土佐料理 旬の鰹がゆく!

自然豊かな高知の気候が育む産物を食材とした伝統郷土料理のご紹介です。 自然に触れ、それらを見守りながら地方の環境問題を考え、豊かな自然環境の中で収穫される食材を自身の主観でレポートしながら、旬とは何かを考えます。

カテゴリ: 高知の水産加工品

冬のメダイのにぎりは殊の外旨し
水温の低い季節、沖の深場でタイ釣りをしていると偶に釣れてくる真っ黒い魚。
メダイ















メダイ

円らな瞳は愛らしさを感じるものの、多粘性で体表が見る見る内にベタベタの粘膜で覆われ、釣り針を外すのも躊躇われる魚が、
イボダイ科メダイ属のメダイ
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メダイ 幼魚

同科のイボダイが30cm弱なのに対し、このメダイは巨大で80cm位には成長する魚種。
メダイ













室戸の魚屋さんに並ぶメダイ

食用魚だとは重々理解していても、前記のように体表から多量の粘液を分泌するんで、クーラーボックスへ収納するのを一寸迷ってしまうのです。
メダイ (2)
以前、地方銀行の地域振興の担当者さんの依頼を受け、幡多地方の漁港を回った時、メダイの日本料理への食材活用法を生産者さんと一緒に検討したことがありました。


最初の画像は、その時幡多地方の漁港で撮影したもの。背と腹の色合いが明確に異なり、目に濁りが無いのは鮮度の良い証拠です。その晩は産地の皆さんと、メダイを様々に料理して食したのですが、寒い季節では無かったので刺身の味は淡白なものに感じてしまいました。
メダイ
ですから、メダイの刺身は昆布締めしたり、焼き物は西京味噌で漬けたりして漬け魚として商品化し、自身では加工すれば美味しい白身魚という認識をしていたんですが・・・

それから20年近くが経過した2月中旬のある日、
メダイにぎり















メダイのにぎり

高知の回転すし店『寿し一貫』さんへ行ったとき、高知県西部で仕入れされ、にぎり寿司として商品化されている『メダイにぎり』を見ました。懐かしさを感じながら頂戴してみると・・・
それはあの時、私が産地で食べたメダイとは全くの別物でした。

メダイの旬は寒い季節
適度な熟成による旨味と、漬けた醤油に微かに脂が浮く上品な味。旬のメダイの旨さが十分に表現されただったのです、逸品にぎり寿司だったのです。

もう一品この日は、絶妙の旨さを感じたのが、
ヒラスズキにぎり












ヒラスズキのにぎり


スズキが冬に味を落とすのと逆にヒラスズキは冬でも旨い魚種。
ヒラスズキ








何れもが地産の逸品と言えるにぎり寿司でした。

にぎり寿司の原点は地産の食材にあり‼ 

それを回転寿司の分野にバランスよく取り込んでおられる寿し一貫』さんの取り組み。

以前私が上手に出来なかった宿題を、地域に根ざした飲食店として責任を持って果たしていただいている事に深く感謝します。

時代が変れば・・・冬場は高価なウマヅラハギ
子供の頃、漁港へ釣りに行けばこの魚は流通に回されず捨てられていました。多分沿岸の浅海引網で漁獲したものでしょう、1970年代の事です。
ウマズラ









中学になって磯釣りを始め沖磯へ渡った時、磯の強者たちに先を越され潮通しの良い好ポイントに入れず、仕方なく潮裏で竿を出して釣っていると、そんな小童を憐れんでか釣れて来る魚もこの魚。魚種名は『ウマヅラハギ』です。

荒磯のグレ釣り師にとっては、紛れもない外道たるウマヅラハギを色んな理由で釣れなかった場合、当時は仕方なく持って帰っておかずにしたウマヅラハギが、今では市場へ並んでいます、それも結構な値段で。でもウマヅラハギは今でも一匹買いではなく市場では箱買い。
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瀬戸内海の道の駅で売られていたウマヅラハギ
ですから、私たちはもしウマヅラハギが食べたくても市場では買えません。そんなウマヅラハギを、磯釣りが好きだった私は何度も食べました。美しく食感に優れる身は、刺身にして若干のクセを感じ特に旨いとも思いませんでしたが、不味いとまでのレベルでもなく、料理は簡単、刺身の他にも煮付け焼きもの唐揚げちり鍋など様々な料理法で食べられるのです。

しかも、寒い季節のウマヅラハギの脂ののった肝はより高級な丸ハギとも呼ばれるカワハギよりもボリューム感があり、まったり感もこちらが絶対に上なのです。

ところが近頃、ウマヅラハギを見る機会は非常に少なくなりました。少なくても漁港へ出向いて拾って帰る魚ではなくなっています。しかも高知の市場に並ぶウマヅラハギは、地物より日本海産のものが安定集荷しているとか。

現代は飽食の時代とも言われています。地域の食材でなく全国の美味しいとされる食材や料理をそこへ行かずとも食べられる時代なのです。そんな時代になって食材認識が飛躍的に高まっているウマヅラハギ

人の美味しさの指標は時代によって大きく変化するものなのですね。でも一度確立されたウマズラハギの価値は、今後1970年代に逆戻りすることはないのです。


高知にとって、ウマヅラハギの登場は早すぎたのか、仕掛けが足りなかったのか。何れにしてもブレイクするのには運を味方にすることと、その産物に誰にも負けない情熱を傾ける事が必要なんでしょうね。そうしていれば、いつしか売れるものの匂いを感じ取れるようになってくるのだとか。


このウマヅラハギ。実はこの魚にも非常に紛らわしい別種が存在するんですよ。
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それがこのキビレハギ。双方カワハギ科ウマズラハギ属の同属なんですが、ウマヅラハギの各鰭が青みを帯びている事からキビレハギなのです。
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カワハギ属の特徴たる眼の上の棘の突出位置がウマヅラハギはもう少し後部なんですよ。両種は明確に識別することなく流通している場合も多いのです。
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さて、近頃は高知の海で見る機会の少なくなったウマヅラハギなんですが、変って同じカワハギ科ウスバハギ属の高知ではシロハゲと呼ばれる大型のウスバハギが流通量が増加しています。ウスバハギの体長は、成長すると80cmに達する大型のハゲです。
ウスバハギ










小型のウスバハギ

これは、亜熱帯・熱帯海域に分布する種で昔はそんなに見なかったように思います。
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大型ウスバハギ

そして同属のソウシハギは、ウスバハギほど個体数は多くないものの猛毒のバリトキシンを体内に保有し、ソウシハギは、食べたり調理は控えるべき魚種です。
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さて、食して安全なウスバハギ。味は非常に淡白なんですが、食感に優れる身色の美しい白身魚。魚の苦手な方でもウスバハギならOKという人は多いんですよ。

これを開きにした干物は、とても美味。ちょっと塩味を効かせたウスバハギの干物は酒の肴に絶品です。

焼く前から炭焼き状態
ご存知ですか『クロシビカマス』。実は以前記事にしたことがある魚種なんです。
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この身体がやや細長く、全身が黒やら紫色やら判断できない金属色。その色合いから、クロシビカマスという名より炭焼き(スミヤキ)と言う方が通じることも。
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腹鰭は殆ど退化し1棘の痕跡。カマスのように口が大きく丈夫で歯が針の様に鋭い怪魚です。カマスというより、左右に側へんする魚体系がサワラを思わせることから、室戸ではウケサワラと呼ばれる事もあります。

日中は水深500m前後の深海にいて、夜になると浮上。つまり150〜750mの水深を一日単位で行き来する魚。未成魚は室戸や相模湾など深海が陸近くまで迫る限られた漁場で、定置網でも漁獲されます。

この魚、身は白身で脂があって旨いのですが、食感を大きく損ねる小骨がどっさりあり、これをどのように除いたり和らげるのかが、美味しく食べるコツなのです。ですから、普通に刺身では食べません。

クロシビカマスを最も高く評価している場所は、神奈川県の相模湾周辺。ここでは、身をスプーンで梳き取って様々な薬味と混ぜ、包丁で激しくたたいて生食したり、つみれ団子で鍋にして食すとか。
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クロシビカマスの丸干し
室戸では、冬場に天日で丸干しして干物で売られています。
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このクロシビカマスの丸干し、一度実際に炙ってみればわかるんですが・・・焼けているのか否かが判断つきません。というか、最初から焦げている様なので。
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ですから、最初は適当なところで恐る恐る食べてみるんですが、けっこう大丈夫です。

肝心なお味は、ウルメとカマスのハイブリッド的‼

多い小骨の食感は、ウルメの丸干しを丸ごと食べられる方には全く気にならない程度なんですよ。

クロシビカマスの丸干し、30cmくらいの丸干しで1尾50円くらいで販売されています。

頭は齧らない方が無難、歯はご覧の様に非常に鋭いですから。

食材としてのイラ
さて今日は、高知では厄介者されることの多い『イラ』を料理してみましょう。といっても決して毛虫のイラではありません、念のため。
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今回、食材としたイラは自身で釣ったものでなければ、頂いたものでもありません。香南市の天然色市場で購入してきたものです。

㎏単価は250円程度、つまり下等魚としての扱いで今回のイラは800gをちょっと超えたところ、200円/一尾で手に入れました。
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鱗は大きく頑丈、ぬめりも強く骨も硬い上に身は柔らかい。イラを捌くのは、そんなに簡単ではありません。
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というか、高知では確固たる料理目的が頭に描けてないと、料理しない魚なのです。私はこの系統の魚種は干物にします。
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それも風干しで時間をかけ、身の奥まで十分に水分を抜くため、天日干しの季節でも、表皮に早く膜を張らしたくないので、日には干しません。
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それに捌いてみると思っていた以上に、身に脂がのっており、浅干し以外は天日では難しいとも判断したのです。

完成イメージは、先日干物にしたブダイと同じ。身質自体はよく似ていますから。でも血統的により近いのは、沖縄三大高級魚のひとつ。現地でマクブと呼ばれるシロクラベラと同属なのです。
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冷蔵庫で丸3日、風干しにいてイラの干物は丁度に仕上がりました。

後はこれを適当な大きさに切って、
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お正月のお餅を焼き上げるように、ゆっくりゆっくりと時間を楽しみながら炙っていくのです。
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すると、何処にも売っていない特別な干物が味わえるのです。

大型魚の干物は絶品です
わが家では今年も地場の旬魚でいろいろな干物を作りました。
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夏が旬の魚を干物にするときは天日には干しません。
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風干し

まだ外気温が高い季節は、夜干しか冷蔵庫に入れての風干しで干物に仕上げます。そうすることで塩分量を減らしても美味しい干物が作れ、逆に無理に天日干しにすれば塩分量を増やさなければなりません。
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天日干し

干物と言えば昔は保存食でした。でも今は保存性を高めるよりも、魚をより美味しく食べる方法として考えられています。ですから鮮度にもこだわります。
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自宅でわざわざ作る干物は、少なくても生食できる鮮度で干物を作ります。

一般には雑魚扱いされる小魚を用いて、食材加工されることも多かった干物ですが、今は食感もよりソフトで減塩なものが好まれています。でも、そんな現代の干物嗜好に異論を唱えたい方もいるのかと。

水分を適度に抜いて、魚のうま味を凝縮させるとともに食感にも歯ごたえを感じるのが干物であると思っている人も多いはずです。そんな方々にぴったりの干物があるんですね。
それは、普段より大型の魚種を使って干物にしてみてはどうでしょう。

白身魚でいえば、例えばこの干物。
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高知ではあまり人気のないブダイを使って干物にしてみました。ブダイの他イラでも同じように美味しい干物ができます。

和歌山県等で好まれるブダイの干物は開き形式ですが、わが家では大型魚をより使った干物は、より水分を抜いて焼く前に切り身にして食べます。水っぽい白身の中型魚、ブダイやイラなどの鱗が大きい仲間は、こうすると驚くほど美味しくいただけます。

さて、大型回遊魚の場合は
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例えば1mに達するサワラ。こちらはひと手間賭けた方がいいですね。最初から適度な大きさの切り身にしたあと、味醂漬けにすると美味しくいただけます。
元々うま味の強いサワラの場合、時間の経過とともに臭みも感じるようになりますから、ひと手間賭けた方がいいんですね。
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すると、こんなに照りの豊かなサワラの味醂干しになるんです。

高知では馴染み薄い、魚の鱗をわざわざ残して干物にする食文化が京都にあります。
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京都でグジと呼ばれるアマダイは鱗を残したままで焼くのが正当なのです。
ですから今年はわが家でも挑戦してみました。しかも1ランク上のシロアマダイを使って。
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グジの干物は日本酒・薄口醤油・味醂を調合した若狭地(わかさじ)を塗りながら、鱗の付いた皮目を香ばしく焼き上げます。

脂の豊かな魚は焼いていると、表面に脂が滲み出て黄金色に。調味料を用いて黄金色に香ばしい照りを出させる干物もあります。でもそれらは保存性を高める目的で作る干物ではないのです。


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