ないで大切な日の和牛肉を買い物できるお店はそうはありませんよね。そういった意味でも和耕さんは我が家の揺るぎないブランド。私とのお付き合いも30年近くになりました。もともとは仕事でのお取引からスタートしているのです。
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家族三代の総意で月に一度は家庭で、ちょっとりぐった肉料理。家庭でとびっきりのお肉が家族全員と食べられる喜びは、信頼できる肉舗さんがあってこそ。今回のすき焼き肉はサーロインでしたから、次回は厚切りのテンダーロインが家内のリクエスト。
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もちろん和耕さんに予約します。妻の期待を裏切ることは出来ませんから。

正月は黒毛和牛の希少部位を豪快にいただく
今日ご紹介する牛肉部位は『トモサンカク』、タイトルのようにトモ三角とも書きます。わが家では和食中心の正月料理にもそろそろ飽きてきたころ。ひと昔前と違い正月料理も、味付け的には随分とあっさりして、保存食的な意味合いは薄れてきたんです。今は食料品店は、正月でも営業していますから。

さてそのトモ三角、先ずは画像がこちら。
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トモ三角と呼ばれる部位は、内モモの下側にある球状の塊で芯玉(シンタマ)と呼ばれる部分のさらに限られた一部の肉をそういいます。
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通常、モモ部には脂がのり難いんですが、トモ三角と呼ばれる部位にはご覧の様に美しいサシが入り、モモの味わいにコクを加えた たいへんにおいしい部位なんです。
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このトモ三角、非常に稀少な部位で一頭の和牛がら採肉できる重量はわずか2kgちょっと。食通には人気が高く、滅多にお目にかかれない部位なんですよ。更にトモ三角の取れる芯玉は、複雑な構造をした塊で肉の構造(トモサンカク・シンシン・カメノコウ・カブリの4つに分かれます)を熟知していないと上手く切り分けられないそうですよ。
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調理法として内モモや芯玉は、通常ローストビーフ・煮込み料理・シチュー・スープにしますが、限られた和牛の特別なトモ三角は、ステーキでいただくんです。
家庭の肉料理らしくシンプルな塩コショウだけてステーキとしていただいたんですが、サーロインとは違う味が楽しめました。

地域の食文化は食材利用する素材の品質を、その料理に適合するように極め、それによって地域独特の料理はより高い評価を得る。この相乗効果かある以上、地域資源は他の地域の輸入食材では決して代用できない文化として認められ、地域独特の付加価値の創出につながるんです。

実は今日購入した黒毛和牛は、高知県産ではなく讃岐牛を特別な飼育法でブランド化した「オリーブ牛」。特徴豊かな地域産品の多い小豆島にあってオリーブ牛の特徴は、コクがあり、さっぱりしていてやわらかく、しかもヘルシーというウリなんですよ。

その食材特徴を色濃く現した部位がトモ三角でステーキにピッタリ という感じでした。老舗肉舗の和耕さんらしい自慢の逸品でしたよ。

幻といわれる部位
以前、特別な牛肉の特別な部位を刺身で食べても良かった時代のこと。その特別で限られた部位がこちら。
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我が家では、以前ご紹介したように毎月29日は“にくの日”として家族全員で肉料理をガッツリ頂くのです。

そして、その月に一回の大切な日の食材調達は毎回、高知市帯屋町1丁目の老舗和耕肉舗』さんにお願いているんですよ。
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ところでこの部位、テンダーロイン)同様に牛があまり動かさない筋肉で、肉質が非常に柔らかい『ミスジ』といわれる部位なんです。位置的には肩(ウデ)の肩甲骨の内側にあるんですよ。等級の高い牛肉では、この様に赤身肉でありながらきめ細かな美しいサシがはいっているのです。
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ですから、ミスジはテンダーロイン以上に肉本来の旨みが強いと言われ、加えて柔らかくて濃厚な味わいは食通好み、ですから非常に美味しいんです。更にミスジは1頭から取れる量が少ない希少部位。その採取量は実に1頭の牛から数百グラムしかとれないんですって。

でもこのミスジ、部位別の価格ではサーロインテンダーロインヒレ)よりもずっと安価なんですよ。

では、このミスジはどうやって食べるのか・・・
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サシの入った牛肉は脂融点が低いことから口の中でとろけ、他の食材にはない得も言われぬ味わい。

このようなミスジの食材としての特徴を活かす家庭での牛肉料理には、すき焼きや、しゃぶしゃぶもいいんですよ。

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そんなミスジを今日は、少し厚めのブロックにして軽く炙って、わさび醤油やこだわりの天日塩でいただいたんですよ。

もちろん家族も大満足 来月の“29の日”が楽しみです。 

演出のかたち
11月の三連休のことです。高知県食品団地の野村煎豆加工店様にご招待いただき、高知市神田にある創作和食の館『加尾の庭』にて季節の会食を楽しまさせていただきました。
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加尾
とは幕末から明治末まで土佐で生きた女性の名前で、龍馬の初恋の人『平井加尾(西山加尾)』さんのこと。MHK大河ドラマでは、郷土出身の女優『広末涼子さんが演じたんで、私たち高知県人にも広末さん的イメージが強いんですが、それもそのはずで龍馬と違い加尾には現存している写真が無いようなんですね。
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その加尾が隠棲した夫、西山志澄と過ごした屋敷の庭が、この『加尾の庭』の原型だと言われているんです。

その当時の佇まいを風情とし、地もの食材を土佐養生膳として楽しませてくれるのが、この『加尾の庭』の特別なのです。そしてこちらは完全予約制です。
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当日は野村煎豆加工店の各部署のリーダーさんに、今年は社員研修旅行に参加出来なかった社員さん、さらには普段お付き合いのある食品団地とも近しい企業の皆様、並びに写真担当の私の総勢25名で利用させていただいたんですよ。
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では早速、いつものように11月の土佐養生膳の献立をご紹介します。

その前に『加尾の庭』さんの特徴とする養生膳とは、特に薬草など薬膳料理として活用されてきた、限られた自然の動植物に偏った食材を調理するのではなく、生命あるものがそれぞれ生きる為に持っている、食材としての栄養効果や生き物としての活力を、季節に応じた調理法と提供温度によって生命活性を高める効果を期待して提供する料理の数々。私はそのように解釈しました。
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前菜三種
前菜は、あかめ芋のタラモサラダ・旬野菜の春菊ディップ・生姜と文旦のホットドリンクというお洒落な内容です。
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タラモサラダとはタラモサラタとも呼ばれる、旬の野菜に魚卵をまぶし味を整えた料理。

日本のタラモサラタは主に鱈子を使用しマヨネーズで和えるのが王道のようですね。

里芋の一種、赤芽芋は筋肉の緊張を和らげる効果の期待できる食材。次に、春菊を擂り潰したクリーム状のソースで季節野菜をさっぱりといただくんですが、春菊は呼吸器も含め体の保湿を高めるとか。

土佐を代表する柑橘のひとつ、文旦にも手間をかけていますね。露地文旦の出荷は新年2月なんですが、秋から晩秋にかけては温室の水晶文旦、土佐文旦が出荷されています。ですからそれらの文旦は今が旬なんですね。高知県の特産品、生姜の効能は言うに及ばずです。露地の生姜も11月が主な収穫期なんですよ。
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きのこスープ
数種類の茸で作った、季節感にあふれる実に濃厚なスープです。茸には免疫力を高める効果が期待されるそうです。
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鰹のたたきとフルーツトマトのカルパッチョ
何れもが高知を代表する食材ですね。食材としての旬は外していても、料理の手法で上手に演出されています。
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普通のタタキを食べ慣れている高知県人にとって、カルパッチョやマリネはとても新鮮に感じる調理手法。特にカルパッチョは、素材の新鮮さもダイレクトに伝わって来る産地好みの料理ですよね。

生ハムのようにスライスされた鰹の身、新鮮さがよく伝わってくる仕上がりでした。

鰹の栄養価の高さは広く知られるところ、その中で11月には体内での造血効果に期待したとか。

トマトは、美肌効果と解毒作用への効果を重視して食材に選んだそうですよ。
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いとよりの雲丹あん 柚子胡椒の香り
ここで、皆さんからはイトヨリとアマダイの味の違いとか、食材としての利用法について地域性とか料理法の歴史について談義が盛り上がりました。皆さん食通揃いですから、ご自身の好みの食材に関して譲れないこだわりがあるんですね。
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ちなみにこれがイトヨリ。脂が少なく、クセの無い淡泊で柔らかい上品な味の白身。骨からは良い出汁がとれます。又、ご覧のように色彩に優れ料理の映える食材。加熱により適度に身を締めたり、ふっくら柔らかく仕上げることも出来、汎用性の高さも食材価値を高めます。やや淡泊にも感じる旨味を、コク深い雲丹の味、青唐辛子と柚子皮と塩でアクセントをつけているんですね。

イトヨリの素直な味は、いろんな味付けに馴染みます。柚子胡椒は九州で作られた調味料なんですが、高知県は日本一の柚子の産地ですから高知でも柚子胡椒は製造され、このように積極的に利用されているんですよ。

雲丹や柚子は血行を良くして身体をゆっくり温めてくれるそうです。
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土佐あかうしとホーレン草 生姜ソース
あかうしとしては、豊富できめ細かな脂肪分が肉質に万遍なく散りばめられたグレードの高いサーロイン。片面を強火で香ばしく焼き上げ裏面にはソフトな感触を残しています。

肉はスタミナを養う食材です。養生膳とは、陰と陽の気の作用を重んじ季節によって変化するそれらを食材の持つ気で補うとするもの。生姜は陽の食材とされ気の巡りをよくするそうですよ。
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長太郎貝とと乱切り野菜の揚げ出し
桧扇貝(ヒオウギガイ)は、高知では長太郎貝と呼ばれる殻の美しい大型の二枚貝。
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これがその長太郎貝。煮物よりは焼き物や油物として調理されます。
ヒオウギガイは高知でも盛んに養殖されていますが、種苗は愛媛県で生産されたものなんですよ。

二枚貝は、生息域の淡水や海水に含まれる栄養分を濾過吸収することによって水質を浄化させる効果があり、地域の生態系には必要な生物なんですよ。
ところが、それを食材とすると、血液も綺麗なるとか。同じ作用の見込める旬の野菜とともに相乗効果を高め、さらに空気の乾燥する季節においても、疲れた目の働きを活発にする効果があるそうですよ。
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むかごと蟹の炊き込みご飯
西日本の日本海側でも11月6日に解禁となったズワイガニ
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画像はそのズワイガニです。今年の早春、野村煎豆加工店の皆様と一緒に、島根県松江市玉湯町の玉造温泉で、たらふく食べた蟹の味を思い出しました。
DSC02319一方、薯蕷の茎が肥大化して形成された肉芽『むかご』はその植物にとっての栄養繁殖器官。
晩秋、ご飯と一緒に炊き込む零余子飯は、日本古来からの生活様式を現す季節の食文化です。しっかりとした味付けの炊き込みご飯でした。

蟹や零余子(ムカゴ)は栄養バランスに優れ、身体の各機能を整えるとか。
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かぼちゃのプリン 野菜チップ添え
かぼちゃのプリン。過度に甘くなく美味しくいただけました。

かぼちゃは身体の冷えをとり、胃腸の働きを元気にするそうですよ。
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さて、これが本日提供いただいた『加尾の庭』自慢の土佐養生膳11月の献立です。野村煎豆加工店さんは、三連休中日の昼食に、ランチメニューではなくディナーコースで予約を入れ、社員の皆様と私たちの総勢25名に振る舞って下さったんです。勿論、別室には他のグループのお客様も複数利用されていました。
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そんな中、私たち25名にはこれらのコース料理全てが『加尾の庭』の土佐養生膳として、あるべき提供温度で供せられたのは紛れもない事実。しかも自店の手作り感にあふれた個性が感じられました。

さて、今日のタイトル風情(ふぜい)とは・・・
風情とは、日本古来より存在する日本人的感覚で、日本人の美意識のひとつ
例えば『加尾の庭』の場合、来館者に料理だけでなく、庭園によって日本の四季の風情を感じてもらう演出を施し、敢て伝統的日本食ではなく新興ともいえる創作和食で地域の食材を調理し、その概念を象徴するこだわりの器とともに提供する『加尾の庭』としての風情。その風情こそが『加尾の庭』の個性なのです。

日本の気候風土によって現れる豊かな季節の移ろいが育む、四季と旬の食材は悠久の時とともにそこで生きる人々に影響を与え続け、やがて日本人としての共通の価値観を確立してゆくのです。そして、それは大自然によりもたらされる物体の劣化や、変わりゆく季節の儚くも美しいありさまを見て、趣や情緒を心で感じ心穏やかになることもあれば、時には心揺さぶらせ新たな思いをとめていく感覚を芽生えさせるのです。そこから生まれる感覚傾向こそが、まさに日本人としての個性であり風情で、風情もまたこの先変化するであろう感覚なのです。
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しかしながら同じ時に生きる日本人同士でも、様々な経験値によって一概に皆共通の価値観を持ち合わせているとは限らないもの。でも組織として顧客満足を追求し、取引先様と共に栄え、自身の生活を向上させ地域を活性化させるという使命と目的は共有したい。野村煎豆加工店さんの会合は、いつもそういった気配で満ちあふれています。

ですから、『加尾の庭』の日本庭園土佐養生膳をどう味わい評価するのかは、訪れる人それぞれ。しかし豊かな四季と自然環境が気にあふれる食材を育み、それを養生膳として忠実に調理提供する姿勢にぶれはありません。

それは、料理や飲み物を提供してくださった接客スタッフのお二人にも正確に励行されていました。文中に記述した食材の身体に期待される成果は、めいめいに配布されるお品書きにも記載されていますが、調理提供の際には彼女たちのことばで丁寧に説明してくれます。

ですから、わたし的には心地よい季節のなかで『加尾の庭』での心地よいひとときに満足した一日でした。
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ちなみに、ここは『加尾の庭』ですから接客スタッフは皆さん、広末涼子さんにも負けない土佐らしい女性だったんですよ。

ですからここは、もちろん彼女たちの庭でもあるんですね。
“のむら”のお菓子が従業員さんひとりひとりの菓子であるように。

テンダーロイン
肉の部位の話です。背肉から腰肉にかけての鞍下肉は、炙り焼き・蒸し焼き(ロースト)に適する部位としてロース(ロイン)と呼ばれ、牛の場合は特別にあばら骨の外側の肉は、あまりにも旨いことから、英国王によってサー(Sir)の称号を与えられサーロインとなったと聞き及んでいます。
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黒毛和牛 牛ヒレ(牛フィレ)
ところが、あばら骨の内側にも特別な肉が存在するんですね。外回りを脂肪で被われた俗に言う『牛ヒレ(牛フィレ)』です。この部位は身体動作を司る筋肉として、活発な役割を行わない部位で、筋肉として発達することのない特殊な部位。ですから、非常に少量しかなく牛から取れる可食肉全体の3%に満たない部位なんです。活動をしていないので特別な調理を施さなくても、とっても柔らかいんですね。ですから柔らかいロインで、英語でテンダーロインなんです。
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黒毛和牛 サーロイン
しかも、通常飼育だとこの部位はサーロインより脂肪含量率は低いのですが、この『牛ヒレ(牛フィレ)』は上質なサシが部位全体に万遍なく散りばめられています。
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ところが・・・
この希少部位をフランス料理では更に細分化してそれぞれに名称を付けているんです。最先端の脂身の少ない部位がトゥールヌドー(メダイヨン)、中心部の太い部分がシャトーブリヤン、残った三角になった部分はミニヨン。
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それぞれの部位特徴を生かした伝統料理が、フランスの食文化を彩っているんですね。驚くべき繊細さとこだわりです。
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ちなみに、サーロインとテンダーロインをあばら骨ごと関節にそって豪快にカットした豪快でボリュームたっぷりのステーキ。一度に特徴の異なる2種のステーキ肉が味わえると、ことさら強調されている、こちらはイタリア発祥といわれるTボーンステーキなんですね。
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今日、夕食でいただいたヒレステーキ、食材調達は高知市帯屋町1丁目の
和耕肉舗』さんにお願いしました。食品団地の会合はどこで開催しても、懇親会の肉料理は宴会場さんにお願いして和耕肉舗さんから取っていただくんですよ。

信頼のおける、この品質ですから。

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